イドリブ県で衝突が発生、米ホワイトハウスはシリア情勢に関して、「蛮行と暴力の即時停止」を呼びかける(2011年6月11日)

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反体制勢力の動き

AFP(6月11日付)は、イドリブ県の部隊を離反しトルコへと脱走した兵士4人が「我々は武装集団がいると言われていたが…、彼らが普通の民間人だということが分かった。彼ら(士官)は彼らに発砲を命じた…。家々に突入し、老人であれ、子供であれ、そこにいた全員に発砲した…。夫や子供の前で女性を強姦する命令さえ出ていた」と証言していると報じた。

シリア政府の動き

シリアのワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、国連の潘基文事務総長に充てた書簡で、安保理で審議中のシリア非難決議案が「過激派やテロリスト」の活動を勢いづかせるだけだと警告し、「シリアの内政問題へのあからさまな干渉で、シリアの安定を揺るがし、現時点および将来における決定や国民の運命を支配しようとするもの」と反論した。

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SANA(6月11日付)によると、ダルアー県で武装集団に殺害された治安部隊隊員2人の葬儀がラタキア県で行われた。

国内の暴力

イドリブ県では、SANA(6月11日付)によると、武装集団がマアッラト・ヌウマーン市内の裁判所、燃料貯蔵施設などを襲撃、これに治安部隊が応戦し、複数名を逮捕した。

この戦闘で、警官1人が死亡、1人が負傷した。

諸外国の動き

『ハヤート』(6月12日付)は、金曜日(10日)に開始されたイドリブ県ジスル・シュグール市などに対する軍の掃討作戦を受け、シリア避難民がトルコに脱出を、その数は4,600人を越えたと伝えた。

トルコ当局はシリア国境近くのキャンプに彼らを収容する一方、数千人と新たに面談し、避難民としての受け入れを進めているという。

キャンプはトルコ軍警察によって監視され、負傷者はハタイ県の病院に搬送されているという。

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トルコ外務省のハーリド・シャフィーク次官補は、トルコがさらなる避難民を受け入れる用意があり、彼らのほとんどがヤイラダギにあるキャンプに収容される、と述べた。

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米ホワイトハウスはシリア情勢に関して、「蛮行と暴力の即時停止」を呼びかけるとともに、アサド大統領が「国民を「危険な道」に導いている」と非難した。

そのうえで、シリア国民に対して、「国民統合を維持し、宗派対立を回避するべく行動する」よう呼びかけた。

AFP, June 11, 2011、Akhbar al-Sharq, June 11, 2011、al-Hayat, June 12, 2011、Kull-na Shuraka’, June 11, 2011、Naharnet, June 11, 2011、Reuters, June 11, 2011、SANA, June 11, 2011などをもとに作成。

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