ポンペオ米国務長官「シリア政府が拘束する米国人の帰国に向けた取り組みを続ける」(2020年10月21日)

マイク・ポンペオ米国務長官は、カッシュ・パテル大統領副補佐官がシリアの首都ダマスカスを秘密裏に訪問し、シリアの当局によって拘束されているとされる米国人2人、ジャーナリストのオースティン・タイス氏(2012年失踪)、セラピストのマジド・カマルマズ氏(2017年失踪)の身柄引き渡しについて協議していたとの報道に関して、釈放に向けた政策を変更しないと述べた。

ポンペオ国務長官は「我々はシリアがタイス氏を釈放し、彼らが知っていることを我々に話すよう求めた。だが、彼らはそうすることを選ばなかった…。我々はオースィンだけでなく、拘束されているすべての米国人を帰国させるために取り組みを続ける。我々はそうするための政策を変更するつもりはない」と述べた。

ロイター通信(10月21日付)などが伝えた。

AFP, October 21, 2020、ANHA, October 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 21, 2020、Reuters, October 21, 2020、SANA, October 21, 2020、SOHR, October 21, 2020などをもとに作成。

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シャーム自由人イスラーム運動総司令官は元副司令官の復職を要請した司令官を解任(2020年10月21日)

国民解放戦線(シリア国民軍)を主導し、アル=カーイダの系譜を汲むシャーム自由人イスラーム運動のジャービル・アリー・バーシャー総司令官は声明を出し、アブー・ムンズィル軍事部門司令官、その副官、そしてアブー・ムハンマド・ハッターブ予備師団司令官を解任し、アブー・ファイサル・アンサーリー氏を軍事部門司令官に任命したほか、副官とハッターブ氏の後任も任命したと発表した。

シャーム自由人イスラーム運動軍事部門の司令官22人が10月20日に連名で声明を出し、2019年5月に組織を離れていたハサン・スーファーン元総司令官に組織に復帰し、軍事部門の再建を指導するよう要請したことへの対抗措置。


ヒブル・プレス(10月21日付)などが伝えた。

AFP, October 21, 2020、ANHA, October 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 21, 2020、Hibr Press, October 21, 2010、Reuters, October 21, 2020、SANA, October 21, 2020、SOHR, October 21, 2020などをもとに作成。

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トルコによってアゼルバイジャンに派遣されたシリア人傭兵36人が新たに死亡(2020年10月21日)

シリア人権監視団は、トルコによってアゼルバイジャンに派遣されたシリア人傭兵(国民軍戦闘員)36人がナゴルノ・カラバフ地方一帯での戦闘で新たに死亡したと発表した。

これにより、戦闘が始まった9月27日以降のシリア人傭兵の死者数は170人となり、シリアに移送された遺体数は118体となった。

なお、トルコがアゼルバイジャンに派遣したシリア人傭兵は約2,050人(うち400人以上がスルターン・ムラード師団とハムザート師団のメンバー、また約1,200人がトルコマン系)。

AFP, October 21, 2020、ANHA, October 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 21, 2020、Reuters, October 21, 2020、SANA, October 21, 2020、SOHR, October 21, 2020などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県で部族名士が殺害される(2020年10月21日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の支配下にあるタワーミヤ村近郊で、ルカイワート部族の名士が20日に武装集団の襲撃を受けて、21日に死亡した。

また、北・東シリア自治局の支配下にあるシュハイル村では、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が4人を逮捕、所持していた武器を押収した。

AFP, October 21, 2020、ANHA, October 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 21, 2020、Reuters, October 21, 2020、SANA, October 21, 2020、SOHR, October 21, 2020などをもとに作成。

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スワイダー市で地元民兵が空砲を撃つなどして女性の逮捕に抗議(2020年10月21日)

スワイダー県では、スワイダー24(10月21日付)によると、シリア政府の支配下にあるスワイダー市で20日深夜から21日未明にかけて、地元の民兵が市内に展開し、空砲を撃つなどして、地元女性の逮捕に抗議した。

AFP, October 21, 2020、ANHA, October 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 21, 2020、Reuters, October 21, 2020、SANA, October 21, 2020、SOHR, October 21, 2020、Suwayda 24, October 21, 2020などをもとに作成。

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エジプト、ギリシャ、キプロス首脳はトルコの介入政策を非難、シリアの主権と国土統一の維持、違法な外国の駐留の撤退を求める(2020年10月21日)

エジプトのアブドゥルファッターフ・スィースィー大統領、ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相、キプロスのニコス・アナスタシアディス大統領が、キプロスの首都ニコシアで首脳会談を行い、リビア、アルメニア、アゼルバイジャンなどに対するトルコの介入政策を非難、シリアについては主権と国土統一の維持の必要を強調し、違法な外国の駐留に異議を唱えた。

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会談後の共同記者会見で、アナスタシアディス大統領は、トルコが多くの違法行為によって、地域の情勢を混乱させ、緊張を高め、安定を揺るがしているとしたうえで、トルコによるシリアへの侵略と介入、リビアへの傭兵派遣、ナゴルノ・カラバフへの介入、黒海・エーゲ海での了解侵犯を非難、その停止を求めた。

スィースィー大統領は、トルコによる紛争地域への傭兵の派遣、移民・難民問題を通じた欧州への圧力を非難するとともに、シリアについては、外国の違法な駐留を拒否し、テロ支援を行う諸外国に対して、国連安保理決議第2554号などの原則に立ち返るよう求めた。

ミツォタキス首相は、トルコの拡張主義的な政策が地域に脅威を与えていると批判、リビア情勢について外国の介入を排除した問題解決を主唱した。

AFP, October 21, 2020、ANHA, October 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 21, 2020、Reuters, October 21, 2020、SANA, October 21, 2020、SOHR, October 21, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍と国民軍がラッカ県北部、ハサカ県北部を激しく砲撃(2020年10月21日)

ラッカ県では、SANA(10月21日付)やANHA(10月21日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアイン・イーサー市、同市に近いスライブ村、フッリーヤ村、ビール・アラブ村、ジャラン村、スィフヤーン村、ヒルバト・バカル村、クール・ハサン村、アブー・サッラ村を砲撃した。

シリア人権監視団によると、これに対して、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍もクーマーズダー村にあるトルコ軍の基地を砲撃した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、トルコの支援を受ける国民軍の戦闘員8人が離反し、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアブー・ラースィーン(ザルカーン)町近郊のアサディーヤ村にあるシリア民主軍の拠点に向かって逃走した。

これを受けて、トルコ軍はアサディーヤ村、ハドラーウィー村一帯を砲撃した。

一方、SANA(10月21日付)によると、トルコ軍と国民軍が、アブー・ラースィーン町とその近郊のハドラーウィー村などを砲撃し停電が発生、揚水所があるアルーク村への電力供給が停止した。

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アレッポ県では、ANHA(10月21日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊のブルジュ・カース村、シャフバー・ダム、スムーキーヤ村を砲撃した。

AFP, October 21, 2020、ANHA, October 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 21, 2020、Reuters, October 21, 2020、SANA, October 21, 2020、SOHR, October 21, 2020などをもとに作成。

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アサド大統領は民政および軍の公務員に対して5万シリア・ポンド、定年退職者に4万シリア・ポンドの生活補助金を支給することを定めた2020年法令第25号を施行(2020年10月21日)

アサド大統領は2020年法令第25号を施行し、民政および軍の公務員に対して5万シリア・ポンド、定年退職者に4万シリア・ポンドの生活補助金を支給することを決定した。

SANA(10月21日付)が伝えた。

AFP, October 21, 2020、ANHA, October 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 21, 2020、Reuters, October 21, 2020、SANA, October 21, 2020、SOHR, October 21, 2020などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で44人、北・東シリア自治局支配地域で153人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で308人(2020年10月21日)

保健省は政府支配地域で新たに44人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者33人が完治し、3人が死亡したと発表した。

これにより、10月21日現在の同地での感染者数は計5,224人、うち死亡したのは257人、回復したのは1,629人となった。

SANA(10月21日付)が伝えた。

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北・東シリア自治局の保健委員会(保健省に相当)は、支配地域で新たに153人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者11人が完治し、8人が死亡したと発表した。

これにより、10月21日現在の同地での感染者数は計3,251人、うち死亡したのは103人、回復したのは646人となった。

新規感染者の内訳は、ハサカ県のハサカ市28人、カーミシュリー市17人、マーリキーヤ(ダイリーク)市27人、マアバダ(カルキールキー)町8人、ルマイラーン町2人、アームーダー市6人、フール・キャンプ1人、アレッポ県のアイン・アラブ(コバネ)市20人、マンビジュ市11人、ラッカ県のラッカ市14人、タブカ市15人、ダイル・ザウル県4人。

ANHA(10月21日付)が伝えた。

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反体制系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で10月21日に新たに308人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、80人が完治したと発表した。

新規感染者の内訳は、イドリブ県ジスル・シュグール郡0人、イドリブ郡203人、ハーリム郡26人、アリーハー郡1人、アレッポ県スィムアーン山郡3人、ジャラーブルス郡11人、バーブ郡15人、アフリーン郡38人、アアザーズ郡11人。

これにより、同地での感染者数は計3,489人、うち回復したのは1,451人、死亡したのは21人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1418879881650232/

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1419645931573627/

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一方、シリア人権監視団は、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ県の「解放区」とトルコ占領下のアレッポ県北部で、新型コロナウイルス感染者325人が確認されたと発表した。

これにより、6月9日以降、「解放区」と占領地で確認された感染者数は計3,190人、うち死亡したのは23人、完治したのは1,371人となった。

AFP, October 21, 2020、ACU, October 21, 2020、ANHA, October 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 21, 2020、Reuters, October 21, 2020、SANA, October 21, 2020、SOHR, October 21, 2020などをもとに作成。

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ロシア軍が「決戦」作戦司令室支配下のイドリブ県ラーミー村を爆撃し、住民6人負傷(2020年10月21日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから230日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のラーミー村を爆撃し、子供2人を含む住民6人が負傷した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。
シリア軍がザーウィヤ山地方のバーラ村を砲撃し、住民多数が負傷した。

これに対して、「決戦」作戦司令室はシリア政府の支配下にあるダール・カビーラ村を砲撃するとともに、同地近郊でシリア軍兵士を狙撃、1人を殺害した。

また、フライフィル村ではシリア軍とシャーム解放機構が激しく交戦した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍とシリア軍がアレッポ県とラッカ県との県境に位置するイスリヤー村一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)の拠点に対して爆撃を実施、シリア軍地上部隊が同地でダーイシュと交戦した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を21件(イドリブ県13件、ラタキア県3件、アレッポ県2件、ハマー県3件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は20件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を10件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, October 21, 2020、ANHA, October 21, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 21, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, October 21, 2020、Reuters, October 21, 2020、SANA, October 21, 2020、SOHR, October 21, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民415人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は616,109人に(2020年10月21日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(10月21日付)を公開し、10月20日に難民415人(うち女性125人、子供212人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民415人(うち女性125人、子供212人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は616,109人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者220,861人(うち女性66,402人、子ども112,370人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,722,350人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は845,389人(うち女性253,678人、子供430,861人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, October 21, 2020をもとに作成。

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