アサド大統領の甥のスライマーン・アサド容疑者逮捕/スライマーン容疑者「ラッカ、イドリブ、タドムルを売った連中が処罰されたら、自分が処罰されることも受け入れる」(2015年8月10日)

SANA(8月10日付)は、アサド大統領の甥で7日にラタキア市内でハッサーン・シャイフ空軍大佐を射殺したとされるスライマーン・アサド容疑者を関係当局が逮捕・拘束したと伝えた。

ラタキア県のイブラーヒーム・ハドル・サーリム知事は、シリア・アラブ・テレビ(8月10日付)の取材に対して、スライマーン容疑者が10日午後9時にラタキア市郊外の農場にいたところを逮捕され、取り調べてのために連行されたという。

サーリム知事によると、スライマーン容疑者は軍警察で検事同席のもとに取り調べを受け、その後、軍事裁判所の検事局の審査を経て、最終的に判事が刑事処分を言い渡すという。

『ハヤート』(8月8日付)などによると、スライマーン氏は7日、自分の車がラタキア市内のアズハリー交差点でシャイフ空軍大佐が運転する車に追い越したことに腹を立て、自分の車をシャイフ空軍大佐の車に追突させ、同乗していた子供たちの目の前で大佐を射殺したという。

スライマーン氏の父ヒラール・アサド氏は、2012年の国防隊発足を主導した一人で、2014年3月23日にカサブ市で反体制派の攻撃を受け死亡している。

スライマーン氏はヒラール氏の死後、父が指揮していた国防隊を率いるようになっていたという。

Kull-na Shuraka', August 10, 2015
Kull-na Shuraka’, August 10, 2015

 

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ハッサーン・シャイフ大佐の妻のマイサー・ガーニム氏は『ワタン』(8月10日付)の取材に応じ、そのなかで、「連日弔問に訪れるシリア政府の使節から…「いかなる人物であれ、犯行を行った者を処罰する」とアサド大統領が約束したと聞かされたと明らかにした。

『ワタン』の取材に対して、ガーニム未亡人は「大統領が事件に関心を払い続ける限り、大統領を信用しています。私たちの権利が失われることはないでしょう」と付言したという。

『ワタン』によると、シリア政府からの弔問者のなかには、イブラーヒーム・ハドル・サーリム・ラタキア県知事らが含まれていたという。

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一方、スライマーン氏は逮捕に先立ち、フェイスブックで、自身への極刑が主唱されたラタキア市内での座り込みデモに関して「すべては明らかになるだろう。私は近く無実を証明する。(私が有罪だと)言い張るすべての者が処罰されるだろう」、「彼ら(デモ参加者)は、デモなどせず、ガーブ平原(ハマー県)で反体制武装集団と戦わねばならなかった…裏切り者、犬だ」、「ラッカ、イドリブ、タドムルを売った連中こそ処罰されなければならない…。みなが処罰されたら、自分が処罰されることも受け入れる」などと綴った。

AFP, August 10, 2015、AP, August 10, 2015、ARA News, August 10, 2015、Champress, August 10, 2015、al-Hayat, August 11, 2015、Iraqi News, August 10, 2015、Kull-na Shuraka’, August 10, 2015、al-Mada Press, August 10, 2015、Naharnet, August 10, 2015、NNA, August 10, 2015、Reuters, August 10, 2015、SANA, August 10, 2015、UPI, August 10, 2015、al-Watan, August 1, 2015などをもとに作成。

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ファトフ軍がイドリブ県にあるシーア派の町フーア市地下でトンネルを爆破、また「地獄の大砲」など1,000発以上で無差別砲撃(2015年8月10日)

イドリブ県では、クッルナー・シュラカー(8月10日付)によると、ファトフ軍がシリア政府支配下にあるフーア市に向かって掘削した地下トンネル内で爆弾を爆発させ、ヒズブッラー戦闘員、国防隊隊員数十人を殺害した。

この地下トンネルは、シャーム自由人イスラーム運動が掘削したもので、全長は350メートルに達し、フーア市内にまで達していたという。

Kull-na Shuraka', August 10, 2015
Kull-na Shuraka’, August 10, 2015

またシリア人権監視団によると、ファトフ軍はフーア市、カファルヤー町に対して「地獄の大砲」など1,000発以上を発射し、無差別砲撃を行うとともに、カファルヤー町一帯で、シャームの民のヌスラ戦線、ジュンド・アクサー機構などが、国防隊、ヒズブッラー戦闘員と交戦した。

これに対して、シリア軍も同地一帯を空爆した。

またファトフ軍はフーア市に通じる地下トンネルを爆破した直後、フーア市近郊のダイル・ザグブ地区でも爆弾を仕掛けた車を爆発させ、同地一帯に進軍したという。

これに関して、ドゥラル・シャーミーヤ(8月10日付)などは、ファトフ軍がフーア市への攻勢を強め、シリア軍側に数十人の死傷者が出たのに対し、シリア軍は「報復」としてジャルジャナーズ町、カンスフラ村、イフスィム町、カフルシャラーヤー村、ジューズィフ村、アリーハー市、ビンニシュ市などへの空爆を強化し、多数の民間人が死傷したと伝えた。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市スライマーン・ハラビー地区やシリア政府支配地域を反体制武装集団が砲撃し、子供2人を含む4人が死亡、20人が負傷した。

またマーリア市郊外のアサンバル村、フール・ナフル村、ウユーン村で住民20人以上が何者かによって拉致された。

さらにアフリーン市郊外のシャンカラ村からトルコ領内に入ろうとしたシリア人男性1人にトルコ国境警備隊が暴行を加え、シリア領に追い返した。

男性は負傷しており、その後病院に搬送されたという。

一方、SANA(8月10日付)によると、アレッポ市カスタル・ハラーミー地区、ライラムーン地区、旧市街、アシュラフィーヤ地区一帯、ナアナーイー地区、バニー・ザイド地区、科学研究センター一帯、バッラートで、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザバダーニー市に対してシリア軍ヘリコプターが10発以上の「樽爆弾」を投下、また第4師団、ヒズブッラー戦闘員、パレスチナ解放軍がシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動、地元武装集団と交戦した。

シリア軍とジハード主義武装集団はまた、タッル・クルディー町一帯でも交戦した。

一方、SANA(8月10日付)によると、シリア軍がレバノンのレジスタンス(ヒズブッラー戦闘員)とともにザバダーニー市でシャームの民のヌスラ戦線、シャーム自由人イスラーム運動など反体制武装集団との戦闘を続け、市内北部の建物群16カ所を制圧した。

他方、団結党(シリア・アラブ団結党)のムハンマド・アブー・カースィム書記長はフェイスブックで、ダマスカス郊外県ザバダーニー市での停戦に向け、同市内の反体制活動家や武装集団から7日に交渉の権限を付託されたと発表し、その文書を公開した。

Kull-na Shuraka', August 10, 2015
Kull-na Shuraka’, August 10, 2015

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ラタキア県では、SANA(8月10日付)によると、フルワ村、ラウダ村、アティーラ村などで、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(8月10日付)によると、ダルアー市・タファス市街道のチップス工場北部、シューマラ村、ガーリヤ村、イブタア町、ダーイル町で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、SANA(8月10日付)によると、タッル・ワースィト村、ザジュラム丘、アンカーウィー村、ザイズーン村、アルービー村、マンスーラ村一帯、タンジャラ村、ズィヤーラ村、カフルヌブーダ町、ザクーム村、ハウワーシュ村をシリア軍が空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、ARA News(8月10日付)によると、ファトフ軍がガーブ平原北部最大のシリア軍の拠点であるジューリーン基地(ズィヤーラ村に隣接)への攻撃を開始した。

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イドリブ県では、SANA(8月10日付)によると、ビンニシュ市、ウンム・ジャリーン村、アイン・スーダ村、タッル・サラムー村、トゥルア村、アブー・ズフール町一帯、カルクール村、マシュバク村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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NNA(8月10日付)によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール村郊外で、武装集団に所属するとされるシリア人容疑者6人を軍事情報局が逮捕した。

AFP, August 10, 2015、AP, August 10, 2015、ARA News, August 10, 2015、Champress, August 10, 2015、al-Hayat, August 11, 2015、Iraqi News, August 10, 2015、Kull-na Shuraka’, August 10, 2015、al-Mada Press, August 10, 2015、Naharnet, August 10, 2015、NNA, August 10, 2015、Reuters, August 10, 2015、SANA, August 10, 2015、UPI, August 10, 2015などをもとに作成。

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アレッポ市郊外のクワイリス航空基地でシリア軍とダーイシュ(イスラーム国)が激しく交戦(2015年8月10日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)の包囲が続くクワイリス航空基地一帯で、シリア軍とダーイシュの戦闘が続き、シリア軍が同地への空爆を行う一方、ダーイシュは爆弾を積んだ車3台で自爆攻撃を行うなどして、空港内への突入を試みた。

この戦闘で、シリア軍の士官12人(うち准将2人)を含む15人が死亡、ダーイシュ側も26人が死亡した。

一方、SANA(8月10日付)によると、シリア軍砲兵部隊が、クワイリス航空基地に潜入しようとしたダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、空軍による航空支援を受けてこれを撃退、戦闘員数十人を殲滅、装甲車などの装備を破壊した。

シリア軍はまたアレッポ市東部の航空士官学校一帯、ナアーミヤ丘一帯を空爆し、ダーイシュの戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、シリア人権監視団によると、スーラーン・アアザーズ村郊外のバッル村、タラーリーン村一帯では、ジハード主義武装集団とダーイシュが交戦した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がタドムル市郊外の柑橘農園一帯、ジャズル・ガス採掘所一帯、マハッサ地区などを空爆、またジャズル・ガス採掘所一帯、シャーイル・ガス採掘所一帯などでダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

シリア軍はこのほかにも、ダーイシュの支配下にあるカルヤタイン市を5回にわたり空爆した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)の支配下にあるマヤーディーン市の近代医学センター付近などを空爆し、少なくとも6人が死亡した。

一方、ダーイシュはブーカマール市で若者2人を公開処刑し、殺害した。

ヒムス県では、SANA(8月10日付)によると、カルヤタイン市一帯(マハッサ地区一帯)、タドムル市一帯(柑橘農園、ジャズル・ガス採掘所一帯、シャーイル・ガス採掘所一帯、マギーズィール村、フワイスィース村など)をシリア軍が空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、東カラムーン地方で、シャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団がダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

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ラッカ県では、クッルナー・シュラカー(8月10日付)にがラッカ市の複数の地元筋の話として、ダーイシュ(イシュラーム国)がテレビ視聴を禁止する通達をラッカ市住民に出していると報じた。

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ハサカ県では、ARA News(8月10日付)によると、有志連合がハサカ市東部に位置するサラーリーヤ村のダーイシュ(イスラーム国)拠点(村長邸)を空爆し、ダーイシュ戦闘員50人以上が死亡した。

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米中央軍(CENTCOM)は、8月10日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して30回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は6回におよび、ハサカ市近郊(5回)、アレッポ市近郊(1回)、アイン・イーサー市近郊(3回)、ダイル・ザウル市近郊(1回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, August 10, 2015、AP, August 10, 2015、ARA News, August 10, 2015、Champress, August 10, 2015、al-Hayat, August 11, 2015、Iraqi News, August 10, 2015、Kull-na Shuraka’, August 10, 2015、al-Mada Press, August 10, 2015、Naharnet, August 10, 2015、NNA, August 10, 2015、Reuters, August 10, 2015、SANA, August 10, 2015、UPI, August 10, 2015などをもとに作成。

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反体制ジャーナリスト・人権活動家のマーズィン・ダルウィーシュ氏釈放(2015年8月10日)

AFP(8月10日付)などによると、シリアの司法当局は反体制ジャーナリスト・人権活動家のマーズィン・ダルウィーシュ氏を釈放した。

釈放は7月半ばの大統領恩赦によるもの。

恩赦では「テロ撲滅に関する3法」による逮捕者のうち女性35人を含む240人が釈放されていた。

ダルウィーシュ氏は、シリア報道と表現の自由センター(反体制NGO)代表を務めていた2012年2月に同僚らとともに逮捕されていた。

ダルウィーシュ氏の裁判はまだ結審しておらず、次回の審理は8月31日に予定されているという。

AFP, August 10, 2015、AP, August 10, 2015、ARA News, August 10, 2015、Champress, August 10, 2015、al-Hayat, August 11, 2015、Iraqi News, August 10, 2015、Kull-na Shuraka’, August 10, 2015、al-Mada Press, August 10, 2015、Naharnet, August 10, 2015、NNA, August 10, 2015、Reuters, August 10, 2015、SANA, August 10, 2015、UPI, August 10, 2015などをもとに作成。

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ヌスラ戦線は、有志連合によるダーイシュ(イスラーム国)攻撃に参加しないため、アレッポ県北部の前線から撤退すると発表(2015年8月10日)

シャームの民のヌスラ戦線はインターネットを通じて声明を出し、米トルコ両国政府によるアレッポ県北部の「安全地帯設置」設置を受けるかたちで、同県北部の「ダーイシュ(イスラーム国)との前線からの撤退を宣言する」と発表した。

ヌスラ戦線は、米トルコ両政府が「安全地帯」に設置することに合意したとされる地域アレッポ県バーブ市北部のトルコ国境地帯の拠点をシャーム戦線、スルターン・ムラード・トゥルクマーニー旅団などに引き渡し、退去しているが、声明では撤退地域について具体的に言及はしていない。

撤退の理由に関して、ヌスラ戦線は、ダーイシュの殲滅をめざす有志連合に参加することが法的に認められず、戦闘への参加、支援、調整などはできない、としている。

AFP, August 10, 2015、AP, August 10, 2015、ARA News, August 10, 2015、Champress, August 10, 2015、al-Hayat, August 11, 2015、Iraqi News, August 10, 2015、Kull-na Shuraka’, August 10, 2015、al-Mada Press, August 10, 2015、Naharnet, August 10, 2015、NNA, August 10, 2015、Reuters, August 10, 2015、SANA, August 10, 2015、UPI, August 10, 2015などをもとに作成。

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