ドゥラル・シャーミーヤ(12月30日付)によると、シャーム自由人イスラーム運動のアフマド・カッラ・アリー報道官は、30日午前0時に発効したロシア・トルコ仲介によるシリア政府と反体制武装集団7組織の停戦に関して、合意文書に署名したとするロシア国防省の発表を否定した。
シャーム自由人イスラーム運動の複数の政治筋によると、合意文書への署名を留保したのは、停戦プロセスではなく、カザフスタンの首都アスタナで2017年1月下旬に予定されているシリア政府と反体制派の和平協議(アスタナ会議)における政治対話プロセスが「先行き不透明で原則を欠いている」と判断したためだという。
シャーム自由人イスラーム運動は、ファトフ軍、アレッポ軍(アレッポ・ファトフ軍作戦司令室、シャーム戦線)、ハワール・キリス作戦司令室などの軍事連合体に所属し、アル=カーイダ系・非アル=カーイダ系のイスラーム過激派と「穏健な反体制派」の共闘関係を架橋するシリア「反体制派」の中心的組織の一つ。
ロシア国防省が停戦合意に署名したと発表していた7組織とは、シャーム軍団(19組織、4,000人)、シャーム自由人イスラーム運動(80組織、1万6,000人)、イスラーム軍(64組織、1万2,000人)、シャーム革命家(8大隊、2,500人)、ムジャーヒディーン軍(13組織、8,000人)、イドリブ自由軍(3組織、6,000人)、シャーム戦線(5組織、3,000人)。
なお、2016年7月にアル=カーイダとの関係を絶ち、組織名をシャーム・ファトフ戦線に改称したアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線も停戦合意への署名を拒否している。
al-Durar al-Shamiya, December 30, 2016などをもとに作成。
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