ロシアのラヴロフ外務大臣は欧米諸国の経済制裁と資源盗奪がシリアの人道状況を悪化させていると非難する一方、クルド民族主義勢力にシリア政府との対話に応じるよう呼びかける(2021年7月2日)

ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣はバーレーンのアブドゥッラティーフ・ズィヤーニー外務大臣とモスクワで会談した。

会談後の記者会見で、ラヴロフ外務大臣はシリア情勢への対応について言及、欧米諸国によるシリアへの一方的な経済制裁と資源盗奪が同国の人道状況を悪化させていると非難したうえで、シリアでのテロ撲滅と国連安保理決議第2254号に基づいた対話による危機解決をめざすと述べた。

そのうえで、米国の後ろ盾を得てユーフラテス川東岸地域を実効支配するクルド民族主義勢力に対して、シリア政府との対話に応じ、分離主義を助長しようとする米国の試みに反対するよう呼びかけた。

『シャルク・アウサト』(7月3日付)などが伝えた。

AFP, July 2, 2021、ANHA, July 2, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 2, 2021、Reuters, July 2, 2021、SANA, July 2, 2021、al-Sharq al-Awsat, July 3, 2021、SOHR, July 2, 2021などをもとに作成。

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ジュヌード・シャームのシーシャーニー指導者はシャーム解放機構によってイドリブ県からの退去を求められていることが事実だと述べる一方、組織としての犯罪への関与を否定(2021年7月2日)

チェチェン人やレバノン人からなるジュヌード・シャームのムスリム・アブー・ワリード・シーシャーニー指導者は声明を出し、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構によってイドリブ県からの退去を求められていることが事実だと述べる一方、組織としての犯罪への関与を否定した。

2ページに及ぶ声明のなかで、シーシャーニー指導者は、次のように主張した。

我々は問題を告知せずに解決しようと試みた。だが、シャーム解放機構広報関係局の報道官が突如として、我々との間で起きたことを承知していないような発言を行い、無垢な我々に疑いを向けた…。我々はイスラーム教徒らに対して何が起きたかを明確にしておく必要があると考えた。

そうだ、シャーム解放機構の総合治安機関の高官からの召喚状が我々のもとに届いた。
次の日…、総合治安機関は私にこう言って、組織を解体し、イドリブから立ち去るよう要求してきた。「これは最終決定で、この決定を再考することは許されない」。これに対して、私は尋ねた。「理由は何なのか」…。しかし、納得のいく正当な理由は得られなかった。
この地域を掌握するシャーム解放機構は、みなを自分たちに従わせようとしている。
多くの組織がシャーム解放機構、シャーム自由人イスラーム運動、シャーム軍団、アンサール・シャーム、さらにはトルキスタン・イスラーム党と対立していると見なされているのに、恣意的に狙われている。なぜ、彼らは私だけにイドリブから去るよう求めてくるのか?
彼らのもとに誤った情報が行っている。シャーム解放機構が話していたカフルタハーリーム町の銀行強盗の犯人は、我々と何の関係もない。我々とこれらの犯罪、そしてこれらの犯罪者との間には何の関係もない。我々はこのことで我々を一切疑って欲しくない。
ジュヌード・シャーム大隊は、市民の間で広く知られ、愛されている。彼らは我々の組織が良いと言っている。人々は我々が汚れとは無縁で、ムジャーヒディーンの名を汚したことがないと知っている…。
我々がなぜ、アッラーの法(シャリーア)を自らに適用せずに、自らを犠牲しなければならないのか? 我々がこうした処遇に値するほどの存在だとは考えていない。

AFP, July 2, 2021、ANHA, July 2, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 2, 2021、Reuters, July 2, 2021、SANA, July 2, 2021、SOHR, July 2, 2021などをもとに作成。

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トルコ占領下のアレッポ県でシリア国民軍の戦闘員どうしが交戦(2021年7月2日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア国民軍に所属するスルターン・ムラード師団の戦闘員が、トルコ占領下のシャイフ・ナースィル村で、別の戦闘員らに発砲、3人を殺害、2人を負傷させた。

5人を死傷させた戦闘員は逃走したという。

また、トルコ占領下のアフリーン市の北に位置するダルウィーシュ・マイダーニカ村でシリア国民軍に所属する精鋭軍と北の鷹旅団が交戦し、双方合わせて6人の戦闘員が負傷した。

一方、アフリーン解放軍団が声明を出し、6月26日から30日までの5日間で、トルコ占領下のマーリア市およびその一帯各所、アアザーズ市近郊のカフル・カルビーン村でトルコ軍とシリア国民軍に対する特殊作戦を実施し、シリア国民軍戦闘員10人を殺害、4人を負傷させたと発表した。

ANHA(7月2日付)が伝えた。

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ダイル・ザウル県では、ANHA(7月2日付)によると、ダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるバフラ村で男性1人が正体不明の武装集団の発砲を受けて死亡した。

AFP, July 2, 2021、ANHA, July 2, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 2, 2021、Reuters, July 2, 2021、SANA, July 2, 2021、SOHR, July 2, 2021などをもとに作成。

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シリア軍とトルコの支援を受けるシリア国民軍がロシアの仲介で捕虜交換(2021年7月2日)

アレッポ県では、SANA(7月2日付)によると、トルコ占領下のバーブ市一帯地域で「テロ・グループ」に拉致され、長らく拘留されていたシリア軍兵士5人が解放され、トルコ占領地の境界に位置するアブー・ザンディーン村の通行所を通じて、シリア政府の支配地に帰還した。

ANHA(7月2日付)、シリア人権監視団によると、シリア軍兵士の釈放はロシアの仲介によるもの。

シリア政府側もシリア国民軍に所属するスルターン・ムラード師団のメンバー5人を解放した。

AFP, July 2, 2021、ANHA, July 2, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 2, 2021、Reuters, July 2, 2021、SANA, July 2, 2021、SOHR, July 2, 2021などをもとに作成。

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ロシア当事者和解調整センターはシャーム解放機構とホワイト・ヘルメットがシリア軍による化学兵器使用を偽装しようとしていると主張(2021年7月2日)

ロシア当事者和解調整センターのコレッテ・ヴァディム・フランツェヴィッチ少将は報道声明を出し、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構(旧シャームの民のヌスラ戦線)が、イドリブ県でホワイト・ヘルメットとともに、イドリブ県ザーウィヤ山地方南部でのシリア軍による化学兵器攻撃を偽装するため、同県ハーリム市一帯地域に有毒物質を搬入したとの情報を得たと発表した。

AFP, July 2, 2021、ANHA, July 2, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 2, 2021、Reuters, July 2, 2021、SANA, July 2, 2021、SOHR, July 2, 2021などをもとに作成。

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新型コロナウイルスの新規感染者はシリア政府支配地域で35人(2021年7月2日)

保健省は政府支配地域で新たに35人の新型コロナウイルス感染者が確認される一方、感染者7人が完治し、3人が死亡したと発表した。

これにより、7月2日現在の同地での感染者数は計25,586人、うち死亡したのは1,882人、回復したのは21,838人となった。

SANA(7月2日付)が伝えた。

AFP, July 2, 2021、ANHA, July 2, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 2, 2021、Reuters, July 2, 2021、SANA, July 2, 2021、SOHR, July 2, 2021などをもとに作成。

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シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるM4高速道路沿線のイドリブ県アリーハー村一帯を砲撃し、3人が負傷(2021年7月2日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるM4高速道路沿線のアリーハー村一帯を砲撃し、3人が負傷した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

シリア軍はまた、ザーウィヤ山地方のダイル・サンバル村、バイニーン村に対して砲撃を行った。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、「決戦」作戦司令室がシリア政府の支配下にあるガーブ平原のジューリーン村を砲撃した。

これに対して、シリア軍も「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のヒルバト・ナークース村を砲撃した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるダルアー市内のウマリー・モスク前の広場で、ロシア軍が6月23日からシリア政府との和解に応じたダルアー市在住の反体制武装集団の元メンバーらに対して、個人で所有する武器(小銃、機関銃など約200丁)の引き渡しを求めて、同市旧市街とマハッタ地区にいたる街道を封鎖していることに抗議するデモが行われた。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を41件(イドリブ県15件、ラタキア県16件、アレッポ県7件、ハマー県3件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は31件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を12件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, July 2, 2021、ANHA, July 2, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 2, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, July 2, 2021、Reuters, July 2, 2021、SANA, July 2, 2021、SOHR, July 2, 2021などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民325人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は680,325人に(2021年7月2日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(7月2日付)を公開し、7月1日に難民325人(うち女性98人、子供165人)が新たに帰国したと発表した。


このうちレバノンから帰国したのは難民325人(うち女性98人、子供165人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は680,325人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者285,077人(うち女性85,682人、子ども145,113人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,766,326人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は909,605人(うち女性272,958人、子供463,604人)となった。

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一方、国内避難民の新たな帰宅はなかった。

2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は91,525人(うち女性34,279人、子供32,433人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,360,121人(うち女性416,838人、子供676,199人)。

Ministry of Defence of the Russian Federation, July 2, 2021をもとに作成。

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