米ホワイト・ハウスはロシア軍による東グータ地方への爆撃を非難(2018年3月4日)

米ホワイト・ハウスは声明を出し、ダマスカス郊外県東グータ地方に対するロシア・シリア両軍の爆撃を厳しく非難した。

声明では、「ロシア、イランの支援を受けて、アサド政権が東グータ地方の住民に対して断続的に行う軍事攻撃を非難する」としたうえで、「ロシア軍戦闘機は2月24日から28日までの期間に東グータ地方で少なくとも20回の任務を遂行した…。ロシアは停戦の条件を無視し続けている」と批判した。

AFP, March 5, 2018、ANHA, March 5, 2018、AP, March 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 5, 2018、al-Hayat, March 6, 2018、Reuters, March 5, 2018、SANA, March 5, 2018、UPI, March 5, 2018などをもとに作成。

アサド大統領「西側が提起する「休戦」をシリアで訳すと「シリア軍が進軍する」という意味になる」(2018年3月4日)

アサド大統領は、イランのホセイン・ジャーベリー・アンサーリー外務副大臣(アラブ・アフリカ担当)との会談後、イラン、レバノン、シリアの記者団の質問に答えた。

質疑応答全文は、SANA(https://www.sana.sy/?p=720818)に全文掲載され、映像は大統領府がYoutube(https://youtu.be/ilqa-BirVd8)を通じて公開した。

記者団の質問に対するアサド大統領の主な発言は以下の通り:

**

「国連の決議で用いられている(停戦の)概念はともかく、シリア軍は、攻撃を行って敵対行為を停止させようとはしていない。テロリストの攻撃から国民を守り、安定を回復しようとしている…。決議(国連安保理決議第2401号)はそもそも…、シリア軍がグータ地方一帯で動員を強化し始めた際、シリア軍の攻撃からテロリストを守るために作られようとしていた…。(しかし)米国を筆頭とする西側諸国が期待していた通りのかたちにはならなかった…。現行のかたち(採択された決議)は、比較的良いもので、民間人を保護すると同時に、「テロとの戦い」を実現できるようになっている。一方、テロリストは首都ダマスカスを引き続き砲撃する命令を与えられた…。その証拠が、数日前に英国によって提示された新たな決議案と前の決議(第2401号)の違いだ…。(西側諸国は)前の決議で何の結果を達成できなかった。そこで、彼らは別の決議を検討し…、テロリストによる無垢の民間人への砲撃を続けられるようにしようとしている。我々はここから何を理解すべきか。それは、我々は「テロとの戦い」を継続するということだけだ。グータ地方で始めていただけでない。すべての場所、すなわち、アレッポ、ヒムス、ダイル・ザウルで「テロとの戦い」を始めていた…。グータでの作戦は「テロとの戦い」の一環だ。国連で決議が審議されるタイミングは、武装集団側の弱体化に伴うことがほとんどだ」。

「西側諸国がさまざまなかたちで言及する人道状況というのは、時に極めて浅はかな嘘に過ぎない…。だれも西側の首脳の言葉など信じていない…。(米主導の)有志連合がダイル・ザウル県からラッカ県、そしてハサカ県にいたる地域で毎日何をしているか? 連日の虐殺だ。2月だけで民間人に対する虐殺が少なくとも4件も行われた。人権についての言説には一つの意味しかない。それは西側の政治学事典に掲載されている諸概念の一つに過ぎず、その辞書は嘘の事典だ…。「人道的」という西側の概念がシリアで翻訳されるとするなら、一つのことしか意味しない。それは、「シリア軍が進軍する」という意味だ」。

「東グータ地方の大多数の人々は、テロリストのくびきから脱して、国家の庇護のもとに入りたいと考えている。テロリストの支配地域から国家の支配地域に移動する余地があらゆる人に与えられねばならない。また、停戦と戦闘行為の間には矛盾はない。シリア軍によるこの2日間の進軍は停戦下で行われた」。

「化学兵器をめぐる問題は、西側諸国のウソ事典に掲載される1概念となっている。(西側諸国が化学兵器使用疑惑を向けるのは)今回が初めてではない…こうした言葉(嫌疑)を真剣に捉えると、それは、昨年にシャイーラート航空基地に対する(米国の)ミサイル攻撃が行われた時のように、シリア軍を攻撃するための口実として利用されるのが常だ」。

「西側諸国の有志連合について次のように言うことができる。この有志連合はダーイシュ(イスラーム国)の航空部隊だ、と…。彼ら(欧米諸国)は(自らが牛耳る)国際機関において…自分達への批判を阻止することができる。彼らは首都ダマスカス、アレッポ県などの地域での民間人に対する攻撃への批判を阻止してきた…。彼ら自身への批判が起きることなどあり得ない。これこそが有志連合の本質的な役割だと考えている。そして(西側諸国が)行ってきたこのゲームは今や白日のもとに曝されている…。(シリアでの)戦争当初につけられていた仮面は今はもうない…。西側は今やダーイシュを支援し、ヌスラ戦線(シャーム解放機構)、ダーイシュ、そのほかの過激派を守っているのだ」。

「トルコの攻撃、あるいは侵略の試みは敵対行為で、それ以外に言いようはない…。だが、それはトルコのシリアへの敵対行為以上の意味があり、危機当初から(レジェップ・タイイップ・)エルドアン(大統領)がめざしてきたものとつながっている。それは、シリア軍、シリアという国家、そしてシリア国民を攻撃するテロリストの発進の拠点となるような干渉を作ろうとするものだ…。干渉のためにクルドであれ、それ以外のものであれさまざまなタイトルがつけられた…。エルドアンが孤立地帯を提案した当初は、クルドの問題には言及していなかった。この二つの問題(緩衝地帯とクルドの問題)の間には何のつながりもなかった」。

「(アレッポ県アフリーン郡への)「人民部隊」の進駐は当然のことだ。外敵がいれば、さまざまな帰属の社会階層が、シリア・アラブ軍のもとで一つになるのは当然だ…。現状において…、軍と人民部隊は別々に存在することが余儀なくされているが、両者は連携している」。

SANA, March 4, 2018

AFP, March 4, 2018、ANHA, March 4, 2018、AP, March 4, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 4, 2018、al-Hayat, March 5, 2018、Reuters, March 4, 2018、SANA, March 4, 2018、UPI, March 4, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アサド大統領はイランのアンサーリー外務副大臣と会談(2018年3月4日)

アサド大統領は、シリアを訪問中のイランのホセイン・ジャーベリー・アンサーリー外務副大臣(アラブ・アフリカ担当)をはじめとする外交団と会談した。

会談には、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治報道補佐官、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣、アフマド・アルヌース外務在外居住者大臣付顧問兼アジア局長、ムハンマド・ウムラーニー外務在外居住者省特別局長、アドナーン・マフムード駐イラン・シリア大使が同席、ロシアのソチで開催されたシリア国民対話大会の成果、二国間関係、トルコによるアレッポ県アフリーン郡侵攻などへの対応について意見を交わした。

アンサーリー外務副大臣はまた、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣と個別に会談した。

SANA(3月4日付)が伝えた。

SANA, March 4, 2018

AFP, March 4, 2018、ANHA, March 4, 2018、AP, March 4, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 4, 2018、al-Hayat, March 5, 2018、Reuters, March 4, 2018、SANA, March 4, 2018、UPI, March 4, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ノールス研究センターはシリア政府、ロジャヴァ、反体制派、ダーイシュ、有志連合の支配(占領)地域の割合を示すインフォグラフィアを発表(2018年3月4日)

シリア軍およびその同盟勢力の軍事攻勢を分析するサイト「ノールス研究センター」(3月4日付)は、シリア政府、西クルディスタン移行期民政局/北シリア民主連邦(ロジャヴァ)、反体制派、ダーイシュ(イスラーム国)の支配地域の割合を示すインフォグラフィアを発表した。

それによると、シリア政府支配地域はシリア全体の53.62%、ロジャヴァは24.72%、ダーイシュは8.08%、反体制派は7.93%、米主導の有志連合の占領地は3.00%、そして係争地が2.65%。

Nors, March 4, 2018

AFP, March 4, 2018、ANHA, March 4, 2018、AP, March 4, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 4, 2018、al-Hayat, March 5, 2018、Nors for Studies, March 4, 2018、Reuters, March 4, 2018、SANA, March 4, 2018、UPI, March 4, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ軍と反体制武装集団はアフリーン郡の国境地帯全域を制圧(2018年3月4日)

アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(3月4日付)によると、トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が、アフリーン市西に位置する西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)の拠点地シーヤ(シャイフ・ハディード)町とその近郊のムスタカーン村、アランダ村、シャッラーン町近郊のカルカリー村、アリー・バーザンリー村、バフルユーン山、そしてラージュー町近郊のハッジ・ハリール村を人民防衛部隊主体のシリア民主軍との戦闘の末に制圧した。

シーヤ町の制圧により、トルコ軍と反体制武装集団は、トルコ国境に接するロジャヴァの支配地域全域を制圧した。

一方、ANHA(3月4日付)によると、トルコ軍がシャッラー村近郊のジャマー村を爆撃する一方、反体制武装集団とともに同地に進軍、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍と交戦した。

また、シリア民主軍広報センターによると、トルコ軍はこのほかにも、マバーター(マアバトリー)町一帯、シャッラー村近郊のバーフルール村、ラージュー町近郊のムーサーカー村、ジンディールス市近郊のフミールカー村、フジャイラル村、シーヤ(シャイフ・ハディード)町およびその一帯を爆撃・砲撃した。

なお、シリア人権監視団によると、トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団はアフリーン市から12キロの地点に到達した。

Twitter, March 4, 2018

AFP, March 4, 2018、ANHA, March 4, 2018、AP, March 4, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 4, 2018、al-Hayat, March 5, 2018、Reuters, March 4, 2018、SANA, March 4, 2018、UPI, March 4, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア政府の支配下に復帰したイドリブ県アブー・ズフール町一帯の村々に住民が帰還(2018年3月4日)

イドリブ県では、SANA(3月4日付)によると、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団が掃討され、シリア政府の支配下に復帰したハミーマート村などアブー・ズフール町近郊の村々に住民が帰還した。

SANA, March 4, 2018

AFP, March 4, 2018、ANHA, March 4, 2018、AP, March 4, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 4, 2018、al-Hayat, March 5, 2018、Reuters, March 4, 2018、SANA, March 4, 2018、UPI, March 4, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア・シリア両軍は東グータ地方ハラスター市を爆撃・砲撃(2018年3月4日)

ダマスカス郊外県では、ドゥラル・シャーミーヤ(3月4日付)によると、ロシア・シリア両軍がハラスター市を激しく爆撃・砲撃し、ホワイト・ヘルメットによると住民10人が負傷した。

一方、SANA(3月4日付)によると、東グータ地方で活動を続けている反体制武装集団がハラスター市郊外のダーヒヤト・アサド町を砲撃し、住民2人が負傷した。

国境なき医師団(MSF)は、ロシア・シリア両軍がダマスカス郊外県東グータ地方での爆撃・砲撃を激化させた2月18日から2月27日までの10日間で、民間人770人が死亡、4,050人が負傷したと発表した。

al-Durar al-Shamiya, March 4, 2018

**

ダマスカス県では、SANA(3月4日付)によると、ダマスカス郊外県東グータ地方で活動を続けている反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が、旧市街カイマリーヤ地区、バーブ・トゥーマ地区に着弾し、住民1人が負傷した。

**

ハマー県では、SANA(3月4日付)によると、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団がアスィーラ村を砲撃し、住民1人が死亡、2人が負傷した。

**

ダルアー県では、SANA(3月4日付)によると、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団がダルアー市カーシフ地区を砲撃し、住民2人が負傷した。

AFP, March 4, 2018、ANHA, March 4, 2018、AP, March 4, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 4, 2018、al-Hayat, March 5, 2018、Reuters, March 4, 2018、SANA, March 4, 2018、UPI, March 4, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍は東グータ地方東部のイスラーム軍支配地ナシャービーヤ町などを制圧(2018年3月4日)

ダマスカス郊外県では、SANA(3月4日付)によると、シリア軍が東グータ地方東部一帯でイスラーム軍と戦闘を続け、ナシャービーヤ町、ウーターヤー町、フーシュ・サーリヒーヤ町、フーシュ・ハラーブー村、ハザルマー村、バイト・ナーイム村、アッブ農場、航空大隊基地、運輸連隊基地を制圧した。

SANA, March 4, 2018

シリア人権監視団によると、これにより、シリア軍は東グータ地方の4分の1を制圧、ドゥーマー市から3キロの地点に到達した。

ドゥラル・シャーミーヤ(3月4日付)によると、東グータ地方でのイスラーム軍との戦闘でナシャービーヤ町などを制圧したシリア軍はまた、バイト・サワー村、ハムーリーヤ市に向けて西進を続けた。

シリア人権監視団によると、東グータ地方でのシリア軍地上部隊の戦闘には、ロシア軍顧問が随行し、作戦遂行を支援しているという。

一方、イスラーム軍のハムザ・ビークダール報道官は3日、報道声明を出し、フーシュ・ダワーヒラ村、シャイフーニーヤ村近郊の運輸連隊基地から撤退したことを認めていた。

同地一帯でシリア軍が毒ガスやクラスター弾を多用し、「焦土作戦」を実施したのが、撤退の理由だという。

syria.liveuamap.com, March 1, 2018
syria.liveuamap.com, March 4, 2018

AFP, March 4, 2018、ANHA, March 4, 2018、AP, March 4, 2018、al-Durar al-Shamiya, March 3, 2018、March 4, 2018、al-Hayat, March 4, 2018March 5, 2018、Reuters, March 4, 2018、SANA, March 4, 2018、UPI, March 4, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは12件の停戦違反を、トルコ側は9件の違反を確認(2018年3月4日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(3月4日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を12件(ダマスカス県・ダマスカス郊外県6件、ラタキア県5件、アレッポ県1件)確認したと発表した。

またトルコ側の監視チームも9件(ダマスカス県・ダマスカス郊外県)の停戦違反を確認したという。

Ministry of Defence of the Russian Federation, March 4, 2018をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.