2011年3月20日のシリア情勢

反体制デモ

ダルアー市での反体制デモは継続・エスカレートし、デモ参加者と治安当局が衝突で、1人が死亡、複数が負傷した。複数の住民によると、デモ参加者は、自由、腐敗撲滅を要求、近隣の村々からも参加者が加わり、市内のバアス党ダルアー支部本部、裁判所、ラーミー・マフルーフ氏が経営する携帯電話会社2社の支局に火を放った。AFP(3月20日付)通信によると、デモ参加者は、市内に集中的に展開する治安部隊との衝突直後、昨日の午後に裁判所をはじめとする施設に火を放った。

AFPによると、数百人からなるデモ行進がダルアー市の旧市街から県知事邸に向かって行われ、治安部隊が催涙弾や空砲を通じて排除を試みたが阻止できなかった。また、デモ参加者は途中に、裁判所施設および施設前に駐車していた複数の車に放火し、その後、携帯会社のシリアテルとMTNの建物2棟にも放火した。目撃者によると、デモ参加者は県知事邸に到着すると敷地前の木々に放火した。

ある人権擁護活動家がロイターに述べたところによると、「治安部隊は数万人のデモ参加者に向かって実弾を放った」。また「デモ参加者の最初の死者ラーイド・カッラード氏は実弾によって倒れ」、2人が頭を負傷し「危篤状態にある」という。カッラード氏は、金曜日にダルアーでデモが始まって以来、治安部隊によって殺された5人目の民間人となった。

ウマリー・モスクで負傷者に応急手当を施す映像(http://www.youtube.com/watch?v=mDhqvXy6zlM&feature=player_embedded

Akhbār al-Sharq, March 21, 2011

Akhbār al-Sharq, March 21, 2011

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『ハヤート』(8月21日付)によると、ダルアー市でのデモは、市内で反体制スローガンを落書きした少年の逮捕で市民の不満が鬱積するなかで、インターネットで政治的発言を行ったとの容疑で3週間前に女医アーイシャ・アバーズィード氏が逮捕された、また16日のダマスカス県の内務省前での抗議行動でダルアー市出身のディヤーナー・ジャワービラ女史が逮捕されたことで一気に火がついた。同時に、秘密警察は今月に入って、複数の学校や穀物粉の壁に、「人民は政権打倒を望む」という落書きをしたとの容疑で多数の市民を逮捕している。

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ダマスカス県旧市街のハリーカ地区で、シリア国旗を身体にまとい、自由を求めるシュプレヒコールを独り連呼した女性に治安要員に取り押さえられる。

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シリア人権監視団は3月21日の声明で「治安機関が3月20日日曜日晩、ダルアー県ダーイル町近くにある青年ラーミー・スライマーン・イクバール氏の自宅を家宅捜査し、ダルアーの状況に関してBBC Arabicの電話取材に答えたとの理由で同氏を逮捕した」と述べ、「彼の消息もいまだ不明である」ことを明らかにした。

アサド政権の対応

当局は壁に反体制スローガンを落書きして逮捕されていたダルアー出身の少年15人を釈放すると発表、また18日のデモでの犠牲者の葬儀に政府代表の派遣し、事態の沈静化を試みた。

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一方、複数の高官がダルアー県の複数の著名人と次々と会談した。これらの著名人はさまざまな要求を提示しており、そのなかには、政治犯の釈放、ダルアーにおける秘密警察本部の解体、県知事の罷免、デモ参加者殺人の責任者に対する公開裁判の実施、秘密警察への財産売買の許可取得規定の廃止などが含まれている。

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アスマー・アサド大統領夫人は、NPO諸団体から融資を受けた女性約50人と面談。

Kull-nā Shurakā’, March 21

Kull-nā Shurakā’, March 21

AFP, March 20, 2011、Akhbār al-Sharq, March 21, 2011、al-Ḥayāt, March 21, 2011, March 23, 2011、Kull-nā Shurakā’, March 21, 2011、Reuters, March 20, 2011、al-Waṭan, March 21, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

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