米国務省シリア問題担当特使「我々はアサドを排除しようとはしていないが、妥協しなければ復興支援はしない」(2018年12月17日)

ジェームズ・ジェフリー米国務省シリア問題担当特使は「我々は根本的に異なった体制が見たい。だが、体制転換のことではない。我々はアサドを排除しようとはしていない」と述べた。

一方、シリア復興については、3000~4000億ドルの費用がかかるだろうとしたうえで、「(シリア)政府が妥協することで、今後数年間にわたり新たな恐怖を作り出さないというように思えないなら、西側諸国としては、この大惨事に資金を供与しないという強い心構えがある」と述べた。

AFP(12月18日付)などが伝えた。

AFP, December 18, 2018、ANHA, December 18, 2018、AP, December 18, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 18, 2018、al-Hayat, December 19, 2018、Reuters, December 18, 2018、SANA, December 18, 2018、UPI, December 18, 2018などをもとに作成。

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有志連合報道官を務めるライアン米軍大佐はトルコを侮辱するようなツイッターの書き込みをシェアしたことを謝罪(2018年12月17日)

有志連合の報道官を務める米軍のショーン・ライアン大佐は、ツイッターの公式アカウント(https://twitter.com/OIRSpox/)で、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)を支援していることに関して、「私は公的な立場で、誤って有志連合における我が国のパートナーにして、ダーイシュ(イスラーム国)を敗北させるという任務のカギを握るパートナーであるトルコを侮辱するような書き込みをシェアしてしまった。無礼を働く意図はなかった。我々には共通の安全保障における義務がある。我々はダーイシュを確実に打ち負かすことに専念してきた。どうか私の謝意を受け入れて欲しい」と綴った。

https://twitter.com/OIRSpox/status/1074741709903400960

ディロン大佐は、シェアした書き込みが具体的に何かについては明言しなかったが、ルダウ・チャンネル(12月18日付)によると、同アカウントは11月上旬から12月16日まで、@CaptainBillyBastというアカウントに書き込まれていた「今週のお気に入りの写真。トルコ軍のテロ・スナイパーがロジャヴァの民間人を狙撃し、学校から帰宅しようとしていた少女1人を殺害したことを受け、米特殊部隊(グリーン・ベレー)がロジャヴァとトルコの境界をパトロールした。子供たちは、グリーン・ベレーに守られ安全だ」という写真付きの書き込み()をリツイート(11月7日公開)していたという。

https://twitter.com/CaptainBillyBas/status/1059860763458777088

AFP, December 18, 2018、ANHA, December 18, 2018、AP, December 18, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 18, 2018、al-Hayat, December 19, 2018、Reuters, December 18, 2018、Rudaw, December 17, 2018、SANA, December 18, 2018、UPI, December 18, 2018などをもとに作成。

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米国防総省報道官「米国がシリア北部に大規模部隊を派遣したとの報道は正しくない」(2018年12月17日)

米国防総省のロブ・マニング報道官(大佐)は、トルコが準備するシリア北東部ユーフラテス川以東地域への侵攻作戦に関して、「ジェームズ・マティス米国防長官から、NATO同盟国であるトルコの安全保障上の脅威を払拭するため、監視所を設置するよう命令が出された」と述べた。

マニング報道官はまた、「トルコに関する報道は読んでいる。それは、米国がシリア北部に大規模部隊を派遣したというものだが、こうした報道はまったく正しくない…。我々はシリア北部に大規模部隊は派遣していない…。米国とトルコはシリア北東部の事態をめぐって調整中だ」と付言した。

アナトリア通信(12月18日付)が伝えた。

al-Durar al-Shamiya, December 18, 2018

AFP, December 18, 2018、Anadolu Ajansı, December 18, 2018、ANHA, December 18, 2018、AP, December 18, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 18, 2018、al-Hayat, December 19, 2018、Reuters, December 18, 2018、SANA, December 18, 2018、UPI, December 18, 2018などをもとに作成。

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「シリア対応調整者」はシリア北部の反体制派支配地域・トルコ占領地域の人口統計を発表(2018年12月17日)

「シリア対応調整者」(https://www.facebook.com/humanitarianresponse1/)は、シリア北部の「解放区」(反体制派支配地域、トルコ占領地域)における人口統計結果を示す初のインフォグラフィアを発表した。

https://www.facebook.com/humanitarianresponse1/photos/a.1968631106514934/2436111563100217/?type=3&theater

それによると、「解放区」における総人口は470万3846人、うち301万1788人が住民、167万4918人が避難民。

またパレスチナ難民、イラン難民も17,000人居住しているという。

18歳以下の子供は153万人で、0~5歳が62万2119人、5~15歳が71万7368人、15~18歳が18万513人。

18歳以下の孤児は18万9924人、障害者は18万8000人、未亡人は3万6356人。

2018年に退去を余儀なくされた避難民は58万9083人、うち12万8888人がシリア北部以外の地域からの避難民、46万195人が域内の避難民だという。

なおこの数値がどのようなデータに基づいているのか、根拠は不明。

Facebook, December 17, 2018

AFP, December 17, 2018、ANHA, December 17, 2018、AP, December 17, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 17, 2018、al-Hayat, December 17, 2018、Reuters, December 17, 2018、SANA, December 17, 2018、UPI, December 17, 2018などをもとに作成。

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トルコのエルドアン大統領「我々はユーフラテス川以東地域での軍事作戦に関して、トランプ米大統領から前向きな回答を得た」(2018年12月17日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、コンヤ市で支持者を前に演説、そのなかで「我々はユーフラテス川以東地域での軍事作戦に関して、(ドナルド・トランプ米大統領)から前向きな回答を得た…。この地域からテロリストを最後の1人にいたるまで中立化するまで、シリア領内で一歩一歩掃討していく…。我々はシリア領内でいつでも軍事作戦を開始し、全長500キロの国境線で適切だと判断した地域に進攻できる」と述べた。

エルドアン大統領はそのうええ「テロリストがユーフラテス川以東地域から撤退しなければ、我々が撤退させる。なぜなら、彼らは我々にとって不快の種だからだ」
アナトリア通信(12月17日付)が伝えた。

AFP, December 17, 2018、Anadolu Ajansı, December 17, 2018、ANHA, December 17, 2018、AP, December 17, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 17, 2018、al-Hayat, December 17, 2018、Reuters, December 17, 2018、SANA, December 17, 2018、UPI, December 17, 2018などをもとに作成。

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イラン外務省報道官「トルコのいかなる軍事作戦も、シリア政府の要請と連携に基づいて行われねばならない」(2018年12月17日)

イラン外務省のブラハーム・カーセミー報道官は、トルコが準備しているシリア北東部ユーフラテス川東岸への進攻作戦に関して「トルコのいかなる軍事作戦も、シリア政府の要請と連携に基づいて行われねばならない…。シリア政府の許可なく、いかなる国もシリア領内で作戦を行うことはできない」と述べた。

カーセミー報道官はまた「シリアに対する我が国の姿勢は変わらない。いかなる国もシリア政府との連携なしにシリアで何らの措置も講じることはできない」と付言した。

IRNA(12月17日付)が伝えた。

AFP, December 17, 2018、ANHA, December 17, 2018、AP, December 17, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 17, 2018、al-Hayat, December 17, 2018、IRNA, December 17, 2018、Reuters, December 17, 2018、SANA, December 17, 2018、UPI, December 17, 2018などをもとに作成。

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ハマー県、イドリブ県、アレッポ県でシリア軍は国民解放戦線、トルキスタン・イスラーム党、アンサール・タウヒード、イッザ軍などと交戦(2018年12月17日)

ハマー県では、SANA(12月17日付)によると、ヒルバト・ナークース村一帯からガーブ平原北部に潜入しようとしたトルキスタン・イスラーム党をシリア軍が撃退した。

シリア軍はまた、マアルカバ村一帯でからシリア軍拠点に対して発砲してきたイッザ大隊(イッザ軍)に対して応戦した。

さらにジャイサート村、サフル丘方面から潜入を試みた反体制武装集団も撃退した。

一方、シリア人権監視団によると、16日深夜から17日未明にかけて、非武装地帯での反体制武装集団の停戦違反を確認し、サフル丘、マアルカバ村各所を砲撃した。

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イドリブ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(12月17日付)によると、「信者を煽れ」作戦司令室に所属する新興のアル=カーイダ系組織の一つアンサール・タウヒードが、県東部のザハビーヤ村にあるシリア軍の拠点に対して特攻自爆(インギマースィー)攻撃を行い、兵士多数を殺傷した。

一方、シリア人権監視団によると、16日深夜から17日未明にかけて、県東部でシリア軍と反体制武装集団が交戦した。

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アレッポ県では、トルコの庇護を受ける国民解放戦線のアブドゥッサラーム・アブドゥッラッザーク大尉がツイッターのアカウント(https://twitter.com/abdulslamabdul7?lang=ja)で、同戦線精鋭連隊がアレッポ市ラーシディーン地区、科学研究センター一帯に進攻しようとしたシリア軍や「イランの民兵」を撃退したと綴った。

AFP, December 17, 2018、ANHA, December 17, 2018、AP, December 17, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 17, 2018、al-Hayat, December 17, 2018、Reuters, December 17, 2018、SANA, December 17, 2018、UPI, December 17, 2018などをもとに作成。

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ムアッリム外務在外居住者大臣「ドリブ県をテロから解放することが現下の最優先課題…、シリア国内でいかなる「クルド政体」も認めない」(2018年12月17日)

ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣兼副首相は、ダマスカス大学講堂で同大学の教員や学生を対象とした講演を行い、イドリブ県をテロから解放することが現下の最優先課題だと位置づけるとともに、シリア国内でいかなる「クルド政体」も認めないと強調した。

また、一部アラブ諸国による策略にもかかわらず、シリアがアラブ性(ウルーバ)を深く信仰しているとしたうえで、シリアを含むアラブ世界の混乱は、アラブ人による共同行動が麻痺しているためで、これを矯正する必要があると主張した。

講演は、スーダンのウマル・バシール大統領のシリア訪問に合わせて、シリア学生国民連合の執行部が依頼するかたちで実現した。

シリア北東部の情勢に関して、ムアッリム外務在外居住者大臣は「シリアで誰一人として、独立政体、あるいは連邦制について云々することを決して認めない。全国民に対してその両腕を拡げて迎え入れようとしている祖国への復帰以外にオルターナティブはない。シリア・アラブ共和国の隅々まで主権を回復するというのが国家の決定だ」と述べた。

ロシアとの関係については、ロシア・シリア通商経済科学芸術合同委員会の重要性を強調し、政治、軍事面だけでなく、経済、文化、社会面での戦略的関係を深化させることが必要だと述べた。

シリアに対して戦争をしかけ、策略をめぐらせている諸外国については、その政策の代償として失業、インフレ、政治・社会の分断などに苛まれており、米国の主導のもとにシリアに対して策略をめぐらせてきたすべての者にとって、来年は心地良いものとはならないだろうと主張した。

イドリブ県情勢に関して、シリア指導部にとって最優先課題が同地をテロ集団から解放することで、そのためにロシアとの連携を続けると述べる一方、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領がソチでの合意(非武装地帯設置合意)を遵守していないと批判した。

政治対話については、イドリブ県からのテロの根絶をすることであればこれを推し進めるとしたうえで、シリア全土を解放することを指導部が決定していると述べた。

制憲委員会については、設置が遅れているなかで、その活動内容について話すのは時期尚早だと述べた。

SANA, December 17, 2018

復興については、「テロとの戦い」でシリアの国家を支えてきた国の参加が最優先で、外務在外居住者省経済局が現在、イラン、ロシア、中国、インド、マレーシアとの関係拡大を進めていると述べた。

西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)の活動やトルコによるシリア北部の占領、北東部への侵略については、シリアのクルド人はシリア社会の一部で、シリア政府は常に対話の用意があると述べた。

シリア国内の米国やトルコの進駐については、これらの国がシリア危機の政治的解決における役割を見つけ出そうとしているが、それは無理で、シリアの占領を終わらねばならないと述べた。

このほかゴラン高原返還の必要性、パレスチナ諸派との連携などについて語った。

SANA(12月17日付)が伝えた。

AFP, December 17, 2018、ANHA, December 17, 2018、AP, December 17, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 17, 2018、al-Hayat, December 17, 2018、Reuters, December 17, 2018、SANA, December 17, 2018、UPI, December 17, 2018などをもとに作成。

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ロシア国防省はシリア産の石油が隣国トルコやイラクに密輸されていることを示す最新の衛星画像を公開(2018年12月17日)

ロシア国防省は、シリア産の石油が隣国トルコやイラクに密輸されていることを示す最新の衛星画像2枚を公開した。

公開されたのは、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)が支配し、米軍が進駐するアレッポ県ユーフラテス川西岸のマンビジュ市に近い国境地帯の衛生写真で、撮影日は2018年10月23日とされ、石油を積んだ多数の貨物トレーラーが写っている。

ただし、イラク国境地帯の衛星写真は公開されなかった。

マスダル・ニュース(12月17日付)、SANA(12月17日付)などが伝えた。

Ministry of Defense of Russia, December 17, 2018
Ministry of Defense of Russia, December 17, 2018

AFP, December 17, 2018、Almasdar News, December 17, 2018、ANHA, December 17, 2018、AP, December 17, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 17, 2018、al-Hayat, December 17, 2018、Reuters, December 17, 2018、SANA, December 17, 2018、UPI, December 17, 2018などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから213人、ヨルダンから615人の難民が帰国、避難民197人が帰宅(2018年12月17日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(12月17日付)を公開し、12月16日に難民828人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは213人(うち女性64人、子供108人)、ヨルダンから帰国したのは615人(うち女性185人、子供314人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は67,526人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者31,154人(ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者36,372人(ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日に帰国した難民の数は 250,765人(うち女性89,065人、子供151,270人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,664,415人(うち女性1,999,325人、子供3,398,852人)。

一方、国内避難民197人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは28人(うち女性8人、子供12人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダイル・ザウル県、ダマスカス郊外県に帰宅したのは169人(うち女性52人、子供74人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2018年1月以降に帰宅した国内避難民の数は178,989人(うち女性55,065人、子供88,697人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,261,351人(うち女性380,063人、子供641,080人)となった。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を12件(イドリブ県2件、ハマー県4件、ラタキア県3件、アレッポ県3件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームも28件の停戦違反(ハマー県10件、アレッポ県7件、イドリブ県11件)を確認した。

Ministry of Defence of the Russian Federation, December 17, 2018をもとに作成。

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