チャヴシュオール外務大臣「米国はシリア軍がイドリブ県を解放した場合、シリアから部隊を撤退させない」(2019年3月29日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、トルコのアンタリヤ市を訪問し、トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣と会談し、シリア情勢、とりわけイドリブ県を中心とする緊張緩和地帯第1ゾーンの処遇について意見を交わした。

会談後の記者会見で、ラブロフ外務大臣は、「ロシアはイドリブ県をめぐるトルコとの合意を遵守する…。イドリブ県にかかる合意を実行するうえで決定的な役割を果たすロシア・トルコ両軍の連絡は常に行われている。この地域が困難に直面しているとはいえ、私は我々が一歩ずつ前に進んでいると信じている。両国首脳が定めた目標実現に向けて進み始めた。そのなかには、第1段階として三つの地区でのパトロール実施が含まれている」と述べた。

一方、ユーフラテス川以東地域の処遇については「撤退についての発言を受けるかたちで、米国は実際に撤退しなければならない」と強調し、シリアの主権尊重、領土統一のために同地の問題に対してトルコと共通姿勢をとると述べた。

そのうえで、すべての当事者がユーフラテス川以東地域の事態を収拾し、国境地帯の安全を保障するために参加する必要があり、アダナ合意がその基礎をなすべきとの見方を示した。

これに対して、チャヴシュオール外務大臣も、ロシアとの協力がイドリブ県の事態収拾において重要だと確認する一方、シリア軍の砲撃により、民間人に犠牲が出ていることに懸念を示した。

また「米国は、シリア軍がシリア北部を解放した場合、シリアから部隊を撤退させないだろう」と述べ、イドリブ県の支配をシリア政府が回復させないことを、シリアからの撤退の条件としていると述べた。

RT(3月29日付)、スプートニク・ニュース(3月29日付)などが伝えた。

AFP, March 29, 2019、ANHA, March 29, 2019、AP, March 29, 2019、al-Durar al-Shamiya, March 29, 2019、al-Hayat, March 30, 2019、Reuters, March 29, 2019、RT, March 29, 2019、SANA, March 29, 2019、Sputnik News, March 29, 2019、UPI, March 29, 2019などをもとに作成。

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