『ハヤート』(2月17日付)は、複数の外交筋の話として、国連安保理で、トルコ軍のシリアへの越境砲撃について協議するための非公式会合(議長国はヴェネズエラ)が開かれ、ロシアとともに、エジプトが、トルコによるイラクとシリアへの内政干渉を批判した、と伝えた。
この非公式会合は、ロシアの要請に基づき開催された。
会合では、ロシアのヴラジミール・ヴォロンコフ国連副大使が、怒りを露わにして、トルコ軍によるシリア領内への砲撃を非難するとともに、エジプトのアムル・アブー・アター国連代表大使が、「トルコに対する批判は、イラクやシリアに対して続けられる同国の干渉の背景に対してもなされるべきだ」と述べたという。
『ハヤート』(2月17日付)によると、アブー・アター国連代表大使は数日前から、イラクのムハンマド・ハキーム国連代表大使との会談を重ね、イラクに対するトルコの軍事介入を批判し、イラクからのトルコ軍の撤退を求める決議案についての協議を行っていたという。
これに対して、フランスのフランソワ・デラットル国連代表大使は、ミュンヘンでのISSG(国際シリア支援グループ)の合意、国連安保理決議第2254号の実施を最優先すべきだと主張、シリア軍とその同盟国による軍事行動がこうした動きに逆行すると非難した。
他方、『ハヤート』(2月18日付)によると、シリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表は、イドリブ県マアッラト・ヌウマーン市の病院を支援していたことに関して、「国境なき医師団はフランス諜報機関のシリア領内の支部だ」と断じ、「シリア政府との調整や協議なし」にシリア国内で活動していることを批判した。
また、イラクのハキーム国連代表大使代表大使も、モスル市一帯からのトルコ軍の撤退を求めるとともに、国連加盟国に対して、戦闘員の自国領の通過を阻止することを定めた国連決議を遵守するよう呼びかけた。
AFP, February 16, 2016、AP, February 16, 2016、ARA News, February 16, 2016、Champress, February 16, 2016、al-Hayat, February 17, 2016、February 18, 2016、Iraqi News, February 16, 2016、Kull-na Shuraka’, February 16, 2016、al-Mada Press, February 16, 2016、Naharnet, February 16, 2016、NNA, February 16, 2016、Reuters, February 16, 2016、SANA, February 16, 2016、UPI, February 16, 2016などをもとに作成。
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