トルコのエルドアン大統領とイランのロウハーニー大統領が会談、トランプ米政権がシリアからの部隊撤退開始を発表したことには触れず(2018年12月20日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、首都アンカラでイランのハサン・ロウハーニー大統領と会談した。

エルドアン大統領は共同記者会見で「トルコとイランは、域内の戦いを食い止め、平和を実現するため、ともに歩むことができる」と述べた。

これに対してロウハーニー大統領は「シリアの領土統一がすべての当事者によって尊重されねばならない。イランとトルコはこの点に関して同じ見解を持っている」と述べた。

両首脳の会談は、ドナルド・トランプ米政権がシリアからの部隊撤退開始を発表する前に準備されたもので、この日、両首脳はこの問題について見解を述べることはなかった。

Naharnet, December 20, 2018

AFP, December 20, 2018、Anadolu Ajansı, December 20, 2018、ANHA, December 20, 2018、AP, December 20, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 20, 2018、al-Hayat, December 21, 2018、Reuters, December 20, 2018、SANA, December 20, 2018、UPI, December 20, 2018などをもとに作成。

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トルコ軍部隊がシリア国境地帯に増派(2018年12月20日)

アナトリア通信(12月20日付)はドナルド・トランプ米政権がシリアから地上部隊の撤退開始を発表したのを受けるかたちで、トルコ軍の増援部隊がシリア国境に面するガジアンテップ県に到着したと伝えた。

AFP, December 20, 2018、Anadolu Ajansı, December 20, 2018、ANHA, December 20, 2018、AP, December 20, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 20, 2018、al-Hayat, December 21, 2018、Reuters, December 20, 2018、SANA, December 20, 2018、UPI, December 20, 2018などをもとに作成。

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トルコの支援を受ける反体制武装集団がマンビジュ市(アレッポ県)北のマンビジュ軍事評議会拠点に発砲(2018年12月20日)

アレッポ県では、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に所属するマンビジュ軍事評議会の広報センターによると、トルコの支援を受ける反体制武装集団が、マンビジュ市北のサージュール川沿岸にあるマンビジュ軍事評議会の拠点に向かって発砲した。

AFP, December 20, 2018、ANHA, December 20, 2018、AP, December 20, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 20, 2018、al-Hayat, December 21, 2018、Reuters, December 20, 2018、SANA, December 20, 2018、UPI, December 20, 2018などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県南東部でYPG主体のシリア民主軍とダーイシュの戦闘続く(2018年12月20日)

ダイル・ザウル県では、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍広報センターによると、ハジーン市一帯に侵攻を試みたダーイシュ(イスラーム国)とシリア民主軍が激しく交戦、シリア民主軍はダーイシュ戦闘員32人を殲滅した。

ANHA(12月20日付)が伝えた。

AFP, December 20, 2018、ANHA, December 20, 2018、AP, December 20, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 20, 2018、al-Hayat, December 21, 2018、Reuters, December 20, 2018、SANA, December 20, 2018、UPI, December 20, 2018などをもとに作成。

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イドリブ県の緊張緩和地帯一帯に展開していたイランの民兵がダイル・ザウル県南東部に移動(2018年12月20日)

ANHA(12月20日付)は、イドリブ県の地元消息筋の話として、イドリブ県南東部、ハマー県北部の緊張緩和地帯(非武装地帯)周辺地域一帯に展開していたイランの民兵の車列が、ダイル・ザウル県南東部に移動したと伝えた。

車列は80台近くの車輌、400人あまりの民兵からなっているという。

AFP, December 20, 2018、ANHA, December 20, 2018、AP, December 20, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 20, 2018、al-Hayat, December 21, 2018、Reuters, December 20, 2018、SANA, December 20, 2018、UPI, December 20, 2018などをもとに作成。

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英国外務省はトランプ米政権がシリアから地上部隊の撤退開始を発表したことに関して「依然としてするべきことが多く残されている」と発表(2018年12月20日)

英国外務省は声明を出し、ドナルド・トランプ米政権がシリアから地上部隊の撤退開始を発表したことに関して、「有志連合は軍事作戦開始当初から、ダーイシュ(イスラーム国)に対して大いに進軍し、シリアとイラクの協力者たちとともにダーイシュが支配していた領土のほとんどを回復した」としたうえで、「しかし依然としてするべきことが多く残されており、ダーイシュの脅威を、例え彼らが土地を失ったとしても留意しなければならない。なぜなら依然として脅威だからだ」と発表した。

ロイター通信(12月20日付)が伝えた。

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フランスのヨーロッパ問題担当大臣、国防大臣はシリアに「当面とどまる」と発表(2018年12月20日)

フランスのナタリー・ロワゾー・ヨーロッパ問題担当大臣は、ドナルド・トランプ米政権がシリアから地上部隊の撤退開始を発表したことに関して、CNW(12月20日付)に対し、「我々はシリアに当面とどまる。なぜなら、ダーイシュ(イスラーム国)との戦いが依然として主要な問題だからだ」と述べた。

ロワゾー大臣は「テロとの戦いは終わっていない。大きな戦火が実現していることは確かで、我々は有志連合とともにシリアで多くのことを行った。だが、闘いは続いているし、我々はそれを継続する」と主張、「我々は、欧州が決定を下すにあたって戦略的な独自性を確保する必要を改めて検討しなければならない。直接的な脅威に直面したとき、我々は独自の判断、行動をしなければならない」と付言した。

また、フランスのフロランス・パルリ国防大臣も「我々は当面シリアにとどまる」と述べた。

なお、スプートニク・ニュース(12月19日付)は、米軍撤退開始を受けて、フランス軍も撤退を開始したと伝えていた。

一方、フランス外務省報道官は、有志連合諸国とフランスが米国とシリアからの米地上部隊撤退の時期や条件について協議を行っていることを明らかにした。

さらにフランスのフランソワ・デラットル国連大使は、「フランスは向こう数週間、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍を含むシリア国内の米国のすべての同盟者の安全を保障するため活動することになる」と述べた。

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こうしたなか、民主統一党の駐フランス代表部のハーリド・イーサー代表は、AFP(12月20日付)に対して、フランス政府が、シリア民主評議会執行委員会のイルハーム・アフマド氏(前共同議長)とリヤード・ダッラール氏(共同議長)を招聘することを決定したことを明らかにした。

AFP, December 20, 2018、ANHA, December 20, 2018、AP, December 20, 2018、CNW, December 20, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 20, 2018、al-Hayat, December 21, 2018、Reuters, December 20, 2018、SANA, December 20, 2018、Sputnik News, December 19, 2018、UPI, December 20, 2018などをもとに作成。

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YPG主体のシリア民主軍、その政治母体のシリア民主評議会はトランプ米政権がシリアから地上部隊の撤退開始を発表したことをダーイシュとの戦いに「悪影響」をもたらすと非難(2018年12月20日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍総司令部は声明を出し、ドナルド・トランプ米政権がシリアから地上部隊の撤退開始を発表したことを非難する声明を出した。

シリア民主軍総司令部は声明のなかで「我々がダーイシュ(イスラーム国)最後の拠点でテロに対する熾烈な戦いを行い、解放された地域でテロのスリーパー・セルと戦っているなか…、ホワイトハウスの決定は…、テロとの戦いに悪影響を及ぼし、テロおよびそれを支援する者たちが息を吹き返し、地域において反撃テロを実行する政治・軍事的な契機を与えてしまうだろう」と懸念を表明した。

そのうえで、「テロとの戦いはいまだ終わっておらず…、その重大な局面において、皆の努力を倍増させ、有志連合のさらなる支援が求められる」と強調し、「撤退決定はテロ組織を根絶する努力に直接打撃を与え、世界の平和と安定に深刻な悪影響を与え、治安と安定を希求する諸国民を失望させる」と述べた。

シリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会も声明を出し、トランプ政権の決定が「不安定な状況のもと、トルコの脅迫が続くなかで行われた」と指摘、「シリア領内における(トルコの)古くからの野望を実現しようとする新たな危機に扉を開くことになる」と警戒感を示した。

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シリア民主評議会はまた、この決定が「ダーイシュ(イスラーム国)が勢力を盛り返す機会を与え、国際の平和と安全に脅威をもたらす…。シリア民主軍は米軍の撤退が有志連合の活動に悪影響しかもたらない」と非難した。

ANHA(12月20日付)が伝えた。

AFP, December 20, 2018、ANHA, December 20, 2018、AP, December 20, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 20, 2018、al-Hayat, December 21, 2018、Reuters, December 20, 2018、SANA, December 20, 2018、UPI, December 20, 2018などをもとに作成。

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ロシアのプーチン大統領はトランプ米政権がシリアからの地上部隊撤退開始を発表したことを懐疑的な見方を示しつつ「正しい措置」と評価(2018年12月20日)

ロシアのヴラジミール・プーチン大統領は、ドナルド・トランプ米政権がシリアから地上部隊の撤退開始を発表したことに関して、年末恒例の記者会見で、米軍のシリア駐留は違法だと改めて指摘しつつ、正しい措置だと述べた。

しかし、プーチン大統領は、米軍地上部隊が撤退を開始した兆候を今のところ目にしていないと付言、米国がアフガニスタンの駐留部隊を撤退させると繰り返し発表しているにもかかわらず、17年にわたり同国への駐留を続けているとして、撤退に懐疑的な見方も示した。

一方、シリアでの和平プロセスについては、政権委員会設置に向けた動きが完了することで2020年は新たな段階に入るだろうと述べた。

al-Hayat, December 21, 2018

AFP, December 20, 2018、ANHA, December 20, 2018、AP, December 20, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 20, 2018、al-Hayat, December 21, 2018、Reuters, December 20, 2018、SANA, December 20, 2018、UPI, December 20, 2018などをもとに作成。

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北・東シリア民政局とシリア政府が共同支配(分割統治)するハサカ市とカーミシュリー市などでトルコの侵攻作戦に抗議するデモが行われ、シリア政府支持者が多数参加(2018年12月20日)

ハサカ県では、SANA(12月20日付)によると、北・東シリア民政局とシリア政府が共同支配(分割統治)するハサカ市とカーミシュリー市、そしてシリア政府支配下のジャルマズ村で、トルコが準備している北東部ユーフラテス川以東地域への侵攻作戦に抗議し、領土の保全と統合を訴えるデモが行われ、シリア政府支持者が多数参加した。

SANA, December 20, 2018

ダイル・ザウル県南東部ユーフラテス川西岸に位置するイラク国境沿いのブーカマール市でも同様のデモが行われ、シリア政府支持者が参加した。

デモは、ドナルド・トランプ米政権がシリアからの軍地上部隊の撤退開始を発表したことで、トルコによる北東部への侵攻の可能性が高まったのを受けたもの。

SANA, December 20, 2018

AFP, December 20, 2018、ANHA, December 20, 2018、AP, December 20, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 20, 2018、al-Hayat, December 21, 2018、Reuters, December 20, 2018、SANA, December 20, 2018、UPI, December 20, 2018などをもとに作成。

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シリア軍はハマー県でイッザ軍、シャーム解放機構と交戦(2018年12月20日)

ハマー県では、SANA(12月20日付)によると、ハスラーヤー村、アブー・ライーダ村一帯への潜入を試みた反体制武装集団を、シリア軍が迎撃した。

シリア軍はまた、ラターミナ町一帯への侵攻を試みたシャーム解放機構を迎撃した。

シリア軍はさらに、ラトミーン村とムーリク市の間に位置する農場にあるイッザ大隊(イッザ軍)の拠点を攻撃、これを破壊した。

AFP, December 20, 2018、ANHA, December 20, 2018、AP, December 20, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 20, 2018、al-Hayat, December 21, 2018、Reuters, December 20, 2018、SANA, December 20, 2018、UPI, December 20, 2018などをもとに作成。

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デミストゥラ前シリア問題担当国連特別代表「シリア危機解決を支援するのに必要なことを実現できなかったことを謝罪する」(2018年12月20日)

スタファン・デミストゥラ前シリア問題担当国連特別代表は国連安保理で、シリアでの和平プロセスに関する最後に進捗状況報告を行った。

報告のなかで、デミストゥラ氏は「我々はシリア問題の当事者どうしを対話相手として認めるよう説得することに失敗した…。シリア政府は国連が作成した制憲委員会のメンバー候補者のリストを拒否し、反体制派もリストを拒否した」と述べた。

また「(アスタナ会議の)保障国(ロシア、トルコ、イラン)の外務大臣は、我々に50人からなる制憲委員会のメンバー・リストを示したが、我々はこれを拒否した」と続けた。

そのうえで「制憲委員会はシリアでの真の政治プロセスを開始するのに資するだろう。シリア危機解決を支援するのに必要なことを実現できなかったことを謝罪する」と述べた。

ドゥラル・シャーミーヤ(12月20日付)が伝えた。

AFP, December 20, 2018、ANHA, December 20, 2018、AP, December 20, 2018、al-Durar al-Shamiya, December 20, 2018、al-Hayat, December 21, 2018、Reuters, December 20, 2018、SANA, December 20, 2018、UPI, December 20, 2018などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから212人、ヨルダンから497人の難民が帰国、避難民245人が帰宅(2018年12月20日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(12月20日付)を公開し、12月19日に難民709人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは212人(うち女性63人、子供108人)、ヨルダンから帰国したのは497人(うち女性149人、子供253人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は69,777人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者31,798人(ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者37,979人(ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

SANA, December 20, 2018

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日に帰国した難民の数は 299,057人(うち女性89,740人、子供152,417人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,664,415人(うち女性1,999,325人、子供3,398,852人)。

一方、国内避難民245人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは28人(うち女性10人、子供12人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダイル・ザウル県、ダマスカス郊外県に帰宅したのは172人(うち女性56人、子供69人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは41人(うち女性18人、子供16人)だった。

これにより、2018年1月以降に帰宅した国内避難民の数は179,738人(うち女性55,320人、子供89,028人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,262,100人(うち女性380,318人、子供641,411人)となった。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を7件(イドリブ県2件、ラタキア県4件、ハマー県2件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームも13件の停戦違反(ハマー県1件、イドリブ県2件、ラタキア県3件、不明7件)を確認した。

Ministry of Defence of the Russian Federation, December 20, 2018をもとに作成。

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