スワイダー市でアサド大統領を支持する集会に数万人が参加、国連事務総長はシリアでの「暴力の激化」を改めて非難(2011年7月20日)

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シリア政府の動き

ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣は、「シリアの家族(国民)は国民統合を維持し」、その感情も穏やかであると述べた。

AFP(7月20日付)によると、ムアッリム外務在外居住者大臣は、米大使や仏大使のハマー市訪問に対して、公的許可なくダマスカスを出て外遊しないよう警告し、「こうした違反が続けば、我々は何らかの措置を講じ、(ダマスカスの)周囲25キロ以上の地域への外遊を禁じる」と述べ、「このような措置をとらせないで欲しい」と述べた。

またムアッリム外務在外居住者大臣は、駐ダマスカス・カタール大使が出国したと述べる一方、「カタール大使はシリア外務省に連絡無しにダマスカスを去った。しかしながら我々は、ジャズィーラ放送の行為のいかんにかかわらず、カタール国と良好な関係を続けている」と明言した。

また駐カタール・シリア大使が依然として任務を継続し、最近の緊張状態においても出国することはない」と付言した。

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SANA(7月20日付)によると、スワイダー市で、アサド大統領の包括的改革プログラム支持、外国の干渉拒否を訴える集会が開かれ、数万人が参加、全長2.3キロの巨大なシリア国旗が広げられた。

SANA, July 20, 2011

SANA, July 20, 2011

またタルトゥース市での同様の集会が開かれた。

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SANA(7月17日付)によると、イドリブ県ジスル・シュグール市の住民253人が避難先のトルコから自宅に帰宅した。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、ロイター通信(7月20日付)などによると、ハラスター市入口を第4師団兵士数百人が包囲、また同市の水道、電気、電話は遮断された。

またシリア革命調整連合は、ドゥーマー市で大規模な治安作戦を展開し、多くの住民を逮捕したと述べた。

ドゥーマー市では作戦に先だって電話回線などが不通となった。

これに対して、ドゥーマー市住民はカビール・モスク前でデモを行い、逮捕者釈放を要求しているという。

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ヒムス県では、複数の活動家・目撃者によると、ヒムス市の複数地区で、治安部隊が大規模な家宅捜索を行った。

複数の目撃者によると、軍の戦車が包囲する同市は静けさに包まれる一方、治安部隊は市内でとりわけ夜間に大規模な活動を行うのだという。

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シリア人権連盟のアブドゥルカリーム・リーハーニー代表によると、シリア民主人民党のジョルジュ・サブラー書記長がダマスカス郊外の自宅で未明に逮捕された。

またアレッポ市でも、弁護士のジャマール・アッ=タッハーンが当局に逮捕されたという。

諸外国の動き

『ワシントン・ポスト』(7月20日付)はFBIから得た情報として、駐米シリア大使館が在米の反体制活動家に対して行っているスパイ活動、シリアに残る彼らの家族への脅迫についてFBIが調査しており、法的な措置もとられる模様だと伝えた。

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国連の潘基文事務総長は、シリアでの「暴力の激化」を改めて非難し、ダマスカスに反体制活動家弾圧の「即時停止」を求めた。

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キプロスの内務大臣は、ラーミー・マフルーフ氏が持っていたキプロス国籍を剥奪したと発表した。

国籍剥奪はEUの対シリア制裁の一環だという。

AFP(7月20日付)が伝えた。

AFP, July 20, 2011、Akhbar al-Sharq, July 20, 2011、al-Hayat, July 21, 2011、Kull-na Shuraka’, July 20, 2011、Naharnet, July 20, 2011、Reuters,
July 20, 2011、SANA, July 20, 2011、The Washington Post, July 20, 2011などをもとに作成。

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