2014年3月12日のシリア情勢:諸外国の動き

アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は国連安保理会合でジュネーブ2会議の結果など、シリア情勢の進捗報告を行った。

ブラーヒーミー共同特別代表は、シリアで大統領選挙実施に向けた動きが進むなか、ジュネーブ2会議第3ラウンド再開に悲観的な見解を示した。

西側外交筋によると、ブラーヒーミー共同特別代表は、ジュネーブ2会議の第3ラウンドが「テロとの戦い」と移行期統治機関設置の問題の並行審議と、大統領選挙をめぐる問題への対処、という2点において原則合意しなければ不可能だとの見解を示した。

同消息筋によると、ブラーヒーミー共同特別代表はまた、アサド大統領が再選されれば、現政権が移行期統治機関設置の問題を交渉することに無関心だとの事実を反体制勢力に突きつけることになる、と警鐘を鳴らしたうえで、第3ラウンド開催の可能性を悲観した、という。

そのうえで、ブラーヒーミー共同特別代表は、「婉曲的に」辞意を表明したが、潘事務総長や安保理メンバーから「彼の代わりを見つけることは容易なことでない」と慰留を求められたという。

ブラーヒーミー共同代表は、アサド政権に圧力をかけ、移行期統治機関設置問題とテロとの戦いの並行審議を受諾させるようロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣に求めたことを明らかにしたが、シリア政府はこれを拒否したという。

一方、フランスは会合で、ブラーヒーミー共同特別代表の活動を全面支持し、ジュネーブ2会議の再開を求める国連安保理決議の採択を提案した、という。

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国連の潘基文事務総長は、「地域諸国、国際社会、とりわけ米仏が…ジュネーブ2会議再開に向けて目に見える措置を講じる」よう呼びかける一方、「政治的解決のみがシリア人が身を置く悪夢を終わらせることができる」と強調、アサド政権と反体制勢力にそのための責任を果たすよう求めた。

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欧州司法裁判所は、アサド大統領の姉で故アースィフ・シャウカト副参謀長の妻のブシュラー・アサド氏(ドバイ在住)をEUが定める対シリア制裁対象者リストに含めるとの判断を下した。

同裁判所はリストへの追加の理由に関して「ブシュラー氏がシリア大統領の姉だという事実だけで充分だ…。(EUは彼女がシリア高官とつながりがあるとみなすことは可能だ」と発表した。

これに関して『ハヤート』(3月13日付)は、EUはブシュラー氏が大統領の親族だという理由だけで制裁対象とした、と批判的に報じた。

AFP, March 12, 2014、AP, March 12, 2014、ARA News, March 12, 2014、Champress, March 12, 2014、al-Hayat, March 13, 2014、Iraqinews.com, March 12, 2014、Kull-na Shuraka’, March 12, 2014、Naharnet, March 12, 2014、NNA, March 12, 2014、Reuters, March 12, 2014、SANA, March 12, 2014、UPI, March 12, 2014などをもとに作成。

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2014年3月12日のシリア情勢:イラクの動き

内務省は声明を出し、アンバール県ファッルージャ市で、軍がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)戦闘員20人を殺害したと発表した。

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バービル県では、県議会中南部治安委員会委員長が、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)戦闘員2人がジュルフ・サフル地方で軍によって逮捕されたと発表した。

AFP, March 12, 2014、AP, March 12, 2014、ARA News, March 12, 2014、Champress, March 12, 2014、al-Hayat, March 13, 2014、Iraqinews.com, March 12, 2014、Kull-na Shuraka’, March 12, 2014、Naharnet, March 12, 2014、NNA, March 12, 2014、Reuters, March 12, 2014、SANA, March 12, 2014、UPI, March 12, 2014などをもとに作成。

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2014年3月12日のシリア情勢:国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ヤブルード市、タルフィーター村郊外、リーマー農場、アドラー市周辺、ワーディー・バラダーを軍が砲撃する一方、リーマー農場で軍、国防隊とジハード主義武装集団が交戦し、武装集団戦闘員7人と軍・国防隊兵士多数が死亡した。

一方、SANA(3月12日付)によると、ヤブルード市、リーマー農場、ダイル・アサーフィール市郊外、アーリヤ農場、ダーライヤー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区が軍の砲撃を受ける一方、クスール地区・ティジャーラ地区間の地区で爆発音が聞こえた。

またヤルムーク区では、PFLP-GCの戦闘員がシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(3月12日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、ラッカ報道局(3月12日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のティシュリーン・ダム地域のアミール、アブー・ムハンマド・ミスリー氏がラッカ革命家旅団によって殺害された。

なお、同ダム近郊には、ダーイシュが設置したティシュリーン・ダム刑務所があり、イタリア人宣教師パウロ・ダルリオ氏(ダイル・マール・ムーサー修道院修道長)が拘置されていると考えられている。

『ハヤート』(3月13日付)によると、ダーイシュとラッカ革命家師団は停戦に向けた交渉を行っているが、ダーイシュが民間人の拘置者・捕虜の釈放を拒否しているという。

一方、軍はラッカ市の国立病院一帯を砲撃した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市執念を砲撃、労働者住宅地区でジハード主義武装集団と交戦した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハーン・シャイフーン市西部のサラーム検問所周辺で、軍が、ウンマ旅団などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(3月12日付)によると、アブー・ズフール町近郊で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、ジュンド・シャームの戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、軍がハマー市北部を砲撃する一方、ムーリク市近郊の街道にある軍の拠点を反体制武装集団が砲撃した。

またサラミーヤ市郊外のマジュバル検問所で軍、国防隊と反体制武装集団が交戦し、国防隊兵士5人が死亡した。

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ヒムス県では、SANA(3月12日付)によると、カルアト・ヒスン市、シュワイヒド村、ヒムス市カラービース地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(3月12日付)によると、アレッポ市旧市街、ジャンドゥール交差点、マルジャ地区、ブライジュ地区、ハナーヌー地区、サカン・シャバービー地区、ブスターン・カスル地区、ジュダイダ地区、アレッポ中央刑務所周辺、ヒーラーン村、ハイヤーン町、ハンダラート・キャンプ、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区、ダーラト・イッザ市、スィハール村、カフルアンマー村、マーリア市、タッル・リフアト市、ラスム・アッブード村、クワイリス村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(3月12日付)によると、ヌアイマ村郊外、ウンム・マヤーズィン町郊外、ラジャート高原一帯で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、ARA News(3月12日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がマルカダ町東部の分岐路にあるシャームの民のヌスラ戦線の検問所に対して、爆弾を積んだ車で自爆攻撃を行った。

一方、ダーイシュはシャッダーディー市郊外で、拉致していたヌスラ戦線戦闘員1人を釈放した。釈放は、2月半ばに両者が交わした捕虜交換の合意によるものだという。

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ラッカ県では、ARA News(3月12日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がタッル・アブヤド市で2ヶ月前に拉致したクルド人青年の遺体を返還した。

AFP, March 12, 2014、AP, March 12, 2014、ARA News, March 12, 2014、Champress, March 12, 2014、al-Hayat, March 13, 2014、Iraqinews.com, March 12, 2014、Kull-na Shuraka’, March 12, 2014、Naharnet, March 12, 2014、NNA, March 12, 2014、Raqqa Media Office, March 12, 2014、Reuters, March 12, 2014、SANA, March 12, 2014、UPI, March 12, 2014などをもとに作成。

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2014年3月12日のシリア情勢:シリア政府の動き

アサド大統領は、ダマスカス郊外県アドラー市にあるドゥワイル避難住宅センターを訪問し、避難生活を送るアドラー市住民と面談した。

 

SANA, March 12, 2014
SANA, March 12, 2014
SANA, March 12, 2014
SANA, March 12, 2014

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ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣はシリアを訪問中のUNICEFのアントニー・レーク事務局長と会談し、シリアの子供たちへの教育、衛生、食糧などの支援に関して協議した。

SANA(3月12日付)によると、ムアッリム外務在外居住者大臣は会談で、子供たちの苦難の原因であるテロ集団による学校、病院への攻撃、児童徴兵・軍事教練に対処する必要を強調した。

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『アフバール』(3月12日付)は、シリア政府が駐サウジアラビア、クウェート、米国のシリア大使館を閉鎖したと伝えた。

同報道は、シリア外交筋の話として、シリア大使館閉鎖は「政治的な理由によるものではなく、これらの国の在外公館が受けてきた嫌がらせに対する」動きだと付言した。

AFP, March 12, 2014、al-Akhbar, March 12, 2014、AP, March 12, 2014、ARA News, March 12, 2014、Champress, March 12, 2014、al-Hayat, March 13, 2014、Iraqinews.com, March 12, 2014、Kull-na Shuraka’, March 12, 2014、Naharnet, March 12, 2014、NNA, March 12, 2014、Reuters, March 12, 2014、SANA, March 12, 2014、UPI, March 12, 2014などをもとに作成。

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2014年3月12日のシリア情勢:反体制勢力の動き

クッルナー・シュラカー(3月12日付)は、英国のGBC放送局が4年目を迎えるシリアの紛争での軍の人的被害についてのレポートを出したと伝えた。

このレポートによると、シリア軍の人的被害は以下の通り:

共和国護衛隊将兵:約4万人(そのほとんどがアラウィー派)

軍将兵:約6万人

国防隊・人民諸委員会戦闘員:約1万人

なおシリア人権監視団などは2011年3月以降の死者総数は約14万人と発表しているが、このレポートによると軍、国防隊、シャッビーハの死者だけで約33万人に達しているという。

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ARA News, March 12, 2014
ARA News, March 12, 2014

ハサカ県カーミシュリー市で、11日に発生したハダーヤー・ホテル(西クルディスタン移行期民政局評議会福祉関連事務所)に対するイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の自爆攻撃の犠牲者の葬儀が行われ、数千人の市民が参列した。

同市では2004年の「カーミシュリーの春」の犠牲者の追悼も行われた。

またアームーダー市、ダイリーク市近郊のアール・クース村でも、「カーミシュリーの春」追悼集会が開かれ、民主統一党支持者らが参加した。

ARA News(3月12日付)が伝えた。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、カーミシュリー市のハダーヤー・ホテル(西クルディスタン移行期民政局評議会福祉関連事務所)に対するイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の自爆攻撃を非難した。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会は声明を出し、カーミシュリー市のハダーヤー・ホテル(西クルディスタン移行期民政局評議会福祉関連事務所)に対するイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の自爆攻撃を非難した。

AFP, March 12, 2014、AP, March 12, 2014、ARA News, March 12, 2014、Champress, March 12, 2014、al-Hayat, March 13, 2014、Iraqinews.com, March 12, 2014、Kull-na Shuraka’, March 12, 2014、Naharnet, March 12, 2014、NNA, March 12, 2014、Reuters, March 12, 2014、SANA, March 12, 2014、UPI, March 12, 2014などをもとに作成。

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