シリア軍がハマー県北部で敗退する一方、アレッポ市スライマーン・ハラビー地区の建物群を制圧(2015年8月9日)

ハマー県では、シリア人権監視団によると、ファトフ軍を構成するシャームの民のヌスラ戦線、ジュンド・アクサー機構、トルキスターン・イスラーム党、シャーム自由人イスラーム運動、ハック旅団、シャーム軍団、スンナ軍、第101歩兵師団、第111歩兵師団、アンサール・シャーム、アンサール・ディーン戦線、ガーブの鷹、山地の鷹旅団、ジュヌード・シャーム(チェチェン人)、アジュナード・シャーム・イスラーム連合などジハード主義武装集団が、シリア軍、国防隊、武装した住民、ヒズブッラー戦闘員との戦闘の末、グータ平原北端のマンスーラ村、タッル・ワースィト村、ズィヤーラ村、タンミヤ検問所、マンスーラ村郊外の穀物サイロを制圧した。

ファトフ軍などの進軍を受け、スハイル・ハサン大佐率いるシリア軍部隊、国防隊は、ジューリーン基地方面への戦術的撤退を余儀なくされたという。

これに対して、シリア軍戦闘機が7回にわたり空爆を行う一方、ヘリコプターが「樽爆弾」など80発を投下し、反体制武装集団戦闘員数十人が死亡した。

一方、SANA(8月9日付)によると、ズィヤーラ村・ザイズーン村・ズィヤーディーヤ村一帯、ザクーム村、ハミーディーヤ村、アルバイーン村をシリア軍が空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がシャームの民のヌスラ戦線などファトフ軍によって包囲されているアブー・ズフール航空基地一帯、フーア市一帯、カファルヤー一帯、ザーウィヤ山のバルユーン村各所、ジスル・シュグール市を空爆した。

一方、SANA(8月9日付)によると、アブー・ズフール航空基地周辺、カルクール村、マシュバク村をシリア軍が空爆し、ファトフ軍の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がアレッポ市シャッアール地区、サーフール地区を砲撃する一方、ジハード主義武装集団もザフラー協会地区のムスタファー・アッカード学校一帯を砲撃した。

またブライジュ村一帯では、シリア軍、国防隊、パレスチナ人のクドス旅団、ヒズブッラー戦闘員、イラン人・アフガン人戦闘員が、ムハーリジーン・ワ・アンサール軍(チェチェン人)が参加するアンサール・ディーン戦線などのジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(8月9日付)によると、シリア軍がアレッポ市各所(スライマーン・ハラビー地区、アシュラフィーヤ地区、ハーリディーヤ地区、ブスターン・バーシャー地区、ザイダーン・ガソリン・スタンド一帯など)でシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦し、スライマーン・ハラビー地区内のビル群多数を制圧した。

SANAによると、スライマーン・ハラビー地区一帯でのシリア軍の作戦は、同地にある貯水場を掌握し、アレッポ市内への水道供給を確保するため。

シリア軍はまた、アレッポ市西部の科学研究センター一帯で反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

SANA, August 9, 2015
SANA, August 9, 2015

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がザバダーニー市各所に「樽爆弾」12発を投下、国防隊、ヒズブッラー戦闘員とともに、ジハード主義武装集団、地元の武装集団と交戦した。

また、ダーライヤー市一帯でも、シリア軍、国防隊がジハード主義武装集団と交戦、シリア軍が「樽爆弾」を投下した。

このほか、ムウダミーヤト・シャーム市各所もシリア軍によると思われる迫撃砲弾複数初が着弾した。

一方、SANA(8月9日付)によると、シリア軍がレバノンのレジスタンス(ヒズブッラー戦闘員)とともに、ザバダーニー市内で反体制武装集団に対する戦闘を続け、西部地区、ザフラー地区内のビル群複数カ所を新たに制圧した。

他方、クッルナー・シュラカー(8月9日付)は、空軍情報部が、ヒズブッラーの司令官を口論の末に殺害したとされるシリア軍第4師団の士官1人をダーライヤー市で逮捕したと伝えた。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団、SANA(8月10日付)などによると、中心街に位置するサウラ通り、バグダード通り、バーブ・トゥーマー地区、アッバースィーイーン地区に対して「テロリスト」が迫撃砲で攻撃を加え、子供3人を含む11人が死亡、46人が負傷した。

迫撃砲はシャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団の支配下にあるジャウバル区内から発射されたという。

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ラタキア県では、SANA(8月9日付)によると、シリア軍がリーハーニーヤ村で、武器弾薬を積んだ反体制武装集団の車輌を攻撃、破壊した。

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ダルアー県では、SANA(8月9日付)によると、サムリーン村、ラフム村、東カラク村、ダルアー市内各所で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(8月9日付)によると、ジュャバーター・ハシャブ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, August 9, 2015、AP, August 9, 2015、ARA News, August 9, 2015、Champress, August 9, 2015、al-Hayat, August 10, 2015、Iraqi News, August 9, 2015、Kull-na Shuraka’, August 9, 2015、al-Mada Press, August 9, 2015、Naharnet, August 9, 2015、NNA, August 9, 2015、Reuters, August 9, 2015、SANA, August 9, 2015、UPI, August 9, 2015などをもとに作成。

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ダーイシュ(イスラーム国)が反体制武装集団支配下のアレッポ県北部ウンム・フーシュ村を制圧、ヌスラ戦線は米トルコが設置したアレッポ県北部の「安全保障地帯」からの撤退を続ける(2015年8月9日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、ジハード主義武装集団などの支配下にあるウンム・フーシュ村で、戦闘員が自爆攻撃などを行い、ジハード主義者18人を殲滅、同地を制圧した。

この戦闘で、ダーイシュ側にも10人の死者が出たという(ダーイシュのアアマーク通信によると、戦闘でのジハード主義者の死者は36人)。

またクッルナー・シュラカー(8月9日付)によると、アル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線が、バーブ市北部のトルコ国境地帯に位置するハワール・キリス村、ダルハ村から6日に退去したのに続き、ハルジャラ村から撤退した。

ハルジャラ村は、米トルコ両政府が「安全地帯」に設置することに合意したとされる地域内に位置する。

一方、SANA(8月9日付)によると、アレッポ市東部の航空士官学校一帯で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)の支配下にあるカルヤタイン市一帯を空爆し、同市郊外で交戦した。

シリア軍はまたタドムル市郊外一帯に対しても空爆を行った。

一方、SANA(8月9日付)によると、シリア軍がカルヤタイン市を空爆し、ダーイシュ(イスラーム国)のサウジ人、チュニジア人戦闘員数十人を殺害した。

シリア軍はまた、タドムル市西部の燃料供給所、採石場東部一帯、スルターニーヤ村、アブー・タッラーハ村、タルファーウィー村、サアン町などを空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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スワイダー県では、シリア人権監視団によると、ブラーク村近郊の街道に仕掛けられた爆弾が爆発し、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員7人が死亡した。

爆弾はシリア軍が仕掛けたものと思われる。

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ハサカ県では、ARA News(8月9日付)によると、タッル・ブラーク町郊外で西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

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大西洋条約機構(NATO)常駐アメリカ政府代表はツイッターを通じて、米空軍のF-16戦闘機6機が、ダーイシュ(イスラーム国)に対する作戦に参加するため、トルコ南東部のインジルリク空軍基地に配備された、と発表した。

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米中央軍(CENTCOM)は、8月9日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して29回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は8回におよび、ハサカ市近郊(5回)、アレッポ市近郊(1回)、ラッカ市近郊(1回)、タッル・アブヤド市近郊(1回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

AFP, August 9, 2015、AP, August 9, 2015、ARA News, August 9, 2015、Champress, August 9, 2015、al-Hayat, August 10, 2015、Iraqi News, August 9, 2015、Kull-na Shuraka’, August 9, 2015、al-Mada Press, August 9, 2015、Naharnet, August 9, 2015、NNA, August 9, 2015、Reuters, August 9, 2015、SANA, August 9, 2015、UPI, August 9, 2015などをもとに作成。

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ロシアのラブロフ外相「ダーイシュ(イスラーム国)撲滅を効果的に進めるためにはダブル・スタンダードを止め、アサド政権を「テロとの戦い」におけるパートナーとみなす必要がある」(2015年8月9日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、ロシア国営テレビ「チャンネル1」のインタビューに応じ、そのなかでシリア情勢について触れ、欧米諸国が「ダーイシュ(イスラーム国)撲滅を効果的に進めるためにはダブル・スタンダードを止め、アサド政権を「テロとの戦い」におけるパートナーとみなす必要がある」と述べた。

ラブロフ外務大臣は「我々はジョン・ケリー米国務長官と、ヴラジミール・プーチン大統領が示したダーイシュとの戦いに向けた統一戦線の必要について検討した…。ダーイシュに邪悪な考え方を実現させようように皆がしたいのであれば、シリア情勢以外の情勢に関しても、我々はテロリストを良いテロリストと悪いテロリストに区別することを止めるべき…と提言している」と述べた。

また米国主導の有志連合が、イラクへの空爆時とは異なり、シリアでの空爆を開始する際にシリア政府の合意を得なかったことについては、「もしそうしていれば、有志連合は(シリア政府から)合意を得られただろう。また安保理は、有志連合の作戦に正当性を付与することもでき…、空爆に関するいかなる曖昧さもなかったはずだ」と付言した。

ラブロフ外相はさらに、米軍がシリアの「穏健な反体制派」を軍事教練していることに関して、「米国は、もし政府軍がこの戦闘員(米軍の教練を受けた「穏健な反体制派」)と軍事的に衝突し、その活動が妨害された場合、政府軍を攻撃すると述べた。私は、テーブルに座って、シリア軍、こうした戦闘員、そしてクルド人が参加して、すべてを検討することで合意した方が簡単なのではないかと問いかけた…。米国は自分たちが教練した戦闘員をシリア軍が攻撃しなければ、シリア軍の拠点を攻撃しないと言う。しかし、率直に言えば、間違えるのは非常に簡単だ…。米軍が「地上」にいない状況で、アフガニスタンで起こったような間違いが起こるのは、非常に簡単なことだと思う。私はケリー国務長官に、取り返しのつかないミスが、後に誰もコントロールできないほどのレベルにまで状況を「爆発」させる恐れがあると率直に警告した」と語った。

一方、シリア国内での化学兵器使用疑惑に関しては、2013年のシリアの化学兵器禁止条約への加盟を受けた化学兵器禁止機関(OPCW)の監視下での化学兵器関連物質・施設の廃棄により「問題は成功裏に解決した」としたうえで、塩素ガスなどの使用疑惑に絡め「シリア国内に申告されていない化学兵器があるといった言説がしばしばある。しかしこの問題は調査中であり、根拠のない嫌疑をかけるべきではない…。シリアが緊密に協力を継続すると確信できるあらゆる理由がある」と強調した。

SANA(8月9日付)、『ハヤート』(8月10日付)などが伝えた。

AFP, August 9, 2015、AP, August 9, 2015、ARA News, August 9, 2015、Champress, August 9, 2015、al-Hayat, August 10, 2015、Iraqi News, August 9, 2015、Kull-na Shuraka’, August 9, 2015、al-Mada Press, August 9, 2015、Naharnet, August 9, 2015、NNA, August 9, 2015、Reuters, August 9, 2015、SANA, August 9, 2015、UPI, August 9, 2015などをもとに作成。

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アサド大統領の甥のスライマーン氏への極刑を求めるデモがラタキア市で発生し、1,000人以上が参加(2015年8月9日)

ラタキア県では、シリア人権監視団などによると、アサド大統領の甥のスライマーン・アサド氏が7日ラタキア市内でハッサーン・シャイフ空軍大佐を射殺したとされる事件に抗議する座り込みデモが8日晩から9日にかけてズィラーア交差点で行われ、住民ら1,000人以上が参加した。

Kull-na Shuraka', August 9, 2015
Kull-na Shuraka’, August 9, 2015

デモ参加者は、スライマーン氏の処刑を主唱し、「国民は大佐(シャイフ空軍大佐のこと)のための報復を望む」、「我々はお前の首が欲しい、スライマーンよ」といったシュプレヒコールを叫び、抗議したという。

また、スライマーン氏の生地であるラタキア県バスナーダー村の住民もデモに参加し、スライマーン氏が処罰されるまで座り込みを続けるよう参加者に呼びかけた。

クッルナー・シュラカー(8月9日付)によると、デモは、8日のバスナーナー村での葬儀と埋葬終了後に同村で始まり、8日晩にラタキア市内に拡大し、ズィラーア交差点で座り込みデモに発展したという。

なお、スライマーン氏本人および家族は、フェイスブックなどを通じてスライマーン氏の無罪を主張している。

Kull-na Shuraka', August 9, 2015
Kull-na Shuraka’, August 9, 2015

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トルコのイスタンブールで活動するシリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、スライマーン氏によるシャイフ空軍大佐殺害に関して「政権が軍、民兵に対して、シリア人弾圧の継続を奨励する見本」と非難した。

AFP, August 9, 2015、AP, August 9, 2015、ARA News, August 9, 2015、Champress, August 9, 2015、al-Hayat, August 10, 2015、Iraqi News, August 9, 2015、Kull-na Shuraka’, August 9, 2015、al-Mada Press, August 9, 2015、Naharnet, August 9, 2015、NNA, August 9, 2015、Reuters, August 9, 2015、SANA, August 9, 2015、UPI, August 9, 2015などをもとに作成。

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クッルナー・シュラカー:タッル・アブヤド市でダーイシュ(イスラーム国)が地元出身のメンバーを粛清(2015年8月9日)

ラッカ県では、クッルナー・シュラカー(8月9日付)によると、タッル・アブヤド市で、地元出身のダーイシュ(イスラーム国)メンバー(アンサール)が2週間ほど前に、市内のチェックポイント(第11チェックポイント)近くで、外国人幹部(ムハーリジーン)と激しい口論の末に撃ち合いとなり、地元出身のメンバー3人が死亡した。

事件は、地元出身のメンバーが外国人幹部への不満を募らせ、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊にタッル・アブヤド市を明け渡そうとしているとの嫌疑が高まるなかで発生、ラッカ州の統治者(ワーリー)のアブー・ルクマーン(アリー・ムーサー・シャウワーフ氏)と北部地区司令官(アミール)のアブー・アフマド(ファイサル・バッルー氏)は事態に対処するために、地元出身のメンバー47人を逮捕、投獄するよう指示し、47人は1週間にわたり拷問を加えたという。

逮捕された47人のなかには、タフリー・アブー・アフマド・シャマーリー氏(タッル・アブヤド市イスラーム法廷第1判事)、ハリール・アフマド・アッカール・ナイーミー氏らタッル・アブヤド市出身のダーイシュの重要なメンバーも含まれており、彼らは逮捕直後、ダーイシュ・メンバーを解任されたという。

AFP, August 9, 2015、AP, August 9, 2015、ARA News, August 9, 2015、Champress, August 9, 2015、al-Hayat, August 10, 2015、Iraqi News, August 9, 2015、Kull-na Shuraka’, August 9, 2015、al-Mada Press, August 9, 2015、Naharnet, August 9, 2015、NNA, August 9, 2015、Reuters, August 9, 2015、SANA, August 9, 2015、UPI, August 9, 2015などをもとに作成。

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アレッポ市内の反体制派がシリア・ポンドに代えてトルコ・リラの使用を宣言(2015年8月9日)

シリア解放区通貨交換委員会はアレッポ市内で記者会見を開き、「革命武装集団、諸団体、裁判所とともに、シリアの通貨の代わりにトルコの通貨を使用することを決定し、シリア政府に経済的に圧力をかけ、その打倒と新通貨の発行をめざす」と発表した。

『ハヤート』(8月11日付)によると、アレッポ県のシャリーア法廷、地元評議会といった団体がすでにトルコの通貨(トルコ・リラ)の使用を始めていたという。

AFP, August 10, 2015、AP, August 10, 2015、ARA News, August 10, 2015、Champress, August 10, 2015、al-Hayat, August 11, 2015、Iraqi News, August 10, 2015、Kull-na Shuraka’, August 10, 2015、al-Mada Press, August 10, 2015、Naharnet, August 10, 2015、NNA, August 10, 2015、Reuters, August 10, 2015、SANA, August 10, 2015、UPI, August 10, 2015などをもとに作成。

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