アサド大統領「西側が提起する「休戦」をシリアで訳すと「シリア軍が進軍する」という意味になる」(2018年3月4日)

アサド大統領は、イランのホセイン・ジャーベリー・アンサーリー外務副大臣(アラブ・アフリカ担当)との会談後、イラン、レバノン、シリアの記者団の質問に答えた。

質疑応答全文は、SANA(https://www.sana.sy/?p=720818)に全文掲載され、映像は大統領府がYoutube(https://youtu.be/ilqa-BirVd8)を通じて公開した。

記者団の質問に対するアサド大統領の主な発言は以下の通り:

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「国連の決議で用いられている(停戦の)概念はともかく、シリア軍は、攻撃を行って敵対行為を停止させようとはしていない。テロリストの攻撃から国民を守り、安定を回復しようとしている…。決議(国連安保理決議第2401号)はそもそも…、シリア軍がグータ地方一帯で動員を強化し始めた際、シリア軍の攻撃からテロリストを守るために作られようとしていた…。(しかし)米国を筆頭とする西側諸国が期待していた通りのかたちにはならなかった…。現行のかたち(採択された決議)は、比較的良いもので、民間人を保護すると同時に、「テロとの戦い」を実現できるようになっている。一方、テロリストは首都ダマスカスを引き続き砲撃する命令を与えられた…。その証拠が、数日前に英国によって提示された新たな決議案と前の決議(第2401号)の違いだ…。(西側諸国は)前の決議で何の結果を達成できなかった。そこで、彼らは別の決議を検討し…、テロリストによる無垢の民間人への砲撃を続けられるようにしようとしている。我々はここから何を理解すべきか。それは、我々は「テロとの戦い」を継続するということだけだ。グータ地方で始めていただけでない。すべての場所、すなわち、アレッポ、ヒムス、ダイル・ザウルで「テロとの戦い」を始めていた…。グータでの作戦は「テロとの戦い」の一環だ。国連で決議が審議されるタイミングは、武装集団側の弱体化に伴うことがほとんどだ」。

「西側諸国がさまざまなかたちで言及する人道状況というのは、時に極めて浅はかな嘘に過ぎない…。だれも西側の首脳の言葉など信じていない…。(米主導の)有志連合がダイル・ザウル県からラッカ県、そしてハサカ県にいたる地域で毎日何をしているか? 連日の虐殺だ。2月だけで民間人に対する虐殺が少なくとも4件も行われた。人権についての言説には一つの意味しかない。それは西側の政治学事典に掲載されている諸概念の一つに過ぎず、その辞書は嘘の事典だ…。「人道的」という西側の概念がシリアで翻訳されるとするなら、一つのことしか意味しない。それは、「シリア軍が進軍する」という意味だ」。

「東グータ地方の大多数の人々は、テロリストのくびきから脱して、国家の庇護のもとに入りたいと考えている。テロリストの支配地域から国家の支配地域に移動する余地があらゆる人に与えられねばならない。また、停戦と戦闘行為の間には矛盾はない。シリア軍によるこの2日間の進軍は停戦下で行われた」。

「化学兵器をめぐる問題は、西側諸国のウソ事典に掲載される1概念となっている。(西側諸国が化学兵器使用疑惑を向けるのは)今回が初めてではない…こうした言葉(嫌疑)を真剣に捉えると、それは、昨年にシャイーラート航空基地に対する(米国の)ミサイル攻撃が行われた時のように、シリア軍を攻撃するための口実として利用されるのが常だ」。

「西側諸国の有志連合について次のように言うことができる。この有志連合はダーイシュ(イスラーム国)の航空部隊だ、と…。彼ら(欧米諸国)は(自らが牛耳る)国際機関において…自分達への批判を阻止することができる。彼らは首都ダマスカス、アレッポ県などの地域での民間人に対する攻撃への批判を阻止してきた…。彼ら自身への批判が起きることなどあり得ない。これこそが有志連合の本質的な役割だと考えている。そして(西側諸国が)行ってきたこのゲームは今や白日のもとに曝されている…。(シリアでの)戦争当初につけられていた仮面は今はもうない…。西側は今やダーイシュを支援し、ヌスラ戦線(シャーム解放機構)、ダーイシュ、そのほかの過激派を守っているのだ」。

「トルコの攻撃、あるいは侵略の試みは敵対行為で、それ以外に言いようはない…。だが、それはトルコのシリアへの敵対行為以上の意味があり、危機当初から(レジェップ・タイイップ・)エルドアン(大統領)がめざしてきたものとつながっている。それは、シリア軍、シリアという国家、そしてシリア国民を攻撃するテロリストの発進の拠点となるような干渉を作ろうとするものだ…。干渉のためにクルドであれ、それ以外のものであれさまざまなタイトルがつけられた…。エルドアンが孤立地帯を提案した当初は、クルドの問題には言及していなかった。この二つの問題(緩衝地帯とクルドの問題)の間には何のつながりもなかった」。

「(アレッポ県アフリーン郡への)「人民部隊」の進駐は当然のことだ。外敵がいれば、さまざまな帰属の社会階層が、シリア・アラブ軍のもとで一つになるのは当然だ…。現状において…、軍と人民部隊は別々に存在することが余儀なくされているが、両者は連携している」。

SANA, March 4, 2018

AFP, March 4, 2018、ANHA, March 4, 2018、AP, March 4, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 4, 2018、al-Hayat, March 5, 2018、Reuters, March 4, 2018、SANA, March 4, 2018、UPI, March 4, 2018などをもとに作成。

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