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国内の暴力
SANA(4月13日付)などシリア公式筋は、12日にタルトゥース県バーニヤース市で発生した軍・治安部隊と「武装集団」の衝突で多数が死傷したと報じた。
同報道によると、死者のなかには治安部隊兵士、民間人のほかに「犯罪集団」メンバー3人が含まれており、負傷者16人のうち8人が「犯罪集団」メンバー、6人が治安要員だった。
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複数の人権活動家によると、約5,000人の女性がバーニヤース市・タルトゥース市間の街道で座り込みを行い、12日にバイダー町で逮捕された住民の釈放を要求した。
これらの活動家によると、治安部隊が12日に同村に突入し、家々を捜索し、約350人の男性を逮捕した。
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複数の消息筋によると、アレッポ県アレッポ市で初めて反体制デモが発生した。
シリア・クルド人権委員会のラディーフ・ムスタファー会長は、「学生のデモがアレッポ大学文学部で発生し、約500人の学生がダルアー、バーニヤースとの連帯と、自由を求めた」と述べた。
しかし「治安部隊がデモ参加者を排除…、学生ともみ合いになり、4人を逮捕した」と付言した。
一方、SANA(4月13日付)は、アレッポ大学遺跡学部で学生約20人が学務に関する学長との懇談会で反体制的なシュプレヒコールを連呼、他の大部分の学生は国民統合と陰謀拒否を訴えて対峙した、と報じた。
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ダマスカス大学法学部前でも学生約100人が反体制デモを行った。
これに関して、SANA(4月13日付)は、ダマスカス大学シャリーア学部で学生約30人が「自由」を求めてデモを行ったと報じた。
アサド政権の動き
SANA(4月13日付)などシリア公式筋は、「シリア当局が負傷者の病院への搬送と救急治療を禁じた」との一部メディアの報道を否定し「根拠がない」としたうえで、そのようなことを行っているのが「武装集団」だと非難した。
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「アフバール・シャルク」(4月13日付)は、4月10日にドゥーマー市やダルアー市で逮捕された15歳以下の子供が当局の拷問に遭っている、と報じた。
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「アフバール・シャルク」(4月13日付)は、シリア当局がドゥーマー市で最近逮捕した市民の約190人を10日に釈放、またアサド大統領が弾圧の犠牲者の遺族と面談した、と報じた。
反体制勢力の動き
CDF、ラースィド、DAD、シリア・アラブ人権機構、シリア人権国民機構、Maf、シリア人権擁護連盟、シリア政治犯擁護センターの人権団体8団体が共同声明を出し、アサド政権によるデモ弾圧を批判した。
レバノンの動き
ムスタクバル潮流のジャマール・ジャッラーフ国民議会議員および同潮流はシリア・アラブ・テレビでの「テロ細胞」メンバー3人の自供を事実無根と否定した。
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『サフィール』(4月14日付)は、レバノンのベカーア県の軍事情報局がヒムス県に密輸されようとしていたライフル銃10丁を押収し、密輸業者1人を逮捕したと発表したと報じた。
同報道によると、シリアのヒムス県側でも密輸業者2人が逮捕されたという。
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これに関連して、『アフバール』(4月14日付)は、レバノン治安当局がリフアト・アサド前副大統領に近い士官らシリア人複数を逮捕した、と報じた。
同報道によると、逮捕されたシリア人はレバノン領内でアサド政権打倒運動を行っていた、という。
諸外国の動き
『ハヤート』(4月14日付)は、米国高官の話として、バラク・オバマ政権がシリアの危機の「政治的解決」を望んでおり、ロバート・フォード米大使がシリアの高官に、その旨伝えるとともに、「すべての当事者による暴力行為」に対する非難の意思を連日伝えていると報じた。
AFP, April 13, 2011、al-Akhbar, April 14, 2011、Akhbar al-Sharq, April 13, 2011, April 14, 2011、al-Hayat, April 14, 2011、Kull-na Shurakaʼ, April 14, 2011、Reuters, April 13, 2011、SANA, April 13, 2011、al-Safir, April 14, 2011などをもとに作成。
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