2014年3月19日のシリア情勢:諸外国の動き

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は閣議で、「イスラエル軍が昨晩(18日)、シリア領内の複数の標的を攻撃した。シリア軍を標的としていたが、我が軍への攻撃を許すことはなく、敵対者たちとも協力していない…。我々は我々に敵対する者を打ち負かす…。陸海空で武器移転を阻止し続ける」と述べた。

またモシェ・ヤアロン国防大臣は声明を出し、「我々はシリア国内で起きていることの責任がアサド政権にあると考えている。アサド政権がイスラエル国家に危害を与えようとテロ組織と協力を続けるのなら、彼らは多大な代価を払うことにあろう」と述べた。

そのうえで「我々の主権へのいかなる侵害も、我々の兵、市民への攻撃も許さない。我々はいつでもどこでも…力をもって断固として我々への敵対行為に対応する」と付言した。

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ロシア外務省は声明を出し、ダニエル・ルビンスタイン米シリア担当特使によるシリア大使館閉鎖と外交官国外退去命令に関して、「こうした一方的な措置は、米国自身がシリアの政治的関係正常化プロセスの後援者としての役割を放棄するものだ。米国は、アル=カーイダなどからなる…シリアの過激な反体制勢力にもてあそばれる玩具に成り下がった」と非難した。

インテルファクス通信(3月19日付)が伝えた。

AFP, March 19, 2014、AP, March 19, 2014、ARA News, March 19, 2014、Champress, March 19, 2014、al-Hayat, March 20, 2014、Interfax, March 19, 2014、Iraqinews.com, March 19, 2014、Kull-na Shuraka’, March 19, 2014、Naharnet, March 19, 2014、NNA, March 19, 2014、Reuters, March 19, 2014、SANA, March 19, 2014、UPI, March 19, 2014などをもとに作成。

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2014年3月19日のシリア情勢:イラクの動き

イラキー・ニュース(3月19日付)によると、アンバール県ファッルージャ市の入口と主要な街路をイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が掌握した。

これに対して、治安部隊は、ファッルージャ市への突入に向けて同市入口付近に進軍、ダーイシュの車輌11台を破壊した。

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イラキー・ニュース(3月19日付)によると、バービル県ラティーフィーヤ地方、ユースフィーヤ地方で治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦し、13人を逮捕した。

AFP, March 19, 2014、AP, March 19, 2014、ARA News, March 19, 2014、Champress, March 19, 2014、al-Hayat, March 20, 2014、Iraqinews.com, March 19, 2014、Kull-na Shuraka’, March 19, 2014、Naharnet, March 19, 2014、NNA, March 19, 2014、Reuters, March 19, 2014、SANA, March 19, 2014、UPI, March 19, 2014などをもとに作成。

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2014年3月19日のシリア情勢:レバノンの動き

OTV(3月19日付)などによると、軍が早朝、ベカーア県バアルベック郡アルサール地方に増援部隊を派遣、デモ参加者によって封鎖されていたラブワ村・アルサール村間の街道を開放した。

またNNA(3月19日付)によると、アルサール村郊外のワーディー・シャアブ検問所で、軍がシャームの民のヌスラ戦線メンバーを含むシリア人15人を逮捕した。

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NNA(3月19日付)によると、ベカーア県ヘルメル郡のヘルメル国立病院周辺にロケット弾2発が着弾、またバアルベック郡アルサール村郊外の無人地帯をシリア軍戦闘機が空爆した。

北部県アッカール郡シャドラー地方、マシュター・ハンムード地方でもシリア軍が侵犯したという。

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NNA(3月19日付)は、ベイルート県のマディーナト・リヤーディーヤ地区で、アルサール村との連帯を求めるデモ参加中に撃たれて死亡した若者の葬儀を行われ、会葬者が道路を一時封鎖し、抗議行動を行った。

この若者は、ジュダイダ街道でのデモに参加中に射殺されたという。

またベイルート県カスカース地区でも、抗議デモが行われ、道路が一時封鎖されたという。

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レバノンの声ラジオ(3月19日付)などによると、北部県トリポリ市ジャバル・ムフスィン地区、バーブ・タッバーナ地区で武装集団どうしが再び交戦した。

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NNA(3月19日付)によると、総合情報総局は、レバノン領内に不法入国し逮捕されたシリア人5人が、爆弾を仕掛けた車をシリアからレバノンに移送しようとしていたと自供、ヤブルード市(ダマスカス郊外県)から撤退したシャームの民のヌスラ戦線との関係を認めたと発表した。

AFP, March 19, 2014、AP, March 19, 2014、ARA News, March 19, 2014、Champress, March 19, 2014、al-Hayat, March 20, 2014、Iraqinews.com, March 19, 2014、Kull-na Shuraka’, March 19, 2014、Naharnet, March 19, 2014、NNA, March 19, 2014、OTV, March 19, 2014、Reuters, March 19, 2014、SANA, March 19, 2014、UPI, March 19, 2014、Voice of Lebanon, March 19, 2014などをもとに作成。

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2014年3月19日のシリア情勢:国内の暴力

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ヤブルード市近郊のラアス・アイン市を軍が国防隊、ヒズブッラー戦闘員の支援のもとに制圧した。

同市では、シャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)などと軍の戦闘が18日から激化していた。

またクドスィーヤー市周辺、ダイル・ムクリン町・イフラ村間の街道、ザバダーニー市東部山岳地帯を軍が砲撃した。

一方、SANA(3月19日付)によると、軍がラアス・アイン市を制圧、同地の治安を回復した。

またダーライヤー市などで、軍は反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、AFP(3月19日付)によると、軍がカルアト・ヒスン市に突入し、村内の二つの地区を制圧した。

軍はまた同村周辺を砲撃した。

一方、SANA(3月19日付)によると、シュワイヒド村を軍が制圧、同地の治安を回復した。

またザーラ村、ラスタン市、ザアフラーナ村、タルビーサ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市バーブ街道地区、ジャズマーティー地区、シャイフ・マクスード地区、スッカリー地区、ハンダラート・キャンプ、アレッポ中央刑務所周辺などを軍が「樽爆弾」などで空爆した。

またARA News(3月19日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が民主統一党人民防衛隊との3日にわたる戦闘の末、アイン・アラブ(コバネ)市郊外のスィリーン村にある穀物サイロを制圧した。

人民保護部部隊司令官の一人によると、この戦闘で隊員3人が戦死、11人が負傷する一方、ダーイシュ側にも人的被害が出たという。

一方、SANA(3月19日付)によると、アレッポ市サーフール地区、シャッアール地区、ハナーヌー地区、ブスターン・カスル地区、バニー・ザイド地区、ジュダイダ地区、アレッポ中央刑務所周辺、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区、ハンダラート・キャンプ、シャイフ・ズィヤート村、フィーファーン村、カシーシュ村、アナダーン市、ハーン・アサル村、アウラム・クブラー町、アッザーン村、マンスーラ村、カフルハムラ村、カフルハラブ村、ダフラトアブドゥラッブ村、ハーン・トゥーマーン村、クワイリス村、ラスム・アッブード村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、民主統一党人民防衛隊がラアス・アイン市郊外でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦の末、ダーイシュ戦闘員20人を殺害、ガザール・マフウ村、ファリーサ・シャッラービーイーン村、ファリーサ・スーフィヤーン村、ファリーサ・ダシュウ村、タッル・マハー村、ブーガー村を制圧した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、スンナの獅子の盾旅団などジハード主義武装集団からなる「自由シリア軍」がダルアー市中央刑務所(ガラズ刑務所)周辺での軍との2ヶ月におよぶ戦闘の末、同刑務所を制圧するとともに、刑務所に隣接する穀物サイロ地区で戦闘を続けた。

Kull-na Shuraka', March 19, 2014
Kull-na Shuraka’, March 19, 2014

『ハヤート』(3月20日付)によると、ガラズ刑務所制圧により、「自由シリア軍」は収監者数十人を解放した。

同刑務所には約300人の収監者がおり、そのほとんどが2011年3月以降の反体制デモ参加者だという。

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Kull-na Shuraka', March 19, 2014
Kull-na Shuraka’, March 19, 2014

ラタキア県では、クッルナー・シュラカー(3月19日付)によると、ラタキア市の政治治安部近くなどに「自由シリア軍」が発射した迫撃砲弾が着弾し、建物などが被害を受けた。

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イドリブ県では、SANA(3月19日付)によると、サラーキブ市、ファイルーン村、アリーハー市、ムナイズィラ村、カフルナジュド村、ラブア・ジューズ村、タッル・ハッターブ村、クマイナース村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(3月19日付)によると、ブー・ウマル村、ダイル・ザウル市ハミーディーヤ地区、シャイフ・ヤースィーン地区、ジュバイラ地区、工業地区、ハウィーカ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(3月19日付)によると、マーリキー地区のジャーヒズ公園近くに反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民9人が負傷した。

AFP, March 19, 2014、AP, March 19, 2014、ARA News, March 19, 2014、Champress, March 19, 2014、al-Hayat, March 20, 2014、Iraqinews.com, March 19, 2014、Kull-na Shuraka’, March 19, 2014、Naharnet, March 19, 2014、NNA, March 19, 2014、Reuters, March 19, 2014、SANA, March 19, 2014、UPI, March 19, 2014などをもとに作成。

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2014年3月19日のシリア情勢:シリア政府の動き

軍武装部隊総司令部は声明を出し、18日のイスラエル軍によるゴラン高原のシリア軍陣地複3カ所への攻撃によって、1人が死亡、7人が負傷したと発表、「兵力引き離し協定への新たな違反」と批判した。

声明によると、イスラエル軍は18日早朝、クナイトラ県ゴラン高原のサヒーター村に近い1023高地を迫撃砲やロケット弾で攻撃、また戦闘機がクーム・ワイスィーヤ、ナブア・ファウワール、サアサアの陣地を空爆し、兵士1人が死亡、7人が負傷したという。

また声明は、この攻撃が「ヨルダン方面からテロリスト多数がダルアー市の中央刑務所に攻撃を仕掛けたのと同時に行われた」と指摘し、「軍がヤブルードなどで大いなる成果を上げ、テロ組織や、シオニスト政体を筆頭とするその支援者に電光石火の一撃を加え…、一連の勝利を治めていることから耳目を反らそうとするもの」と主張した。

そのうえで「テロ組織との戦いを続け、殲滅する意志」を表明、「こうした敵対的行為を繰り返すことで、事態の悪化と緊張を促すような無駄な試み」を行わないよう警告した。

しかし、声明では「イスラエルの攻撃に対して報復権を留保する」といった姿勢を明示することはなかった。

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外務在外居住者省は、国連事務総長と安保理議長に宛てて書簡を送り、そのなかで18日のイスラエル軍によるゴラン高原のシリア軍陣地複3カ所への攻撃を「兵力引き離し協定、国連憲章、国際法への新たな侵害」としたうえで、イスラエルの攻撃が「ウソの口実」に基づいていると非難した。

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外務在外居住者省は声明を出し、ダニエル・ルビンスタイン米シリア担当特使によるシリア大使館閉鎖と外交官国外退去命令に関して、「我々との外交領事関係にかかる合意へのあからさまな違反だ」と非難した。

声明によると、シリア政府は3月初め、同月末に赴任予定のシリア人外交官への入国ビザ発給を米当局に要請していたとしたうえで、近くワシントンのシリア大使館の閉鎖に踏み切るだろうと述べ、ワシントンに駐在する外交官にそのための諸手続をとるよう指示したことを明らかにした。

SANA, March 19, 2014
SANA, March 19, 2014

声明は「シリアに対する米国の政策の真の目的は…シリアでのテロへのさらなる支援と流血にある」と付言した。

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SANA(3月19日付)によると、ヒムス市ハムラー地区で、軍による「テロとの戦い」を支持するデモが行われ、地元住民ら数千人が参加した。

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2014年3月19日のシリア情勢:反体制勢力の動き

イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)はツイッターを通じて声明を出し、クウェート人、リビア人、ベルギー人の3人の司令官が戦死したと発表した。

死亡したのは、アブー・ヒッサ・クワイティー、ファドル・アウカリー・リービー、アブー・ムサンナー・バルジーキーの3人。

死亡場所は発表されなかった。

またダーイシュは18日にもツイッターを通じて声明を出し、指導者の一人でエジプト人の「ハーズィム・ミスリー氏が殉教した」と発表した。

ミスリー氏が誰に殺害されたかについても触れられていない。

AFP, March 19, 2014、AP, March 19, 2014、ARA News, March 19, 2014、Champress, March 19, 2014、al-Hayat, March 20, 2014、Iraqinews.com, March 19, 2014、Kull-na Shuraka’, March 19, 2014、Naharnet, March 19, 2014、NNA, March 19, 2014、Reuters, March 19, 2014、SANA, March 19, 2014、UPI, March 19, 2014などをもとに作成。

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