マーヒル・アサド准将がファトフ軍との激戦が続くハマー県北部のジューリーン村を電撃訪問(2015年8月13日)

第4師団の実質的司令官で大統領実弟のマーヒル・アサド准将が軍高官2人を伴い、イドリブ県ガーブ平原のジューリーン村を軍のヘリコプターで訪れる映像が公開された。

映像が撮影された日時は不明だが、ヘリコプターでジューリーン村郊外の農場に到着したマーヒル准将らを「民間人の服を着た多くの人々」が取り囲んで歓迎し、「魂と血にかけてあなたに身を捧げる、バッシャール」と連呼する様子が撮されている(https://www.youtube.com/watch?v=Qr99407HL28)。

ジューリーン村にあるシリア軍の基地(ジューリーン軍事基地)には、ハマー県北部のグータ平原での戦闘を統括する作戦司令室が置かれており、スハイル・ハサン大佐(通称「トラ」)がファトフ軍との戦闘の指揮にあたっている。

Youtube, August 13, 2015
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Youtube, August 13, 2015
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AFP, August 14, 2015、AP, August 14, 2015、ARA News, August 14, 2015、Champress, August 14, 2015、al-Hayat, August 15, 2015、Iraqi News, August 14, 2015、Kull-na Shuraka’, August 14, 2015、al-Mada Press, August 14, 2015、Naharnet, August 14, 2015、NNA, August 14, 2015、Reuters, August 14, 2015、SANA, August 14, 2015、UPI, August 14, 2015などをもとに作成。

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シリア国民連合は、イドリブ県アティマ村のファトフ軍(アル=カーイダ系のヌスラ戦線などからなる武装組織)拠点への有志連合の爆撃を非難(2015年8月13日)

シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、有志連合とされる戦闘機が11日に、トルコ国境に近いイドリブ県アティマ村にあるアル=カーイダ系組織からなる軍事同盟組織ファトフ軍所属のスンナ軍の拠点を空爆し、子供を含む民間人25人が死亡したことを非難し、「釈明、調査、処罰」を求めると主張した。

AFP, August 13, 2015、AP, August 13, 2015、ARA News, August 13, 2015、Champress, August 13, 2015、al-Hayat, August 14, 2015、Iraqi News, August 13, 2015、Kull-na Shuraka’, August 13, 2015、al-Mada Press, August 13, 2015、Naharnet, August 13, 2015、NNA, August 13, 2015、Reuters, August 13, 2015、SANA, August 13, 2015、UPI, August 13, 2015などをもとに作成。

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反体制派がラタキア市を迫撃砲で無差別攻撃、シリア軍はダマスカス郊外県などを激しく爆撃、女性・子供が死亡(2015年8月13日)

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、ラタキア市中心街の3月8日通り沿いのファトワー局近くに反体制派が乱射したと思われる迫撃砲弾複数発が着弾し、2人が死亡、14人が負傷した。

またラタキア市郊外のシャーティウ・アズラク地区を通るコルニーシュ通り、市内中心部のシリア情報協会ビル近くでも爆発が発生した。

この爆発で死傷者が出たかは不明。

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表によると、ラタキア県内での反体制武装集団の活動は、クルド山と、反体制派がトルクメン山地と呼ぶトルコ国境地域に限られているが、同地で活動する武装集団が、シリア政府支配下のラタキア市近郊に潜入し、迫撃砲で攻撃を行ったと考えられるという。

これに関して、SANA(8月13日付)は、「ラタキア市各所をテロリストが砲撃し多数の市民が負傷した」、と伝えた。

なお、イスラーム軍は12日、スルンファ町の「大統領宮殿」をGradミサイルで攻撃したと発表する一方、「地中海岸のシリア軍およびイランの民兵への砲撃作戦を継続する」と意思表明していたが、ラタキア市に対する迫撃砲攻撃へのイスラーム軍の関与の有無は不明。

このほか、シリア人権監視団によると、反体制派は「トルクメン山地」と呼ぶトルコ国境地域に位置するバイト・アワーン村一帯では、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団がシリア軍、国防隊に攻勢をかけ、同地にある丘を制圧した。

一方、SANA(8月13日付)によると、ラビーア町、バイト・イブリク村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

Kull-na Shuraka', August 13, 2015
Kull-na Shuraka’, August 13, 2015

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がアルバイーン市に対して13日深夜から激しい空爆を行い、子供3人、女性3人を含む10人が死亡した。

シリア軍はまたダーライヤー市、ウーターヤー町に対しても「樽爆弾」、地対地ミサイルなどで攻撃を加えた。

またバービッラー市近郊にあるジハード主義武装集団の拠点近くで爆弾が爆発し、戦闘員2人が死亡した。

このほか、ハーン・シャイフ・キャンプ一帯ではシリア軍、国防隊とジハード主義武装集団が交戦した。

一方、SANA(8月13日付)によると、ハラファー村、ダーライヤー市、ハムーリーヤ市で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、アジュナード・シャーム・イスラーム連合、イスラーム殉教者旅団の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、カフル・ウワイド村をシリア軍が空爆し、子供1人、女性2人を含む6人が死亡した。

シリア軍はまたザーウィヤ山のマウザラ村、サルジャ村、シャフシャブー山のハッルーバ村、アウラム・ジャウズ村、イドリブ市内、カフルナブル市、ヒザーリーン村、アブー・ズフール航空基地周辺、マアッラト・ヌウマーン市、アリーハー市、マダーヤー村、ハーッス村を空爆し、20人以上が死亡した。

一方、SANA(8月13日付)によると、アリーハー市、ジルス・シュグール市、ムハムバル村、フライカ村、カルクール村、ハーン・シャイフーン市、マアッラト・ヌウマーン市一帯、フバイト村、ヒザーリーン村、カフル・ムーサー村、トゥルア村、ジャドラーヤー村、アブー・ズフール町一帯、ハルービー村、サルジャ村、バシーリーヤ村をシリア軍が空爆し、ファトフ軍の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、グータ平原のヒルバト・ナークース村、マンスーラ村、アムキーヤ町、カストゥーン村をシリア軍が空爆した。

一方、SANA(8月13日付)によると、マンスーラ村、フワイジャ村、ヒルバト・ナークース村、ズィヤーラ村、タッル・ワースィト村、ジャズラム丘、バフサ村、ラターミナ町一帯をシリア軍が空爆し、ファトフ軍の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、ハムリーヤ丘一帯でシリア軍、国防隊とジハード主義武装集団が交戦した。

一方、SANA(8月13日付)によると、ウーファーニヤー村、ハミーディーヤ村、フッリーヤ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区出身の男性が治安当局の拷問を受け死亡した。

また、シリア軍はヒムス市ワアル地区を砲撃する一方、カフルナーン村一帯でジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(8月13日付)によると、タスニーン村農場地帯、ラスタン市一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市マイサルーン地区に対してジハード主義武装集団が砲撃を加え、シリア軍、国防隊と交戦した。

またアレッポ市ラーシディーン地区では、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、パレスチナ人のクドス旅団がジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(8月13日付)によると、アレッポ市ジャムイーヤート・ザフラー地区、スライマーン・ハラビー地区、マイサルーン地区、ライラムーン地区、ハーリディーヤ地区、ラーシディーン地区、ブスターン・カスル地区、ラームーサ地区、旧市街で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダルアー市ダム街道地区、雛民キャンプ一帯を空爆した。

一方、SANA(8月13日付)によると、ダルアー市難民キャンプ地区一帯、マンシヤ地区、アルバイーン学校南部、ガラズ刑務所一帯、西ガーリヤ村、東ガーリヤ村、サイダー町、キヒール村、マカッス・ハジャル村、ヤードゥーダ村、ハッラーブ・シャフム村、西ムライハ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム・ムサンナー運動の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, August 13, 2015、AP, August 13, 2015、ARA News, August 13, 2015、Champress, August 13, 2015、al-Hayat, August 14, 2015、Iraqi News, August 13, 2015、Kull-na Shuraka’, August 13, 2015、al-Mada Press, August 13, 2015、Naharnet, August 13, 2015、NNA, August 13, 2015、Reuters, August 13, 2015、SANA, August 13, 2015、UPI, August 13, 2015などをもとに作成。

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米トルコ両政府が設置合意したアレッポ県北部の「安全保障地帯」でアル=カーイダ系のシャーム自由人イスラーム運動と「穏健な反体制派」がダーイシュ(イスラーム国)支配地域に対して攻勢(2015年8月13日)

アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(8月13日付)がシャーム自由人イスラーム運動の情報として伝えたところによると、「革命家」が、トルコ国境に近いアアザーズ郡ドゥーディヤーン村近郊にあるダーイシュ(イスラーム国)支配下のヒルバ村、カッラ村、そしてその近郊にあるガソリン・スタンドを襲撃し、ダーイシュとの数時間にわたる戦闘の末に同地を制圧した。

ヒルバ・ハーディア村制圧作戦に参加したのは、アル=カーイダ系のシャーム自由人イスラーム運動、「穏健な反体制派」のスルターン・ムラード旅団、そしてシャーム戦線(「命じられるままに進め連合」、ムジャーヒディーン軍、ヌールッディーン・ザンキー運動、アサーラ・ワ・タンミヤ運動)といった武装集団。

ドゥーディヤーン村一帯は、米トルコ両政府が「安全地帯」を設置することを合意した地域内に位置する。

一方、シリア人権監視団によると、クワイリス航空基地をめぐり9日から激化していたシリア軍とダーイシュ(イスラーム国)の戦闘で、シリア軍士官31人(うち准将および大佐は3人)を含む39人、ダーイシュ戦闘員33人が死亡した。

他方、SANA(8月13日付)によると、航空士官学校一帯、ナイラブ航空基地西部、サフィーラ市一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、タッル・ハミース市一帯で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦する一方、有志連合と思われる戦闘機がハサカ市西部のアブドゥルアズィーズ山一帯を空爆した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、サフム・ジャウラーン村郊外にあるダム西部一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うヤルムーク殉教者旅団と、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が交戦した。

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ヒムス県では、SANA(8月13日付)によると、タドムル市郊外のタール山北部、採石場東部、バイヤラート村南東部、同市西部の三角地帯、ジャズル・ガス採掘所一帯をシリア軍が空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員多数を殺傷、装備・拠点を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、サラミーヤ市東方の東ビッリー村でシリア軍、国防隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)とシャームの民のヌスラ戦線などが占拠するヤルムーク・パレスチナ難民一帯、タダームン区で、シリア軍、国防隊とジハード主義武装集団が交戦した。

AFP, August 13, 2015、AP, August 13, 2015、ARA News, August 13, 2015、Champress, August 13, 2015、al-Durar al-Shamiya, August 13, 2015、al-Hayat, August 14, 2015、Iraqi News, August 13, 2015、Kull-na Shuraka’, August 13, 2015、al-Mada Press, August 13, 2015、Naharnet, August 13, 2015、NNA, August 13, 2015、Reuters, August 13, 2015、SANA, August 13, 2015、UPI, August 13, 2015などをもとに作成。

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シリア政府と反体制派の和平協議「モスクワ3」開催に向け、ロシア外務省がシリアの反体制各派との折衝を本格化(2015年8月13日)

ロシア外務省は、シリア政府と反体制派の和平協議「モスクワ3」開催に向け、反体制各派との折衝を本格化させ、セルゲイ・ラブロフ外務大臣がロシアを訪問中のシリア革命反体制勢力国民連立のハーリド・ハウジャ代表と会談した。

トルコのイスタンブールを拠点とし、欧米諸国からかつては「シリア国民の唯一の正統な代表」と位置づけられていたシリア革命反体制勢力国民連立の代表がロシア外務省の招聘を受けて、モスクワを訪問するのはこれが初めて。

ロシア外務省報道官によると、ラブロフ外務大臣とハウジャ代表との会談では、シリアの危機の打開、中東地域におけるテロの脅威に対抗するためのすべての政治勢力の糾合などの議論に重点が置かれたという。

ハウジャ代表は、会談に先立ってロシアのメディアに対して、「モスクワ3」に開催に向けたあらゆるイニシアチブが、ジュネーブ合意(2012年6月)の原則に依拠すべきだとの姿勢を示した。

ハウジャ議長に同行しているシリア革命反体制勢力国民連立のヒシャーム・ムルーワ副代表はまた、ラブロフ外務大臣との折衝において、移行期統治機関設置要求に体現されている連立の基本姿勢、そして「テロとの戦い」や国民和解の実現の方法など紛争解決に向けた行程を説明すると述べた。

とりわけ、「テロとの戦い」について、ムルーワ副代表は「バッシャール・アサド現大統領退任後に設置される移行政府についてシリア人が合意に達することを条件としてのみ、効果的で実行可能となる」と主張した。

なおラブロフ外務大臣とシリア革命反体制勢力国民連立代表との会談に先立ち、ミハイル・ボグダノフ外務副大臣は12日、モスクワで西クルディスタン移行期民政局を主導するクルド民族主義政党の民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首、解放変革人民戦線代表でロシア在住のジャミール・カドリー前副首相らと個別に会談した。

『ハヤート』(8月14日付)によると、会談では、ヴラジミール・プーチン大統領が提案している域内諸国による対ダーイシュ(イスラーム国)同盟の結成、シリア政府との交渉の方針などについての協議がなされた。

またボグダノフ外務副大臣は14日には、「第2回カイロ大会」の開催を主導したハイサム・マンナーア氏(「カフム」代表)、ハーリド・マハーミード氏、ジャマール・スライマーン氏、ジハード・マクディスィー氏との折衝を予定している。

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シリア革命反体制勢力国民連立のハーリド・ハウジャ代表はインテルファクス通信(8月13日付)のインタビューに応じ、ラブロフ外務大臣との会談で、プーチン大統領による対ダーイシュ域内同盟の設立案を拒否したと述べた。

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