アサド大統領はイタリア日刊紙『イル・ジョルナーレ』のインタビューに応じる「シリア難民は西側諸国ではなく、シリアでの支援を必要としている」(2016年12月30日)

アサド大統領は、イタリアの日刊紙『イル・ジョルナーレ』のインタビューに応じた。

インタビューは、英語で行われ、アサド大統領は立ったままインタビュアーの質問に答え、映像は、大統領府がYoutube(https://youtu.be/FYABZsNM_co)を通じて公開し、英語全文、アラビア語訳文はSANA(http://sana.sy/en/?p=97317http://sana.sy/?p=488692)が配信した。

SANA, December 30, 2016

SANA, December 30, 2016

『イル・ジョルナーレ』とのインタビューでのアサド大統領の主な発言は以下の通り:

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「彼ら(国外を去ったシリア人)は自分の国に戻りたがっているのだと言える…。しかし、それには二つのことが必要だ。彼らには安定、安全が必要で、また戦争で失った生活を再建するための基本的なニーズが必要だ…。私は、彼らをシリアに戻るよう招くつもりだなどと言うことはできない。なぜなら、そもそもシリアは彼らの国であって、戻るように招かれる必要などないからだ。しかし、私は、テロを直接間接に支援することで問題を作り出したにもかかわらず、「我々は彼ら(シリア人)を人道的に支援している」と言っている欧州の高官らにこう言いたい。彼らはあなたの国ではなく、我々の国において支援を必要としている、と。彼らはテロ支援を止めてもらいたいと考えており、経済制裁の解除を必要としている」。

「彼ら(西側諸国)はテロリストを支援している。彼らが我々の地域のテロリストを支援する一方で、欧州でのテロを抑止しようとしているのをどのように支援できるというのか? そんなことできない」。

「シリアは常に多様で、さまざまな宗教、宗派、エスニシティのるつぼだ。我々には多様性がある。この多様性がなければ、シリアではなくなってしまう…。私は戦争が終われば、大多数のシリア人がシリアにもどってくるだろうと確信している。つまり、シリアは自然に生まれ変わることになろう。一方、この戦争を通じて、多くのシリア人が一つになった。シリア人は、互いに受け入れ合わず、尊重し合わなければ、一つにまとまった社会になれないという教訓を得た。この一つにまとまった社会がなければ、シリアは生まれ変わることはできない」。

AFP, December 30, 2016、AP, December 30, 2016、ARA News, December 30, 2016、Champress, December 30, 2016、al-Hayat, December 31, 2016、Iraqi News, December 30, 2016、Kull-na Shuraka’, December 30, 2016、al-Mada Press, December 30, 2016、Naharnet, December 30, 2016、NNA, December 30, 2016、Reuters, December 30, 2016、SANA, December 30, 2016、UPI, December 30, 2016などをもとに作成。

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