シリア革命反体制勢力国民連立のハーリド・ハウジャ代表は、現下のシリア情勢に関する支離滅裂な解釈を展開し、「シリアの隣国」に対して「シリアが種々の卑劣なテロの巣窟と化すことを回避するため」、直ちに介入するよう呼びかけた。
ハウジャ代表は、トルコのイスタンブールでアフマド・トゥウマ暫定内閣首班、サリーム・イドリース暫定政府国防大臣とともに行った記者会見で、アル=カーイダ系のシャームの民のヌスラ戦線やシャーム自由人イスラーム運動が主導する反体制武装集団のイドリブ県やダルアー県での攻勢を「我らが英雄的戦闘員の勝利」と讃える一方、「ダーイシュ(イスラーム国)が政権の代わりに、シリア最大の武器庫であるタドムル市を掌握し…、テロリストであるヒズブッラーとカラムーン地方など南部で連携し…、敗北しつつある政権をアレッポで救援しようとしている」との持論を展開した。
そのうえで「隣人に対して一丸となって行動し、シリアが種々の卑劣なテロの巣窟と化すことを回避するため、直ちに介入するよう呼びかける」と訴えた。
また、米国が主導する有志連合については、「シリア人は、ダーイシュの手による殺戮を放置したまま、自らの頭上を有志連合が通り過ぎ、さほど危険ではない地域(西クルディスタン移行期民政局支配地域のこと)のダーイシュを空爆していることを受け入れることはできない」と非難、「アレッポに63%におよぶ「樽爆弾」投下している政府軍」に対処するべきだと主張した。
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シリア・イスラーム評議会は声明を出し、ダーイシュ(イスラーム国)がシリア政府と有志連合の「手先」と断じた。
声明のなかで、シリア・イスラーム評議会は、「ダーイシュは、その思想的な偏り、残忍な行動に加えて、政権やシリア革命の成功を望まない諸勢力の手先である。三つの勢力、すなわち政権、ダーイシュ、そして有志連合の姿勢には、協調が存在するということは、もはや隠された事実ではない」と主張した。
そのうえで、ダーイシュによるアレッポ県への進軍が「革命家を背後から攻撃することで、アレッポ市をアサド政権から解放しようとするアレッポ・ファトフ軍の計画を挫折させようとするものだ」と非難、「ダーイシュはアラブの春の諸革命を反故にするために作られたのだ」と断じた。
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『ハヤート』(6月2日付)、クッルナー・シュラカー(6月1日付)などは、シリア軍がダーイシュの進軍を支援するためマーリア市を空爆したと複数の反体制活動家が主張していると伝えた。
AFP, June 1, 2015、AP, June 1, 2015、ARA News, June 1, 2015、Champress, June 1, 2015、al-Hayat, June 2, 2015、Iraqi News, June 1, 2015、Kull-na Shuraka’, June 1, 2015、al-Mada Press, June 1, 2015、Naharnet, June 1, 2015、NNA, June 1, 2015、Reuters, June 1, 2015、SANA, June 1, 2015、UPI, June 1, 2015などをもとに作成。
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