欧州理事会はシリアでの化学兵器の開発・使用に関わっているとされる科学研究調査センター(SSRC)と関係者9人への制裁を1年延長(2020年10月12日)

欧州理事会は、化学兵器禁止条約(CWC)が定める化学兵器使用禁止を支援するとして、シリアでの化学兵器の開発・使用に関わっているとされる関係者9人と科学研究調査センター(SSRC)に対する制裁を2021年10月16日までの1年間延長したと発表した。

制裁が延長された主な関係者は以下の通り:

ハーリド・ミスリー:SSRC第1000研究所長
ハーリド・ズガイブ:SSRC200研究所長、第1000研究所保安局長
ターリク・ヤースミーヤ:大佐、大統領府とSSRCの連絡担当
サイード・サイード:SSRC第3000研究所員

制裁は2018年6月28日に欧州理事会によって発動されていた。

AFP, October 12, 2020、ANHA, October 12, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 12, 2020、Reuters, October 12, 2020、SANA, October 12, 2020、SOHR, October 12, 2020などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県北・東シリア自治局の支配地域で収穫された大量の穀物がシリア政府支配地域に密輸される(2020年10月12日)

ニダー・フラート(10月2日付)は、北・東シリア自治局の支配下にあるダイル・ザウル県ユーフラテス東岸で収穫された大量の穀物が、シリア政府の支配下にあるユーフラテス川東岸に「密輸」され、親政権民兵の士官や業者の手に渡っていると伝えた。

AFP, October 12, 2020、ANHA, October 12, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 12, 2020、Nida’ al-Furat, October 12, 2020、Reuters, October 12, 2020、SANA, October 12, 2020、SOHR, October 12, 2020などをもとに作成。

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ラッカ県ラサーファ砂漠地帯でシリア軍とダーイシュが激しく交戦、ロシア軍が同地を爆撃(2020年10月12日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ県、ハマー県との県境に位置するラサーファ砂漠一帯で、シリア軍とダーイシュ(イスラーム国)が激しく交戦、ロシア軍が同地を爆撃した。

AFP, October 12, 2020、ANHA, October 12, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 12, 2020、Reuters, October 12, 2020、SANA, October 12, 2020、SOHR, October 12, 2020などをもとに作成。

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イドリブ県でシャーム解放機構の拠点に正体不明の武装集団が特攻自爆(インギマースィー)攻撃(2020年10月12日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の支配下にある県南部のアルバイーン山で、正体不明の武装集団が、シャーム解放機構の本部に対して、特攻自爆(インギマースィー)攻撃を行い、度婦機構の戦闘員2人を射殺した。

AFP, October 12, 2020、ANHA, October 12, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 12, 2020、Reuters, October 12, 2020、SANA, October 12, 2020、SOHR, October 12, 2020などをもとに作成。

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ラタキア県北東部でシャーム自由人イスラーム運動が決起、シャーム自由人イスラーム運動が介入(2020年10月12日)

「決戦」作戦司令室の支配下にあるラタキア県北東部で、シャーム自由人イスラーム運動の沿岸地区司令官が離反し、同地の戦闘員とともに決起した。

反乱は、シャーム自由人イスラーム運動がこの司令官の解任を決定したことを受けたもの。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

シャーム自由人イスラーム運動は国民解放戦線を主導する武装集団の一つで、アル=カーイダの系譜を汲む。

シリア人権監視団によると、シャーム自由人イスラーム運動はこれを制圧するために特殊部隊を派遣したが、シャーム解放機構も部隊を派遣し、反乱が発生した地域に展開した。

シャーム自由人イスラーム運動特殊部隊司令官は、展開の理由を尋ねるために、シャーム解放機構の拠点に近づいたが、護衛3人とともに拘束された。

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これに関して、シャーム自由人イスラーム運動のイナード・ダルウィーシュ大尉(アブー・ムンズィル)は、シリア・テレビ(10月12日付)の取材に対して、「組織上の理由と指揮系統上の理由」でアブー・ファーリス・ダルアーウィー沿岸地区司令官の解任を決定したことに反発し、一部武装メンバーがシャーム自由人イスラーム運動の拠点複数カ所で反乱したことを明らかにした。

ダルウィーシュ大尉は、9月にもアブー・スハイブを名乗る幹部の1人が解任されたが、今回のダルアーウィー沿岸地区司令官の解任は、アブー・スハイブ支持者を狙ったものだという。

ダルウィーシュ大尉によると、シャーム自由人イスラーム運動の特殊部隊が反乱を鎮圧するために、現地に向かったが、シャーム解放機構が介入し、反乱が発生した拠点一帯に展開した。

シャーム解放機構はまた、展開の理由を尋ねるために拠点に接近しようとした特殊部隊司令官を拘束した。

事態を受けて、特殊部隊は撤退を決定し、司令官は釈放されたという。

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シリア・テレビ(10月2日付)はまた、シャーム自由人イスラーム運動がメンバーに対して向けたとされる声明の内容を紹介した。

声明は、シャーム自由人イスラーム運動のジャービル・アリー・バーシャー総司令官とアラー・ファッハーム副司令官が下した「感情に基づく拙速な決定」が反乱の遠因にあるうえで、バーシャー総司令官が自身の任期延長を受けて、軍事部門を弱体化させ、その権限を奪おうとするとともに、一部の司令官に対して「否定的な行動」をとったと非難した。

また、今回の反乱については、バーシャー総司令官が沿岸地区司令官の解任を「恣意的」に決定したことに、同地区のメンバーが拒否の姿勢を示したことで発生したことを明らかにした。

バーシャー総司令官は、事態を収拾するために、アブー・イッズ・アリーハー司令官の部隊を派遣したが、同司令官が作戦司令室に入ろうとしたために拘束された。

拘束されたアリーハー司令官は、釈放後に反乱分子とシャーム解放機構が結託しているとの情報を拡散し、それがメディアなどを通じて報じられたと主張した。

そのうえで、声明は、組織の統一を維持するため、バーシャー総司令官とファッハーム副司令官の権限を凍結することを要求した。

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なお、シャーム自由人イスラーム運動は9月13日の会合で、バーシャー総司令官の任期を1年間延長することを決定した。

また、これと合わせて、総司令官の権限を拡大し、所属部隊の直接指揮を可能とし、中央集権を強化した。

シリア・テレビは、イナード大尉が、2019年5月末にシャーム自由人イスラーム運動を離れたハサン・スーファーン前総司令官と連携を取り合っていたと伝えたうえで、同大尉らが、シャーム解放機構との関係に対して柔軟な姿勢を示してきたのに対して、バーシャー総司令官やファッハーム副司令官は、イドリブ県におけるシャーム解放機構の「覇権」に異議を唱えてきたと伝え、それがシャーム解放機構の介入に繋がったとの見方を示した。

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シャーム解放機構の広報関係局長タキーッディーン・ウマル氏は、ドゥラル・シャーミヤ(10月12日付)などに向けて報道声明を出し、シャーム解放機構が事件に介入し、反抗したシャーム自由人イスラーム運動の司令官や戦闘員を支援したとの一部報道を否定した。

声明によると、シャーム解放機構による部隊派遣は、沿岸地区、とりわけアイン・バイダー町に設置されている軍事拠点複数カ所が狙われ、軍事的緊張が高まったことを受けたもので、同地に多数の検問所を設置し、交通規制を行い、実行犯複数人を逮捕した。

シャーム解放機構はその後、シャーム自由人イスラーム運動のジャービル・アリー・バーシャー総司令官と連絡をとった結果、拠点の攻撃が組織内の抗争によるものだとの説明を受けて、逮捕した実行犯を釈放したという。

AFP, October 12, 2020、ANHA, October 12, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 12, 2020、Reuters, October 12, 2020、SANA, October 12, 2020、SOHR, October 12, 2020、Syria TV, October 12, 2020などをもとに作成。

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トルコの支援を受ける国民軍所属部隊どうしがハサカ県ラアス・アイン市で激しく交戦(2020年10月12日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領下のラアス・アイン市で、国民軍に所属する東部軍(国民軍第1軍団第146旅団所属)の戦闘員複数人が同じくスルターン・ムラード師団の戦闘員1人を暴行した。

これをきっかけに両者が激しく交戦した。

AFP, October 12, 2020、ANHA, October 12, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 12, 2020、Reuters, October 12, 2020、SANA, October 12, 2020、SOHR, October 12, 2020などをもとに作成。

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シリア民主軍が米主導の有志連合のヘリコプターの支援を受けてハサカ県シャッダーディー市近郊で若者多数を拘束(2020年10月12日)

ハサカ県では、SANA(10月12日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるシャッダーディー市近郊のマディーナ村を人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が包囲、民家に押し入り、若者多数を拘束した。

これに関して、シリア人権監視団は、米主導の有志連合のヘリコプター部隊が上空を旋回し、シリア民主軍を支援したと発表した。

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ハサカ県では、ハーブール(10月2日付)によると、北・東シリア自治局の支配下にあるフール・キャンプに収容されていたダイル・ザウル県出身者約300人が、地元名士を身元保証を受けて避難生活を終えて、帰還した。

帰還したのは主にダーイシュ(イスラーム国)メンバーの家族。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア民主軍がハワーイジュ村で家宅捜索を行い、抗議デモに参加したとされる住民5人とダーイシュ(イスラーム国)の元メンバーとされる7人を拘束した。

AFP, October 12, 2020、ANHA, October 12, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 12, 2020、al-Khabur, October 12, 2020、Reuters, October 12, 2020、SANA, October 12, 2020、SOHR, October 12, 2020、October 13, 2020などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で56人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で90人(2020年10月12日)

保健省は政府支配地域で新たに56人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者35人が完治し、4人が死亡したと発表した。

これにより、10月12日現在の同地での感染者数は計4,774人、うち死亡したのは228人、回復したのは1,331人となった。

SANA(10月12日付)が伝えた。

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反体制系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で10月12日に新たに90人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、40人が完治し、1人が死亡したと発表した。

これにより、同地での感染者数は計1,820人、うち回復したのは1,004人、死亡したのは15人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1410192435852310/

AFP, October 12, 2020、ACU, October 12, 2020、ANHA, October 12, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 12, 2020、Reuters, October 12, 2020、SANA, October 12, 2020、SOHR, October 12, 2020などをもとに作成。

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シリア軍がイドリブ県、アレッポ県で「決戦」作戦司令室と交戦(2020年10月12日)

イドリブ県の緊張緩和地帯(第1ゾーン)は、ロシア・トルコが3月5日の首脳会談で停戦に合意してから219日目を迎えた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のファッティーラ村、カンスフラ村、バーラ村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

一方、トルコ軍は、兵站物資を積んだ車輌約50輌をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍と「決戦」作戦司令室がミーズナーズ村一帯で砲撃戦を行った。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるジッリーン村で軍事情報局の隊員1人が何者かによって殺害された。

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スワイダー県では、シリア人権監視団によると、総合情報部が、密輸業者を摘発しようとしたが、抵抗を受けて交戦となり、隊員1人が死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を2件確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は13件(イドリブ県2件、ラタキア県0件、アレッポ県9件、ハマー県2件)。

一方、トルコ側の監視チームは停戦違反を6件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, October 12, 2020、ANHA, October 12, 2020、al-Durar al-Shamiya, October 12, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, October 12, 2020、Reuters, October 12, 2020、SANA, October 12, 2020、SOHR, October 12, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民389人と国内避難民(IDPs)14人が新たにシリア政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は612,239人、2019年以降帰還したIDPsは66,425人に(2020年10月12日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(10月12日付)を公開し、10月11日に難民389人(うち女性117人、子供199人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民389人(うち女性117人、子供199人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は612,239人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者216,239人(うち女性65,241人、子ども110,395人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,719,841人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は841,519人(うち女性252,517人、子供428,886人)となった。

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一方、国内避難民38人が新たに帰宅した。

うちダマスカス郊外県東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは14人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所経由の帰還者のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は14人(うち女性3人、子供9人)だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は66,425人(うち女性23,150人、子供27,343人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,335,021人(うち女性405,709人、子供671,109人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, October 12, 2020をもとに作成。

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