ロシア軍がシリア領内で侵攻作戦を継続するトルコ軍とハワール・キリス作戦司令室を支援するかたちでバーブ市一帯のダーイシュ拠点を初めて爆撃(2016年12月29日)

アレッポ県では、『12月30日付』などによると、トルコ軍と「ユーフラテスの盾」作戦を続行するハワール・キリス作戦司令室が攻略をめざすバーブ市内のダーイシュ(イスラーム国)の複数拠点に対して、ロシア軍戦闘機が空爆を実施した。

ロシア軍戦闘機が、トルコ軍とハワール・キリス作戦司令室を空爆支援するのはこれが初めて。

ロシア軍によるバーブ市空爆は、ロシアとトルコの仲介により30日午前0時に発効予定のシリア軍と反体制派の停戦合意を受けた動きだと思われる。

なお、シリア人権監視団によると、ロシア軍は28日にもバーブ市を空爆したという。

AFP, December 29, 2016、AP, December 29, 2016、ARA News, December 29, 2016、Champress, December 29, 2016、al-Hayat, December 29, 2016、Iraqi News, December 29, 2016、Kull-na Shuraka’, December 29, 2016、al-Mada Press, December 29, 2016、Naharnet, December 29, 2016、NNA, December 29, 2016、Reuters, December 29, 2016、SANA, December 29, 2016、UPI, December 29, 2016などをもとに作成。

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エジプト外務省は全土停戦を歓迎(2016年12月29日)

エジプト外務省は声明を出し、トルコおよびロシアの仲介のもと、30日午前0時に発効予定のシリア政府と反体制武装集団7組織の全土停戦に歓迎の意を示した。

SANA(12月29日付)が伝えた。

AFP, December 29, 2016、AP, December 29, 2016、ARA News, December 29, 2016、Champress, December 29, 2016、al-Hayat, December 29, 2016、Iraqi News, December 29, 2016、Kull-na Shuraka’, December 29, 2016、al-Mada Press, December 29, 2016、Naharnet, December 29, 2016、NNA, December 29, 2016、Reuters, December 29, 2016、SANA, December 29, 2016、UPI, December 29, 2016などをもとに作成。

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停戦交渉に参加した反体制武装集団使節団のアブー・ザイド氏はダーイシュとYPGが停戦から除外されていると述べつつ、シャーム・ファトフ戦線の処遇には触れず(2016年12月29日)

オリエント・ネット(12月29日付)は、ロシアとトルコが仲介する全土停戦に向けたシリア政府と反体制武装集団代表の間接交渉で、反体制武装集団側が提示した停戦案を入手したと報じ、その内容を公開した。

オリエント・ネットによると、反体制武装集団側は、ダーイシュ(イスラーム国)の支配地域のみを停戦から除外するよう求めており、シャーム・ファトフ戦線については言及していなかったという。

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トルコの首都アンカラで交渉にあたっていた反体制武装集団の代表団の報道官を務めるウサーマ・アブー・ザイド氏は、SNN(12月29日付)に対して、停戦合意に署名した当事者は2017年1月にカザフスタンのアスタナで予定されているシリア政府との和平協議(アスタナ会議)に参加するために1ヶ月間を目処に停戦を遵守する予定だと述べた。

アブー・ザイド氏によると、停戦合意に署名したのは13の反体制武装集団で、ダーイシュ(イスラーム国)と西クルディスタン移行期民政局を主導する民主統一党(PYD)は停戦対象から除外されているという。

しかし、反体制武装集団が共闘するシャーム・ファトフ戦線については言及しなかった。

また、1月のアスタナ会議には、リヤド最高交渉委員会、反体制武装集団などからなる反体制派が参加し、いわゆる「モスクワ・リスト」と称される反体制組織は参加しないだろうと付言した。

なお、アブー・ザイド氏によると、停戦合意は5ページからなり、その内容は以下5点に要約されるという。

1. 反体制派は停戦合意を受け、停戦発効から1ヶ月以内に政治的解決に向けた交渉に参加参加する。
2. 交渉に参加する両当事者はシリアの問題の解決にいたるために行動する。
3. 交渉プロセスは、トルコとロシアによって代表される当時者の保証のもとに行われる。
4. 停戦発効に関わる詳細。
5. 政治プロセスは2012年のジュネーブ合意、国連安保理決議第2254号に基づく。

イナブ・バラディー(12月29日付)などが伝えた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ラマダーン広報局長はAFP(12月29日付)に大使、ロシアとトルコの仲介により30日午前0時発効予定の停戦合意に歓迎の意を示したうえで、停戦合意には、シャーム自由人イスラーム運動、イスラーム軍、シャーム軍団、ヌールッディーン・ザンキー運動などが署名したことを明らかにした。

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リヤド最高交渉委員会は声明を出し、30日午前0時発効予定のロシア、トルコ仲介によるシリア政府と反体制武装集団7組織の停戦合意に歓迎の意を表明した。

Kull-na Shuraka', December 30, 2016
Kull-na Shuraka’, December 30, 2016

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民主的変革諸勢力国民調整委員会は声明を出し、30日午前0時に発効するロシア・トルコ仲介のシリア政府と反体制武装集団7組織による停戦合意に歓迎の意を表した。

AFP, December 29, 2016、AP, December 29, 2016、ARA News, December 29, 2016、Champress, December 29, 2016、al-Hayat, December 29, 2016、‘Inab Baladi, December 29, 2016、Iraqi News, December 29, 2016、Kull-na Shuraka’, December 29, 2016、December 30, 2016、al-Mada Press, December 29, 2016、Naharnet, December 29, 2016、NNA, December 29, 2016、Orient Net, December 29, 2016、Reuters, December 29, 2016、SANA, December 29, 2016、SNN, December 29, 2016、UPI, December 29, 2016などをもとに作成。

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トルコのユルドゥルム首相「YPG、ダーイシュ、ヌスラ戦線は停戦の対象ではない」(2016年12月29日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、30日午前0時発効予定のシリア政府と反体制武装集団7組織の停戦に関して「シリアでの戦闘を終結させる歴史的機会」と述べた。

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トルコのビンアリ・ユルドゥルム首相は、30日午前0時に発効予定の停戦合意に関して、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊(YPG)は停戦から除外されると発表した。

ユルドゥルム首相は「YPGはテロ組織であり、我々がテロ組織と分類する組織がシリアの問題解決の一部をなすことはできず、政治的解決のために当時者が集うに際して、交渉のテーブルにつくことはできない」と述べた。

ユルドゥルム首相はまた、「ダーイシュ(イスラーム国)とヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)は停戦の対象ではない」と強調した。

AFP, December 29, 2016、AP, December 29, 2016、ARA News, December 29, 2016、December 30, 2016、Champress, December 29, 2016、al-Hayat, December 29, 2016、Iraqi News, December 29, 2016、Kull-na Shuraka’, December 29, 2016、al-Mada Press, December 29, 2016、Naharnet, December 29, 2016、NNA, December 29, 2016、Reuters, December 29, 2016、SANA, December 29, 2016、UPI, December 29, 2016などをもとに作成。

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ロシアは全土停戦を監視するためのホットラインをトルコと開設する一方、トランプ米新政権に停戦への参加を呼びかける意向(2016年12月29日)

ロシアのヴラジミール・プーチン大統領は、セルゲイ・ラブロフ外務大臣、セルゲイ・ショイグ国防大臣とシリア情勢への対応を協議するための会合を開き、トルコおよびロシアの仲介のもと、30日午前0時に発効予定のシリア政府と反体制武装集団7組織の全土停戦に関して、シリア政府を支援し、同国内での「テロとの戦い」を継続する意思を示した。

プーチン大統領は、「成立した合意はもちろん脆く、特別なケアが必要となる…。しかし、それは我が国の国防省、国防省、そして地域の我々のパートナーの協業と努力の具体的な結果だ」と述べ、トルコの取り組みを高く評価、シリア全土停戦に関して「ロシア、イラン、トルコは停戦監視の責任を負うとともに、和平プロセスを保障するための役割を果たす」と強調した。

ロシア国防省によると、シリア政府との停戦に応じた反体制武装集団は、シャーム軍団、シャーム自由人イスラーム運動、イスラーム軍、シャーム革命家、ムジャーヒディーン軍、イドリブ自由軍、シャーム戦線の7組織で、その兵力は6万2,000人におよぶという。

一方、ロシア大統領府は、プーチン大統領とレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が電話会談で、ダーイシュ(イスラーム国)を筆頭とするテロ組織を停戦から除外することを改めて確認したと発表した。

RT(12月29日付)などが伝えた。

SANA, December 29, 2016
SANA, December 29, 2016

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プーチン大統領との会合に出席したショイグ国防大臣は、停戦が除外される組織に関して「停戦合意に参加しない武装した反体制派はテロリストとみなされる」としたうえで、停戦監視のためのホットラインをトルコと開設したことを明らかにした。

また、トルコとの間で停戦に向けて2ヶ月にわたって、反体制武装集団の拠点を地図に記すことを中心に協議を重ねてきたと付言した。

一方、ラブロフ外務大臣は、「ロシアは国連加盟国に対してシリアをめぐる合意の実施に参加するよう呼びかけることになる。ドナルド・トランプ氏を指導者とする新生米国に参加を求めることになる」と述べた。

AFP, December 29, 2016、AP, December 29, 2016、ARA News, December 29, 2016、Champress, December 29, 2016、al-Hayat, December 29, 2016、Iraqi News, December 29, 2016、Kull-na Shuraka’, December 29, 2016、al-Mada Press, December 29, 2016、Naharnet, December 29, 2016、NNA, December 29, 2016、Reuters, December 29, 2016、RT, December 29, 2016、SANA, December 29, 2016、UPI, December 29, 2016などをもとに作成。

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シリア軍はタイフール航空基地近郊のシャリーファ村一帯の丘陵地帯をダーイシュから奪取(2016年12月29日)

ヒムス県では、SANA(12月29日付)によると、シリア軍がタドムル市西部郊外に位置するタイフール航空基地に近いシャリーファ村周辺の丘陵地帯をダーイシュ(イスラーム国)との交戦の末に制圧した。

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アレッポ県では、SANA(12月29日付)によると、シリア軍がアレッポ市東部郊外の航空士官学校に近いラスム・ハルマル・イマーム町でダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

AFP, December 29, 2016、AP, December 29, 2016、ARA News, December 29, 2016、Champress, December 29, 2016、al-Hayat, December 29, 2016、Iraqi News, December 29, 2016、Kull-na Shuraka’, December 29, 2016、al-Mada Press, December 29, 2016、Naharnet, December 29, 2016、NNA, December 29, 2016、Reuters, December 29, 2016、SANA, December 29, 2016、UPI, December 29, 2016などをもとに作成。

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シリア軍はダーイシュ、シャーム・ファトフ戦線、両組織とつながりがある組織以外の反体制武装集団と30日午前0時から全土で停戦に入ると発表(2016年12月29日)

シリア軍武装部隊総司令部は声明を出し、12月30日午前0時からシリア国内全土で戦闘を停止する発表した。

声明によると、「戦闘停止にかかる決定は、ダーイシュ(イスラーム国)とヌスラ戦線(シャーム・ファトフ戦線)の2組織と、両組織とつながりがある組織を除外する」という。

SANA(12月29日付)が伝えた。

「両組織とつながりがある組織」が何を指すかは不明。

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シリアのワリード・ムアッリム副首相兼外務在外居住者大臣は、シリア・アラブ・テレビ(12月29日付)のイタンビューに応じ、そのなかで30日午前0時発効予定の停戦合意に関して「政治的問題解決に向けた真の機会となる」と述べた。

SANA, December 29, 2016
SANA, December 29, 2016

AFP, December 29, 2016、AP, December 29, 2016、ARA News, December 29, 2016、Champress, December 29, 2016、al-Hayat, December 29, 2016、Iraqi News, December 29, 2016、Kull-na Shuraka’, December 29, 2016、al-Mada Press, December 29, 2016、Naharnet, December 29, 2016、NNA, December 29, 2016、Reuters, December 29, 2016、SANA, December 29, 2016、UPI, December 29, 2016などをもとに作成。

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ダマスカス郊外県各所への爆撃で25人あまりが死亡する一方、シリア政府支配下の首都ダマスカス、アレッポ市への砲撃で2人が死亡(2016年12月29日)

ダマスカス郊外県では、クッルナー・シュラカー(12月29日付)によると、戦闘機(所属明示せず)がアルバイン市、ザマルカー町、ドゥーマー市などを空爆し、25人あまりが死亡した。

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ダマスカス県では、SANA(12月29日付)によると、イスラーム軍が迫撃砲を発射し、首都中心街にタジュヒーズ地区にあるジャイダト・ハーシミー学校(旧タジュヒーズ校)周辺に砲弾複数発が着弾し、7人が負傷した。

砲弾はまた、マズラア地区にも1発着弾し、2人が負傷した。

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アレッポ県では、SANA(12月29日付)によると、アレッポ市西部・南部郊外一帯を支配下に置くアル=カーイダ系シャーム・ファトフ戦線、シャーム自由人イスラーム運動などからなるファトフ軍がアレッポ市ハムダーニーヤ地区、ハラブ・ジャディーダ地区、旧メリディアン・ホテル一帯、ハムダーニーヤ地区を砲撃し、2人が死亡、12人が負傷した。

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ヒムス県では、SANA(12月29日付)によると、シリア軍がサアン・アスワド村でシャーム・ファトフ戦線などからなる反体制武装集団と交戦した。

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ダルアー県では、SANA(12月29日付)によると、シリア軍がタファス市、西ガーリヤ橋北西部一帯、ダルアー市製鉄工場南部一帯、シャーム・ファトフ戦線、ムウタッズ軍などからなる反体制武装集団と交戦した。

AFP, December 29, 2016、AP, December 29, 2016、ARA News, December 29, 2016、Champress, December 29, 2016、al-Hayat, December 29, 2016、Iraqi News, December 29, 2016、Kull-na Shuraka’, December 29, 2016、al-Mada Press, December 29, 2016、Naharnet, December 29, 2016、NNA, December 29, 2016、Reuters, December 29, 2016、SANA, December 29, 2016、UPI, December 29, 2016などをもとに作成。

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米主導の有志連合は12月28日にシリア領内で8回の爆撃を実施する一方、ラッカ市郊外の爆撃でダーイシュ幹部のアブー・ジャンダル・クワイティーを殺害したと発表(2016年12月29日)

米中央軍(CENTCOM)は、12月28日のシリア、イラク両国における有志連合の空爆の戦果をHPで発表した。

それによると、有志連合は両国領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して11回の空爆を実施、このうちシリア領内での空爆は8回で、ブーカマール市近郊(1回)、ラッカ市近郊(6回)、タドムル市近郊(1回)に対して攻撃が行われた。

CENTCOMはまた、26日にラッカ市郊外(タブカ・ダム近郊)で実施した空爆で、ダーイシュ(イスラーム国)幹部の一人アブー・ジャンダル・クワイティー氏が死亡したことを確認したと発表した。

AFP, December 29, 2016、AP, December 29, 2016、ARA News, December 29, 2016、Champress, December 29, 2016、al-Hayat, December 29, 2016、Iraqi News, December 29, 2016、Kull-na Shuraka’, December 29, 2016、al-Mada Press, December 29, 2016、Naharnet, December 29, 2016、NNA, December 29, 2016、Reuters, December 29, 2016、SANA, December 29, 2016、UPI, December 29, 2016などをもとに作成。

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