2011年3月21日のシリア情勢

反体制運動をめぐる動き

ダルアー市でのデモは4日目に入ってさらに拡大、南部のジャースィム市、インヒル市にも波及する一方、が参列した。

ダルアー市内では、20日のデモでの犠牲者(ラーイド・カッラード氏、23歳)の葬儀に約1,000人が参列、一昨日死亡した犠牲者の写真を掲げ、「恐れていない…恐れていない」、「平和的に、平和的に」、「君に血と魂を捧ぐ、殉教者よ」と連呼した。同目撃者によるとデモは平和的に行われていた。ダルアー市入口などには、軍が同市を包囲するかたちで展開、また市内ではカラシニコフを携帯した警官隊数百名が街道の両脇に配備された。しかし、葬儀後のデモ参加者数千人に対して、軍・警官隊が介入することはなかった。

ダルアー市の現状に関して、住民の一人が述べたところによると、「デモ参加者は、カッラード氏の埋葬後、「革命、革命」、「アッラー、シリア、自由のみ」と連呼して、墓地からウマリー・モスクへと行進を始めた」。また「旧市街の入口には武装部隊が結集していた」。別の目撃者がAFPに語ったところによると、ウマリー・モスク近隣では、「催涙ガスが原因の窒息状態が散見され、集中的に展開する治安部隊が複数名を逮捕した」。また「治安部隊は葬儀に多くの参列者が参加するのを阻止しようとしたが、数千人が参列した」。一方「治安部隊はまた、ダルアー市入口にも集中的に展開した」。デモ参加者の一人はAFPに対して「自由を求める我々の要求が実現するまで街頭で座り込みを続ける」と述べた。

他方、ダルアーの複数の著名人が、政治犯の釈放、秘密警察本部の解体、県知事の解任、(デモでの市民)殺害の責任者の公開裁判、秘密警察への財産売買の許可取得規定の廃止を求めた。

目撃者の一人によると、デモはダルアー市北部約50キロに位置するジャースィム市に波及した。治安当局はデモに対して実力行使を控えた。

一方、ダルアー市から40キロの距離に位置するインヒル市でも数百人が集会を行い、シュプレヒコールを繰り返し、警察署を襲撃した。

ダルアー市中心にあるウマリー・モスクのシャイフ、バッサーム・ミスリーが21日晩に逮捕される。

Akhbār al-Sharq, March 21, 2011

Akhbār al-Sharq, March 21, 2011

ダルアー県での事件に巻き込まれて日曜(20日)に負傷したムンズィル・ムウミン君(11歳)が21日に死亡した。

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フェイスブックの「シリア革命2011」、「シリア怒りの日」といったページが各地でデモを行うよう呼びかける。

またクルド人シャイフ、マアシューク・ハズナウィー師の息子でシャイフのムルシド・ハズナウィーはフェイスブックでシリア国民、そしてクルド人に対して、ナウルーズにあたる3月21日に決起を呼びかける。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アサド政権を「手遅れになるまえに目覚め、国民の要求に応える」よう求めた。

アサド政権の動き

一方、ムハンマド・アフマド・ユーヌス法務大臣が事態収束とデモ参加者との対話のためダルアー県庁入りした。ダルアー県内の緊張が緩和することが期待されているなか、当局は、壁に反体制的スローガンを落書きし、逮捕されていた少年15人を釈放した。

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シリア人権委員会は、3月17日にサイドナーヤー刑務所から釈放された元政治犯の証言として、3月16日の内務省前での政治犯家族の要求に応えるかたちで、当局は「判決が下されていないすべての政治犯の刑期が8年とされた」、「既に判決が下された政治犯の刑期が大統領の指示で4分の1軽減になった」と発表する。

『クッルナー・シュラカー』(3月21日付)は、シリアの治安当局は、ジュンド・シャーム、ファタハ・イスラームがダルアー市などでの反体制デモに関与していると疑っている、と報じる。

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マシュレク・チャンネル(本社UAE)のオーナーでビジネスマンのガッサーン・アッブード氏は、ダルアー市での反体制デモとその弾圧に関する同チャンネルの報道に関して、シリアの治安機関高官から自粛するよう脅迫を受けたと述べる。

諸外国の動き

フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は記者会見で、パリが「(シリア政府に対して、改革を通じて国民が表明した願望に対処するよう求める」と述べた。またフランスが「すべての国での平和的デモを行う自由」を支持し、「シリアに人権および表現の自由の分野での国際的な義務を履行するよう」求めると強調した。

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ドイツのギド・ウェスターヴェレ外務大臣が逮捕者の釈放を求めるとともに、デモ弾圧を非難。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは、「少なくとも5人の死者」を出した「過剰な力の行使」を非難し、「シリアがデモ参加者に対する実弾使用をはじめとするあらゆる過剰な暴力行使を停止すること」を呼びかけた。

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国家安全保障会議(NSC)のトミー・ビーター報道官は、ダルアー市での反体制抗議行動に対するアサド政権の弾圧に関して「その背後にいる者は制裁を受けねばならない」と述べる。

AFP, March 21, 2011、Akhbār al-Sharq, March 21, 2011, March 22, 2011, March 23, 2011, March 24, 2011、al-Ḥayāt, March 22, 2011、Kull-nā Shurakā’, March 21, 2011、 Reuters, March 21, 2011などをもとに作成。

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