国境なき医師団のジョアン・リュー会長は『ハヤート』(2月19日付)の電話取材に応じ、国境なき医師団が支援するイドリブ県マアッラト・ヌウマーン市内の病院に対する空爆(15日)が「意図的」に行われたとの見方を示した。
リュー会長は「シリア国内での民間人殺害が日常化」することを拒否すると述べるとともに、「敵側の医師は敵ではない」と強調した。
また「(マアッラト・ヌウマーン市の病院スタッフの話によると、2分ほどの攻撃でミサイル4発が病院を襲った。それから40分後、救急医療チームが現場に到着すると、現場は再び攻撃を受けた。意図的だったとしか考えられない。おそらくはシリア政府軍が主導する同盟によるものだろう」と述べた。
またシリアのバッシャール・ジャアファリー国連代表が、国境なき医師団をフランス諜報機関の出先だと批判したことに関しては「民間人や病院が攻撃を受けているという問題から注意をそらそうとするものだろう」と述べ、これを否定した。
リュー会長によると、国境なき医師団はロシア側に事件の調査を目的とする独立委員会の設置を求めているが、ロシア側からの回答はないという。
リュー会長はさらに、シリア政府やロシア政府が、国境なき医師団が支援する病院に関するデータの提供を求めているとしたうえで、「我々の側は、我々が運営する病院のデータを完全に提供してきた。しかし、我々が運営、あるいは支援しているその他の医療センターのデータ提供をめぐっては意見が分かれている。活動家たちはデータを提供すれば標的になるのではと恐れている」と述べた。
AFP, February 18, 2016、AP, February 18, 2016、ARA News, February 18, 2016、Champress, February 18, 2016、al-Hayat, February 19, 2016、Iraqi News, February 18, 2016、Kull-na Shuraka’, February 18, 2016、al-Mada Press, February 18, 2016、Naharnet, February 18, 2016、NNA, February 18, 2016、Reuters, February 18, 2016、SANA, February 18, 2016、UPI, February 18, 2016などをもとに作成。
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