アサド大統領は大規模火災が発生したラタキア県を視察:「被害は甚大で、課題も大きい。だがその克服は不可能ではない」(2020年10月13日)

アサド大統領は、10月8日晩から11日にかけて大規模火災が発生したラタキア県各所を訪問し、被害状況と刺殺、被害を受けた住民の陳情に耳を傾けた。

アサド大統領が訪問したのは、バルーラーン村、カルダーハ市に近いバスート村、ジャブラ市に近いカフル・ドゥバイル村。

現地視察には、フサイン・マフルーフ地方行政大臣、ムハンマド・ハッサーン・カトナー農業・農業改革大臣のイブラーヒーム・フドル・サーリム・ラタキア県知事、ムンズィル・ハイル・ビク・ラタキア県農業局長が同行した。

アサド大統領はバスート村でメディアのインタビューを受け、以下のように述べた。

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被害は甚大で、課題も同時に大きい…。だが、我々が知っているもっとも重要なことは、これらの課題の克服はまったく不可能ではないということだ。我々が現地訪問前に耳にしていたすべての問題、そして我々が報告書でモニターし、今回の訪問で市民や被害世帯から聞いた問題は、確実にすべて解決策がある。若干の調整は必要だ。もちろん、国が支援において最大の負担を担うことになる。支援はまずは、こうした世帯が農地にとどまり、投資できるようにするための物的なものとなる。

課題は様々な方面で存在する。第1の課題は…、この土地を再生し、人々をこの地域にとどまらせなければならないことだ…。作付けや代替農業といった技術支援を数年かけて行うことで、我々はこの土地を再生する必要がある…。

同じ枠組みなかで別の側面もある…。それは人道支援だ。なぜなら、被害世帯は最低でも1年、あるいはそれ以上の期間の資源・資材を失ってしまったからだ。我々がこれらの世帯の物的負担を担わねばならない。これが第2の課題だ。

第3の課題は、こうした困難な状況下で、土地を非生産的だと見なし、希望がないとして、売却しようとする人が出てきてしまうことだ…。もちろん、こうした機会を利用し、市民や被災世帯のニーズに乗じて土地を購入し、生産的な土地に改良したり、不動産取引用地にする者もいるだろう。

第1、第2、第3の点は互いに結びつき合っていて、今回の訪問の主要な目的は、近日中に我々が策定する計画が現実的で適用可能であること、机上の空論ではないことを確認するため、詳細を検討することにある。我々は非常に重要なアイデアを耳にした。とくに、それぞれの地域に異なった問題や解決策があることが分かった。

森林地帯にかかわる別の側面ある…。これらの地域ではまず、違反が広がっていることへの恐怖がある。政府の決定に基づいて、関係機関がこうした違反を根本的に抑えなければならない…。なぜなら、それは国民の財産だからだ…。

要するに、我々が国家として何を提供するのかと問われれば、解決が容易な技術的な問題があるということになる…。支援は大規模なものであるべきで、国家がこの分野で責任を負わねばならない。そして、アッラーのおかげで、シリアには十分な資源がある。

より難しいが、もちろん解決不可能ではない問題が別にある。それは、こうした事業を迅速に行うための技術的手段の不足である…。しかし、さまざまなかたちで貢献したいと考える多くのボランティアの助けを得て、我々はそうした手段を見つけるだろう。物的に貢献する人もいるし…、現物を提供する人もいる…。重要なのは我々は昼夜を惜しまず、この問題を解決していくために行動する。

今回発生した災害は、人的面でも、経済面でも、環境面でも国難だ。我々がこうした視察を続けるのは当然だ。私は、日程に沿って視察を続けざるを得ず、すべての地域を訪問することはできない。だが、我々は一部地域を訪問したことは、訪問した村を支援することを意味しない。訪問したほとんど村に見られる類似した状況を把握し、例外なく支援を行うことを意味する。なぜなら、我々はすべての被災地を支援したい…。私は訪問を続けるが、これは火災が発生したことを理由としたものではないということを明言した。なぜなら、火災の被害は何年も残り、解決されない問題がある限り、これらの地域に力点を置き、関心を持ち続けるべきだからだ。そうしたことを何年も続けていく考えだ。

今回の訪問は、アッラーが欲するのであれば、善良な人々を訪れ、彼らと会うための始まりに過ぎない。我々は彼らから力、愛国心、寛大さを与えられている。我々は彼らから正確な情報を得て、関係機関の情報を補足していく。

この機会を利用して、民間防衛隊(ホワイト・ヘルメットではなく正規の組織)の隊員たちにお礼を言いたい。彼らと会うことはできなかったが、彼らは非常に効果的で不可欠な役割を担ってきたことを、我々みなが知っている。彼ら、そして短期間での消火に貢献してくれたすべての人にお礼を言いたい…。もちろん、テロリストとの戦線だけでなく、火災の現場にいてくれたシリア・アラブ軍の役割には改めてお礼を言うまでもない。

第3に、優れた報道をしてくれたメディア関係者にもお礼を言いたい。

SANA(10月13日付)が伝えた。

https://youtu.be/QHo2ojj1Ees

 

https://youtu.be/FRciPFb45i4

https://youtu.be/zTTntGJCaYo

 

https://youtu.be/UppZPG3-iIg

 

AFP, October 13, 2020、ANHA, October 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2020、Reuters, October 13, 2020、SANA, October 13, 2020、SOHR, October 13, 2020などをもとに作成。

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ラーミー・マフルーフ氏は大規模火災の被害者を支援するためシリアテル社の収益を寄付させるよう当局に迫る(2020年10月13日)

アサド大統領のいとこでビジネスマンのラーミー・マフルーフ氏は、自身のフェイスブックの公式アカウント(https://www.facebook.com/RamiMakhloufSY/)にメッセージを投稿し、10月8日晩から11日にかけての沿岸部での大規模火災の被害者を支援するため、シリアテル社の収益を寄付させるよう当局に迫った。

メッセージの内容は以下の通り:

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「シリア沿岸の我が住民へ:

我々の心は、我々の村の森が目の当たりにした恐るべき光景によって焼かれている。森はすべてのシリア人が呼吸する肺だった…。我々の目は、自宅から避難した数百という人々、数千ドゥーナムという彼らの農地の火災を前に涙している。それは彼らの収入源であり、唯一生活を保証するものだ…。アッラーが、彼らすべてを忍耐強くし、犠牲者に慈悲を与え、負傷者を回復させ、残された住民を支え、我々が彼らを支え、癒やすのを支えてくれますように…。

至高なるアッラーの命により、我々はシリアテルが保有するラーマーク開発人道プロジェクト(民間持株会)社の利益の一部、70億シリア・ポンド(約14億円)を、沿岸地域、とりわけ火災の被害を受けた地域の住民を支援するのに充てた。我々はシリアテル専任の司法監督者に書面を送り、会社の利益を分配するか、利益を分配する権限を持つ取締役会の選挙を実施するための臨時の総務会を召集する訴えを起こすよう要請している。これは、被災者がこうした介護を奪われることなく、彼らが寄り添ってもらっていると感じるためのものだ。我々は、アッラーが欲するのなら、この金額を取得したうえ、社会問題労働省と共同でこれを分配したい。そのための会合開催が遅れ、この金額を分配できなければ、我々は、我々の住民が財政支援を受けることができないことの全責任が司法監督者であるSY-TRAにあると追及する。彼らはこうした支援をもっとも必要している。

神よ、私はそう述べたと告白する。」

https://www.facebook.com/RamiMakhloufSY/posts/2932977000137868

AFP, October 13, 2020、ANHA, October 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2020、Reuters, October 13, 2020、SANA, October 13, 2020、SOHR, October 13, 2020などをもとに作成。

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イスラエル軍所属と思われる戦闘機がダイル・ザウル県南東部の「イランの民兵」拠点を爆撃(2020年10月13日)

ダイル・ザウル県では、ドゥラル・シャーミーヤ(10月13日付)によると、イスラエル軍所属と思われる戦闘機複数機が、シリア政府の支配下にある県南東部ユーフラテス川西岸のブーカマール近郊で「イランの民兵」の拠点複数カ所に対して爆撃を実施し、多数が死傷した。

AFP, October 13, 2020、ANHA, October 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2020、Reuters, October 13, 2020、SANA, October 13, 2020、SOHR, October 13, 2020などをもとに作成。

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ロシア軍がハサカ県マーリキーヤ市一帯で2度のパトロールを実施(2020年10月13日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍部隊が、マーリキーヤ(ダイリーク)市一帯の国境地帯で2度にわたってパトロールを実施した。

部隊はいずれも装甲車4輌からなり、第1の部隊がアイン・ディーワール村方面、第2の部隊がカスル・ディーブ村、カーニー・ニウマ村方面を巡回した。

AFP, October 13, 2020、ANHA, October 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2020、Reuters, October 13, 2020、SANA, October 13, 2020、SOHR, October 13, 2020などをもとに作成。

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トルコによってアゼルバイジャンに派遣されたシリア人傭兵(国民軍戦闘員)12人がナゴルノ・カラバフ地方一帯での戦闘で新たに死亡(2020年10月13日)

シリア人権監視団は、トルコによってアゼルバイジャンの派遣されたシリア人傭兵(国民軍戦闘員)12人がナゴルノ・カラバフ地方一帯での戦闘で新たに死亡したと発表した。

これにより、戦闘が始まった9月27日以降のシリア人傭兵の死者数は119人となり、うち78人の遺体がシリアに移送された。

なお、トルコがアゼルバイジャンに派遣したシリア人傭兵は約1,450人(うち400人以上がスルターン・ムラード師団とハムザート師団のメンバー、また約1,200人がトルコマン系)。

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シリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会のアフマド執行委員会共同議長「シリア政府はクルド人とアラブ人の不和を作り出そうとしている…。ロシアは交渉の保証国になろうとしたが失敗した」(2020年10月13日)

シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるハサカ県カーミシュリー市で、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の政治母体であるシリア民主評議会の第8回対話フォーラムが開幕し、部族や政党の代表、シリア・クルド国民評議会代表、北・東シリア自治局ジャズィーラ地方代表、有識者、人権活動家ら130人が参加した。

「ジャズィーラとユーフラテスの民の国民大会に向けて」と銘打たれたフォーラムでは、イルハーム・アフマド・シリア民主評議会執行委員会共同議長が「シリア政府は、シリア危機を解決しようとするのではなく、この地域(シリア北・東部)の治安と安定を揺るがし、クルド人とアラブ人の不和を作り出そうとしている」と非難した。

アフマド共同議長はまた「シリア政府との会合は何の結果ももたらさなかった…。ロシアも(交渉の)保証国としての役割を果たそうとしたが、失敗した」と述べた。

ANHA(10月13日付)が伝えた。

AFP, October 13, 2020、ANHA, October 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2020、Reuters, October 13, 2020、SANA, October 13, 2020、SOHR, October 13, 2020などをもとに作成。

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ハサカ県シャッダーディー市でシリア民主軍と米軍に対する抗議デモ発生(2020年10月13日)

ハサカ県では、SANA(10月13日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあり、米軍が駐留するシャッダーディー市でデモが発生し、参加した住民数百人が、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍と米軍による犯罪に抗議した。

これに対して、シリア民主軍が武器を使用して強制排除した。

AFP, October 13, 2020、ANHA, October 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2020、Reuters, October 13, 2020、SANA, October 13, 2020、SOHR, October 13, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍と国民軍がハサカ県、アレッポ県を砲撃(2020年10月13日)

ハサカ県では、SANA(10月13日付)によると、トルコ軍の支援を受ける国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアブー・ラースィーン(ザルカーン)町を砲撃した。

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アレッポ県では、ANHA(10月3日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるマンビジュ市西のウンム・ジャッルード村、タッル・サイヤーダ村、ウンム・アダサ村などを砲撃した。

トルコ軍と国民軍はまた、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊のアキーバ村を砲撃した。

一方、シリア人権監視団によると、トルコ占領下のいわゆる「オリーブの枝」地域のジンディールス町近郊の国境地帯で、トルコ領内に越境しようとした子供1人がトルコ軍憲兵隊(ジャンダルマ)によって射殺された。

AFP, October 13, 2020、ANHA, October 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2020、Reuters, October 13, 2020、SANA, October 13, 2020、SOHR, October 13, 2020などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で52人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で107人(2020年10月13日)

保健省は政府支配地域で新たに52人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者33人が完治し、3人が死亡したと発表した。

これにより、10月13日現在の同地での感染者数は計4,826人、うち死亡したのは231人、回復したのは1,364人となった。

SANA(10月13日付)が伝えた。

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反体制系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で10月13日に新たに107人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、20人が完治したと発表した。

これにより、同地での感染者数は計1,927人、うち回復したのは1,024人、死亡したのは20人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1411024845769069/

AFP, October 13, 2020、ACU, October 13, 2020、ANHA, October 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2020、Reuters, October 13, 2020、SANA, October 13, 2020、SOHR, October 13, 2020などをもとに作成。

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イドリブ県、ハマー県、アレッポ県、ラタキア県でシリア軍と「決戦」作戦司令室の戦闘続く(2020年10月13日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから220日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室が、シリア政府の支配下にあるサラーキブ市を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

これに対して、シリア軍は「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のバーラ村を砲撃した。

一方、シャーム解放機構は、ジスル・シュグール市でフッラース・ディーン機構の司令官を逮捕した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原各所を砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるカフル・アンマ村、カフルタアール村を砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるクルド山地方各所を砲撃した。

AFP, October 13, 2020、ANHA, October 13, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 13, 2020、Reuters, October 13, 2020、SANA, October 13, 2020、SOHR, October 13, 2020などをもとに作成。

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