2014年3月24日のシリア情勢:諸外国の動き(追記)

ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、「シリア:アレッポを脅かす不法な空爆」と題した報道発表(http://www.hrw.org/ja/node/124123)を出し、アレッポ県各地でのシリア軍による「無差別攻撃」を一方的に非難した。

同発表は、「新たな衛星画像や動画、目撃証言により、シリア政府が2013年11月からアレッポの反政府勢力支配地域に行っている大規模空爆の無差別性が明らかになった」と指摘、こうした攻撃が「2014年2月22日の国連安全保障理事会決議(第2139号)を無視するかたちで継続されている」と非難した。

同発表は、シャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団がラタキア県カサブ町、カサブ国境通行所などへの侵攻を開始し、トルコ軍がシリア軍戦闘機を撃墜(23日)した直後に出されている。

なお同発表では、シャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)、イスラーム戦線など、アル=カーイダ系組織を含むジハード主義武装集団のアレッポ県などでの活動については触れられていない。

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2014年3月24日のシリア情勢:反体制勢力の動き(追記)

自由シリア軍司令官を名乗る人物は、AKI(3月24日付)にヒラール・アサド氏の死亡(23日)に関して、「カサブで殺されたわけでもなく、グラッド・ミサイルで殺害されたのでもなく、自宅前で射殺された」と主張した。

AKI, March 24, 2014をもとに作成。

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2014年3月24日のシリア情勢:諸外国の動き

ジョン・ケリー米国務長官はG7出席のために訪れたオランダのハーグで記者団に対して、クリミア情勢が、シリアでの化学兵器廃棄に向けたロシアとの協力関係に悪影響を及ぼすことを望んでいない、と述べた。

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国連の潘基文事務総長は、国連安保理決議第2139号(2月22日)の実施状況に関する第1回報告書を安保理に提出した。

報告書において潘事務総長は、シリア政府が「樽爆弾」や迫撃砲で民間人への攻撃を続け、17万5,000人を複数地域で包囲、人道支援の配給を大きく妨げている、と指摘した。

そのうえでシリア政府に対して、包囲と戦闘の停止と、人道支援物資の搬入を円滑に行うための安全確保や検問所整備を早急に行うよう求めた。

またシリアの反体制勢力に関しても、ヌッブル市、ザフラー町で約4万5,000人を包囲しているとするとともに、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とそれ以外の戦闘により人道支援到着が遅れていると指摘した。

そのうえで、ダーイシュとシャームの民のヌスラ戦線といった過激な集団が、原理主義思想を押しつけようとし、テロ活動を行っていると非難、外国人戦闘員・グループが戦闘に参加していることに懸念を表明した。

AFP, March 24, 2014、AP, March 24, 2014、ARA News, March 24, 2014、Champress, March 24, 2014、al-Hayat, March 25, 2014、Iraqinews.com, March 24, 2014、Kull-na Shuraka’, March 24, 2014、Naharnet, March 24, 2014、NNA, March 24, 2014、Reuters, March 24, 2014、SANA, March 24, 2014、UPI, March 24, 2014などをもとに作成。

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2014年3月24日のシリア情勢:イラクの動き

イラキー・ニュース(3月24日付)によると、バービル県ヒッラ市北部で、軍・警察合同部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のメンバー4人を逮捕した。

またサラーフッディーン県でも、ダーイシュのメンバー2人が逮捕された。

AFP, March 24, 2014、AP, March 24, 2014、ARA News, March 24, 2014、Champress, March 24, 2014、al-Hayat, March 25, 2014、Iraqinews.com, March 24, 2014、Kull-na Shuraka’, March 24, 2014、Naharnet, March 24, 2014、NNA, March 24, 2014、Reuters, March 24, 2014、SANA, March 24, 2014、UPI, March 24, 2014などをもとに作成。

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2014年3月24日のシリア情勢:レバノンの動き

ジャーン・カフワジー国軍司令官は『サフィール』(3月24日付)に「テロおよびテロリストとの戦いは始まっている。テロはレバノン全土を例外なく脅かしている。テロ集団、そして彼らに安住の地を与えようとする者を見過ごす訳にはいかない」としたうえで、民間人を標的としたテロ行為を阻止するための対シリア国境地域での警備活動を強化する意思を示した。

またカフワジー司令官は混乱が続くトリポリ市の情勢についても「民間人保護のために軍は躊躇しない」と述べた。

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北部県トリポリ市バーブ・タッバーナ地区、ジャバル・ムフスィン地区で、武装集団どうしの交戦が続き、LBCI(3月24日付)によると、24日まで12日間で、27人が死亡した。

AFP, March 24, 2014、AP, March 24, 2014、ARA News, March 24, 2014、Champress, March 24, 2014、al-Hayat, March 25, 2014、Iraqinews.com, March 24, 2014、Kull-na Shuraka’, March 24, 2014、LBCI, March 24, 2014、Naharnet, March 24, 2014、NNA, March 24, 2014、Reuters, March 24, 2014、al-Safir, March 24, 2014、SANA, March 24, 2014、UPI, March 24, 2014などをもとに作成。

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2014年3月24日のシリア情勢:国内の暴力

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が占拠したカサブ国境通行所周辺、サルマー町、ラビーア町一帯、さらにトルクメン山、ラタキア・アレッポ街道を軍が複数回にわたって空爆・砲撃した。

また、シャールマー山、サムラー村に通じる街道、カサブ町などで、軍、国防隊、そして「アレキサンドレッタ地方解放シリア抵抗運動」が、ヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

「アレキサンドレッタ地方」はハタイ県を指す。同地方はフランス委任統治時代にトルコが併合したが、シリアは領有権を主張している。

同監視団によると、ヌスラ戦線はカサブ町の大部分を制圧し、地中海岸に到達したが、市内での戦闘は続いているという。

この戦闘で反体制武装集団側は130人の戦闘員が死亡、またシリア側もヒラール・アサド氏らが戦死、またアルメニア教徒からなる住民のほとんどが市外に避難したという。

ウマル・ジャブラーウィーを名乗る活動家もAFP(3月24日付)に対して、カサブ国境通行所、およびカサブ町の90%」が反体制武装集団に制圧されたと述べた。

ジャブラーウィー氏はまた「軍は革命家が(地中)海に向かって進軍するのを阻止している」としたうえで、トルコ軍によるシリア軍戦闘機撃墜は、ヌスラ戦線などからなる反体制武装集団が「トルコによって支援されいることを意味する」と付言した。

しかしシリア治安筋はAFP(3月24日付)に、カサブ町での戦闘が「依然として続いており、情勢は決していない」とカサブ町喪失を否定した。

一方、SANA(3月24日付)によると、トルコから潜入しようとした「トルクメン大隊」を名乗る武装集団の戦闘員12人を軍が迎撃し、殲滅した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市を軍が「樽爆弾」で空爆する一方、ルハイバ市およびその周辺を軍が砲撃し、女性と子供を含む4人が死亡した。

またダーライヤー自由人大隊(サラーム殉教者旅団)は声明を出し、ダーライヤー市市上空で偵察活動を行っていた無人偵察機を撃墜したと発表した。

一方、SANA(3月24日付)によると、マシュラファ村、サルハ市、ダーライヤー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またジャブアディーン町で兵役を拒み逃走していた8人が出頭した。

このほか、ハラスター市に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾市、市民3人が死亡、子供3人を含む5人が負傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団、SANA(3月24日付)によると、マッザ区のフダー・モスク前の広場で爆弾が爆発した。死傷者はなかった。

一方、SANA(3月24日付)によると、ヤルムーク区に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾市、パレスチナ人4人が死亡、数十人が負傷した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、タバンニー地方でジハード主義武装集団がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦した。

またムッラート村で20歳の男性の遺体が発見され、遺体には「国軍と協力したことの代償だ」と書かれた紙が添えられていたという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市マサーキン・ハナーヌー地区、シャイフ・サイード地区、ファルドゥース地区、ハンダラート・キャンプ周辺、バーシュクー村、アッザーン村、アブティーン村を軍が「樽爆弾」などで空爆した。

またアレッポ市ブスターン・カスル地区に迫撃砲弾2発が着弾し、男性1人が死亡した。

さらにアレッポ市ハーリディーヤ地区に対して反体制武装集団が砲撃を加える一方、ジャンドゥール地区、タッラト・シャイフ・ユースフ地区を軍が砲撃、ナッカーリーン地区では軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が、ジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(3月24日付)によると、ワディーヒー村、アバディーン村、ハッダーディーン村、ターディフ市、アレッポ中央刑務所周辺、フライターン市、ハーン・アサル村、マアーッラト・アルティーク村、バービース村、バシュカーティーン村、アターリブ市、クワイリス村、ラスム・アッブード村、ダフラト・アブドゥラッブフ地区、アレッポ市裁判所周辺、マイサル地区、マルジャ地区、バニー・ザイド地区、ハーウース交差点、ハルワーニーヤ地区、ジャバル・バドルー地区、ジャンドゥール地区、ブアイディーン交差点、カースティールー地区、ライラムーン地区、シャイフ・サイード地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、タドムル市周辺で、軍、国防隊が、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦し、軍兵士16人が死亡した。

一方、SANA(3月24日付)によると、タルビーサ市、ガジャル村、ダール・カビーラ村・ハーリディーヤ村間、アブー・トゥラーハ村、ファーウシャーウィーシュ村、ウンム・リーシュ村、ウユーン・フサイン村、シャンダーヒーヤ村、ダルウィーシーヤ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またヒムス市旧市街に立て籠もっていた反体制武装集団戦闘員25人が当局に投降した。

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ダルアー県では、SANA(3月24日付)によると、ヒルバト・ガザーラ町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県、SANA(3月24日付)によると、シュグル村、カフルズィーター市、ラーミー村、アルバイーン山周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(3月24日付)によると、県南部で「砂漠の鷹」を名乗る武装集団を軍が殲滅した。

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ラッカ県では、ARA News(3月24日付)によると、タッル・アブヤド市の病院に搬送されていたイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘員4人が死亡した。

4人はキンダール村での民主統一党人民防衛隊、クルド戦線旅団などとの戦闘で負傷したという。

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ハサカ県では、ARA News(3月24日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団の戦闘が続く、マルカダ町で、アラブ系部族の一部がヌスラ戦線に忠誠を誓い、ダーイシュとの戦闘に参加した。

AFP, March 24, 2014、AP, March 24, 2014、ARA News, March 24, 2014、Champress, March 24, 2014、al-Hayat, March 25, 2014、Iraqinews.com, March 24, 2014、Kull-na Shuraka’, March 24, 2014、Naharnet, March 24, 2014、NNA, March 24, 2014、Reuters, March 24, 2014、SANA, March 24, 2014、UPI, March 24, 2014などをもとに作成。

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2014年3月24日のシリア情勢:シリア政府の動き

SANA(3月24日付)によると、23日にラタキア県カサブ町での戦闘で死亡したヒラール・アサド氏の遺体がラタキア市ザーヒー・アズラク軍病院からカルダーハ市郊外のジャバル・アッリーンに搬送され、埋葬された。

葬儀には、アフマド・シャイフ・アブドゥルカーディル県知事、ムハンマド・シュライティフ・バアス党ラタキア支部指導部書記長、アンマール・アサド人民議会議員、アイマン・ザイトゥーン師、ムハンマド・リダー・ハーティム師、アフマド・シャイフー師らイスラーム教(スンナ派)のウラマーらが参列した。

SANA, March 24, 2014
SANA, March 24, 2014
SANA, March 24, 2014
SANA, March 24, 2014
SANA, March 24, 2014
SANA, March 24, 2014
SANA, March 24, 2014
SANA, March 24, 2014

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『ハヤート』(3月25日付)は、反体制勢力が複数の目撃者から得た情報として、ヒラール・アサド氏の死亡報道直後、息子のスライマーン氏が、武装した仲間とともにラタキア市内のスンナ派が多く住む街区に四輪駆動車で乗り付けて、銃を乱射、手榴弾を投げるなどし、警察に逮捕されたと報じた。

Kull-na Shuraka', March 24, 2014
Kull-na Shuraka’, March 24, 2014

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SANA(3月24日付)によると、イドリブ県ムハムバル村で、軍による「テロとの戦い」を支持する集会が開かれ、多数の地元住民が参加した。

またヒムス市シーン町でも、女性数百人がデモを行い、軍による「テロとの戦い」支持を表明した。

さらにスワイダー市では、教員組合スワイダー支部の呼びかけのもと、同様のデモが行われた。

AFP, March 24, 2014、AP, March 24, 2014、ARA News, March 24, 2014、Champress, March 24, 2014、al-Hayat, March 25, 2014、Iraqinews.com, March 24, 2014、Kull-na Shuraka’, March 24, 2014、Naharnet, March 24, 2014、NNA, March 24, 2014、Reuters, March 24, 2014、SANA, March 24, 2014、UPI, March 24, 2014などをもとに作成。

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2014年3月24日のシリア情勢:反体制勢力の動き

イスラーム軍司令官のザフラーン・アッルーシュ氏は声明を出し、ヒラール・アサド氏の死に関して、カサブ町で戦死したとする発表・報道を否定、「イスラーム軍諜報機関から得た情報」として、「ラタキア市内3月8日通りの警察署近くファウワーズ・アサド氏の邸宅での「シャッビーハ」幹部の会合」を襲撃し、殺害したと発表した。

アッルーシュ氏によると、この暗殺作戦では、イスラーム軍はグラード・ロケット砲2発で攻撃を行い、1発目は23日午前7時20分、2発目はその5分後に発射したという。

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シリア人権監視団は、ヒラール・アサド氏の戦死に関して、ラタキア県カサブ町でのシャームの民のヌスラ戦線などとの戦闘で、副官ら7人とともに殺害されたと発表した。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、シャームの民のヌスラ戦線やイスラーム戦線の戦闘員を追撃中だったシリア軍戦闘機をトルコ軍戦闘機が撃墜した事件(23日)に関して「シリア領内で孤立する民間人を砲撃してきた戦闘機撃墜により、再三にわたる侵犯に対応する権利を行使した」と支持を表明した。

連立は「我々は国際社会に、アサド政権が戦闘機を使用することを阻止し、無実の民間人への…無差別空爆を停止させるため政権を無力化するよう求めてきた」としたうえで、「昨日、政府軍の戦闘機がトルコ領空を侵犯、トルコ軍が…自らの権利を行使した」と主張、トルコ空軍による戦闘機撃墜を支持した。

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Syria-News(3月24日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国ラッカ州は、住民への福祉サービスの提供を目的とした「イスラーム福祉委員会」をラッカ市に設置した。

AFP, March 24, 2014、AP, March 24, 2014、ARA News, March 24, 2014、Champress, March 24, 2014、al-Hayat, March 25, 2014、Iraqinews.com, March 24, 2014、Kull-na Shuraka’, March 24, 2014、Naharnet, March 24, 2014、NNA, March 24, 2014、Reuters, March 24, 2014、SANA, March 24, 2014、Syria-news.com, March 24, 2014、UPI, March 24, 2014などをもとに作成。

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