ロシア軍は北・東シリア自治局とシリア民主軍にラッカ市への人道支援を提案するが、北・東シリア自治局側はこれを拒否(2021年7月1日)

ラッカ県では、シリア人権監視団が複数の活動家から得た情報だとして発表したところによると、シリア駐留ロシア軍の代表らが、欧米諸国の支援を受ける北・東シリア自治局の執行評議会が設置されているアイン・イーサー市で、同自治局傘下のラッカ民政評議会や人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の代表と会談し、ロシア当事者和解調整センターによるラッカ市の住民への人道支援物資の配給を提案した。

しかし、ラッカ民政評議会とシリア民主軍はこれを拒否した。

拒否の理由は不明。

AFP, July 2, 2021、ANHA, July 2, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 2, 2021、Reuters, July 2, 2021、SANA, July 2, 2021、SOHR, July 2, 2021などをもとに作成。

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フランス国連大使「シリアへの人道支援の92%はEU、米国、カナダ、日本によって行われている。これは西側のカネだ。政府支配地経由での支援を誰が期待しているのか」(2021年7月1日)

フランスのニコラス・デ・リヴィエール国連大使は記者会見で、反体制派や北・東シリア自治局の支配地域に、シリア政府支配地域を経由して充分な人道支援を行うことはできないとしたうえで、周辺国からシリアへの越境(クロスボーダー)人道支援が廃止された場合、西側諸国は人道支援を行わないと主張した。

発言は、越境(クロスボーダー)人道支援を定めた国連安保理決議第2165号の期間終了が7月10日に迫るなか、イドリブ県のバーブ・ハワー国境通行所に加えて、2020年7月に経由地から除外されたハサカ県のヤアルビーヤ国境通行所を通じた支援を1年延長するとしたノルウェーとアイルランドによる決議案の審議が始まったのに合わせたもの。

デ・リヴィエール国連大使は、「もし越境(クロスボーダー)での支援のメカニズムが閉ざされれば…、シリア北西部への人道支援は50%削減することになる」と述べる一方、「クロスライン(政府支配地を経由した支援)は機能していない」、「シリア政府は今年だけでも、クロスラインでの支援の50%を拒否している」などと主張した。

また「繰り返しになるが、シリアへの人道支援の92%はEU、米国、カナダ、日本によって行われている…。これは西側のカネだ。このカネが機能していないクロスラインの支援を通じて割り上げられることを誰が期待しているのか」と述べた。

AP(7月1日付)が伝えた。

AFP, July 1, 2021、ANHA, July 1, 2021、AP, July 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 1, 2021、Reuters, July 1, 2021、SANA, July 1, 2021、SOHR, July 1, 2021などをもとに作成。

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ダイル・ザウル県ウマル油田にある米主導の有志連合の基地が政府支配下のマヤーディーン市近郊の「イランの民兵」の拠点を砲撃(2021年7月1日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるユーフラテス川東岸に位置するウマル油田に設置されている米主導の有志連合の基地から、シリア政府の支配下にあるユーフラテス川西岸のマヤーディーン市近郊の砂漠地帯にある「イランの民兵」の拠点に対して砲撃が行われた。

AFP, July 1, 2021、ANHA, July 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 1, 2021、Reuters, July 1, 2021、SANA, July 1, 2021、SOHR, July 1, 2021などをもとに作成。

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トルコ軍がアレッポ県マンビジュ市北のアウン・ダーダート村を砲撃し2人負傷、タッル・リフアト近郊でシリア軍と砲撃戦を行い、シリア軍兵士1人死亡(2021年7月1日)

アレッポ県では、ANHA(7月1日付)によると、トルコ軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるマンビジュ市北のアウン・ダーダート村を砲撃し、女児1人と女性1人が負傷した。

また、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に所属するマンビジュ軍事評議会は声明を出し、シャイフ・ナースィル村に潜入を試みたシリア国民軍部隊を迎撃し、戦闘員5人を殺害したと発表した。

一方、シリア人権監視団によると、トルコの支援を受けるシリア国民軍とシリア軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるタッル・リフアト市近郊のアイン・ダクナ村一帯で砲撃戦となり、シリア軍兵士1人が負傷した。

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ラッカ県では、ANHA(7月1日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、トルコが占領するタッル・アブヤド市西に位置するシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下のアリーダ村、ズィヌービヤー村を砲撃した。

AFP, July 1, 2021、ANHA, July 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 1, 2021、Reuters, July 1, 2021、SANA, July 1, 2021、SOHR, July 1, 2021などをもとに作成。

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アサド大統領はロシアのアレクサンドル・ラヴレンチエフ・シリア問題担当大統領特使を代表とする使節団と会談(2021年7月1日)

アサド大統領はシリアを訪問したロシアのアレクサンドル・ラヴレンチエフ・シリア問題担当大統領特使を代表とする使節団と会談した。

SANA(7月1日付)によると、会談では、二国間の戦略的関係、二国間協力関係、ロシアによるシリアでの「テロとの戦い」、欧米諸国の経済制裁への対応の支援、アスタナ会議や制憲委員会を通じた政治プロセスの進捗などについて意見が交わされた。

会談には、シリア側からは、アリー・マムルーク国民安全保障会議議長、ブサイナ・シャアバーン大統領府特別顧問、アイマン・スーサーン外務在外居住者省次官、ルーナ・シブル大統領府特別顧問、ルワイユ・ファッルーフ同欧州局長が同席した。

https://www.facebook.com/SyrianPresidency/posts/4346810182029447

AFP, July 1, 2021、ANHA, July 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 1, 2021、Reuters, July 1, 2021、SANA, July 1, 2021、SOHR, July 1, 2021などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で36人、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で44人(2021年7月1日)

保健省は政府支配地域で新たに36人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者6人が完治し、3人が死亡したと発表した。

これにより、7月1日現在の同地での感染者数は計25,551人、うち死亡したのは1,879人、回復したのは21,831人となった。

SANA(7月1日付)が伝えた。

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反体制派系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で7月1日に新たに44人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、9人が完治したと発表した。

新規感染者の内訳は、イドリブ県ジスル・シュグール郡4人、イドリブ郡4人、ハーリム郡18人、アリーハー郡1人、アレッポ県スィムアーン山郡0人、ジャラーブルス郡2人、バーブ郡0人、アフリーン郡9人、アアザーズ郡6人。

これにより、同地での感染者数は計25,705人、うち回復したのは22,501人、死亡したのは709人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1610801422458076/

AFP, July 1, 2021、ACU, July 1, 2021、ANHA, July 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 1, 2021、Reuters, July 1, 2021、SANA, July 1, 2021、SOHR, July 1, 2021などをもとに作成。

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ダルアー県ナフジュ村に設置されているシリア軍第4師団の拠点が襲撃を受け、士官1人死亡(2021年7月1日)

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるナフジュ村に設置されているシリア軍第4師団の拠点が正体不明の武装集団の襲撃を受け、士官(少尉)1人が死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を32件(イドリブ県17件、ラタキア県11件、アレッポ県2件、ハマー県2件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は31件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を20件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, July 1, 2021、ANHA, July 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 1, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 1, 2021、Reuters, July 1, 2021、SANA, July 1, 2021、SOHR, July 1, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民299人と国内避難民(IDPs)304人が新たに政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は680,000人、2019年以降帰還したIDPsは91,525人に(2021年7月1日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(7月1日付)を公開し、6月30日に難民299人(うち女性90人、子供152人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民299人(うち女性90人、子供152人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は680,000人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者284,752人(うち女性85,584人、子ども144,984人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,766,326人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は908,981人(うち女性272,770人、子供463,287人)となった。

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一方、国内避難民304人が新たに帰宅した。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は91,525人(うち女性34,279人、子供32,433人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,360,121人(うち女性416,838人、子供676,199人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, July 1, 2021をもとに作成。

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