2014年3月27日のシリア情勢:諸外国の動き

ロシアのミハイル・ボクダノフ外務副大臣は、アラブ連盟首脳会議出席のために訪問していたクウェートでRT(3月27日付)のインタビューに応え、そのなかで2014年7月に予定されているシリア大統領選挙に関しては「シリア大統領選挙で何かが変わる訳ではない。シリア領内で政府の支配もとに行われるもの一つに過ぎない。支配が及ばない地域、さらには避難民を含むかたちで行われるものではない。つまり包括的ではなく、客観的な欠陥でもある。また、たとえ選挙が実施されたとしても、つまり政府と反体制勢力が新たな選挙実施の門戸を開けたとしても…反体制勢力はアサド大統領の正統性を承認することはないだろう」と述べた。

またボグダノフ副大臣は、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表の活動に関して「ジュネーブ2会議第3ラウンド開催のため…ロシア、米国、国連の三者協議による…さらなる連絡」を望むと述べた。

そのうえで「シリアを温床にしようとしているテロとの戦い」が重要だと強調した。

AFP, March 27, 2014、AP, March 27, 2014、ARA News, March 27, 2014、Champress, March 27, 2014、al-Hayat, March 28, 2014、Iraqinews.com, March 27, 2014、Kull-na Shuraka’, March 27, 2014、Naharnet, March 27, 2014、NNA, March 27, 2014、Reuters, March 27, 2014、RT, March 27, 2014、SANA, March 27, 2014、UPI, March 27, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

2014年3月27日のシリア情勢:レバノンの動き

NNA(3月27日付)によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール村郊外の山間部をシリア軍戦闘機が攻撃し、5人が負傷した。

またアルサール村では、軍偵察部隊がサーミー・アトラシュ容疑者の自宅に突入、同容疑者を殺害した。

アトラシュ容疑者は、2014年2月半ばのベイルート県南部郊外(ダーヒヤ)のビイル・ハサン地区での同時自爆テロなどに関与したとして指名手配されていた。

AFP, March 27, 2014、AP, March 27, 2014、ARA News, March 27, 2014、Champress, March 27, 2014、al-Hayat, March 28, 2014、Iraqinews.com, March 27, 2014、Kull-na Shuraka’, March 27, 2014、Naharnet, March 27, 2014、NNA, March 27, 2014、Reuters, March 27, 2014、SANA, March 27, 2014、UPI, March 27, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

2014年3月27日のシリア情勢:国内の暴力

Kull-na Shuraka', March 27, 2014
Kull-na Shuraka’, March 27, 2014

ラタキア県では、クッルナー・シュラカー(3月27日付)が、反体制活動家のヒシャーム・ハーッジ・スライマーン氏からの情報として、反体制武装集団が、カサブ町近郊のナブアイン村での作戦を指揮していたシリア軍部隊司令官のイマード・イスマーイール大佐ら数十人の将兵を殺害するとともに、カスタル・マアーフ町の一部を制圧し、シャイフ・ハサン村、バドルースィーヤ村に進軍を続けたと報じた。

これに対して、軍は、クルド山(アレッポ県)およびトルクメン山(ラビーア町一帯)の村々を「樽爆弾」で空爆した。

一方、SANA(3月27日付)によると、バイト・イブリフ村、カンタラ村、クーズ山、第587監視ポスト、第669監視ポストで、軍部隊が「テロ集団」を攻撃し、甚大な打撃を与えた。

またヒルバト・スーラーン村に対して特殊作戦を行い、武装集団に拉致されていた兵士多数を解放した。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、カラムーン軍事評議会(自由シリア軍)議長でハックの剣(サイフ・ハック)旅団司令官のアフマド・ナウワーフ・ドゥッラ氏が、フリータ村に対する軍の「樽爆弾」投下によって、5人の戦闘員とともに死亡した。

ドゥッラ氏とともに死亡した戦闘員のなかには、ハックの剣旅団副司令官のビラール・ハルブーシュ氏も含まれているという。

ドゥッラ氏とハルブーシュ氏はいずれも2012年2月28日にシリア軍を離反し、両名が結成したハックの剣旅団は、『ハヤート』(3月28日付)によると、自由シリア軍の枠内で結成された最初の武装部隊だという。

一方、SANA(3月27日付)によると、カラムーン地方、ザバダーニー市郊外、アーリヤ農場、アドラー市、ランクース市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

またタイバ町、ムカイラビーヤ市で、反体制武装集団21人が当局に投降した。

このほか、ハラスター市では反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民4人が死亡し、ジャルマーナー市でも反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民5人が負傷した。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がシャームの民のヌスラ戦線やアラブ系部族民兵からなる武装集団と交戦の末、ブサイラ市を制圧した。

同村は、マヤーディーン市やシュハイル村の油田地帯を見下ろすことができる戦略的要衝で、1ヶ月半前にヌスラ戦線などがダーイシュを放逐し、制圧していた。

**

Kull-na Shuraka', March 27, 2014
Kull-na Shuraka’, March 27, 2014

アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(3月27日付)によると、ムジャーヒディーン軍シャリーア委員会とシャームの民のヌスラ戦線がアレッポ市西部郊外にあるジュンド・シャームの拠点複数カ所を包囲、戦闘員約80人を投降させ、武器弾薬を押収した。

投降した80人はほとんどが外国人で、彼らは「一般市民への背教宣告」、「自由シリア軍襲撃」といった容疑で逮捕されたという。

一方、SANA(3月27日付)によると、ズィラーア村・バッルーザ村間、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区、アレッポ中央刑務所周辺、ジュダイダ村、アルバイド村、ラスム・アッブード村、クワイリス村、フライターン市、シュワイフナ村郊外、ウンム・マンスーラ村、ダイル・ハーフィル市、カフルナーハー村、ハーン・アサル村、アレッポ市ライラムーン地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

他方、ARA News(3月28日付)によると、アイン・アラブ(コバネ)市郊外で、民主統一党人民防衛隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦し、戦闘員3人を殺害した。

**

Kull-na Shuraka', March 27, 2014
Kull-na Shuraka’, March 27, 2014

ラッカ県では、クッルナー・シュラカー(3月27日付)、SANA(3月27日付)などによると、ラッカ市のウワイス・カラニー・モスク(廟)とアンマール・ブン・ヤースィル(預言者ムハンマドの教友の一人)廟を破壊した。

またシャームの民のヌスラ戦線がツイッター(3月27日付)を通じて出した声明によると、ヌスラ戦線の同県のアミールであるフマイス・マルイー氏(アブー・ドゥジャーナ)がラッカ市で「バグダーディーの民兵」によって殺害された。

「バグダーディーの民兵」とは、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のこと。

**

ダルアー県では、クッルナー・シュラカー(3月27日付)によると、ヤードゥーダ村近くの交差点で旅客バスに仕掛けられた爆弾が爆発し、女性、子供を含む乗客10人が死亡した。

一方、SANA(3月27日付)によると、アトマーン村、ダルアー市ヤルムーク学校周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ダマスカス県では、SANA(3月27日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ヒムス県では、SANA(3月27日付)によると、ガースィビーヤト・ナイーム村、ハーリディーヤ村、サラーム・シャルキー村、タルビーサ市、シャンダーヒーヤ村、ザクルーティーヤ村、スルターニーヤ村・サラーム・ガルビー村間で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またヒムス市ジャンダリー地区、カラービース地区で武装集団メンバー2人が投降した。

このほか、ヒムス市アルメニア地区で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、市民1人が死亡、11人が負傷した。

**

イドリブ県では、SANA(3月27日付)によると、カフルタハーリーム町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

**

ハサカ県では、ARA News(3月27日付)によると、ハサカ県ダウワール地区で、国防隊隊員がレストランの店主の口論となり、これに軍部隊が介入、国防隊と軍が撃ち合いとなった。

軍と国防隊が交戦したのはこれが初めてだという。

またダルバースィーヤ市では、シリア・クルド国民評議会が計画したイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の攻撃に曝されるアレッポ県アイン・アラブ(コバネ)市との連帯を訴えるデモを民主統一党アサーイシュが強制排除した。

AFP, March 27, 2014、AP, March 27, 2014、ARA News, March 27, 2014、Champress, March 27, 2014、al-Hayat, March 28, 2014、Iraqinews.com, March 27, 2014、Kull-na Shuraka’, March 27, 2014、Naharnet, March 27, 2014、NNA, March 27, 2014、Reuters, March 27, 2014、SANA, March 27, 2014、UPI, March 27, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

2014年3月27日のシリア情勢:シリア政府の動き

アサド大統領はアルメニア議員団(サムヴェル・ファルマニアン議員が団長)とダマスカスで会談した。

SANA(3月27日付)によると、会談でアルメニア議員団は、トルコの支援のもとに行われているラタキア県カサブ町へのテロ攻撃を非難する一方、同地の市民(アルメニア教徒ら)保護に向けたシリア国家の努力に謝意を示した。

SANA, March 27, 2014
SANA, March 27, 2014

また議員団は、シリアの治安・安定回復、避難民帰宅への全面支持を表明した。

これに対して、アサド大統領は、シリアの安定に向けたアルメニアの客観的支援を高く評価するとともに、西側諸国および一部中東地域諸国が支援するテロや過激思想の危険に警鐘を鳴らした。

議員団はまた、ムハンマド・ジハード・ラッハーム人民議会議長とも会談した。

AFP, March 27, 2014、AP, March 27, 2014、ARA News, March 27, 2014、Champress, March 27, 2014、al-Hayat, March 28, 2014、Iraqinews.com, March 27, 2014、Kull-na Shuraka’, March 27, 2014、Naharnet, March 27, 2014、NNA, March 27, 2014、Reuters, March 27, 2014、SANA, March 27, 2014、UPI, March 27, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

2014年3月27日のシリア情勢:反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、ラタキア県カサブ町一帯に侵攻したシャームの民のヌスラ戦線などを「自由シリア軍の英雄たち」と讃え、「シリアおよびすべてのシリア国民をアサド家の独裁支配から解放する努力を賞賛する」と表明した。

**

Kull-na Shuraka', March 27, 2014
Kull-na Shuraka’, March 27, 2014

自由シリア軍参謀委員会のハイサム・アスィーフィー副参謀長はクッルナー・シュラカー(3月27日付)に対し、シリア革命反体制勢力国民連立暫定政府と参謀委員会が、ラタキア県カサブ町一帯でのシャームの民のヌスラ戦線などによる侵攻を「一丸となって全面支持し、資金、武器、装備を提供することで合意している」と述べたうえで、シリア革命家戦線などがハマー県ムーリク市一帯やイドリブ県からラタキア県へのシリア軍の増援部隊派遣や補給を阻止するため活動していることを認めた。

**

シリア・ムスリム同胞団政治局メンバーのサミール・アブー・ラバン氏はクッルナー・シュラカー(3月27日付)のインタビューに応じ、そのなかで、同胞団は「革命」当初から平和的活動を維持することを試み、武力活動が事態を長引かせると考えてきたとしたうえで、「同胞団は独自の武装集団を持たないようにしてきた。つまり同胞団は武装集団の結成に着手したが、我々はそれを全く望んでいない」と述べた。

**

シリア人権ネットワークは、アサド政権が化学兵器に代えてクラスター爆弾を使用、これにより子供64人を含む民間人138人が犠牲となっている、と主張した。

**

ARA News(3月28日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)は、ハサカ県シャッダーディー市のアカバ・ブン・ワリード学校で、体育と音楽の授業を廃止し、軍事教練の授業を新設する決定を行った。

AFP, March 27, 2014、AP, March 27, 2014、ARA News, March 27, 2014、Champress, March 27, 2014、al-Hayat, March 28, 2014、Iraqinews.com, March 27, 2014、Kull-na Shuraka’, March 27, 2014、Naharnet, March 27, 2014、NNA, March 27, 2014、Reuters, March 27, 2014、SANA, March 27, 2014、UPI, March 27, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.