ドイツは国連安保理で来年予定されている大統領選挙が現在の状況で実施されれば、これを承認しないと主張(2020年10月28日)

国連安保理では、シリア情勢への対応を協議するための会合が開かれ、ドイツのクリストフ・ホイスゲン国連大使が、現在の状況において大統領選挙(2021年予定)が実施された場合、それを承認しないと表明するとともに、シリア政府が制憲委員会(憲法制定委員会)の進展を妨害していると非難、ロシアに対しシリア政府に圧力をかけて、民間人への攻撃を停止させ、政治的解決を受け入れさせるよう求めた。

これに対して、ロシアのワシーリー・ネベンジャ国連大使は、ロシアとシリア政府が民間の拠点を攻撃しているとのドイツの主張はねつ造されたもので、正しくないと反論した。

また、米国のリチャード・ミルズ次席大使も、シリア政府は国内外のすべてのシリア人が参加可能な公平な選挙を実施する用意がないと非難した。

ドゥラル・シャーミーヤ(10月29日付)が伝えた。

AFP, October 29, 2020、ANHA, October 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 29, 2020、Reuters, October 29, 2020、SANA, October 29, 2020、SOHR, October 29, 2020などをもとに作成。

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トルコのエルドアン大統領はシャーム軍団基地へのロシア軍爆撃に関して「トルコはシリア全土からテロ組織を抹殺することができる」と述べ、クルド民族主義への敵意を示す(2020年10月28日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、10月26日のイドリブ県ドゥワイラ山のシャーム軍団基地に対するロシア軍の大規模爆撃に関して、国会で「国民軍の教練センターに対するロシア軍の攻撃は、持続的な平和と安定が望まれていない兆候だ」と述べた。

その一方で、エルドアン大統領は「シリアにおける部隊駐留が占領ではなく、シリア国民に平和をもたらすことが目的だ」としたうえで、「トルコには、こちらがすでに定めているシリア領内の地域からテロ組織を排除する権利がある…。トルコは必要とあれば、シリア全土からテロ組織を抹殺することができる」と強調し、クルド民族主義勢力の民主統一党(PYD)への敵意を露わにした。

また、トルコのフェリドゥン・シニルリオール国連大使は、シリア情勢に関する国連安保理の会合で、ロシアではなく、シリア軍による停戦違反と軍事的挑発を停止させるよう求めた。

アナトリア通信(10月28日付)が伝えた。

AFP, October 28, 2020、Anadolu Ajansı, October 28, 2020、ANHA, October 28, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 28, 2020、Reuters, October 28, 2020、SANA, October 28, 2020、SOHR, October 28, 2020などをもとに作成。

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トルコによってアゼルバイジャンに派遣されたシリア人傭兵29人がナゴルノ・カラバフ地方一帯での戦闘で死亡する一方、300人が新たに派遣(2020年10月28日)

シリア人権監視団は、トルコによってアゼルバイジャンに派遣されたシリア人傭兵(国民軍戦闘員)29人がナゴルノ・カラバフ地方一帯での戦闘で新たに死亡する一方、約300人が新たに現地に派遣されたと発表した。

これにより、戦闘が始まった9月27日以降のシリア人傭兵の死者数は217人となり、シリアに移送された遺体数は163体となった。

なお、トルコがアゼルバイジャンに派遣したシリア人傭兵は約2,350人で、うち320人がすべてを放棄して帰国したという。

AFP, October 28, 2020、ANHA, October 28, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 28, 2020、Reuters, October 28, 2020、SANA, October 28, 2020、SOHR, October 28, 2020などをもとに作成。

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北・東シリア自治局の支配下にあるダイル・ザウル県シュハイル村でシリア民主軍兵士1人殺害(2020年10月28日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の支配下にあるシュハイル村で人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の兵士1人が正体不明の武装集団に撃たれて死亡した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、米主導の有志連合の車輌約50輌からなる車列が兵站物資などを積んで、イラクとの国境に違法に設置されているワリード国境通行所からシリア領内に新たに進入し、県内各所に設置されている基地に向かった。

AFP, October 28, 2020、ANHA, October 28, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 28, 2020、Reuters, October 28, 2020、SANA, October 28, 2020、SOHR, October 28, 2020などをもとに作成。

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フール・キャンプに収容されていた国内避難民(IDPs)35世帯が、地元の部族長の身元保証を受けてラッカ県に帰還(2020年10月28日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の管理下にあるフール・キャンプに収容されていたラッカ県からの国内避難民(IDPs)35世帯が、地元の部族長の身元保証を受けて帰還した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が県東部のスフナ市近郊の砂漠地帯にあるシリア軍第5軍団の検問所を襲撃し、兵士4人を殺害した。

AFP, October 28, 2020、ANHA, October 28, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 28, 2020、Reuters, October 28, 2020、SANA, October 28, 2020、SOHR, October 28, 2020などをもとに作成。

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シャーム解放機構はイドリブ市内でフッラース・ディーン機構の司令官4人を逮捕、うち3人がチュニジア人(2020年10月28日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構の治安部隊がイドリブ市内でフッラース・ディーン機構の司令官4人を逮捕した。

逮捕された4人のうち、3人はチュニジア人、1人はダルアー県出身。

AFP, October 28, 2020、ANHA, October 28, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 28, 2020、Reuters, October 28, 2020、SANA, October 28, 2020、SOHR, October 28, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍と国民軍がアレッポ県バーブ市近郊、マンビジュ市近郊を砲撃、住民複数が負傷(2020年10月28日)

アレッポ県では、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍傘下のマンビジュ軍事評議会によると、トルコ軍の支援を受ける国民軍が、バーブ市近郊のカーウカリー村、クールフユーク村、ジャブラト・サイヤーダ村、シャイフ・ナースィル(クルト・ワイラーン)村など、トルコの占領地に面するシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治地域を砲撃し、住民複数が負傷した。

マンビジュ軍事評議会によると、打ち込まれた砲弾の数は70発以上に達したという。

ANHA(10月28日付)によると、トルコ軍と国民軍はまた、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるマンビジュ市近郊のブーガーズ村に対して20発以上の砲弾で砲撃した。

AFP, October 28, 2020、ANHA, October 28, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 28, 2020、Reuters, October 28, 2020、SANA, October 28, 2020、SOHR, October 28, 2020などをもとに作成。

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アサド大統領が預言者聖誕祭の集団礼拝に参加(2020年10月28日)

アサド大統領は10月28日晩、ダマスカス県のサアド・ブン・ムアーッズ・モスクで預言者生誕祭に合わせて行われた集団礼拝に参加した。

集団礼拝は、ダマスカス県ムフティーのアブドゥルファッターフ・バズム師の指導のもとに行われ、ムハンマド・アブドゥッサッタール・サイイド宗教関係大臣が説教を行った。

また、アサド大統領のほか、バアス党のヒラール・ヒラール中央指導部(旧シリア地域指導部)副書記長、フサイン・アルヌース首相、共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師らが参加した。

SANA(10月28日付)が伝えた。

AFP, October 28, 2020、ANHA, October 28, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 28, 2020、Reuters, October 28, 2020、SANA, October 28, 2020、SOHR, October 28, 2020などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で52人、北・東シリア自治局支配地域で216人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で301人(2020年10月28日)

保健省は政府支配地域で新たに52人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者40人が完治し、3人が死亡したと発表した。

これにより、10月28日現在の同地での感染者数は計5,580人、うち死亡したのは278人、回復したのは1,861人となった。

SANA(10月28日付)が伝えた。

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北・東シリア自治局の保健委員会(保健省に相当)は、支配地域で新たに216人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者6人が完治し、4人が死亡したと発表した。

これにより、10月28日現在の同地での感染者数は計4,164人、うち死亡したのは119人、回復したのは693人となった。

新規感染者の内訳は、ハサカ県のハサカ市21人、カーミシュリー市25人、マーリキーヤ(ダイリーク)市34人、マアバダ(カルキールキー)町13人、ダルバースィーヤ市8人、アームーダー市5人、カフターニーヤ(ディルベ・スピーイェ)市4人、ジュワーディーヤ(ジャッル・アーガー)村1人、ルマイラーン町1人、フール・キャンプ1人、アレッポ県のアイン・アラブ(コバネ)市18人、マンビジュ市24人、シャフバー地区(タッル・リフアト市)2人、ラッカ県のラッカ市24人、タブカ市32人、ダイル・ザウル県3人。

ANHA(10月28日付)が伝えた。

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反体制系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で10月28日に新たに301人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、126人が完治したと発表した。

新規感染者の内訳は、イドリブ県ジスル・シュグール郡1人、イドリブ郡184人、ハーリム郡44人、アリーハー郡2人、アレッポ県スィムアーン山郡7人、ジャラーブルス郡11人、バーブ郡14人、アフリーン郡35人、アアザーズ郡3人。

これにより、同地での感染者数は計4,738人、うち回復したのは2,096人、死亡したのは42人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1425696060968614/

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1426560240882196/

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一方、シリア人権監視団は、シャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ県の「解放区」とトルコ占領下のアレッポ県北部で、新型コロナウイルス感染者301人が確認される一方、感染者18人が死亡したと発表した。

これにより、6月9日以降、「解放区」と占領地で確認された感染者数は計4,738人、うち死亡したのは42人、完治したのは2,096人となった。

AFP, October 28, 2020、ACU, October 28, 2020、ANHA, October 28, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 28, 2020、Reuters, October 28, 2020、SANA, October 28, 2020、SOHR, October 28, 2020などをもとに作成。

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シャーム解放機構に近いイバー・ネットはアレッポ県ジャドラーヤー村への攻撃でエジプト人傭兵多数を殺傷したと発表(2020年10月28日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから237日目を迎えた。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がシリア政府支配下のジャドラーヤー村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

シャーム解放機構に近いイバー・ネット(10月28日付)は、この攻撃に関して、機甲ミサイル中隊がジャドラーヤー村一帯の占領国ロシアの民兵の本部2カ所を破壊することに成功、エジプト人傭兵多数を殺傷したと伝えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室支配下のアリーハー市、ザーウィヤ山地方各所を砲撃し、アリーハー市では住民4人が死亡した。

これに対して、「決戦」作戦司令室は、シリア政府支配下のカフルナブル市近郊でシリア軍兵士1人を殺害した。

一方、トルコ軍は、兵站物資を積んだ車輌約25輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市内のサビール地区で、シリア政府との和解に応じ、軍事治安局に勤務していた元反体制武装集団の戦闘員3人が、何者かの襲撃を受けて死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を38件(イドリブ県21件、ラタキア県11件、アレッポ県4件、ハマー県2件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は29件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を14件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, October 28, 2020、ANHA, October 28, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 28, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, October 28, 2020、Reuters, October 28, 2020、SANA, October 28, 2020、Shabaka Iba’ al-Ikhbariya, October 28, 2020、SOHR, October 28, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民498人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は619,785人に(2020年10月28日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(10月28日付)を公開し、10月27日に難民498人(うち女性150人、子供253人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民498人(うち女性150人、子供253人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は619,785人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者224,534人(うち女性67,505人、子ども114,254人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,721,603人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は849,065人(うち女性254,781人、子供432,736人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, October 28, 2020をもとに作成。

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