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国内の主な動き
アサド大統領はダマスカス県・郊外県工業会議所事務局メンバーと会談した。
SANA(6月17日付)によると、会談では西側による制裁への対応などについて意見交換がなされた。
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SANA(6月17日付)によると、人民議会で一般的自由、人権、女性・家族・児童の権利、若者の権利、報道・出版・発行に関する新たな常設委員会の設置の是非が審議された。
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アラブ作家連盟の執行部メンバー9人が「我々の知らない間に出されたすべての決定や声明とは無縁である」と宣言し、「麻痺し無能で腐敗した連盟において偽証者の役割を演じ続けることはできない」として辞任した。
辞任したのは、カースィム・ミクダード、ガーズィー・フサイン・アリー、イブラーヒーム・ジャッラーディーら9人。
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『クッルナー・シュラカー』(6月18日付)によると、「シリア青年」を名のる若者グループが人民議会議事堂前でアサド大統領を拒否する人を皆殺しにすることを訴えてデモを行った。
国内の暴力
ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で軍・治安部隊による掃討作戦が続き、同市ハーリディーヤ地区で住民1人が殺害された。
ヒムス市旧市街の活動家のアブー・ビラール氏によると、軍・治安部隊は砲撃を続けており、「もし軍が包囲されている地区に突入すれば、取り残されている人々は皆殺しにされるだろう」と述べた。
軍・治安部隊による砲撃は、ジャウラト・シヤーフ地区などにも行われたが、これらの地区の住民はほとんどが避難しており、市内には反体制武装集団が立て籠もっている。
タルビーサ市、ラスタン市でも、軍・治安部隊が砲撃を続けた。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アターリブ市、イッビーン村、カフル・カルミーン村で、軍・治安部隊が砲撃を加え、掃討作戦を行い、アビーンで市民1人が死亡した。
また対トルコ国境沿いのクルド山に対して、軍・治安部隊が激しい砲撃を加えた。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムライハ市、ミスラーバー市、ドゥーマー市などで、軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、2人が殺害された。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、タマーニア町で治安部隊が1人を射殺した。
一方、SANA(6月17日付)によると、アンカーリー地点で軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト1人を殺害した。
またサイジャル村でも軍・治安部隊と武装テロ集団が交戦し、前者の兵士2人が犠牲となった。
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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団の司令官1人が殺害された。
またバクラス村で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦した。
一方、SANA(6月17日付)によると、対イラク国境で当局が武器密輸を試みた武装テロ集団と交戦し、テロリストを多数死傷させ、大量の武器弾薬を押収した。
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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ガーブ平原で軍・治安部隊と反体制武装集団が交戦し、前者の兵士3人が犠牲となった。
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ラタキア県では、SANA(6月17日付)によると、ハッファ地方での武装テロ集団残党の追跡が続けられ、当局はフランス製の爆発物、トルコ製の火薬を押収した。
反体制勢力の動き
シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長はイスタンブールで記者会見を開き、シリアの友連絡グループに対して、民間人を救済するため、(国際社会の合意なしに)「単独で行動」するよう呼びかけた。
スィーダー事務局長はこの会見で、また「断固たる決議を強く安保理に求めてきたが、我々が期待していなかったかたちで拒否に遭った」と、今更ながら露中の拒否権発動を引き合いに出し、失望感を表明した。
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シリア国民評議会は声明を出し、UNSMISの活動停止に関して、「犯罪体制に資し、シリア国民はわずかながらの保護を保障するために残されていたもろい援護を奪われた」と非難した。
諸外国の動き
米ホワイトハウスはUNSMISの活動停止に関して、「重大な局面」に達したとの見解を示した。
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英国のウィリアムズ・ヘイグ外務大臣は、UNSMISの活動停止に関して、「UNSMISの活動継続能力を真剣に再検討する」必要があると述べるとともに、「混乱はアサド政権の振る舞いによる」としつつ、「反体制勢力も暴力を停止」するよう呼びかけた。
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トルコ政府は、UNSMISの活動停止に関して、安保理に「人道的な悲劇」を停止するための「新たな措置」を講じるよう求めた。
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イスラエル軍報道官は、イランとヒズブッラーがシリア情勢の実態を把握しているとしたうえで、アサド政権を支援するための努力を続けているが、それは無駄な努力だ、と述べた。
AFP, June 17, 2012、Akhbar al-Sharq, June 17, 2012、al-Hayat, June 18, 2012、Kull-na Shurakaʼ, June 17, 2012, June 18, 2012、Naharnet.com, June 17, 2012、Reuters, June 17, 2012、SANA, June 17, 2012などをもとに作成。
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