西クルディスタン移行期民政局が掌握したタッル・アブヤド市にトルコ軍の攻撃を避けるため「シリア革命旗」が掲揚(2015年8月20日)

クッルナー・シュラカー(8月21日付)は、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末に制圧したラッカ県タッル・アブヤド市の国境通行所に、「シリア革命旗」(委任統治領シリアの国旗)が掲揚された。

西クルディスタン移行期民政局は、支配地域でクルド民族旗以外の旗の掲揚を禁止しているというが、複数の消息筋によると、「シリア革命旗」の掲揚は、ダーイシュ空爆を口実にイラク領内でのPKK(クルディスタン労働者党)拠点への空爆を続けるトルコ軍の攻撃を避けるための措置だという。

AFP, August 21, 2015、AP, August 21, 2015、ARA News, August 21, 2015、Champress, August 21, 2015、al-Hayat, August 22, 2015、Iraqi News, August 21, 2015、Kull-na Shuraka’, August 21, 2015、al-Mada Press, August 21, 2015、Naharnet, August 21, 2015、NNA, August 21, 2015、Reuters, August 21, 2015、SANA, August 21, 2015、UPI, August 21, 2015などをもとに作成。

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イスラエル軍がシリア領内のシリア軍の拠点複数カ所を越境爆撃(2015年8月20日)

『ハヤート』(8月22日付)などは、イスラエル軍が20日深夜から21日未明にかけて、クナイトラ県ゴラン高原およびダマスカス郊外県南部のシリア軍・国防隊の拠点複数カ所を空爆した。

イスラエル軍による空爆は、シリア領内から発射された迫撃砲弾複数発がイスラエル北部に着弾したのを受けた報復措置だという。

これに関して、SANA(8月21日付)は、「イスラエル軍戦闘機が20日夜11時半にクナイトラ方面の軍拠点1カ所を攻撃し、1人が死亡、6人が負傷した」と伝えた。

また、シリア人権監視団は、イスラエル軍の空爆によってシリア軍兵士2人(うち1人が士官)と国防隊隊員5人が死亡した、と発表した。

一方、イスラエル軍消息筋によると、空爆はゴラン高原の兵力引き離しラインから15キロシリア領内に入った拠点14カ所に対して行われたという。

またイスラエル外務省報道官は、この空爆のきっかけとなったシリア領内からの攻撃に関して、「パレスチナのイスラーム・ジハード運動が行ったとの信頼できる情報があり…、この攻撃は(イラン・イスラーム革命防衛隊の)クドス軍団のパレスチナ人部隊のイラン人司令官サフィード・エザーディーによって指揮されたものだ」と述べた。

しかし、パレスチナ・ジハード運動広報局は声明を出し、イスラエル外務省報道官の発言内容を否定した。

AFP, August 21, 2015、AP, August 21, 2015、ARA News, August 21, 2015、Champress, August 21, 2015、al-Hayat, August 22, 2015、Iraqi News, August 21, 2015、Kull-na Shuraka’, August 21, 2015、al-Mada Press, August 21, 2015、Naharnet, August 21, 2015、NNA, August 21, 2015、Reuters, August 21, 2015、SANA, August 21, 2015、UPI, August 21, 2015などをもとに作成。

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シリア軍、ヒズブッラー戦闘員がザバダーニー市でシャーム自由人イスラーム運動と交戦するとともに、東グータ地方への爆撃を続ける(2015年8月20日)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザバダーニー市で、シリア軍第4師団、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、パレスチナ解放軍がジハード主義武装集団、地元武装集団と交戦した。

シリア軍はまた、ドゥーマー市に「樽爆弾」9発を投下したほか、アルバイン市に対しても6回にわたって空爆を行い、同地一帯で、国防隊とともに、シャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団と交戦した。

さらにバラダー渓谷では、バスィーマ町、アイン・ハドラー村の複数カ所に対してシリア軍が発砲した。

これに対して、反体制武装集団は、ダーヒヤト・アサド町、ハラスター市近郊の車輌局一帯のシリア軍拠点を砲撃した。

一方、SANA(8月20日付)によると、ハラスター市、ドゥーマー市に対してシリア軍が集中的な攻撃を続け、外国人戦闘員を含むイスラーム軍、アジュナード・シャーム・イスラーム連合の戦闘員30人あまりを殲滅、装備・拠点を破壊した。

シリア軍はまた、カフルバトナー町、ザマルカー町、ダイル・アサーフィール市、バーラー村で反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、ザバダーニー市では、シリア軍がレバノンのレジスタンス(ヒズブッラー戦闘員)とともに、市内東部で、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などジハード主義武装集団の掃討を続けた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ズィヤーラ町、マシーク村、ハークーラ村、マンスーラ村、穀物サイロ地区などで、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が、ハック旅団、アンサール・ディーン戦線、アンサール・シャーム、アジュナード・シャーム・イスラーム連合、ジュンド・アクサー機構、シャームの民のヌスラ戦線、トルキスターン・イスラーム党、シャーム軍団、シャーム自由人イスラーム運動、第101歩兵師団、山地の鷹旅団、ガーブの鷹、第111歩兵師団、ジュヌード・シャーム(チェチェン人)などと交戦を続けた。

一方、SANA(8月20日付)によると、タンジャラ村、カーヒラ村、カルアト・マディーク町一帯、ハウワーシュ村、アンカーウィー村をシリア軍が空爆し、ファトフ軍の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍は、ジャズラム丘、ハムカ丘、カーヒラ村、ズィヤーディーヤ村、フライカ村、タルマラー村を空爆した。

また、クマイナース村で爆弾が爆発し、子供1人が死亡した。

一方、SANA(8月20日付)によると、フライカ村、カルクール村、クファイル丘、サフン村、マルジュ・ズフール村、サルマーニーヤ村、タルマラ村、アイン・ラールーズ村、ラッジュ村、ズィヤーディーヤ村、アブー・ズフール町一帯、ハシール村をシリア軍が空爆し、ファトフ軍の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ハンダラート・キャンプ一帯、アレッポ市サイフ・ダウラ地区、ハーリディーヤ地区一帯などで、シリア軍、国防隊、アラブ系・アジア系外国人戦闘員が、シャームの民のヌスラ戦線、アンサール・ディーン戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

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ラタキア県では、SANA(8月20日付)によると、シリア軍がマリージュ村、スーダ村、ルワイサ村、カトフ・ガナム村、サファフ村、カトフ・ガドル村、マギーリーヤ村、マルカシュリーヤ村を空爆し、シャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(8月20日付)によると、ジュャバーター・ハシャブ村、ハドル村、ハミーディーヤ村、ルワイヒーナ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、フルカーン旅団、シャーム自由人イスラーム運動の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(8月20日付)によると、ダルアー市カラク地区、Syriatelビル一帯、アクラバー村、西ガーリヤ村、シャイフ・マスキーン市、イーブ村一帯、ズィムリーン村一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、ヤルムーク軍の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(8月20日付)によると、フーシュ・ザバーディー村、タスニーン村、ジャルジーサ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ヒムス軍団の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, August 20, 2015、AP, August 20, 2015、ARA News, August 20, 2015、Champress, August 20, 2015、al-Hayat, August 21, 2015、Iraqi News, August 20, 2015、Kull-na Shuraka’, August 20, 2015、al-Mada Press, August 20, 2015、Naharnet, August 20, 2015、NNA, August 20, 2015、Reuters, August 20, 2015、SANA, August 20, 2015、UPI, August 20, 2015などをもとに作成。

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ダーイシュ(イスラーム国)とジハード主義武装集団がアレッポ県北部で戦闘を続ける(2015年8月20日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、タッル・カッラーフ村とウンム・フーシュ村を結ぶ街道で爆弾が爆発し、ジハード主義武装集団の車輌が破壊され、戦闘員3人が死亡した。

また、ダーイシュ(イスラーム国)とジハード主義武装集団がワフシーヤ村一帯で交戦した。

爆発が起きた地域は、米トルコ両政府が設置合意したとされる「安全地帯」内で、ダーイシュの攻勢が強まっている。

一方、SANA(8月20日付)によると、航空士官学校一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、スカイラビーヤ市に近いナフル検問所近くで、シリア軍、国防隊がジハード主義武装集団と交戦し、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)の支配下にあるウカイリバート町郊外やカンバル村一帯を空爆した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)の支配下にあるカルヤタイン市を空爆した。

またレバノン国境のジュースィーヤ村の国境通行所近くでは、ヒズブッラー戦闘員とダーイシュが交戦した。

一方、SANA(8月20日付)によると、カルヤタイン市、サワーナ町、ジャズル・ガス採掘所一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、ARA News(8月20日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がフール町一帯でダーイシュ(イスラーム国)と交戦、有志連合が航空支援を行った。

また、バフラト・ハートゥーニーヤ村の活動家によると、ダーイシュは、ラクダ1,500頭からなる部隊をイラク領内からハサカ県の同村一帯に派遣したという。

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米中央軍(CENTCOM)は、8月20日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して29回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は8回におよび、アレッポ市近郊(4回)、ハサカ市近郊(2回)、アイン・アラブ市近郊(2回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

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公務中にスハイル・ハサン大佐(通称「トラ」)に抱きついた写真が公表されたシャンマート社会問題大臣が解任(2015年8月20日)

アサド大統領は政令第217号を施行し、キンダ・シャンマート社会問題大臣を解任し、リーマー・カーディリー氏(国家計画支援委員会議長)を後任に任命するとともに、ハッサーン・サフィーヤ国内通商消費者保護大臣を解任し、ジャマール・シャーヒーン氏(投資問題担当国務大臣)を後任に任命した。

この人事改編に伴い、ワーイル・ハルキー内閣(第2次改造内閣)の閣僚は「現代東アラブ地域研究ネットワーク」(http://www.ac.auone-net.jp/~alsham/syria_cabinet_2012_0819.html#2015_08)の通りとなった。

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なお、シャンマート氏解任の数時間前に、シャンマート氏とハマー県北部ガーブ平原での戦闘を指揮するシリア軍司令官のスハイル・ハサン大佐(通称「トラ」)が抱き合う写真が公開・拡散されていた。

この写真は8月14日にシャンマート氏がハマー市内の避難民収容施設などを視察訪問した際に撮影されたものだという。

公務中での視察訪問中に撮影されたこの写真に関して、複数の反体制活動家は『ハヤート』(8月21日付)に「彼女が「トラ」と抱き合ったことが解任の理由」と指摘しているが、真相は定かでない。

Kull-na Shuraka', August 20, 2015
Kull-na Shuraka’, August 20, 2015

AFP, August 20, 2015、AP, August 20, 2015、ARA News, August 20, 2015、Champress, August 20, 2015、al-Hayat, August 21, 2015、Iraqi News, August 20, 2015、Kull-na Shuraka’, August 20, 2015、al-Mada Press, August 20, 2015、Naharnet, August 20, 2015、NNA, August 20, 2015、Reuters, August 20, 2015、SANA, August 20, 2015、UPI, August 20, 2015などをもとに作成。

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ムアッリム外相「我々の問題はシリア領内に外国人テロリストがいることで生じている」(2015年8月20日)

ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣はエジプトのナハール・チャンネル(8月20日付)のインタビューに応じ、シリア情勢に関して「我々の問題は、シリア領内に、チェチェン人、英国人などさまざまな国籍の外国人テロリストがいることで生じている」と述べた。

ムアッリム外務在外居住者大臣は、トルコとの関係悪化の理由について、「2011年にアフメト・ダウトオール外務大臣(当時)が、シリア・ムスリム同胞団との権力分有を明確に要求したことをシリア指導部が拒否したことが対立の原因だ」と述べた。

そのうえで、「なぜトルコは、テロリストがシリア領内に入ることを許す一方で、米国は彼らのためにトルコ領内に軍事教練キャンプを設営するのか? イスラエルはこうしたなかでシリアで流される血に対して喝采を浴びせている」と、トルコや米国の姿勢を非難した。

一方、イラン、ヒズブッラーとの関係については「我々とイラン、ヒズブッラーの関係は、イスラエルに対する一致団結した姿勢ゆえに、一部の者に懸念を抱かせている」と述べた。

また「アラブの春」については、「春ではない。なぜなら春とはその後に実りがもたらされるからだ。いわゆる「アラブの春」によって何が生じたか見てみよう。我々は互いを破壊し合い、イスラエルが我々に喝采を浴びせている…。外国や一部のアラブ諸国が武器を供与することで生じているテロに基づいた変革など生じ得ない。変革とは改革に向けた国民どうしの国内での対話によってのみ生じる」と強調した。


AFP, August 20, 2015、Alnahar Channe, August 20, 2015、AP, August 20, 2015、ARA News, August 20, 2015、Champress, August 20, 2015、al-Hayat, August 21, 2015、Iraqi News, August 20, 2015、Kull-na Shuraka’, August 20, 2015、al-Mada Press, August 20, 2015、Naharnet, August 20, 2015、NNA, August 20, 2015、Reuters, August 20, 2015、SANA, August 20, 2015、UPI, August 20, 2015などをもとに作成。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチが国連安保理にシリア政府への武器禁輸措置発動を提言(2015年8月20日)

米国のNGO団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは声明(https://www.hrw.org/news/2015/08/20/syria-impose-arms-embargo-following-deadly-airstrikes)を出し、ダマスカス郊外県ドゥーマー市で80人以上が犠牲となったシリア軍の空爆を批判し、「国連安保理はシリア政府に対する武器禁輸措置を科すべきだ」と提言した。

しかし、この声明では、ダーイシュ(イスラーム国)によるタドムル市遺跡博物館元局長ハーリド・アスアド氏の処刑(18日)、子供2人を含む10人が犠牲となったラタキア市やアレッポ市ハーリディーヤ地区への反体制派の砲撃については言及されていない。

AFP, August 20, 2015、AP, August 20, 2015、ARA News, August 20, 2015、Champress, August 20, 2015、al-Hayat, August 21, 2015、Iraqi News, August 20, 2015、Kull-na Shuraka’, August 20, 2015、al-Mada Press, August 20, 2015、Naharnet, August 20, 2015、NNA, August 20, 2015、Reuters, August 20, 2015、SANA, August 20, 2015、UPI, August 20, 2015などをもとに作成。

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タルトゥース市で首相、県知事、シリア赤新月社総裁の解任を求めるデモ(2015年8月20日)

ARA News(8月20日付)は、タルトゥース市で、ワーイル・ハルキー首相とタルトゥース県のサフワーン・アブー・サアダ県知事の汚職を追及、解任を求めるデモが行われ、多くの住民が参加したと報じた。

デモに参加した住民は、アサド大統領への支持を表明しつつ、このほかにもシリア赤新月社のスハイル・ハドル総裁の解任も要求した。

ARA News, August 20, 2015
ARA News, August 20, 2015

 

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