シリア人権監視団発表:紛争による死者数が24万人を越える(2015年8月6日)

シリア人権監視団は、2011年3月18日から2015年8月5日までのシリアでの紛争による死者数が24万人を越えたと発表した。

同監視団によると、死者総数は24万381人で、内訳は以下の通りだという。

民間人:11万1,624人(うち子供(18歳未満)は1万1,964人、18歳以上女性は7,719人、戦闘部隊およびイスラーム主義部隊の戦闘員は3万9,843人)

離反兵:2,541人

シリア軍:5万570人

国防隊、バアス大隊、人民諸委員会、シリア民族社会党、アレキサンドレッタ地方解放人民戦線、シャッビーハ、体制への内通者:3万3,839人

ヒズブッラー戦闘員:903人

イラン、アフガニスタン、アジア諸国、アラブ諸国国籍のシーア派親体制戦闘員、パレスチナ人のクドス旅団、アラブ国籍の親体制武装集団:3,304人

ダーイシュ(イスラーム国)、シャームの民のヌスラ戦線、ジュヌード・シャーム、ジュンド・アクサー、ジュンド・シャーム機構、ハドラー大隊、トルキスターン・イスラーム党、チェチェン・ジュヌード・シャームなどイスラーム主義運動に参加して戦闘を行う湾岸、北アフリカ、エジプト、イエメン、イラク、レバノン、パレスチナ、ヨルダン、スーダンなどアラブ諸国国籍の戦闘員、欧州、ロシア、中国、インド、アフガニスタン、チェチェン、米国、オーストラリア国籍の戦闘員:3万4,375人

身元:3,225人

なお上記の死者数には、シリア当局による逮捕者で消息が不明な者、シリア軍・国防隊の行方不明者2万人以上、戦闘部隊、イスラーム主義部隊、ダーイシュ、ヌスラ戦線、人民防衛隊の行方不明者1,500人以上、シリア軍による捕虜7,000人以上、戦闘部隊、イスラーム主義部隊、ダーイシュ、ヌスラ戦線、人民防衛隊による捕虜約2,000人、人民防衛隊の外国人戦闘員数百人は含まれないという。

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シリア人権監視団の死者数統計における政治的偏向については、青山弘之・浜中新吾「シリア人権監視団発表の死者数統計に潜む政治的偏向」Synodos、2015年7月17日を参照のこと。

AFP, August 6, 2015、AP, August 6, 2015、ARA News, August 6, 2015、Champress, August 6, 2015、al-Hayat, August 7, 2015、Iraqi News, August 6, 2015、Kull-na Shuraka’, August 6, 2015、al-Mada Press, August 6, 2015、Naharnet, August 6, 2015、NNA, August 6, 2015、Reuters, August 6, 2015、SANA, August 6, 2015、UPI, August 6, 2015などをもとに作成。

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トルコ当局がダーイシュ(イスラーム国)支配下のタッル・アブヤド市に隣接するアクチャカレ一帯を「暫定軍事安全保障地帯」に指定(2015年8月6日)

ドゥラル・シャーミーヤ(8月6日付)は、シャンウルファ県のトルコ当局の話として、トルコ当局がシリア国境に面するアクチャカレ郡の3カ所を「暫定軍事安全地帯」を指定したと伝えた。

「暫定軍事安全地帯」指定は、8月6日から21日までの15日間の期限付きで、同地域の住民の安全、財産を守ることが目的だという。

アクチャカレ郡は、ダーイシュ(イスラーム国)が支配下に置くシリアのラッカ県タッル・アブヤド市に面している。

AFP, August 6, 2015、AP, August 6, 2015、ARA News, August 6, 2015、Champress, August 6, 2015、al-Durar al-Shamiya, August 6, 2015、al-Hayat, August 7, 2015、Iraqi News, August 6, 2015、Kull-na Shuraka’, August 6, 2015、al-Mada Press, August 6, 2015、Naharnet, August 6, 2015、NNA, August 6, 2015、Reuters, August 6, 2015、SANA, August 6, 2015、UPI, August 6, 2015などをもとに作成。

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トルコ国境地帯でヌスラ戦線とYPGが交戦(2015年8月6日)

シリア人権監視団によると、トルコ国境地帯に位置するイドリブ県アティマ村とアレッポ県ジンディールス町を結ぶ地域で、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線と西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が交戦した。

戦闘は、アティマ村郊外のダイル・ブラート村に人民防衛隊がセメント製の監視塔を建設することにヌスラ戦線が反発したことを発端としている(https://syriaarabspring.info/?p=21196)。

ARA News, August 6, 2015
ARA News, August 6, 2015

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アレッポ県では、クッルナー・シュラカー(8月6日付)によると、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線は、バーブ市北部のトルコ国境地帯に位置するハワール・キリス村、ダルハ村にある本部、拠点などをそれぞれシャーム戦線、スルターン・ムラード・トゥルクマーニー旅団に引き渡し、両村から退去した。

両村が位置するのは、米トルコ両政府が「安全地帯」に設置することに合意したとされる地域。

一方、アレッポ県で活動するシャーム革命家大隊は声明を出し、ムジャーヒディーン軍の治安大隊によって、司令官の一人ファーリス・ハラマイン氏を殺害されたと非難した。

さらに、SANA(8月6日付)によると、アレッポ市バニー・ザイド地区、サラーフッディーン地区、アンサーリー地区、マシュハド地区、ラームーサ地区、ハーン・アサル村、ダーラト・イッザ市で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線などの武装集団の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、SANA(8月6日付)によると、シリア軍がレバノンのレジスタンス(ヒズブッラー戦闘員)とともに、ザバダーニー市内でシャームの民のヌスラ戦線など反体制武装集団の掃討作戦を続け、市南部にあるスィーラーン地区の拠点などを破壊した。

シリア軍はまた、ハラスター市、マディーラー市、アルバイン市、ダーライヤー市で反体制武装集団と交戦し、イスラーム軍の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、SANA(8月6日付)によると、ジャウバル区で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、地元和解プロセスの一環で、カラムーン地区の治安当局に出頭していた兵役忌避者および元反体制武装集団メンバー250人が放免となった。

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ダルアー県では、SANA(8月6日付)によると、ダルアー市アブー・バクル・モスク一帯、マンシヤ地区、アッバースィーヤ地区、ヤードゥーダ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(8月6日付)によると、ラビーア一帯、ファルラク村、ワター・サアドゥー村、カンダースィーヤ村、ブルジュ・ザーヒヤ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員36人を殲滅、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(8月6日付)によると、ラスタン市一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(8月6日付)によると、ムシャイリファ村、ザイズーン村北部、ハムカ丘、アアワル丘、ハッターブ丘、ミンタール村、アリーハー市、ジスル・シュグール市、フライカ村、サルマーニーヤ村、アブー・ズフール町をシリア軍が空爆し、ファトフ軍の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(8月6日付)によると、ダクマーク村、ラフジャーン村、ハミーディーヤ村、カストゥーン村、バフサ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ファトフ軍の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, August 6, 2015、AP, August 6, 2015、ARA News, August 6, 2015、Champress, August 6, 2015、al-Hayat, August 7, 2015、Iraqi News, August 6, 2015、Kull-na Shuraka’, August 6, 2015、al-Mada Press, August 6, 2015、Naharnet, August 6, 2015、NNA, August 6, 2015、Reuters, August 6, 2015、SANA, August 6, 2015、UPI, August 6, 2015などをもとに作成。

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シリア領内での有志連合の爆撃で「カリフ制の幼獣」8人を含むダーイシュ(イスラーム国)戦闘員51人が死亡(2015年8月6日)

シリア人権監視団は、有志連合戦闘機がラッカ県、ダイル・ザウル県、ハサカ県各所のダーイシュ(イスラーム国)に対して空爆を行い、過去48時間で戦闘員51人を殺害したと発表した。

空爆の標的となったダイル・ザウル県マヤーディーン市の消費機構ビル(ダーイシュが行政裁判所として使用)では11人が死亡、またラッカ県タブカ市近郊のカリーン軍事地区では29人が死亡した。

それ以外の犠牲者は、ダイル・ザウル県、ハサカ県、ラッカ県の街道沿いの検問所、拠点などへの空爆によるものだという。

戦闘員のほとんどはシリア人で、そのなかには「カリフ制の幼獣」と称される児童戦闘員8人も含まれているという。

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ハサカ県では、ARA News(8月6日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がハサカ市南東部のサブア・スクール地区、ラジュマーン村一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦、有志連合の戦闘機、戦闘ヘリが人民防衛隊を航空支援した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、カルヤタイン市郊外の農道で爆発が起き、5人が死亡した。

爆発が発生した場所は5日にダーイシュ(イスラーム国)の進攻を受け、占拠された地域。

一方、SANA(8月6日付)によると、タドムル市西部郊外の三角地帯、同市南部のアッバースィーヤ地区をシリア軍が空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、ARA News(8月6日付)によると、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、シャーム戦線がウンム・クラー村一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、拠点複数カ所を制圧した。

一方、SANA(8月6日付)によると、アレッポ市東部の航空士官学校一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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スワイダー県では、SANA(8月6日付)によると、ラジャム・ダウラ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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米中央軍(CENTCOM)は、8月6日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して15回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は6回におよび、ハサカ市近郊(1回)、アレッポ市近郊(2回)、アイン・イーサー市近郊(1回)、ダイル・ザウル市近郊(2回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, August 6, 2015、AP, August 6, 2015、ARA News, August 6, 2015、Champress, August 6, 2015、al-Hayat, August 7, 2015、Iraqi News, August 6, 2015、Kull-na Shuraka’, August 6, 2015、al-Mada Press, August 6, 2015、Naharnet, August 6, 2015、NNA, August 6, 2015、Reuters, August 6, 2015、SANA, August 6, 2015、UPI, August 6, 2015などをもとに作成。

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ラトニー米国務省シリア問題担当特使がトルコでシリア国民連合幹部と会談、国民連合は「モスクワ3」開催に同意(2015年8月6日)

7月末にダニエル・ロビンスタイン氏の後任として新たに任命されたマイケル・ラトニー米国務省シリア問題担当特使が、トルコのイスタンブールでシリア革命反体制勢力国民連立政治委員会メンバーと会談し、ダマスカス郊外県ザバダーニー市の戦況などについて意見を交わした。

『ハヤート』(8月7日付)が伝えた。

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一方、シリア革命反体制勢力国民連立のヒシャーム・ムルーワ副代表はAFP(8月6日付)に対して、ハーリド・ハウジャ代表が、ロシア政府が開催準備を進めるシリア政府と反体制派の和平会議「モスクワ3」への招待状をセルゲイ・ラブロフ外務大臣から受け取ったことを明らかにしたうえで、開催に同意したと発表した。

AFP, August 6, 2015、AP, August 6, 2015、ARA News, August 6, 2015、Champress, August 6, 2015、al-Hayat, August 7, 2015、Iraqi News, August 6, 2015、Kull-na Shuraka’, August 6, 2015、al-Mada Press, August 6, 2015、Naharnet, August 6, 2015、NNA, August 6, 2015、Reuters, August 6, 2015、SANA, August 6, 2015、UPI, August 6, 2015などをもとに作成。

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米露、シリアでの塩素ガスの使用に関する国連安保理決議案をめぐって合意(2015年8月6日)

米国のジョン・ケリー国務長官とロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は訪問先のマレーシアの首都クアラルンプールで会談し、シリア情勢などへの対応について意見を交わした。

会談後、ケリー国務長官は、シリアでの塩素ガスの使用に関して、使用者を特定し、その処罰の仕組みを確定することを定めた国連安保理決議を近く採択することで、ロシア側と合意に達した、と述べた。

米国は国連安保理15カ国に、本件に関する決議案を回付している。

この決議案では、シリア国内で化学兵器の使用に関与した個人、組織、政府を特定するための作業チームの設置が定められている。

一方、ロシア外務省報道官は、塩素ガス使用者を特定する動きを支持しており、米国が作成した決議案をめぐって協議を行ってきたと述べた。

そのうえで、「言えることは、こうした合意が安保理以外を通じて行われ得ないということだ」と述べた。

『ハヤート』(8月7日付)などが伝えた。

AFP, August 6, 2015、AP, August 6, 2015、ARA News, August 6, 2015、Champress, August 6, 2015、al-Hayat, August 7, 2015、Iraqi News, August 6, 2015、Kull-na Shuraka’, August 6, 2015、al-Mada Press, August 6, 2015、Naharnet, August 6, 2015、NNA, August 6, 2015、Reuters, August 6, 2015、SANA, August 6, 2015、UPI, August 6, 2015などをもとに作成。

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ムアッリム外務在外居住者大臣がオマーンを訪問し、アラウィー外務大臣と会談(2015年8月6日)

ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣(兼副首相)は、イランに続いてオマーンを訪問し、ユースフ・ビン・アラウィー外務大臣らオマーン外務省高官と会談した。

会談には、ファールーク・カッドゥール在オマーン・シリア大使らシリア大使館職員が同席した。

SANA(8月6日付)によると、会談では、二国間関係のほか、シリアにおける危機の背景、国際社会、地域各国の役割などについて深淵な議論が行われ、「テロとの戦い」、治安・安定回復、主権尊重と領土保全を求めるシリア国民の意思に反って、危機を打開するための建設的な努力を重ねる必要があるという点で合意に達したという。

SANA, August 6, 2015
SANA, August 6, 2015

 

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