アサド政権が一連の政治改革案を発表するなか、欧米諸国は同政権に対し「暴力の停止」を勧告(2011年3月24日)

ダルアー市での反体制運動

ダルアー県では、ダルアー市でウマリー・モスクでの弾圧の犠牲となった9人の葬儀が行われ、数万人が参列し、その後、市内で街頭行進を行った。

外国メディア特派員の市内での取材は制限され、AP通信記者が午後に散発的な銃声を聞いたと報じただけであった。

これらの特派員は軍・治安部隊高官が随行するかたちでウマリー・モスクへの訪問を許された。

道中、市内の店舗はすべて閉められ、幹線道路には車はほとんど走っていなかった、という。

また兵士と警官が市の入り口に検問所を設置し、道路は閉鎖されていた。

ロイター通信(3月24日付)は、前日までにウマリー・モスクを制圧した軍・治安部隊が同モスクからの撤退を開始したと報じた。

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3月23日早朝にウマリー・モスクで殺害されたハーリド・ミスリー兵卒(ヒムス県タッルカラフ市出身)に関して、『アフバール・シャルク』(3月24日付)は、モスク襲撃命令を拒否したために殺害されたとシリア人権委員会が発表したと報じた。

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ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官が死者数を「10人」と述べたのに対して(後述)、人権活動家のアイマン・アスワド氏はAFP(3月24日付)の電話取材に対して、(23日までのダルアー市での弾圧で)「100人以上が殺害された…。ダルアー市では殉教者を埋葬するのに1週間はかかるだろう」と述べた。

また別の活動家は、「死者は150人を越えるだろう…。犠牲者の多くは、ダルアー市の近隣の村々から葬儀に参列するためにやってきたが、治安部隊が彼らに発砲した」と述べた。

さらにもう一人の活動家は、「数万人が周辺の村々からやって来て、バリード交差点と県知事邸交差点にさしかかったところを治安部隊に発砲された」と述べた。

同活動家によると、ダルアー市には、タファス市、ヒルバト・ガザーラ町、フラーク市、ジャースィム市、インヒル市などから人々が訪れたという。

複数の消息筋によると、負傷者、行方不明者の多くは、政治治安部ダルアー支部やバアス党のビル前で抗議行動を行っていた、という。

反体制運動をめぐるその他の動き

シリア・クルド人権委員会、シリア民主的自由人権擁護諸委員会、シリア・クルド人権・一般的自由擁護機構(DAD)、シリア人権機構(Maf)は共同声明を出し、ダルアー市などで行われている抗議行動への支持を表明、市民の殺戮・暴行の真相を調査するための委員会設置、非常事態令・戒厳令解除、すべての政治犯・言論犯・良心犯の釈放、例外法廷の廃止、平和的デモを保障する法律の制定、クルド人の権利回復、政党法制定などを求めた。

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シリア・クルド・イェキーティー党が声明を出し、ダルアー市などでの反体制デモへの支持を表明。

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ゴラン高原住民46人が声明を出し、「祖国がそのくびきから解放されることなく、ゴランの解放はない」と述べ、反体制デモへの支持を表明した。

アサド政権の動き

バッシャール・アサド大統領は24日夜、給与引き上げ、国境地帯への国民の往来手続の簡略化などに関する政令を発令した。

またこの措置に先立って、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官が「戒厳令施行停止の早急の検討」、「情報法および政党法の制定」、「司法の強化、恣意的逮捕禁止」など、政治に関する一連の決定を発表した。

さらに、これらの決定に加えて、生活福祉状況改善に関する複数の決定がなされたことを明らかにした。

そのなかには、ダルアー住民の意見を聴取するための「最高指導委員会の発足」が含まれており、ダルアーでの「事件の状況、曖昧な点の究明、そして事件発生に関与した者の処罰が行われるという。

シャアバーン大統領府政治情報補佐官は、午前中と晩に二度にわたって内外の記者団を前に会見を行った。

バアス党シリア地域指導部の会合後に行われた午前中の記者会見において、シャアバーン補佐官は同会合で「政治情勢の進展、国民福祉の現状、政府の施政」を審議されたとしたうえで、以下の通り述べた。

「党指導部は二段階からなる一連の決定を下した――第1段階は「生活・福祉の領域」に関する決定で、そのなかには最高指導委員会の設置が含まれている。同委員会の任務は、ダルアー市民と連絡をとり、意見聴取を行い、事件の状況、その曖昧な点を究明し、事件発生に関与した者、任務を行った者の処罰することにある。またこれ以外にも、公務員の賃金の即時引き上げおよび福利厚生のための資金調達、青年層失業者への雇用先の創出や臨時雇用者の正規雇用などを通じた就労機会増大のため必要な資源の確保、政府および地方自治体の施政の広範な矯正の実施とそのための早急な決定が行われる」。

「第2段階の決定は「政治レベル」に関するもので、腐敗一掃のための新たな効率的しくみの構築、戒厳令施行停止の早急の検討、祖国と国民の安全を保障するための法制定などが含まれる。また同決定のなかには、政党法案の準備、さらなる自由、透明性を求める国民の意思に合致した新たな情報法の制定、国民の往来手続の簡略化するための国境地帯に関する政令第49号の改正およびその適用への不満の解消」も含まれている。また政治決定の6番目の項目として、司法の強化、恣意的逮捕禁止、国民が抱える案件の迅速な処理があげられている。

シャアバーン補佐官は『ハヤート』(3月25日付)などの質問に対して、一連の決定は発令とともに実施に移されると述べた。

また最近発生した事件の調査は「進行中」と述べたうえで、「ダルアー市民をはじめとするシリア国民が行い得る当然の要求があり、それは平和的かつ期待に添うような速度で対処されるべき問題である」としつつも、「シリアの安定を乱そうとする者の意見とは相容れない」かたちでこれらの決定がなされたことを明らかにした。

また「外国からシリアへ武器や資金が流入している確かな証拠がある…。武装活動が行われており、モスクが武器庫として利用され、治安部隊や医師が発砲を受けている…。外国がダルアーを選んだのは、資金や武器を流入させるに好都合な国境付近に位置するという地理的な理由であろう…。アラブ諸国や外国のメディアが「シリアを標的とすべく…、メディアを動員している」と述べた。

またダルアー市での死者数に関して「昨日晩の段階で9人が死亡したが、今日重傷を負っていた1人が死亡し、犠牲者数は10人になった」と述べた。

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『ニューヨーク・タイムズ』(3月24日付)は、ある顧問の話として、アサド大統領がダルアー市でのデモ参加者に対して発砲しないよう命令していたと報じた。

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ムハンマド・ナージー・アトリー首相はドゥンヤー・チャンネルのインタビューに答え、ダルアーでのデモに関して、県民の要求のなかには当然のものがあり、内閣は、適切な対処方法を検討し、正当な要求については内閣のプログラムの枠内で対応すると指摘した。

諸外国の動き

ヨルダンのターヒル・アドワーン情報通信担当国務大臣兼内閣報道官は、「ヨルダンからシリア領内に武器や戦闘員を搭載した複数の車が入っていった」との情報を否定した。

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米国務省は、シリアを訪問する予定の米国人に対して、「政治的、社会的混乱ゆえに警戒するよう」呼びかけた。

また国務省高官の一人は、『ハヤート』(3月25日付)に対して、ワシントンが「集中的に状況を監視しており…、シリア政府による暴力、脅迫、恣意的逮捕を大いに懸念している」と述べた。

国務省は「米国民にシリアの政治的、社会的混乱に警戒する」声明を発表し、「デモ発生地域に近づかないよう」勧告した。

また同勧告は6月24日まで続くとした。

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は「ダルアーをはじめとする地域でのデモ参加者への暴力を停止し、対話と民主的変革を進める」するようシリアに呼びかけた。

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また英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は「シリア政府に平和的デモを行う国民の権利を尊重し、合法的な彼らの要求に対処するための措置を講じる」よう呼びかけた。

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ドイツもまた、西欧諸国とともにデモ参加者への暴力停止をシリアに呼びかけた。

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国連事務総長報道官もまた、シリア政府に対して暴力停止と人権に関する国際的なとりきめを遵守するようを求めた。

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ドバイのシリア領事館前でシリア人が反体制デモを実施し、約100人が参加。

AFP, March 24, 2011, Akhbar al-Sharq, March 24, 2011, September 25, 2011、AP, March 24, 2011, al-Hayat, March 25, 2011、Kull-na Shurakā’, March 24, 2011、The New York Times, March 24, 2011、Reuters, March 24, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダルアー市で混乱が続くなか、治安部隊が同市内のモスク前で座り込みを行う人々に発砲(2011年3月23日)

ダルアー市での反体制運動をめぐる動き

ダルアー県では、複数の通信社が人権活動から得た情報によると、ダルアー市のウマリー・モスク前で座り込みを行う人々とデモ犠牲者の葬儀に参列した人々に治安部隊が発砲し、少なくとも15人が死亡した。

この二つの事件に関して、SANA(3月23日付)は公式筋の話として、「外国勢力」が「嘘を放送」し「虐殺が行われたと主張」することで、市民を煽動しようとしている、と報じた。

同報道によると、「武装集団」がウマリー・モスク近くで救急車に乗った医療スタッフを襲撃し、医師1人、衛生士1人、救急車ドライバー1人を殺害した。

これに対して現場近くの治安部隊が応戦し、武装集団の多くを負傷させ、数人を逮捕したが、その際兵士1人が殉職した。

また武装部隊が「ダルアー市で市民を脅迫し、殺戮、窃盗、放火を行う武装集団の追跡を行った」としたうえで、武装集団がウマリー・モスク内に武器弾薬を隠し、子供たちを誘拐し「人間の盾」として利用したと報じた。

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またシリア・アラブ・テレビは押収した武器、爆弾、装備を公開し、それらがモスクで発見されたと報じた。

しかし活動家らは、デモが平和的で武器は存在してないと反論した。

一方、SANA(3月23日付)によると、「外国勢力がダルアーの状況に関して嘘を広め…、住民を扇動、脅迫しようとした。しかし住民は武装集団を追跡する治安部隊と協力している」。

公式筋が伝えたところによると、「100万通以上の携帯電話のメッセージが外国から送られてきた。そのほとんどがイスラエルから発信されており、シリア人に、モスクを利用して暴動を行うよう呼びかけていた」。

しかし活動家らは、治安部隊がモスクで座り込みをする人々を排除するために攻撃したと非難した。

ある人権活動家はAFP(3月23日付)に「シリアの治安部隊がウマリー・モスク前で座り込みを行う人々に対して早朝に行った攻撃による死者は6人で、その内訳は女性2人、幼児1人、医師1人、治安部隊隊員2人である」と語った。

また早朝に殺害された犠牲者の葬儀から戻る途中で「参列者に治安部隊が発砲して6人が殺された」と述べた。

一方、別の活動家によると、「ウマリー・モスク前で13人が死亡し、そのうちの少なくとも5、6人が参列者に対する攻撃の犠牲者である」という。

さらにもう一人の活動家は、死者が「ダルアー市で11人、近隣の村々で2人」と述べた。一方、目撃者によると、早朝に民間人が殺害されたのを受け、住民と連帯するために北部からダルアー市内に行進してきた若者数百人に対して、治安部隊が発砲した。

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活動家らはシリア公式筋の報道を否定し、電話回線、電気が攻撃前に遮断されたと指摘し、シリア治安部隊がダルアー市内のウマリー・モスク前で座り込みを行う人々を排除するため攻撃したと非難、犠牲者の一部の氏名を公表した――「アリー・マハーミード博士、ターヒル・ムサーラマ氏、マーヒル・ムサーラマ氏、ウマル・アブドゥルワーリー・ムサーラマ氏、ムサーラマ氏(女性、名前は不明)、マーリク・アクラード氏、アシュラフ・ミスリー氏、アリー・ラワーシド氏、ハーティム・マハーミード氏、アブー・ヌブード氏(女性、名前は不明)」。

住民の一人によると、犠牲者のなかに、アリー・ガッサーブ・マハーミード氏も含まれているという。

同氏はダルアー市の名望家出の医師で、早朝に発生した攻撃での負傷者治療を支援するためダルアー・バラド地区のモスクへ向かっていた。

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なお、複数の消息筋によると、ダルアー市で自由を求めるデモが発生し、数百人が参加した。ダルアー市のデモはウマリー・モスク前で行われたが、治安部隊が強制排除に乗り出し、「デモ参加者はモスクに退散した」。シリア人権監視団によるとデモ参加者の数は1,000人に達した。

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また複数の消息筋によると、ナワー市でも自由を求めるデモが発生し、数百人が参加した。

反体制運動をめぐるその他の動き

国内の反体制活動家がダルアー市などでの反体制運動に対する武力弾圧を非難する声明を出す。声明は「シリア国民への声明」と題され、「シリア国民の権利、そして自由、公正、民主主義を求める若者の平和的インティファーダに対する弾圧行為」を非難し、アサド政権に、戒厳令解除、政治犯釈放、一般的自由の保障、複数政党制の実現、汚職撲滅などを実現するための早急な改革を求めた。

声明にはハイサム・マーリフ、ジャウダト・サイード、ムアーッズ・ハティーブ・ハサニー、ガッサーン・ナッジャール、ダアド・ムーサー、ムハンマド・アンマール、ヤースィル・アイティーが署名。

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複数の弁護士たちが明らかにしたところによると、当局はダマスカスの内務省本舎前で先週政治犯釈放を求めて行われた平和的デモの参加者6人を釈放した。

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アサド大統領のいとこで亡命中のリーバール・アサド氏(民主主義・自由のための機構代表)は、「アサド政権には改革か、崩壊しか選択肢はない」と述べた。

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シリア・ムスリム同胞団のアリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー前最高監督者は『シャルク・アウサト』(3月23日付)の電話取材に応え、「エジプト、チュニジア、リビアで革命を発生させた要因はシリアにも存在する。自由の欠如、専制、腐敗、貧困、失業はシリアにも存在する。また反体制活動家の逮捕も続いている。改革の約束は全く実現されてない」としたうえで、「改革はシリアではあまりに遅れている。国民の前には現状に対するインティファーダしかない。改革要求が実現するまで各都市での民衆のインティファーダは止まないだろう」と述べた。

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治安当局はアフマド・アブ・ハイイル(本名アフマド・ムハンマド・フザイファ)氏(バーニヤース市出身、ダマスカス・イスラーム・ファトフ学院学生)をダマスカスの自宅で逮捕した。フェイスブックを通じてダルアー市での反体制デモを支持する活動を行ったのが逮捕の理由。

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治安当局は人権活動家のマーズィン・ダルウィーシュ氏を尋問のち逮捕。

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シリア・クルド人権委員会、シリア民主的自由人権擁護諸委員会、シリア・クルド人権・一般的自由擁護機構(DAD)、シリア人権機構(Maf)は共同声明を出し、3月半ば以来の活動家らの逮捕を非難、釈放を求めた。

アサド政権の動き

シリア・アラブ・テレビはアサド大統領が政令第120号(2011年3月23日)を発令しダルアー県のファイサル・クルスーム県知事を解任したと発表した。

DPIなど複数のメディアが3月20日にすでに同氏が解任されたとの報道を流していた。

Defence Syria, March 20, 2011
Defence Syria, March 20, 2011

諸外国の動き

国連の潘基文事務総長は、ダルアー市での「平和的デモ参加者に対する暴力」を批判した。

またマーティン・ネシルキー国連報道官は「この虐殺に対する透明性のある調査が行い、その責任者が追求されねばならない」と述べた。

そのうえで「事務総長はシリア政府に対して、力の行使を止め、平和的集会の権利をはじめとする人権に関する国際的な誓約を遵守するよう呼びかける…。またシリア政府は、市民保護の義務を履行し、国民の合法的な要求に対して、対話と改革を通じて責任をもって答えるよう求める」と述べた。

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フランスはダマスカスに対して、延滞のない政治改革の実施と人権尊重を呼びかけた。

またダルアー市での犠牲者に関する調査、抗議行動参加者の釈放を求め、「過剰な力の行使」は停止されねばならない、との意思を表明した。

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米国務省によると、米国はシリアの治安部隊がダルアー市民に対して行使した暴力に懸念を表明し、その行為を非難した。

AFP, March 23, 2011, Akhbar al-Sharq, March 23, 2011, March 24, 2011、al-Hayat, March 24, 2011、 Kull-na Shuraka’, March 23, 2011、Reuters, March 23, 2011、SANA, March 23, 2011, March 24, 2011、al-Sharq al-Awsat, March 23, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダルアー県、ダマスカス県、ダマスカス郊外県、アレッポ県で抗議デモと弾圧が行われるなか、ダルアー県の名士がバアス党使節団と会談(2011年3月22日)

ダルアー県でのデモ

ダルアー市と近郊のナワー市で抗議行動が行われ、『ハヤート』(3月22日付)によると、数百人、アフバール・シャルク(3月21日付)によると数千人が参加、「自由、自由…、平和的に、平和的に」と連呼し、自由を要求した。

ダルアー市でのデモはウマリー・モスク近くで行われた。

しかし、匿名の活動家によると、「軍と治安部隊がウマリー・モスク前で始まったデモを排除し」、「デモ参加者はモスクに退却した」。

また治安部隊の「突入を警戒し、デモ参加者はモスクの周りに人間の盾を作った」としたうえで、モスクが負傷者を受け入れる「野戦病院」と化していると述べた。

同活動家はまた、「反体制のスローガンを掲げるデモ参加者は数千人に及び、その後、数を増していった」と述べ、シリア政府が「(午後)5時以降、モスクへの援軍を増派した」と指摘した。

なお、アフバール・シャルク(3月21日付)によると、ウマリー・モスク前に数千人が集まり、人間の盾を作り、治安部隊の突入に備えた。

Akhbar al-Sharq, March 22, 2011
Akhbar al-Sharq, March 22, 2011

ダマスカス県、ダマスカス郊外県、アレッポ県でも抗議デモと弾圧

アフバール・シャルク(3月22日付)は、ダマスカス県のサーリヒーヤ区、ダマスカス郊外県のハジャル・アスワド市、ドゥーマー市、ムウダミーヤト・シャーム市でデモが発生し、治安当局と衝突したと報じた。

また、政治犯の家族たちが午後2時にダマスカス県の裁判所前で政治犯釈放を求める座り込みを呼びかけた。

これを受け、ダマスカス県裁判所周辺に民間人の服を着た治安要員が多数展開した。

座り込みには数十人が参加したが、治安要員に強制排除された。

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複数の消息筋によると、アレッポ市でダルアー市の反体制デモを支持するデモを組織しようとした10代後半の少年4人が治安当局に逮捕された。

逮捕されたのは、マスアブ・シャイフ・アミーン(14歳)、アブドゥッラー・アミーン(17歳)、サーリフ・アブー・ガールーン(18歳)、ラーフィウ・アブー・ガールーン(16歳)。

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シリア人権監視団によると、治安当局は「3月22日火曜日に、作家で活動家のルワイユ・フサイン氏を(ダマスカス郊外県の)サフナーヤー地区にある自宅で逮捕した」との声明を発表した。

同声明によると、フサイン氏の家族はこのとき「外出中で、帰宅してドアが壊されているのを見て驚いた」という。

また現在までのところ、彼の「行方は不明である」。

同声明によると、フサイン氏(1960年生まれ)は「昨日(月曜)、平和的デモと表現の自由の保障を求めて、ダルアーの住民およびすべての国民との連帯を呼びかける声明への署名をインターネットで呼びかけた」。

また彼は「1984年から1991年にかけて共産主義行動党員として投獄されていた政治犯として経歴を持っている」という。

そのうえでシリア人権監視団は「作家ルワイ・フサイン氏、青年ラーミー・イクバール氏、シリアの刑務所に収監されているすべての政治犯・言論犯の即時釈放と逮捕に係る問題の解消」を求めた。

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『カースィユーン』(3月22日付)は、共産主義者統一委員会メンバーのワリード・ファーリス・ファーリス氏がダルアーで逮捕されたと報じた。

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シリア人権国民機構は声明を出し、当局がダルアー市および郊外、ダマスカス郊外県マダーヤー町、ヒムス市、アレッポ市、バーニヤース市、ダマスカス県で主に19代後半から20代半ばの青年を無差別に逮捕していることを批判、すべての政治犯・言論犯の即時釈放を求めるとともに、戒厳令解除、例外的法廷の廃止、亡命者の帰国、政治的権利の保障、一般的自由の保障、司法の独立、1980年法律第49号、組合活動の自由の保障、クルド人の国籍回復、汚職撲滅、選挙法制定などを要求。

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ハキーカ・ドゥワリーヤ(3月22日付)は、在アンマン・シリア大使館前で3月21日から自由を求めるための座り込みを行ってきた芸術家のムハンマド・イブラーヒーム氏がシリア大使館職員に殴打されたと報じた。

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ラタキア県の有識者ら数十人が共同声明を出し、国内での破壊行為に反対の意思を表明するとともに、アサド大統領に対して、国民対話開催のイニシアチブをとり、民主的市民国家建設に向けた議論と計画の策定を行うよう呼びかけた。

同声明に署名したのは、ナビール・スライマーン氏、ムンズィル・ミスリー氏ら。

シリア政府の対応

クッルナー・シュラカー(3月22日付)は、ダルアー市でのデモと弾圧を調査する内務省の調査委員会が、ファイサル・クルスーム県知事解任と、身柄拘束中の青年の釈放を行うべきとの暫定的決定を下した、と報じた。

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『ワタン』(3月21日付)は、ダルアー県の名士らが3月20日にバアス党シリア地域指導部使節団と行った交渉で提示した要求の詳細を報じた。

使節団はダルアー県出身のルストゥム・ガザーラ少将などからなる。

同紙によると、要求は抗議運動を停止し、事態の正常化に向けた条件として提示されていた。

Kull-na Shurakā’, March 22, 2011
Kull-na Shurakā’, March 22, 2011

具体的な内容は以下の通り。

1. ダルアー県知事、同県の治安機関責任者の解任。
2. 犠牲者およびその遺族への謝罪、ダルアー県民を「潜入者、破壊分子」と非難したことへの謝罪。
3. デモ参加者に発砲した者、発砲を命じた者の処罰。催涙ガスなどで市民を死傷させた者、それを命じた者の処罰。
4. 平和的デモ参加者の逮捕の停止。
5. すべての政治犯の即時釈放。
6. 最近逮捕された大学生の釈放。
7. 非常事態の解除。
8. 不動産売買、経済活動にかかる治安当局の認可制の廃止。
9. 減税。
10. 汚職撲滅に向けた断固たる措置の実施。
11. (ニカーブ着用を理由に)解雇された女性教員の復職。
12. 亡命者の帰国許可。
13. 所有権の剥奪を認めた1979年法律第60号(2000年法律第26号による改正)の廃止。
14. 土地価格の見直し。
15. ダマスカス県にあるダルアー県方面の旅客バス・ターミナルのスーマリーヤからの移転。
16. ヒジャーズ鉄道公社のスーク・シュハダーの店舗の処遇改善。
17. 社会福祉部門への非常勤労働者の採用。

しかし、アフバール・シャルク(3月22日付)は、名士たちの話として、バアス党シリア地域指導部の使節団がダルアーの市民を虐殺すると脅迫したと報じた。

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ファールーク・シャルア副大統領は記者会見を行い、「ダルアーで発生した不幸な出来事」に対して遺憾の意を示すとともに、「政府がこの事件を収束させるべく迅速に対処し、混乱を発生させようとする試みを遮断しようとしている」と述べた。

またアラブ諸国のデモに関して、「祖国建設のためのインセンティブでなければならず、市民の統合や結束に抵触すべきでない」と述べた。

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ムハンマド・ナージー・アトリー首相は、ドゥンヤー・チャンネルで「国民統合を解体しようと計画している者がいる」としたうえで、「ダルアーの市民が求めている愛国的要求を利用して、それをまったく別の問題にすり替えようとする集団がいる」と指摘、こうした動きが近隣諸国などからもたらされていることが明らかになりつつあると述べた。

諸外国の動き

ブリュッセルでは、キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表がシリアでのデモ参加者抑圧に関して「受け入れられない」と述べた。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は『ヒュッリーイェト』(2011年3月22日)付に対して、「変化の風があらゆる所に吹いている。先日のシリア訪問でアサド大統領と会談した際、同様のことが彼の国でも起き、宗派主義的手法が脅かされるだろうと述べた」と語った。

そのうえで、シリア大統領に地域で起きていることを教訓とし、地域の他の指導者たちとは異なった民主的な方法で国民と近づくべきだと呼びかけたことを明らかにした。

AFP, March 22, 2011、Akhbar al-Sharq, March 22, 2011, March 23, 2011、al-Haqiqa al-Duwaliya, March 22, 2011、al-Hayat, March 23, 2011, March 24, 2011、Kull-na Shuraka‘, March 22, 2011、Qasiyun, March 22,2011、al-Watan, March 22, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ダルアー県で混乱が続く一方、当局は政権批判の落書きをした少年15人を釈放(2011年3月21日)

ダルアー県での混乱続く

ダルアー県では、『ハヤート』(3月21日付)などにようと、ダルアー市でのデモが4日目に入ってさらに拡大、南部のジャースィム市、インヒル市にも波及した。

ダルアー市内では、3月20日のデモでの犠牲者(ラーイド・カッラード氏、23歳)の葬儀に約1,000人が参列、一昨日死亡した犠牲者の写真を掲げ、「恐れていない…恐れていない」、「平和的に、平和的に」、「君に血と魂を捧ぐ、殉教者よ」と連呼した。

目撃者によると、デモは平和的に行われていた。

ダルアー市入口などには、同市を包囲する軍が展開、また市内ではカラシニコフ銃を携帯した警官隊数百名が道路の両脇に配備された。

しかし、葬儀後のデモ参加者数千人に対して、軍・警官隊が介入することはなかった。

ダルアー市の現状に関して、住民の1人が述べたところによると、「デモ参加者は、カッラード氏の埋葬後、「革命、革命」、「アッラー、シリア、自由のみ」と連呼して、墓地からウマリー・モスクへと行進を始めた」。また「旧市街の入口には武装部隊が結集していた」。

別の目撃者がAFPに語ったところによると、ウマリー・モスク近隣では「催涙ガスが原因の窒息状態が散見され、集中的に展開する治安部隊が複数名を逮捕した」。

また「治安部隊は葬儀に多くの参列者が参加するのを阻止しようとしたが、数千人が参列した」。一方「治安部隊はまた、ダルアー市入口にも集中的に展開した」。

デモ参加者の一人はAFPに対して「自由を求める我々の要求が実現するまで街頭で座り込みを続ける」と述べた。

他方、ダルアー県の著名人らが、政治犯の釈放、秘密警察本部の解体、県知事の解任、(デモでの市民)殺害の責任者の公開裁判、秘密警察への財産売買の許可取得規定の廃止を求めた。

Akhbar al-Sharq, March 21, 2011
Akhbar al-Sharq, March 21, 2011

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目撃者の1人によると、デモはダルアー市北部約50キロに位置するジャースィム市にも波及した。

治安当局はデモに対して実力行使を控えた。

一方、ダルアー市から40キロの距離に位置するインヒル市でも数百人が集会を行い、シュプレヒコールを繰り返し、警察署を襲撃した。

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ダルアー市中心にあるウマリー・モスクのシャイフ、バッサーム・ミスリー氏が3月21日晩に逮捕された。

一方、ダルアー県でのデモ参加者と当局の衝突に巻き込まれて、日曜日(3月20日)に負傷したムンズィル・ムウミン君(11歳)が3月21日に死亡した。

フェイスブックでのデモ呼びかけ、反体制派の動き

フェイスブックの「シリア革命2011」、「シリア怒りの日」が、各地でデモを行うよう呼びかけた。

クルド人シャイフ、マアシューク・ハズナウィー師の息子でシャイフのムルシド・ハズナウィー氏も、フェイスブックでシリア国民、そしてクルド人に対して、ノウルーズにあたる3月21日に決起を呼びかけた。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アサド政権を「手遅れになるまえに目覚め、国民の要求に応える」よう求めた。

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シリア人権委員会は、3月17日にサイドナーヤー刑務所から釈放された元政治犯の証言として、3月16日の内務省前での政治犯家族の要求に応えるかたちで、当局は「判決が下されていないすべての政治犯の刑期が8年とされた」、「既に判決が下された政治犯の刑期が大統領の指示で4分の1軽減になった」と発表した。

クッルナー・シュラカー(3月21日付)は、シリアの治安当局が、ダルアー市などでの反体制デモにジュンド・シャームやファタハ・イスラームが関与していると疑っている、と報じた。

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マシュリク・チャンネル(本社UAE)のオーナーでビジネスマンのガッサーン・アッブード氏は、ダルアー市での反体制デモとその弾圧に関する同チャンネルの報道を自粛するよう、シリアの治安機関高官から脅迫を受けたと述べた。

政権を批判する落書きをした少年15人釈放

ムハンマド・アフマド・ユーヌス法務大臣が事態収束とデモ参加者との対話のためダルアー県庁(ダルアー市)に入った。

ダルアー県内の緊張が緩和することが期待されているなか、当局は、壁に反体制的スローガンを落書きし、逮捕されていた少年15人を釈放した。

諸外国の動き

フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は記者会見で、パリが「(シリア政府に対して、改革を通じて国民が表明した願望に対処するよう求める」と述べた。

またフランスが「すべての国での平和的デモを行う自由」を支持し、「シリアに人権および表現の自由の分野での国際的な義務を履行するよう」求めると強調した。

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ドイツのギド・ウェスターヴェレ外務大臣が逮捕者の釈放を求めるとともに、デモ弾圧を非難した。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは、「少なくとも5人の死者」を出した「過剰な力の行使」を非難し、「シリアがデモ参加者に対する実弾使用をはじめとするあらゆる過剰な暴力行使を停止すること」を呼びかけた。

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米国家安全保障会議(NSC)のトミー・ビーター報道官は、ダルアー市での反体制抗議行動に対するアサド政権の弾圧に関して「その背後にいる者は制裁を受けねばならない」と述べた。

AFP, March 21, 2011、Akhbar al-Sharq, March 21, 2011, March 22, 2011, March 23, 2011, March 24, 2011、al-Hayat, March 22, 2011、Kull-na Shurakā’, March 21, 2011、 Reuters, March 21, 2011などをもとに作成。

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ダルアー市での抗議デモ参加者はバアス党支部、裁判所、携帯電話会社に放火(2011年3月20日)

ダルアー市での抗議デモ

ダルアー県では、ダルアー市での抗議デモが続き、デモ参加者と治安当局が衝突で、1人が死亡、複数が負傷した。

複数の住民によると、デモ参加者は、自由、腐敗撲滅を要求、近隣の村々からも参加者が加わり、市内のバアス党ダルアー支部本部、裁判所、ラーミー・マフルーフ氏が経営する携帯電話会社2社の支局に火を放った。

AFP(3月20日付)によると、デモ参加者は市内に集中的に展開する治安部隊との衝突、その後、裁判所をはじめとする施設に火を放った。

AFPによると、数百人からなるデモ行進が、ダルアー市の旧市街から県知事邸に向かって行われ、治安部隊が催涙弾や空砲を通じて排除を試みたが、失敗した。

また、デモ参加者は途中、裁判所施設および施設前に駐車していた複数の車に放火、その後、携帯会社のシリアテルとMTNの建物2棟にも放火した。

目撃者によると、デモ参加者は県知事邸に到着すると敷地前の木々に放火した。

ある人権擁護活動家がロイター通信(3月20日付)に述べたところによると、「治安部隊は数万人のデモ参加者に向かって実弾を放った」という。

また「デモ参加者の最初の死者ラーイド・カッラード氏は実弾によって倒れ」、2人が頭を負傷し「危篤状態」だという。

カッラード氏は、金曜日にダルアーでデモが始まって以降、治安部隊によって殺された5人目の民間人となった。

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シリア人権監視団は3月21日に声明を出し「治安機関が3月20日日曜日晩、ダルアー県ダーイル町近くにある青年ラーミー・スライマーン・イクバール氏の自宅を家宅捜査、ダルアー市の状況に関してBBC Arabicの電話取材に答えたとの理由で同氏を逮捕した」と発表した。

同監視団によると、イクバール氏の消息もいまだ不明だという。

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『ハヤート』(8月21日付)は、ダルアー市でのデモに関して、市内で反体制スローガンを落書きした少年の逮捕で市民の不満が鬱積するなか、インターネットで政治的発言を行ったとの容疑で3週間前に女医アーイシャ・アバーズィード氏が逮捕され、また16日のダマスカス県の内務省前での抗議行動で、ダルアー市出身のディヤーナー・ジャワービラ女史が逮捕されたことで、一気に火がついた、と伝えた。

同紙によると、治安機関は今月に入って、複数の学校や穀物粉の壁に、「人民は政権打倒を望む」という落書きをしたとの容疑で多数の市民を逮捕している。

首都ダマスカスで女性1人拘束

アフバール・シャルク(3月21日付)によると、ダマスカス県旧市街のハリーカ地区で、シリア国旗を身体にまとい、自由を求めるシュプレヒコールを独り連呼した女性に治安要員に取り押さえられた。

Akhbar al-Sharq, March 21, 2011
Akhbar al-Sharq, March 21, 2011

シリア政府の対応

クッルナー・シュラカー(3月22日付)によると、当局は、壁に反体制スローガンを落書きして逮捕されていたダルアー県出身の少年15人を釈放すると発表、また18日のデモでの犠牲者の葬儀に政府代表の派遣し、事態の沈静化を試みた。

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一方、複数の高官がダルアー県の複数の著名人と次々と会談した。

これらの著名人はさまざまな要求を提示しており、そのなかには、政治犯の釈放、ダルアーにおける秘密警察本部の解体、県知事の罷免、デモ参加者殺人の責任者に対する公開裁判の実施、秘密警察への財産売買の許可取得規定の廃止などが含まれていという。

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クッルナー・シュラカー(3月21日付)によると、アスマー・アサド大統領夫人は、NPO諸団体から融資を受けた女性約50人と面談した。

Kull-na Shurakā’, March 21
Kull-na Shurakā’, March 21

AFP, March 20, 2011、Akhbar al-Sharq, March 21, 2011、al-Hayat, March 21, 2011, March 23, 2011、Kull-na Shurakā’, March 21, 2011、Reuters, March 20, 2011、al-Waṭan, March 21, 2011などをもとに作成。

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ダルアー市で犠牲者の葬儀後に再び抗議デモ、タルトゥース県でも抗議行動(2011年3月19日)

ダルアー市で犠牲者の葬儀後に再び抗議デモ

ダルアー県では、ダルアー市でのデモ参加者と治安当局の衝突で犠牲となった2人の葬儀が行われ、約10,000人が参列した。

当局が葬儀の実施を認めないなか、遺体は墓地に埋葬された。

会葬者らはその後、ダルアー市中心に向かってデモ行進を行った。

これに対して、治安当局は催涙ガスを使用して強制排除を試み、複数名が負傷した。

会葬者は「アッラー、シリア、自由のみ」など自由を求めるシュプレヒコールを連呼した。

 

タルトゥース県でも抗議行動

タルトゥース県バーニヤース市とバイダー町の市民は、反体制デモへの強制排除による物的・人的被害に対して、大統領府が行った一世帯あたり補償金30,000シリア・ポンドの支払いの提案を拒否し、責任者の処罰、両市に対する治安部隊の包囲解除を求めた。

反体制派の動き

シリア人権機構、シリア人権監視団、シリア人権擁護連盟、シリア・アラブ人権連盟、ダマスカス理論研究市民権センター、シリア・アラブ刑事改革機構、シリア政治犯支援センター、シリア・ジャーナリスト擁護委員会、シリア人権国民機構は共同声明を出し、3月16日の内務省前での座り込みで逮捕された女性全員が、ドゥーマー女性刑務所で無期限のハンストを開始したと発表した。

ハンストを開始した女性活動家は以下の通り:スハイル・アタースィー、ナーヒド・バダウィーヤ、スィーリーン・フーリー、ラバー・ルブワーニー、ダーナ・イブラーヒーム・ジャワ-ビラ、ファヒーマ・サーリフ・ウースィー、ナスリーン・ハーリド・ハサン、ワファー・ムハンマド・ラッハーム、ライラー・ルブワーニー、サバー・ハサン。

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フェイスブックの「シリア革命2011」は、3月19日(土曜日)もダルアー市でデモを行うと発表し、参加を呼びかけた。

またハウラーン地方諸部族が3月18日の反体制デモでの犠牲者の葬儀への参列と、葬儀後の自由、尊厳を求める平和的デモを19日(土曜日)に行うと発表、参加を呼びかけた。

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シリア共産主義者統一国民委員会が声明を出し、ダルアー市での反体制デモを強制排除するために治安当局が実弾を発射したことを強く非難、責任者の処罰を求めた。

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シリア人権監視団は3月18日(金曜日)にダルアー市などで発生したデモで、数十人が逮捕されたと発表した。

シリア政府の対応

SANA(3月19日付)は、内務省が3月18日のダルアー市でのデモとその弾圧に関して、調査委員会を設置し、「不幸」な事件の発生に関与した人物の処罰などを含む必要な措置を講じると発表した。

諸外国での動き

英ロンドンのシリア大使館前で在外シリア人約120人が反体制デモを行い、自由を要求した。ドイツでも同様のデモが発生した。

AFP, March 19 , 2011、Akhbar al-Sharq, March 19, 2011, March 20, 2011、al-Hayat, March 20, 2011, March 21, 2011、Kull-na Shurakā’, March 19, 2011、Reuters,
March 19, 2011などをもとに作成。

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ダマスカス県内での抗議デモで初の死者(2011年3月17日)

ダマスカス県などで、フェイスブックの「シリア革命2011」などのページの呼びかけに応じるかたちで、抗議デモが発生した。

「シリア革命2011」などは、3月8日正午に各地でデモを行うよう呼びかけた。

フッラ・テレビ(3月17日付)によると、デモはダマスカス県マイダーン地区で発生し、治安部隊が参加者を弾圧、3人を殺害し、20人を負傷させた。

またジスル・アブヤド近くのムフイーッディーン・モスク前でもデモが発生した。

抗議デモで死者が出たのは初めてだったが、デモの規模は15日に比べて散発的なものにとどまった。

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シリア人権国民機構、シリア人権監視団、シリア人権擁護連盟、シリア・アラブ人権機構、ダマスカス理論研究市民権センター、シリア・アラブ刑法改革機構、シリア収監者支援センター、シリア・ジャーナリスト擁護委員会は共同声明を出し、内務省前での政治犯の家族による抗議行動に対する治安当局の弾圧を非難した。

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アフマド・サイイド・ダマスカス第一検事は3月16日にダマスカス県の内務省前で身柄拘束した33人(16日時点では35人と報じられていた)に対して聴取を行い、ヌーリス・ラーディー氏を除く32人の逮捕状を発行した。

容疑は「民族感情を弱め」、「宗派主義的亀裂を助長」し、「虚偽の情報を発信」したこと。

ラーディー氏は釈放され、残る32人のうち、男性はアドラー刑務所、女性はドゥーマー刑務所に移送された。

逮捕状が出された身柄拘束者氏名(敬称略)は以下の通り。

1. ウマル・ルブワーニー、2. リバー・ルブワーニー、3. ライラー・ルブワーニー、4. アンマール・ルブワーニー、5. サバー・ハーフィズ・フサイン、6. スィーリーン・フーリー、7. ナーヒド・バダウィーヤ、8. ナーラト・アブドゥルカリーム、9. バドルッディーン・シャッラーシュ(身柄拘束時、目の上を殴打され流血)、10. カマール・シャイフー、11. ムハンマド・ウサーマ・ナッサール、12. バシャル・ジャウダト・サイード、13. サアド・ジャアダト・サイード、14. ガッファール・ヒクマト・ムハンマド、15. ダーナ・ジャワービラ、16. ワファー・ラッハーム、17. スハイル・アタースィー、18. ナビール・シュルバジー、19. ヒールフィーン・ウースィー(ファヒーマ・サーリフ・ウースィー)、20. アブドゥッラッザーク・タンムー、21. ライヤーン・カマール・スライマーン、22. ディヤーッディーン・ダグマシュ、23. アリー・アブドゥッラフマーン・ミクダード、24. シャーヒル・ワルウ、25. ナスル・アーディル・アースィミー、26. ヒシャーム・ハーリド・ドゥルービー、27. ナスルッディーン・ファフルッディーン・アフマ、28. ナスリーン・ハーリド・フサイン、29. アーディル・ハラーワ・ブンニー、30. ズーカーン・ヌーファル、31. マフナド・バッサーム・ヤマーニー、32. ムハンマド・ハサン・ハリール。

なおアフバール・シャルク(3月18日付)は、複数の消息筋の話として、身柄拘束されていたタイイブ・ティーズィーニー氏、アーミル・ダーウド氏、リーカールドゥー・ダーウド氏、ミームーナ・ミウマール氏が、健康状態を理由に釈放されていたマーズィン・ダルウィーシュ氏に引き続いて、16日晩に釈放されていたことを明らかにした。

またヌールス・ラーディー氏も釈放された、という。

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フランス外務省のベルナール・ヴァレロ報道官は「デモ参加者への暴力とデモ後の逮捕」を非難した。

またヒューマン・ライツ・ウォッチ、アムネスティ・インターナショナルといった人権団体もこぞって非難声明を出した。

Akhbar al-Sharq, March 17, 2011, March 18, 2011、al-Hayat, March 18, 2011、Kull-na Shurakā’, March 17, 2011などをもとに作成。

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シリアに「アラブの春」が波及し、各地で抗議デモ発生(2011年3月15日)

各地で抗議デモが発生

アフバール・シャルク(3月15日付)などは、シリア各地で自由、改革、汚職撲滅を求める抗議デモが発生し、数千人が参加した。

フェイスブックの「シリア革命2011」、「シリア怒りの日」などのページでは、3月15日12時からシリアのすべての都市、カナダ、米国、英国、フランス、ドイツ、オーストラリアで、自由、改革、腐敗撲滅を求める平和的デモを実施するよう呼びかけられていた。

「アラブの春」発生以来、シリアで反体制デモが発生するのはこれが初めて。

デモは治安当局の介入により矯正排除され、アフバール・シャルク(3月16日付)によると、各地での逮捕者は約300人に達した。

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「シリア革命2011」には約38,000人、「シリア怒りの日」には約12,000人によってフォローされている。

反体制活動家は、デモに先立って、携帯電話のSNSでデモへの参加を呼びかけるメッセージを数千通発信した。

だが、シリア・アラブ・テレビ(3月15日付)は、シリア国内でのデモに関する報道が偽報道だと断じ、メッセージ配信の背後にはイスラエルがおり、シリア人活動家はそれに促されるかたちで数千通のSNSを発信したと報じた。

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ダマスカス県ハミーディーヤ市場(ハミーディーヤ地区)およびハリーカ地区には、最大規模の約200人が集まった。

デモ参加者は「アッラー、シリア、自由のみ」、「シリア国民は馬鹿にされない」、「シリア人よ、どこにいる」、「自由なシリア、専制は出ていけ」、「平和的に、平和的に」といったシュプレヒコールを連呼した。

人権活動家筋がAFP(3月15日付)に明らかにしたところによると、「デモはウマイヤ・モスク前に集まった5人によって始められ、ハミーディーヤ市場(ハミーディーヤ地区)を通ってハリーカ地区に向かった」。

複数の消息筋によると、治安当局は当初、デモの解散を求めたが、まもなく数台のバスが到着し、アサド大統領を支持するカウンター・デモを開始し、反体制デモの強制排除に乗り出した。

その際、3人が逮捕され、携帯電話を押収された。

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アレッポ市のサアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)、ウマイヤ・モスク近くでも同様のデモが行われた。

サアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)のデモは、まもなく治安当局によって強制排除されたが、参加者はカビール・モスク近くに移動しデモを続けた。

複数の目撃者によると、シャイフ・マクスード地区、バーブ・ファラジュ地区では、晩に激しい銃声が聞こえたという。

またアイン・アラブ市でもデモが発生したが、治安当局が催涙ガスを発射しこれを強制排除した。

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複数の消息筋によると、ダルアー市および周辺の村々では、治安当局が若者たちの集会の摘発を行った。

ダルアー市ではサラーヤー広場で反体制デモが発生し、「シリア国民は馬鹿にされない」、「マフルーフよ、出て行け」と連呼した。

治安部隊はダルアー市と周辺の村々を結ぶ街道を閉鎖し、デモ拡大の抑止を試みた。

また軍・治安部隊は、ナワー市を包囲した。

こうしたなか、ダルアー県のアバーズィード部族は、政権打倒を呼びかける落書きをして逮捕された子息が釈放されない場合、デモを断行すると表明した。

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ダイル・ザウル県では、ダイル・ザウル市のバースィル広場で、ハサカ県ではカーミシュリー市のアンバル広場などで、同様のデモが発生した。

ダイル・ザウル県、ハサカ県では電話、インターネットが一時不通となった。

ラタキア県のラタキア市では、シャイフ・ダーヒル地区でデモが計画されたが、治安当局に阻止された。

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カイロ、キプロス、ベルリンのシリア大使館前でも反体制デモが発生した。

カイロの大使館前には数十人が集まり、「バッシャールを打倒して…、シリアに自由を」、「独裁者は出ていけ、出ていけ」、「思うように暮らしたい」などと書かれたプラカードを掲げて、「自由が来る…ハミーディーヤ市場(ハミーディーヤ地区)を解放して」、「自由よ、エジプトからシリアへ」、「国民は政権打倒を望む」などと連呼、非常事態令の解除、政治犯の釈放を求めた。

これに対して、カイロのシリア大使館現地スタッフらが街頭に出て、「バッシャールよ、貴方こそ安全と安定」「平和的でない、これはイスラエルの陰謀だ」と連呼し、反体制デモ参加者ともみ合いになった。

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反体制派系サイトがサイバー攻撃を受ける

反体制派系のウェブサイトと目されるスーリーユーン・ネット、クッルナー・シュラカーが何者かのサイバー攻撃を受けた。

反体制派の反応

3月16日に内務省前での政治犯家族による反体制デモを計画しているスハイル・アタースィー女史は、ジャズィーラ(3月15日付)やBBC(3月15日付)などの取材に応じ、各地でのデモに関して、突発的な要因によるものであり、デモ実施の日程などが予め宣言されることはないだろう、と述べた。

アタースィー女史は、デモがフェイスブックなどの呼びかけによって発生したというよりは、むしろ人々の恣意的な運動によるものだとの見方を示した。

アタースィー女史はまた、「シリア国民は、エジプトやチュニジアと同様、反体制勢力よりも先に行動に出た」としたうえで、「デモは今日突然組織された。我々がこのデモを組織したのではないが、その始まりは火花のようだった」と述べた。

さらに「今日デモを組織した自由を希求する人々が誰なのか我々は知らない…。約150人から200人が参加していた。3人の若い男女が逮捕されたが、我々は彼らがどうなったか今のところ分からない。デモは包囲され、逮捕が断行された」と付言した。

そのうえで、デモ参加者が「社会のあらゆる集団に属する人々から構成されていた。政権が宗派を分断するために行っているこの恐怖政治は徒労だった。彼らはすべての宗派から輩出されていた」と指摘した。

シリア政府の対応

アサド大統領はダマスカスを訪問したスペインのトリニダード・ヒメネス・ガルシア=エレーラ外務大臣と会談した。

SANA(3月15日付)などによると、会談でアサド大統領は、中東地域諸国への外国の軍事的介入に関して「問題を複雑にし、危険な結果をもたらす」と述べた。

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ファールーク・シャルア副大統領は定例の記者会見を行い、アラブ諸国における政変について、「1948年以来、アラブ諸国民のなかでフラストレーションがつもってきたことが原因」との見方を示した。

また、事態に対処するため「抜本的改革と期待されている改革のバランス」をとることが重要だと付言した。

AFP, March 15, 2011、Akhbar al-Sharq, March 14, 2011, March 15, 2011, March 16, 2011, March 18, 2011、Aljazeera.net, March 15, 2011、BBC, March 15, 2011、al-Hayat, March 16, 2011、Kull-na Shurakā’, March 17, 2011、al-Nahār, March 16, 2011、SANA, March 16, 2011などをもとに作成。

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アサド大統領夫妻がスワイダー県東部の村々を電撃訪問(2011年3月12日)

アサド大統領とアスマー・アフラス夫人はスワイダー県東部の村々を電撃訪問し、村人の家を訪れ、住民の生活状況などに耳を傾けた。

SANA(3月12日付)などが伝えた。

Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011

 

Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011

シリア公式筋はこの訪問でアサド大統領夫妻が護衛を伴わなかったと報じたが、クッルナー・シュラカー(3月15日付)は、2月に大統領がダマスカス県ハミーディーヤ地区を視察した際と同じSPが同行していたと伝え、その写真を公開した。

Kull-na Shurakā’, March 14, 2011
Kull-na Shurakā’, March 14, 2011

Alwatan Online.com, March 14, 2011、Kull-na Shuraka’, March 14, 2011, March 15, 2011などをもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

SANAは2011年3月8日政令第35号に関する報道が「ねつ造」されていたと伝える(2011年3月10日)

SANA(3月10日付)は、アサド大統領が2011年3月8日政令第35号を施行し、政治犯に対する恩赦を決定したとの公式ウェブサイトでの報道に関して、「ねつ造」されたものだと伝えた。

政令第35号に関する報道は、3月8日に公式ウェブサイトで配信されていたが、その後まもなく同ページを削除された。

なお、政令第35号はその後、徴兵期間の短縮にかかる法律に差し替えられた。

Kull-na Shurakā’, March 10, 2011
Kull-na Shurakā’, March 10, 2011

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ブサイナ・シャアバーン大統領府情報顧問は『シャルク・アウサト』(3月10日付)のインタビューに応じ、エジプトでの政変をアメリカやイスラエルとムハンマド・フスニー・ムバーラク政権との関係に対する国民の不満と結びつけてきたこれまでの発言に代えて、自由や民主主義への国民の希求をその要因にあげた。

シャアバーン顧問は、シリアの政治情勢について言及を避けつつ、アラブ諸国での政変に関して「専制、貧困、失業、汚職、為政者に近いエリートによる開発の収益の独占」への反抗だと位置づけたうえで「これらの革命の直接の理由は、マムルークの時代から受け継がれてきた体制の停滞に関わっており、そこでは為政者は“家来”とだけ関わり、民衆を遠ざけ、その意見を抑圧してきた…。今日も目にすることができるこのような体制には何も創造できない」と述べた。

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『クッルナー・シュラカー』(3月10日付)によると、3月12日の「カーミシュリーの春」7周年に備え、クルド人が多く居住する国内の複数の地域に治安部隊が多数展開した。

クルド民族主義組織は3月12日、「カーミシュリーの春」犠牲者を追悼するため、5分間の黙祷を捧げ、ロウソクを灯すよう呼びかけている。

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ダマスカス宣言(ダマスカス国民民主変革宣言)は声明を出し、「体制の家族」が非常事態解除という「要求から耳をそらす」ことに躍起だと批判し、「我々人民はまさにこうした状況下でも、専制を脱却し、民主的市民国家を建設するための具体的な方法を自らの手で進める」と主張、改革への意思を示した。

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「アフバール・シャルク」(3月10日付)は、スイスの金融機関の報告書に基づき、スイスの複数の銀行におけるアサド大統領の預金額が1,900,000,000スイス・フラン(約2,000,000,000米ドル)にのぼっていると報じた。

Akhbar al-Sharq, March 10, 2011、Kull-na Shurakā’, March 10, 2011、al-Hayat, March 11, 2011、al-Sharq al-Awsaṭ, March 10, 2011、SANA, March 10, 2011をもとに作成。

(C)青山弘之All rights reserved.

ハイサム・マーリフ弁護士ら人権活動家13人が収監中のサイドナーヤー刑務所で弾圧停止を求めてハンストを開始、アサド大統領は恩赦を施行しマーリフ氏らを釈放(2011年3月7日)

ハイサム・マーリフ弁護士、アンワル・ブンニー弁護士ら人権活動家13人が、収監中のサイドナーヤー刑務所(ダマスカス郊外県)で、シリアでの「弾圧」停止を求めてハンストを開始した。

またこの動きに合わせるかたちで、シリア人権委員会が声明を出し、「国民の最低の要求にすら応えていない」と批判した。

アフバール・シャルク(3月7日付)が伝えた。

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アサド大統領は3月7日以前に軽犯罪者に対する恩赦(2011年3月11日政令第34号)を施行した。

恩赦の対象は335人。

これにより、ハイサム・マーリフ弁護士がサイドナーヤー刑務所から釈放された。

マーリフ弁護士は1931年ダマスカス生まれ。

シリア人権協会の初代会長(2001~2006年就任)を務めたが、2009年10月14日に逮捕され、国家最高治安裁判所で「公務員を侮辱」した罪で禁固10年の有罪判決を受けていた。

Kull-na Shurakā‘, March 8, 2011
Kull-na Shurakā‘, March 8, 2011

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シリアの関係当局によると、イラク・シリア国境で、イラク・ナンバーの自動車に積載された大量の武器弾圧を押収、イラク人運転手を逮捕した。

クッルナー・シュラカー(3月7日付)が伝えた。

AFP, March 7, 2011、Akhbar al-Sharq, March 7, 2011, March 8, 2011、Alaph.com, March 10, 2011、al-Hayat, March 8, 2011, March 9, 2011、Alatan Online, March 8, 2011、Kull-na Shurakā‘, March 8, 2011, March 10, 2011、SANA, March 8, 2011、Syria News.com, March 10, 2011などをもとに作成。

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アスマー・アフラス大統領夫人が「100貧困村開発」プロジェクトの対象となっているアレッポ県の村を訪問(2011年3月3日)

アスマー・アフラス大統領夫人が早朝、アレッポ県ジャフル・マンスール村を突如訪問した。

同村はシリアでもっとも貧しい村の一つとされており、「100貧困村開発」プロジェクトの対象となっている。

クッルナー・シュラカー(3月3日付)が伝えた。

Kull-na Shurakā’, March 3, 2011
Kull-na Shurakā’, March 3, 2011

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『クッルナー・シュラカー』のアイマン・アブドゥンヌール編集長は声明を出し、「(シリア)社会は民主制に移行する準備ができており、一部の人々が言うような混乱は発生しないだろう…。そのうえで、すべての社会階層の参加を保障し、1973年当時とはことなる新たなシリア社会にふさわしい新憲法草案について合意すべきである」と述べた。

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アレッポ県のムフティー、マフムード・アッカール氏は声明を出し、フェイスブックなどでアラブ諸国の人々が体制打倒を主唱していることに異議を唱え、「体制改革」をスローガンとすべきだと述べた。

アフバール・シャルク(3月3日付)が伝えた。

Akhbar al-Sharq, March 3, 2011、Kull-na Shurakā’, March 3, 2011などをもとに作成。

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ダマスカス県ヒジャーズ駅前の中央郵便局での騒動はウソの情報によるもの(2011年3月1日)

SANA(3月1日付)は、2月28日にダマスカス県ヒジャーズ駅前の中央郵便局で発生したデモに関して、公式筋の話として補償金支給に関する情報は「根拠がない」と報じるとともに、国民に対して「国民の生活状況改善のために政府が行うあらゆる措置に関して、公式の発表のみに従う」よう呼びかけた。

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『ハヤート』(3月2日付)は、シリアの信頼できる複数の消息筋が「デモ実施の呼びかけ(怒りの日)が失敗した後に、特定の場所に集まるよう国民に呼びかけ、抗議行動が行われているように思わせようとする噂」が広まった結果、事件が発生したと見ていると報じた。

同消息筋は次のように述べた。

シリアでは多くの噂が流れている。そのほとんどが生活状態に関わるもので、特定の場所に集まるよう国民に呼びかけている。そのねらいは、こうした噂を利用して、シリア国内で抗議行動が行われていると思わせることにある。とりわけ、シリア各都市でデモを実施することでその安定を揺るがそうとする偽りの呼びかけに国民が同調しなかったことを受け、このような噂が広まっている。

もっとも最近の噂は、一部の国民の間で広まったもので、ダマスカス県の郵政公社ビル前で女性に対して補償金が分配されるという内容だった。これにより数百人の女性が同ビル前に集まった。

だが、これらの噂は根拠がなく、シリアで実施されている一貫した制度化された施策とは相容れない。

このような噂は、民衆による抗議集会が行われていると思わせることをねらっている。

女性たちが集まったのと同じ場所で映像を録画している者が何人かいたことは、この噂の流布の背後に悪意があることを示している。これらの者たちはおそらく何の躊躇もなく、社会の一部の階層が必要とするものを、シリアの安全を揺るがす継続的な試みに合致するような複数の目的のために利用するだろう。そしてこれらの目的とは最近のデモの呼びかけのなかに見てとれる。

多くのシリア人は、フェイスブックで架空の名前を用いて先月初めになされたデモの呼びかけには同調しなかった。

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『クッルナー・シュラカー』(3月1日付)によると、シリア関係当局は全国各地でさまざまな階層を対象に世論調査を実施し、国内での改革の必要性や優先順位、そしてアラブ諸国での政変に関する意見を聴取した。

al-Hayat, March 2, 2011、Kull-na Shuraka’ March 1, 2011, March 2, 2011、SANA, March
2, 2011などをもとに作成。

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ウソの情報を聞きつけてダマスカス県の中央郵便局に集まった女性が抗議デモ(2011年2月28日)

ダマスカス県では、クッルナー・シュラカー(2月28日付)によると、女性たち数百人が非就業者であることを証明する文書を取得するため、中央郵便局(郵便公社ビル)に殺到し、数時間にわたって抗議デモが発生した。

「社会問題労働省が就労していない母親に約5,000シリア・ポンド(約46米ドル)の補償金が贈答品を支給する」、「補償金を受給するには、非就労者であることを証明する文書の発行を受けなければならない」、「証明書はダマスカス中心部ヒジャーズ地区にある郵便公社ビル前で発効される」というウソの情報が拡散されたのが理由。

情報がウソだと知った女性たちは、数時間にわたって抗議行動を行ったが、サイード・ムハンマド・サンムール内務大臣自らが現場を訪れ、説得し、女性たちを帰宅させた。

なお、『ハヤート』(3月2日付)はこの事件が3月1日に発生したと報道している。

Kull-na Shurakā’ March 1, 2011
Kull-na Shurakā’ March 1, 2011
Kull-na Shurakā’ March 1, 2011
Kull-na Shurakā’ March 1, 2011

Akhbar al-Sharq, February 28, 2011、al-Hayat, March 2, 2011、Kull-na Shurakā’, March 1, 2011などをもとに作成。

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在ダマスカス・リビア大使館前での抗議デモが続く一方、ダマスカス旧市街で抗議のプラカードを掲げた男性が逮捕される(2011年2月23日)

在ダマスカス・リビア大使館前で、前日に引き続き、リビアでの国民に対する暴力行使に抗議し、ムアンマル・カッザーフィー大佐の退任を求める座り込みが行われた。

抗議行動には約200人が参加したが、私服を着た治安要員によって強制排除され、その際14人が身柄を拘束された。

アフバール・シャルク(2月23日付)、クッルナー・シュラカー(2月23日付)が伝えた。

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日刊紙『ワタン』(2月23日付)は、前日の在ダマスカス・リビア大使館前でのデモについて報じた。

シリアでのデモが国内メディアで報じられたのは2011年1月以来、これが初めて。

al-Watan, February 23, 2011
al-Watan, February 23, 2011

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ダマスカス県旧市街のハリーカ広場で、「もう耐えられない…。バッシャールよ、私たちを悪党から救ってください」と書かれたプラカードを掲げた男性が逮捕された。

『クドス・アラビー』(3月1日付)によると、逮捕されたのは、ハミーディーヤ市場で働くフサームッディーン・マンスール氏(47歳)。

政党・政治組織には所属していない。

マンスール氏はその後、26日に釈放された。

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アブドゥルカリーム・サイイド議員が人民議会で非常事態解除を審議するための委員会設置を求めたが、全議員がこれを拒否した。

Akhbar al-Sharq, February 23, 2011, February 28, 2011、Kul-nā Shurakā’, February 23, 2011, February 26, 2011、al-Quds al-‘Arabī, March 1, 2011、al-Waṭan, February 23, 2011などをもとに作成。

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在ダマスカス・リビア大使館前でカッザーフィー大佐の退任を求めるデモが行われる一方、有識者130人がリビアとの連帯を訴える声明を発表(2011年2月22日)

クッルナー・シュラカー(2月22日付)は、オリエント・テレビの番組「バラド・バーリク」に出演し、フェイスブック上のページ「シリア怒りの日」についてコメントしたアレッポ県出身のガッサーン・ヤースィーン氏が逮捕されたと伝えた。

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Kul-nā Shuraka', February 22, 2011
Kul-nā Shuraka’, February 22, 2011

在ダマスカス・リビア大使館前で、リビアでの国民に対する暴力行使に抗議し、ムアンマル・カッザーフィー大佐の退任を求める座り込みが行われた。

抗議行動には約150人が参加した。

多くはフェイスブックの呼びかけに応えて集まったという。

デモは、治安機関が介入し、強制排除された。

クッルナー・シュラカー(2月22日付)が伝えた。

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有識者約130人が連名で声明を出し、リビアでの専制と腐敗に異議を表明した。

声明は「専制に次ぐ専制のなか、この我々人民が長らく闘ってきた歴史的に重要な日々において次々と倒れていくだろう」と表明、リビアの国民との連帯を訴えた。

署名したのは俳優のドゥライド・ラッハーム氏、ムハンマド・ムリッス氏、ムハンマド・ジャマール・バールード氏、ハイダル・ハイダル氏、作家のナビール・スライマーン氏ら。

Akhbar al-Sharq, February 23, 2011、Kul-nā Shurakā’ Sūrīya, February 22, 2011, February 23, 2011などをもとに作成。

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アサド大統領は新情報法案に署名(2011年2月20日)

アサド大統領は新情報法案に署名した。

同法案は、人民議会での承認を経て施行される。

新情報法は41条からなり、これらの条文の約半分はインターネット・サイトの管理者、編集者、運営者などへの罰則規定、そしてウェブサイトの閉鎖、罰金などといった罰則内容に割かれている。

インターネットに関する条文は34条あるが、うち17条が罰則規定・内容に関するもの。

アフバール・シャルク(2月20日付)が伝えた。

Akhbar al-Sharq, February 20, 2011, February 25, 2011、AKI, February 25, 2011などをもとに作成。

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ダマスカス旧市街で警官による市民の暴行に抗議して数百人が暴徒化(2011年2月17日)

ダマスカス県旧市街のハリーカ地区で、警官による市民への暴行に抗議して、数百人が暴徒化した。

事態を受けて、サイード・ムハンマド・サンムール内務大臣が直接現地に現れ、収拾にあたった。

暴動に参加した市民のなかにはアサド大統領を支持するシュプレヒコールを連呼する者と、これを批判する者の双方が入り乱れた。

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『ワタン』はその後(2月20日付)、ハリーカ地区で青年に暴行を加えた警官3人が「規律室」(拘置所)に収監され、近く処罰を受けると伝えた。

ただし、同紙は、先に暴力を振るったのは青年だったと付言した。

同市はまた、デモでアサド政権を非難するシュプレヒコールを連呼した青年ムハンマド・フィラース・サイルーン氏を事件直後に逮捕したと伝えた。

Kull-na Shuraka', February 20, 2011
Kull-na Shuraka’, February 20, 2011

Akhbar al-Sharq, Feburary 17, 2011, February 20, 2011、Kull-na Shurakā’ Sūrīya, February 20, 2011、al-Hayat, February 19, 2011、al-Waṭan, February 20, 2011などをもとに作成。

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アサド大統領は預言者聖誕祭に記念したウマイヤ・モスクでの礼拝後、国民の陳情に耳を傾ける(2011年2月15日)

アサド大統領は、預言者聖誕祭に記念して、ダマスカス県旧市街の中心に位置するウマイヤ・モスクで礼拝を行った。

また、礼拝後、モスク前で車を停車させ、国民の陳情に耳を傾けた。

アサド大統領が国民の前に姿を現すのは2月に入って2度目。

反体制派系メディアは、国内の安定を鼓舞するパフォーマンスとの見方を示した。

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アサド大統領は2011年政令第70号を施行し、粉ミルク、コーヒー豆、茶、米、バナナに対する関税率の引き下げを決定した。

Kull-na Shurakā’, February 15, 2011、al-Hayat, February 17, 2011、Sada Sūrīya, February 16, 2011をもとに作成。

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国家最高治安裁判所はブログでパレスチナ問題の解決を求めていた女子高生に禁固5年の有罪判決(2011年2月14日)

国家最高治安裁判所は、タッル・マルーヒーさん(1991年、ヒムス県生まれ、高校生)に禁固5年の刑を宣告した。

マルーヒーさんは、パレスチナ問題の解決を求めるコメントをブログに掲載していたが、米国のスパイとの容疑を受け、2009年12月27日に総合情報部内務治安課によって逮捕されていた。また、逮捕の2日後に、自宅のPCが押収されてた。

アフバール・シャルク(2月16日付)は、マルーヒーさんへの有罪判決は、チュニジア、エジプトと同様の民衆デモがシリアで発生することを抑止するための「見せしめ」との見方を示している。

Akhbar al-Sharq, February 16, 2011などをもとに作成。

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シリア・アラブ・テレビはムバーラク大統領退任を「キャンプデーヴィッド合意の終焉」と評価(2011年2月11日)

シリア・アラブ・テレビ(2月11日付)は、エジプトでのムハンマド・フスニー・ムバーラク大統領の退任に関して、「正統性を失っている諸合意[キャンプデーヴィッド合意]の終焉」をもたらし、「エジプトをアラブの隊列に復帰」させる動きと評価した。

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アフバール・シャルク(2月11日付)やクルナー・シュラカー(2月12日付)は、シリア国内で、ムバーラク大統領退任に歓喜の声があがっていると伝えた。

Akhbar al-Sharq, February 11, 2011、Kull-na Shurakā’ Suriya, February 12, 2011などをもとに作成。

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イスラーム民主無所属潮流のナッジャール氏がアドラー刑務所に収監(2011年2月9日)

シリア人権委員会は、2月4日に逮捕されたイスラーム民主無所属潮流のガッサーン・ナッジャール氏が、5日にダマスカス第一刑事裁判所で検事の聴取を受け、アドラー刑務所(ダマスカス中央刑務所)に収監されたことを明らかにした。

ナッジャール氏は75歳で、アレッポ市在住。アレッポ市の自宅で逮捕された。

1980年から1992年にハーフィズ・アサド前政権による組合の弾圧によって、逮捕・投獄し、終身刑を宣告されていたが、その後恩赦により釈放された。

2007年にも「ダマスカス宣言」の活動をめぐって短期間逮捕されていた。

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亡命西クルディスタン政府代表のムラード・ムッラー氏は、2月11日に「怒りの日」を再び行うことを呼びかけた。

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エリック・ロス米国務次官補は、シリア当局によるフェイスブック、ユーチューブへのブロック解除に関する報道を歓迎しつつ、表現の自由が満たされない状況下で、利用者が危険にさらされる可能性がある懸念を表明した。

Akhbar al-Sharq, February 9, 2011、al-Ḥayāt, February 9, 2011、al-Raʼy, February 9, 2011などをもとに作成。

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フェイスブック閲覧解禁をめぐって情報錯綜(2011年2月8日)

『ワタン』系のワタン・オンライン(2月8日付)は、シリア当局が2007年以来ブロックしていたフェイスブックの閲覧を解禁したと報じた。

しかし、シリア情報協会は、解除指示が出ていないと発表し、報道内容を否定した。

利用者によると、同サイトは依然としてプロキシ経由でしか閲覧できない、という。

ワタン・オンラインによると、ブロック解除は、国民の要望に応えるためだという。

なお、アフバール・シャルク(2月8日付)など複数のサイトによると、シリアでSNS参加者の人数の公式統計はないが、20万人が利用していると推計される。

シリア情報協会によると、シリアでブロックされているサイト数は256に及び、そのほとんどが政治・情報関連だが、ユーチューブ、フェイスブック、ウィキペディア、アマゾン、ツイッターなどが含まれている。

しかし、これらのサイトは問題なく閲覧できるとの指摘もあり、シリア人はプロキシを利用してブロックされたサイトを閲覧しているという。

一方、DP-News(2月9日付)によると、Blogger, Maktoobblogに対するブロックも解除されたという。

Akhbar al-Sharq, Febraury 8, 2011、alwatanonline.com February 8, 2011、DP-News,
February 8, 2011, February 9, 2011、Kull-na Shurakā’, February 8, 2011, February 9, 2011などをもとに作成。

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衛星テレビ局ジャズィーラのベンジッドゥー氏はシリアでの「怒りの日」は結実しないと述べる(2011年2月7日)

衛星テレビ局ジャズィーラのガッサーン・ベンジッドゥー氏は、シリアでの「怒りの日」は結実しないとしつつ、政府に自由と公正を求めた。

クッルナー・シュラカー(2月7日付)が伝えた。

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社会支援国民基金による補助金支給が始また。

AFP(2月7日付)が伝えた。

al-Hayat, February 8, 2011、Kull-na Shurakā’, February 7, 2011をもとに筆者作成。

 

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「シリア怒りの日」の呼びかけにもかかわらず、国内では反体制デモは発生せず(2011年2月5日)

前日(2月4日)に引き続き、「シリア怒りの日」の呼びかけにもかかわらず、国内では反体制デモは発生しなかった。

クッルナー・シュラカー(2月7日付)が複数の目撃者の話として伝えたところによると、デモ会場に指定された場所には、私服の治安要員が多数配備され、ダマスカス県の人民議会議事堂地区では、ハーフィズ・マフルーフ大佐、ムハンマド・ナースィーフ副大統領補らといった治安機関の幹部がラウダのカフェで警備体制を視察、陣頭指揮にあたったという。

また、『スィヤーサ』(2月5日付)によると、「シリア怒りの日」に備えて、ヒズブッラーの戦闘員約5,000人がダマスカス県など国内の複数カ所に配備され、治安維持にあたった。

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シリアの有識者87人が声明を発表し、エジプトとチュニジアでの「革命」への支持を表明した。

同声明に署名した著名人は、ドゥライド・ラッハーム(俳優)、ナビール・スライマーン(作家)、ハイダル・ハイダル(作家)、サーイル・ディーブ、ワフィーク・ハンサ(詩人)ら。

クッルナー・シュラカー(2月5日付)が伝えた。

Akhbar al-Sharq, February 5, 2011、Kull-na Shurakāʼ Sūrīya, February 5, 2011,February 7, 2011、al-Siyāsa, February 5, 2011.

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フェイスブックの「シリア怒りの日」の呼びかけに応じ、オーストラリア・キャンベルのシリア大使館前でたった1人が抗議行動(2011年2月4日)

フェイスブックの「シリア怒りの日」の呼びかけに応じるかたちで、オーストラリア・キャンベルのシリア大使館前でたった1人が抗議行動を行う。

クッルナー・シュラカー(2月4日付)が伝えた。

Kull-na Shurakā’, February 4, 2011
Kull-na Shurakā’, February 4, 2011

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AKI(2月4日付)によると、イスラーム無所属潮流のガッサーン・ナッジャール氏が逮捕された。

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クッルナー・シュラカー(2月4日付)は、軍・治安機関のいわゆる「古参」(ハーフィズ・アサド前政権時代の軍・治安機関高官)が人民宮殿付顧問として復職したと伝えた。

復職したのはイブラーヒーム・フワイジャ元空軍司令官、アリー・アスラーン元国防長官、アリー・ドゥーバー元軍事情報局長、ムハンマド・フーリー元空軍情報部長。

軍事情報局長のアリー・マムルーク少将を牽制するという目的があるとされる一方、フェイスブックでのデモの呼びかけに対抗するための治安関係者の隊列の結束強化を図った動きとも理解することもできるという。

AKI, February 4, 2011、Kull-na Shurakā’, February 4, 2011、TTU, February 4, 2011などをもとに作成。

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2011年2月3日のシリア情勢

2月4、5日に予定されている反体制デモ「シリア怒りの日」に対抗するべく、携帯電話のSMSにバッシャール・アサド大統領を支持するメッセージが配信される。

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『クドス・アラビー』2月2日付、Kull-na Shurakā’, February 3, 2011によると、「シリア怒りの日」に反対するページがフェイスブックに立ち上げられる。これにより、フェイスブック上で、アサド政権を支持するブロガーと反体制ブロガーの「ネット戦争」が激化。

シリア国内でのフェイスブックへのアクセスが規制を受けるなか、在外居住者によると思われる様々なページが登場している。これらのページは、首都ダマスカスでシリアの現体制に反対する抗議行動を呼びかけている。代表的なページとしては「シリア怒りの日」、「シリア革命」がある。

Facebook
Facebook

 

これに対して、この呼びかけを拒否し、アサド大統領への愛を誇示し、彼を「レジスタント、勇敢」と称賛するページも数多く作られている。こうしたページのなかでもっとも代表的なのが、「2月5日[にデモ実施を呼びかける]立場に反対」、「シリア怒りの日に反対」、「シリアをアッラーが護らんことを」などであり、いずれもシリアの地図にアサド大統領の顔をあしらい、「我々は彼を愛している」という言葉が書かれた写真を掲げている。

「シリア怒りの日」のなかで作成者は次のように書いている。「我々の決行日は2月4日の金曜礼拝の後である…。我々の決行日は変革とともにある…。我々とともに平和的デモに参加しよう…。シリアのすべての都市で…。我々の要求が実現されるまで」。

反体制ブロガーたちはまた、彼らが「自由シリア人」と呼ぶ在外居住者に対して、同じ日時に居住地のシリア大使館前でデモを行うよう呼びかけている。この呼びかけはとりわけヨルダン、イエメン、トルコ、カタール、イラク、レバノン、ロンドン、米国、イタリア、デンマーク、スウェーデン、フランス、ドイツ、カナダ、ノルウェー、オランダに対して向けられている。

Facebook
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一方、「あなたのプロフィール写真をレジスタンスする指導者バッシャール・アサドの写真へ替えよ」と題したページは次のようなメッセージを載せている。「シリアの旗と指導者バッシャールの写真を各人の窓やバルコニーに掲げよう。その日は、国中をシリアの旗とレジスタントであるバッシャール・アサドの写真で飾ろう。自らの手で、その日を誇りの日としよう。シオニズムの汚れを知らず、世界の諸国民のなかで尊厳を護り、勇気と能力をもって諸権利と公正なアラブの大儀を常に支持し、不正に喘ぐ人に対して門戸を開け放ち、その権利回復を支援してきた白い手で。これこそ、我々自身があなたに対して誇るゆえんなのである」。

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治安当局は、ジャズィーラ、アラビーヤなどアラブ諸国の主要なメディアに対して、シリアでのデモや暴動に関して報道しないよう警告。

シリア近代民主主義党、自由シリアなどの反体制組織のウェブサイトがサイバー攻撃を受ける。なおシリア・ムスリム同胞団のウェブサイトも201年1月にサイバー攻撃を受けていた。

Akhbar al-Sharq, February 3, 2011, Kull-na Shurakā’, February 3, 2011, February 4, 2011、al-Quds al-ʻArabī, February 2, 2011などをもとに作成。

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2011年2月2日のシリア情勢

ダマスカス県バーブ・トゥーマー地区でスハイル・アタースィー女史ら約15人がロウソク・デモを断行、エジプトの民衆デモとの連帯と犠牲者追悼を訴える。しかし私服の治安要員約20人が暴行を加えて強制排除。

Kull-na Shurakā’, February 4, 2011
Kull-na Shurakā’, February 4, 2011

リーバール・アサド氏(リフアト・アサド前副大統領の息子)は、非常事態解除、政治犯釈放、政党活動の解禁などを主唱、平和的な改革がもっとも理想的との見方を示す。

Akhbar al-Sharq, February 2, 2011、Elaph.com, February 2, 2011、Human Rights Watch, “Syria Gang Attacks Peaceful Demonstrators; Police Look On,” February 3, 2011、Kull-na Shurakā’, February 4, 2011などをもとに作成。

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2011年2月1日のシリア情勢

反体制活動家のアーリフ・ダリーラ氏はQuds Pressに対して、「チュニジアでの経験はアラブ諸国民の前に道を開いた」、「確かにフェイスブックはシリアで規制されている。おそらくすべてのアラブ諸国でそのようなことは行われていると思う。メディアに対する厳しい検閲が行われている…。しかし人々はこうした規制に囚われず、自らの見解を可能な限り表明するだろう。重要なのは、閉じ込められた閉塞感、鬱屈感、専制から解放され、自由を実現し、公の問題に関わりたいという真の願いのなかに秘められているものである」と述べる。

Elaph.com, February 1, 2011によると、バッシャール・アサド大統領は、1月半ばの会合に引き続き、政治治安部長、軍事情報局長、総合情報部長、内務大臣らを召集し、アラブ諸国でのデモへの波及の可能性について協議。具体的には、「シリア怒りの日」への対応が協議されるとともに、今後の対応策として、ハサカ県などのクルド人の監視強化、ダマスカス郊外県のイスラーム主義者への監視強化が議論された。またイラク国境に展開中のシリア国軍を再展開し、ダマスカス県の警護にあたらせる可能性についても検討された

Akhbar al-Sharq, February 1, 2011、Elaph,com, February 1, 2011、Kull-na Shurakā’
Sūrīya, Feburary 1, 2011などをもとに作成。

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