シリアへの越境(クロスボーダー)人道支援の実施期間延長を審議するための国連安保理会合延期に(2021年7月8日)

AFP(7月8日付)は、複数の外交筋の話として、周辺諸国からシリアへの越境(クロスボーダー)人道支援の実施期間延長を審議するために8日に予定されていた国連安保理の会合が延期された、と伝えた。

会合では、アイルランドとノルウェーが提出した延長案の採決が予定されていた。

AFP, July 8, 2021、ANHA, July 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 8, 2021、Reuters, July 8, 2021、SANA, July 8, 2021、SOHR, July 8, 2021などをもとに作成。

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ヨルダンのハサーウィナ首相「ヨルダン人がジャービル・ナスィーブ国境通行所の通過を阻止されねばならない理由はもはやない」(2021年7月8日)

ヨルダンのビシャル・ハサーウィナ首相は、シリアのダルアー県ナスィーブ国境通行所に面するジャービル国境通行所、イルビド県のハサン工業都市を視察訪問した。

シリアへのヨルダン人の渡航に関して、「ヨルダン人がジャービル・ナスィーブ国境通行所の通過を阻止されねばならない理由はもはやない…。現在出国が認められている以外のヨルダン人が出国するための調整を始めねばならない」と述べた。

ハサーウィナ首相はまた、外国人についても、内務省の合意を経ずに出国できるようにするとしたうえで、2週間以内に同通行所の出国者数を150人から500人まで増加させたいと付言した。

ヨルダンのペトラ通信(7月8日付)などが伝えた。

AFP, July 8, 2021、ANHA, July 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 8, 2021、Jordan News Agency (Petra), July 8, 2021、Reuters, July 8, 2021、SANA, July 8, 2021、SOHR, July 8, 2021などをもとに作成。

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シリア軍がトルコの占領下にあるアレッポ県アブー・ザンディーン村の通行所一帯を砲撃し、シリア国民軍に所属するスルターン・ムラード師団のメンバー複数負傷(2021年7月8日)

アレッポ県では、ANHA(7月6日付)によると、シリア軍がトルコの占領下にあるバーブ市一帯と、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配地域との境界に位置するアブー・ザンディーン村の通行所一帯を砲撃し、シリア国民軍に所属するスルターン・ムラード師団のメンバー複数が負傷した。

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ラッカ県では、ANHA(7月6日付)によると、トルコ軍とシリア国民軍がシリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるクーバルラク村、アフダクー村を砲撃した。

AFP, July 8, 2021、ANHA, July 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 8, 2021、Reuters, July 8, 2021、SANA, July 8, 2021、SOHR, July 8, 2021などをもとに作成。

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シャーム・ウィング社は7月16日からアレッポ国際空港とUAEのシャルジャ空港を結ぶ定期旅客便を就航すると発表(2021年7月8日)

シャーム・ウィング社は7月16日からアレッポ国際空港とUAEのシャルジャ空港を結ぶ定期旅客便を就航すると発表した。

SANA(7月8日付)が伝えた。

AFP, July 8, 2021、ANHA, July 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 8, 2021、Reuters, July 8, 2021、SANA, July 8, 2021、SOHR, July 8, 2021などをもとに作成。

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アスタナ16会議に出席した反体制派代表団を率いるトゥウマ氏「イドリブ県の状況は変化し、経済はシリアの他の地域よりも良くなっている」としたうえで越境(クロスボーダー)人道支援の継続をロシアに求める(2021年7月8日)

反体制派代表団(シリア軍事革命諸勢力代表団)の長を務めるシリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・トゥウマ暫定内閣首班はアスタナ16会議閉幕に合わせて記者会見を開き、「イドリブ県の状況は変化し、経済はシリアの他の地域よりも良くなっている…。アサド(大統領)は選挙後より過激になっている」などとしたうえで、越境人道支援の延長を定めた国連安保理決議案の採択に際して、ロシアに拒否権を発動しないよう要請した。

スプートニク・ニュース(7月8日付)が伝えた。

AFP, July 8, 2021、ANHA, July 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 8, 2021、Reuters, July 8, 2021、SANA, July 8, 2021、SOHR, July 8, 2021、Sputnik News, July 8, 2021などをもとに作成。

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アスタナ16会議に出席した政府代表団を率いるスーサーン外務在外居住者省次官「越境(クロスボーダー)人道支援の延長をめざす動きはもっとも醜いウソと偽善」(2021年7月8日)

シリア政府代表団の長を務める外務在外居住者省のアイマン・スーサーン次官はアスタナ16会議閉幕に合わせて記者会見を開き、周辺諸国からシリアへの越境(クロスボーダー)人道支援の延長をめざす西側諸国の動きに関して「もっとも醜いウソと偽善」としたうえで、「シリア人の苦しみに涙を流しているとする米国やその手先は、自分たちがテロ支援を通じてこの苦しみの原因となっていることを無視している」と非難した。

SANA(7月8日付)が伝えた。

AFP, July 8, 2021、Anadolu Ajansı, July 8, 2021、ANHA, July 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 8, 2021、Reuters, July 8, 2021、SANA, July 8, 2021、SOHR, July 8, 2021、Sputnik News, July 8, 2021などをもとに作成。

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アスタナ16会議が閉幕:「分離主義的アジェンダ」拒否、「テロとの戦い」継続、人道支援、難民帰還支援の必要を確認(2021年7月8日)

カザフスタンの首都ヌルスルターン(旧アスタナ)で7月7日から開催されていたアスタナ16会議は、アレクサンドル・ラヴレンチエフ・シリア問題担当大統領特使を長とするロシア代表団、アリー・アスガル・ハージー外務大臣補を長とするイラン代表団、サダト・オナル外務大臣補を長とするトルコ代表団が全体会合を開き、共同声明を発表し、閉幕した。

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共同声明において、会議の保障国である3カ国は、無垢の民間人を標的とするテロ活動を非難、ダーイシュ(イスラーム国)、ヌスラ戦線(現シャーム解放機構)、そしてアル=カーイダとつながりのあるすべての組織・個人を根絶するための協力を継続することを確認した。

また、イドリブ県中北部、ラタキア県北東部、ハマー県南西部、アレッポ県北部を包摂する緊張緩和地帯の状況については、同地の停戦にかかるすべての合意を実施する必要を確認した。

米国の支援を受け、トルコが「分離主義テロリスト」とみなすクルド民族主義組織の民主統一党(PYD)が主導する北・東シリア自治局の支配下にあるシリア北東部の情勢について、シリアの主権と領土保全に脅威を及ぼす「分離主義的アジェンダ」を拒否、「テロとの戦い」を口実とした違法な自治のイニシアチブは受け入れ慣れないと表明、シリアで産出される石油の奪脱を非難した。

さらに、シリア領内に対して繰り返されるイスラエルの侵犯行為を改めて非難した。

国連安保理決議第2254号に沿った政治プロセスについては、その推進に専念し、制憲委員会(憲法委員会)の活動を支援することを再確認した。

このほか、人道状況、とりわけ新型コロナウイルス感染症の拡大に懸念を表明、シリアに対する一方敵な経済制裁を拒否、政治利用なき無制限の人道支援を行うこと、基礎インフラの復興、難民・国内避難民(IDPs)の帰還を促す必要を強調した。

なお、次回の会合(アスタナ17会議)の開催は、新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえつつ、年末に開催することを合わせて合意した。

SANA(7月8日付)、アナトリア通信(7月8日付)、スプートニク・ニュース(7月8日付)などが伝えた。

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なお、反体制派系サイトのフッル・ネット(7月8日付)が会合に参加した複数筋の話として伝えたところによると、ロシアは緊張緩和地帯内に非武装地帯を設置することを強く主張した。

AFP, July 8, 2021、Anadolu Ajansı, July 8, 2021、ANHA, July 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 8, 2021、al-Hull, July 8, 2021、Reuters, July 8, 2021、SANA, July 8, 2021、SOHR, July 8, 2021、Sputnik News, July 8, 2021などをもとに作成。

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イドリブ県で反体制派を主導するシリアのアル=カーイダのシャーム解放機構はビダーマー町の鉄橋を破壊、トルコの密輸仲介業者に売却するため鉄骨を解体し倉庫に移送(2021年7月8日)

イドリブ県では、SANA(7月8日付)によると、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構(旧シャームの民のヌスラ戦線)がビダーマー町に架かる鉄橋を破壊し、トルコの密輸仲介業者に売却するため、解体した鉄骨を盗品を保管する倉庫に移送した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を31件(イドリブ県17件、ラタキア県9件、アレッポ県3件、ハマー県3件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は26件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を1件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, July 8, 2021、ANHA, July 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 8, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 8, 2021、Reuters, July 8, 2021、SANA, July 8, 2021、SOHR, July 8, 2021などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者は、シャーム解放機構主体の反体制派とトルコの支配下にあるイドリブ・アレッポ県で32人(2021年7月8日)

反体制派系NGOの支援連携ユニットは、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握る「解放区」とトルコ占領下の「オリーブの枝」地域と「ユーフラテスの盾」地域で7月8日に新たに32人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、47人が完治したと発表した。

新規感染者の内訳は、イドリブ県ジスル・シュグール郡0人、イドリブ郡3人、ハーリム郡8人、アリーハー郡2人、アレッポ県スィムアーン山郡2人、ジャラーブルス郡2人、バーブ郡7人、アフリーン郡4人、アアザーズ郡4人。

これにより、同地での感染者数は計25,945人、うち回復したのは22,778人、死亡したのは715人となった。

https://www.facebook.com/ACUSyria/photos/1615952811942937/

AFP, July 8, 2021、ACU, July 8, 2021、ANHA, July 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 8, 2021、Reuters, July 8, 2021、SANA, July 8, 2021、SOHR, July 8, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民331人と国内避難民(IDPs)223人が新たに政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は682,193人、2019年以降帰還したIDPsは92,441人に(2021年7月8日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(7月8日付)を公開し、7月7日に難民331人(うち女性100人、子供168人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民331人(うち女性100人、子供168人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は682,193人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者286,945人(うち女性86,242人、子ども146,064人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,770,847人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は911,473人(うち女性273,518人、子供464,555人)となった。

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一方、国内避難民223人が新たに帰宅した。

ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由して帰宅したのは223人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは0人、イドリブ県の「緊張緩和地帯」から帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は92,441人(うち女性34,736人、子供32,570人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,361,037人(うち女性417,295人、子供676,336人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, July 8, 2021をもとに作成。

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