2014年3月22日のシリア情勢:諸外国の動き

ダニエル・ルビンスタイン・シリア担当特使は、『ハヤート』(3月23日付)に対して、穏健な反体制勢力を強化し、シリア国内のパワー・バランスを変更する必要があると主張したが、具体的方法は明示しなかった。

ルビンスタイン特使は「シリアの穏健な反体制勢力の強化と統一」が自身の任務の基軸だとしたうえで、「反体制勢力強化のために可能なことを再検討する。これには国際社会のパートナーとのさらなる調整が必要となる…。パワー・バランスを…変化させ…、政権にさまざまな手段で圧力をかけ、政治プロセスへの見方を変えさせねばならない」と述べたが、「さまざまな手段」の詳細に言及することはなかった。

またシリアでの大統領選挙に関しては「ジュネーブ合意への違反」と非難、「米国と国際社会は選挙を正統だとみなすことは困難」と述べた。

AFP, March 22, 2014、AP, March 22, 2014、ARA News, March 22, 2014、Champress, March 22, 2014、al-Hayat, March 23, 2014、Iraqinews.com, March 22, 2014、Kull-na Shuraka’, March 22, 2014、Naharnet, March 22, 2014、NNA, March 22, 2014、Reuters, March 22, 2014、SANA, March 22, 2014、UPI, March 22, 2014などをもとに作成。

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2014年3月22日のシリア情勢:レバノンの動き

NNA(3月22日付)によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール地方に新設された検問所複数カ所で、軍がシリア人43人を逮捕した。

43人はいずれも「自由シリア軍」かシャームの民のヌスラ戦線のメンバーだという。

NNAはまた、シリア軍によるカルアト・ヒスン市制圧を受け、女性、子供を含むシリア人約300人がレバノン領内(ベカーア県)に避難したと報じた。

さらにNNAによると、シリア軍のヘリコプターがアルサール村郊外のワーディー・ラアヤーンなどをロケット弾で攻撃した。

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NNA(3月22日付)などによると、北部県トリポリ市バーブ・タッバーナ地区、ジャバル・ムフスィン地区での武装集団どうしの交戦・狙撃が続き、1人が負傷した。

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NNA(3月22日付)によると、総合情報総局はナバティーヤ県で、シリアの武装集団に武器弾薬を密売しようとしていた4人を逮捕した。

AFP, March 22, 2014、AP, March 22, 2014、ARA News, March 22, 2014、Champress, March 22, 2014、al-Hayat, March 23, 2014、Iraqinews.com, March 22, 2014、Kull-na Shuraka’, March 22, 2014、Naharnet, March 22, 2014、NNA, March 22, 2014、Reuters, March 22, 2014、SANA, March 22, 2014、UPI, March 22, 2014などをもとに作成。

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2014年3月22日のシリア情勢:国内の暴力

ラタキア県では、『ハヤート』(3月23日付)が、複数の反体制消息筋の話として、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線が21日にカサブ国境通行所および周辺の監視ポストを制圧したと報じたうえで、軍が奪還のため、タルトゥース県、イドリブ県ザーウィヤ山から増援部隊を派遣したと伝えた。

同報道によると、ヌスラ戦線などは第45電波塔を攻撃する一方、ナブア・ムッル村とタッラト・ナスルの支配を強化し、またカサブ町内と同市周辺の丘陵地帯で戦闘が行われたという。

またシリア人権監視団は、カサブ国境通行所での戦闘に関して、「依然として激しく行われている」としたうえで、軍、国防隊の戦闘員16人、反体制武装集団13人、民間人5人がカルサーナー村への反体制武装集団の砲撃で死亡したと発表した。

一方、SANA(3月22日付)によると、カサブ町周辺で軍が反体制武装集団と交戦し、武器弾薬庫、拠点、重火器などを搭載した車輌を破壊するなど甚大な被害を与えるとともに、アンサール・シャームを名乗る武装集団の司令官アブー・イスラーム・タミーミー氏(サウジ人)らを殺害した。

SANA特派員によると、反体制武装集団は、トルコ領内から迫撃砲で後方射撃を行う一方、カサブ国境通行所のトルコ領側から発砲を行っているという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シュワイフナ山の軍拠点をシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が襲撃したが、軍の反撃によって武装集団戦闘員13人が死亡した。

またアレッポ市ラーシディーン地区、シャイフ・ナッジャール市、同工業団地地区、ヒーラーン村、アレッポ中央刑務所周辺、ハンダラート・キャンプ周辺などを軍が砲撃・攻撃し、アレッポ市旧市街(アレッポ城、ウマイヤ・モスク付近、ライラムーン地区)、シャイフ・ナッジャール市周辺で、軍、バアス大隊、クドス旅団が、ヌスラ戦線などと交戦した。

一方、SANA(3月22日付)によると、アレッポ市ブスターン・カスル地区、ジャンドゥール交差点地区、裁判所西部、サイイド・アリー地区、ライラムーン地区、アイン・ハマーミマ村、クワイリス村西部、ブライジュ村、ウワイジャ地区、ハンダラート・キャンプ、ダーラト・イッザ市、カフルサギール村、アッザーン村、ヒーラーン村、カフルハムラ村、マアーッラト・アルティーク村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルバイン市、ザマルカー町、ムライハ市、ダーライヤー市を軍が空爆・砲撃し、反体制武装集団と攻撃した。

一方、SANA(3月22日付)によると、ヨルダン国境を経由してシリア領内に潜入したシャームの民のヌスラ戦線をアドラー市ウンマーリーヤ地区で要撃、複数の殺傷、逮捕した。

またアドラー市旧市街、ハラスター市、ランクース市郊外、ラアス・アイン市郊外では、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、ハラスター市で、反体制武装集団が旅客マイクロ・バスを狙撃し、運転手1人が死亡、乗客2人が負傷、またハラスター市に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、住宅などが被害を受けた。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区、ヤルムーク区を軍が空爆・砲撃した。

一方、SANA(3月22日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(3月22日付)によると、バーブッラー村、アルマナーズ村、ビンニシュ市近郊で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(3月22日付)によると、ウンム・ワラド村、マアルバ町、ジーザ町西部、ファトヤート村郊外、ジャドル村、タスィール町、ラジャート高原周辺、ダワーヤ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(3月22日付)によると、クルキス村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(3月22日付)によると、ティールマアッラ村、ガントゥー市、マヌーフ村、シャンダーヒーヤ村、シャルシューフ村、サウラ村、タルビーサ市、ダール・カビーラ村、ハーリディーヤ村、ヒムス市ワアル地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またヒムス市旧市街に立て籠もっていた武装集団メンバー21人が投降した。

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ラッカ県では、ARA News(3月22日付)によると、民主統一党人民防衛隊とクルド戦線旅団がタッル・アブヤド市郊外で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦した。

クルド戦線旅団のアフマド・ハッスー報道官によると、この戦闘で、ダーイシュ戦闘員50人(チェチェン人ら)以上が死亡、20人が負傷する一方、民主統一党戦闘員35人、戦線戦闘員15人が死亡した。

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2014年3月22日のシリア情勢:シリア政府の動き

外務在外居住者省は、国連事務総長と安保理議長に宛てて書簡を送り、シリア国内でのテロリストに対するサウジアラビア政府の支援を改めて告発した。

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SANA(3月22日付)によると、ヒムス市郊外のいわゆる「ワーディー・ナサーラー」地方の住民が、軍によるカルアト・ヒスン市、ザーラ村一帯の制圧と治安回復を祝って行進を行い、軍による「テロとの戦い」への支持を訴えた。

AFP, March 22, 2014、AP, March 22, 2014、ARA News, March 22, 2014、Champress, March 22, 2014、al-Hayat, March 23, 2014、Iraqinews.com, March 22, 2014、Kull-na Shuraka’, March 22, 2014、Naharnet, March 22, 2014、NNA, March 22, 2014、Reuters, March 22, 2014、SANA, March 22, 2014、UPI, March 22, 2014などをもとに作成。

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2014年3月22日のシリア情勢:反体制勢力の動き

自由シリア軍参謀委員会のムスタファー・アズィーズ・ハーシム西部・中部前線司令官らは、ビデオ声明(http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=54ToHwxRLWU)を出し、地中海岸西北地域に作戦司令室を設置し、「殉教者の母」作戦を開始したと発表した。

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同発表によると、作戦司令室は以下の武装集団の指揮にあたるという。

第10旅団西部戦線司令部

第3旅団

第1旅団アサーラ・ワ・タンミヤ戦線

シャーム軍団ハナーヌー旅団

ファター・イスラーム大隊

ザーヒル・バイバルス大地亜

殉教者マムドゥーフ・ジャウラハ大隊

ヒッティーン大隊

イスラーム戦線アンサール・シャーム所属の大隊

ヌスラト・マズルーム連合所属の大隊

ウマルの末裔大隊

殉教者ムスタファー・マジュズィーブ大隊

そのうえで、同作戦司令室は、ナバア・ムッル村、ナスル山、サムラー村を制圧したと発表し、カサブ国境通行所一帯におけるシャームの民のヌスラ戦線やイスラーム戦線による戦果を、自らの戦果だと主張した。

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クッルナー・シュラカー(3月22日付)によると、ダマスカス県・ダマスカス郊外県のアルメニア教徒を名乗る青年グループがビデオ声明を出し、「アルメニア大隊」を結成し、シリア革命家戦線特殊部隊連隊のもとで反体制武装闘争を行うと発表した。

独立以来、政治への不介入を基本姿勢としてきたシリアのアルメニア教徒がこうした動きに出るのはきわめて異例。

なお、この声明発表に先だって、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線が、アルメニア教徒が多く住むカサブ町一帯での戦闘を激化させている。

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アレッポ県アイン・アラブ(コバネ)市のシリア・クルド国民評議会と西クルディスタン人民議会は共同声明を出し、同市周辺の村々に対するイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の攻撃を非難した。

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ARA News(3月22日付)は、活動家のアンマール・アブドゥッラフマーン氏からの情報として、21日のハサカ県マルカダ町でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)との交戦で、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団がダーイシュ戦闘員30人以上を殺害、車輌50輌を破壊したと報じた。

AFP, March 22, 2014、AP, March 22, 2014、ARA News, March 22, 2014、Champress, March 22, 2014、al-Hayat, March 23, 2014、Iraqinews.com, March 22, 2014、Kull-na Shuraka’, March 22, 2014、Naharnet, March 22, 2014、NNA, March 22, 2014、Reuters, March 22, 2014、SANA, March 22, 2014、UPI, March 22, 2014などをもとに作成。

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最新論考「シリア:民主化なき戦い 東京外大教授 青山弘之氏」(『読売新聞』2014年2月22日朝刊)

最新論考「シリア:民主化なき戦い 東京外大教授 青山弘之氏」(編集委員が迫る/聞き手 鶴原徹也)『読売新聞』2014年2月22日朝刊。

シリア紛争は3月、3年が過ぎた。戦闘は今日も続き、死者は推計で14万人を超え、難民・避難民は900万人に及ぶ。一時は苦境に立ったアサド大統領だが、依然として政権にとどまっている。日本有数のシリア・ウオッチャー、青山弘之・東京外語大教授に情勢を読み解いてもらった。…

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