ロシアのプーチン大統領はアサド大統領に親書を送り、アレッポ県アフリーン市に迫るトルコ軍に対峙するためのシリア軍監視所の位置を指定(2018年3月11日)

『シャルク・アウサト』(3月11日付、イブラーヒーム・ハミーディー記者)は、「オリーブの枝」作戦を続行するトルコ軍と反体制武装集団によるアレッポ県アフリーン市制圧が現実味を帯びるなか、ロシアのヴラジミール・プーチン大統領がアサド大統領に親書を送ったと伝えた(https://aawsat.com/home/article/1200911/)。

同紙によると、ロシア軍高官1名が2日前(9日)、プーチン大統領の親書を携えてシリアの首都ダマスカスを訪問、アサド大統領に手渡した。

親書には、トルコ軍に対峙するかたちでシリア軍が展開するアレッポ県北部の監視所を明確に指定していたという。

この高官はまた、書簡とともに、シリア軍が展開すべき監視所を記した地図を手渡した。

そこには、反体制武装集団の拠点都市であるアアザーズ市近郊、西クルディスタン移行期民政局支配下のタッル・リフアト市近郊、シリア政府支配下のヌッブル町、ザフラー市近郊の10カ所が指定されていたほか、アスタナ会議の保証国であるロシア、トルコ、イランの合意のもとに設置合意された7つの監視所も書き込まれていたという。

これらは、トルコ軍とロジャヴァの衝突を回避するための監視所で、トルコ軍はこれらに対峙するかたちで、イドリブ県、ハマー県、アレッポ県内に同様の監視所を12、ないしは13カ所設置する予定だという。

AFP, March 12, 2018、ANHA, March 12, 2018、AP, March 12, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 12, 2018、al-Hayat, March 13, 2018、Reuters, March 12, 2018、SANA, March 12, 2018、al-Sharq al-Awsat, March 11, 2018、UPI, March 12, 2018などをもとに作成。

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無人航空機が再びロシア軍司令部のあるフマイミーム航空基地への攻撃を試みる(2018年3月11日)

ラタキア県では、シリア軍およびその同盟勢力の軍事攻勢を分析するサイト「ノールス研究センター」(2月11日付)によると、「テロリスト」が9日早朝、シリア駐留ロシア軍司令部のあるフマイミーム航空基地に対して無人航空機複数機で攻撃を試みた。

これに対して、ロシア軍は防空システムで迎撃し、航空機が基地に到達する前に撃墜した。

AFP, March 11, 2018、ANHA, March 11, 2018、AP, March 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 11, 2018、al-Hayat, March 12, 2018、Nors for Studies, March 11, 2018、Reuters, March 11, 2018、SANA, March 11, 2018、UPI, March 11, 2018などをもとに作成。

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タウヒード軍は最高交渉委員会を脱会(2018年3月11日)

タウヒード軍は声明を出し、ジュネーブ会議に参加する反体制派代表団の一つ最高交渉委員会からの脱会を宣言した。

最高交渉委員会に交渉に向けた明確なヴィジョンがないことなどが脱会の理由。

al-Durar al-Shamiya, March 11, 2018

AFP, March 11, 2018、ANHA, March 11, 2018、AP, March 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 11, 2018、al-Hayat, March 12, 2018、Reuters, March 11, 2018、SANA, March 11, 2018、UPI, March 11, 2018などをもとに作成。

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シリア国民連合傘下の自由シリア軍参謀委員会はクルド人にYPGの軍事拠点に近づかないよう警告(2018年3月11日)

シリア革命反体制国民連立傘下の暫定内閣(国防省)が所轄する自由シリア軍参謀委員会は声明を出し、「オリーブの枝」作戦を続行するトルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が迫るアレッポ県アフリーン市一帯の住民に対して、「テロ支配地域にいるクルド人民よ、軍事拠点から離れ、民兵(西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊(YPG))が発進する噂に惑わされるな」と呼びかけた。

al-Durar al-Shamiya, March 11, 2018

AFP, March 11, 2018、ANHA, March 11, 2018、AP, March 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 11, 2018、al-Hayat, March 12, 2018、Reuters, March 11, 2018、SANA, March 11, 2018、UPI, March 11, 2018などをもとに作成。

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マティス米国防長官「アサド政権が化学兵器を使用すると決断するのは賢明でない」(2018年3月11日)

ジェームズ・マティス米国防長官は、ダマスカス郊外県東グータ地方に対するシリア軍の攻勢に関して、「もう一度強調したい。化学兵器を使用するという決断は(シリア軍にとって)賢明なことではない。ドナルド・トランプ大統領は政権発足当初からこのことを明言してきた」と述べた。

ロイター通信(3月11日付)が伝えた。

AFP, March 11, 2018、ANHA, March 11, 2018、AP, March 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 11, 2018、al-Hayat, March 12, 2018、Reuters, March 11, 2018、SANA, March 11, 2018、UPI, March 11, 2018などをもとに作成。

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シャーム解放機構とシリア解放戦線の休戦交渉は決裂(2018年3月11日)

シャーム解放機構は声明を出し、シャーム軍団、アフラール軍、トルキスタン・イスラーム党の仲介によるシリア解放戦線との48時間の休戦合意を受け入れたが、シリア解放戦線側がこれを拒否したと主張した。

声明において、シャーム解放機構は、戦闘停止へのいかなるイニシアチブを歓迎するとしつつ、「裏切らないこと」を条件とし、シリア解放戦線にとって、停戦交渉がダマスカス郊外県東グータ地方などでシャーム解放機構を排除するための「時間稼ぎ」に過ぎないと批判した。

al-Durar al-Shamiya, March 11, 2018
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一方、シリア解放戦線も声明を出し、シャーム軍団などの仲介による休戦に向けた交渉が決裂したことを明らかにした。

シャーム解放機構側が休戦の前に停戦するという無理難題を求めたために決裂したのだという。

al-Durar al-Shamiya, March 11, 2018
al-Durar al-Shamiya, March 11, 2018

AFP, March 11, 2018、ANHA, March 11, 2018、AP, March 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 11, 2018、al-Hayat, March 12, 2018、Reuters, March 11, 2018、SANA, March 11, 2018、UPI, March 11, 2018などをもとに作成。

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アサド政権に対する武装闘争を呼びかけるクルド住民連合結成(2018年3月11日)

クルド住民連合を名乗る新たな武装集団が発足声明を発表した。

声明では、西クルディスタン移行期民政局を主導するクルド民族主義組織の「民主統一党(PYD)一味の振る舞いや姿勢によりクルド社会が新たな危機に曝され、アサド政権の支配下に復帰するという選択肢をクルド人民に強いている」と指摘、アサド政権とその同盟勢力に対する武装闘争を呼びかけた。

al-Durar al-Shamiya, March 11, 2018

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YPG報道官はアフリーン市からの撤退を拒否(2018年3月11日)

西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊(YPG)のヌーリー・マフムード報道官は、「我々はシリアの国土を守るシリアの部隊だ。ここから退去して、ダーイシュ(イスラーム国)、アル=カーイダが我々にとって代わるなどあり得ない」と述べた。

この発言は、アフリーン市開城を条件としてトルコ軍の進攻作戦を停止させるべきだとのシリア・クルド進歩民主党のアフマド・スライマーン政治局長の提案(9日)反論したもの。

スプートニク・ニュース(3月11日付)が伝えた。

AFP, March 11, 2018、ANHA, March 11, 2018、AP, March 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 11, 2018、al-Hayat, March 12, 2018、Reuters, March 11, 2018、SANA, March 11, 2018、Sputnik News, March 11, 2018、UPI, March 11, 2018などをもとに作成。

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トルコ軍と反体制武装集団は南西部からもアフリーン市に接近(2018年3月11日)

アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(3月11日付)によると、トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が「オリーブの枝」作戦を続行し、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍と交戦、アフリーン市一帯のキーバール村、クーブラー村、カーディー農場、ジンディールス市近郊のカウカバ村、アンダリーヤ村、カフルバトラー村、クージャカー村、そしてタッルラッフ空港を制圧した。

これによりトルコ軍と反体制武装集団は、アフリーン市南西部5キロの地点に到達した。

トルコ軍と反体制武装集団はまた、ブルブル町近郊の大ジャクマク村、アラムダール村、ジャンジャラ村、小ジャクマク村、アリー・ベーク村を制圧した。

Twitter, March 10, 2018

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イスラーム軍幹部はシリア人権監視団の情報を「不正確」と非難、監視団は「ツイッターでなく、住民の惨状に対処すべき」と反論(2018年3月11日)

イスラーム軍幹部のムハンマド・アッルーシュ氏はツイッターのアカウント(https://twitter.com/Mohammed_Aloush/)で、英国で活動するシリア人権監視団の情報を「不正確」と非難し、そのニュースに依拠しないよう呼びかけた。

アッルーシュ氏は「シリア人権監視団が発信する東グータ地方の軍事関連のニュースは不正確だ。これらのニュースを根拠としないよう忠告する。なぜなら、グータ地方内に特派員などいないからだ」と綴った。

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これに対して、シリア人権監視団は、フェイスブックのアカウント(https://www.facebook.com/syriahro/)を通じて「東グータ地方の武装勢力の司令官は、ツイッター上で真剣監視団を貶めようとするのではなく、現地の民間人が直面している惨状に対処するべきだ」と反論した。

ドゥラル・シャーミーヤ(3月11日付)が伝えた。

AFP, March 11, 2018、ANHA, March 11, 2018、AP, March 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 11, 2018、al-Hayat, March 12, 2018、Reuters, March 11, 2018、SANA, March 11, 2018、UPI, March 11, 2018などをもとに作成。

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シリア軍は東グータ地方のマディーラー市を完全制圧、同地での死者数は1,000人を超える(2018年3月11日)

ダマスカス郊外県では、SANA(3月11日付)によると、シリア軍が東グータ地方で反体制武装集団と交戦を続け、マディーラー市を完全制圧するとともに、ジスリーン一帯の農場複数カ所を制圧した。

これにより、シリア軍は東グータ地方北部(ドゥーマー市一帯)と南部(ハラスター市など)を結ぶすべての兵站線を遮断した。

syria.liveuamap.com, March 11, 2018
SANA, March 11, 2018

SANA(3月11日付)によると、東グータ地方で活動を続ける反体制武装集団がジャルマーナー市を砲撃し、4人が死亡、10人が負傷した。

反体制武装集団はまた、ダーヒヤト・アサド町を砲撃した。

一方、シリア人権監視団によると、シリア軍が東グータ地方各所を爆撃し、ミスラーバー市で35人、ハムーリーヤ市で33人が死亡した。

AP, March 11, 2018

なお、シリア人権監視団によると、ロシア・シリア両軍が攻撃を激化させた2月18日以降、東グータ地方での支社数は1,102人(うち子供227人)に達しているという。

また、同監視団が10日に明らかにしたところによると、シリア軍の進軍により、東グータ地方はドゥーマー市、ハラスター市一帯、そしてアルバイン市以南の3つに分断されているという。

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ダマスカス県では、SANA(3月11日付)によると、ダマスカス郊外県東グータ地方で活動を続ける反体制武装集団が撃った迫撃砲弾がバルザ区、アッバースィーイーン広場一帯、アルヌース広場一帯、バーブ・ドゥーマー地区、カッサーア地区、ブズーリーヤ地区、ハミーディーヤ地区、シャーグール地区、ルクン・ディーン区、ジャーヒズ公園近くに着弾し、5人が負傷した。

SANA, March 11, 2018

AFP, March 11, 2018、ANHA, March 11, 2018、AP, March 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 11, 2018、al-Hayat, March 12, 2018、Reuters, March 11, 2018、SANA, March 11, 2018、UPI, March 11, 2018などをもとに作成。

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ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは11件の停戦違反を、トルコ側は0件の違反を確認(2018年3月11日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(3月11日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を11件(ダマスカス県・ダマスカス郊外県2件、ラタキア県6件、アレッポ県3件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

一方、過去24時間にアレッポ県の1カ村とハマー県の1カ村の代表がシリア政府との停戦合意に署名した。

これにより、シリア政府との停戦に応じた自治体は2,431市町村、武装組織の数は234組織に達したという。

Ministry of Defence of the Russian Federation, March 11, 2018をもとに作成。

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