諸外国の動き(2014年6月21日追記)

バラク・オバマ米大統領はカナダのCBS(6月21日付)のインタビュー(http://www.cbsnews.com/news/obama-notion-that-syrian-opposition-could-overthrow-assad-a-fantasy/)で、シリア情勢に関してアサド政権を倒すことができる「穏健な反体制派」は存在しないとしたうえで、彼らへの武器供与の可能性が「幻想」だ述べた。

オバマ大統領は「アサドを負かすことができる既存の穏健なシリアの武装組織が存在するというような考え方はまったく違っている(simply not true)…。我々が幾ばくかの武器を供与すれば、彼ら(反体制派)がアサドだけでなく、残忍で高度な教練を受けたジハード主義者を一気に倒せるようになるという考え方は、幻想だ」と述べた。

CBS, June 21, 2014をもとに作成。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月21日)

シリア国内の動き

Syria Newsdesk(6月21日付)は、フサーム・ムハンマドを名のるラッカ県の市民活動家の話として、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が治安当局元士官2人を解任し、外国人戦闘員を後任として任用している、と報じた。

同報道によると、解任された2人は、離反士官で、当初は自由シリア軍のメンバーだったが、その後、ダーイシュに参加していたという。

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シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル県で活動する反体制武装集団のブラーク大隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に対し、今後は抵抗せず、ダイル・ザウル航空基地制圧のためにシリア軍との戦闘に専念する旨、告知した。

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ハサカ県では、ARA News(6月21日付)によると、シリア軍ヘリコプターが前日に引き続き、タッル・ハミース村、タッル・ブラーク町などのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)拠点を空爆した。

また、カーミシュリー市空港に隣接するハラーリーヤ地区に迫撃砲が3発着弾した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(6月21日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠するムーハサン市、ブー・ウマル村をシリア軍が砲撃し、「テロリスト」の武器弾薬庫を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が19日に拘束された「自由シリア軍」司令官3人の遺体がムーハサン市郊外のユーフラテス川岸で発見された。

遺体で発見されたのは、自由シリア軍ムーハサン地区軍事評議会のハサン・ハーフィズ副議長ら3人で、いずれもムーハサン市でダーイシュに拘束されていた。

イラク国内の戦況

アンバール県では、マダー・プレス(6月21日付)が報じたところによると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がユーフラテス川沿いの対シリア国境に位置するカーイム市の国境通行所を制圧、同市を中心とするカーイム郡をほぼ完全に制圧した。

またダーイシュは同県西部のワーラ郡、アーナ郡を制圧した。

さらにラマーディー市西部のハディーサ郡に侵入を試みるダーイシュがイラク軍と交戦した。

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サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月21日付)が報じたところによると、トゥーズ・フールマートゥー郡・スライマーン・ベク村間で、イラク・クルディスタン地域ペシュメルガとイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が交戦し、ダーイシュ戦闘員多数が死亡した。

ペシュメルガ側にも複数の負傷者が出たという。

またイラク軍ヘリコプターがティクリート大学農学部内のダーイシュの拠点を空爆する一方、ダーイシュ戦闘員8人がアラム地方サムラ村を掌握した。

一方、バイジ製油所周辺でイラク軍とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の戦闘が続いた。

このほか、サーマッラー市西部での掃討作戦で、治安部隊がダーイシュの司令官1人を逮捕した。

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バービル県では、マダー・プレス(6月21日付)が報じたところによると、首都バグダードとバスラ市を結ぶ国際幹線道路に侵入、占拠を試みたイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と治安部隊が交戦、ダーイシュ戦闘員5人を殲滅した。

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ディヤラ県では、マダー・プレス(6月21日付)が報じたところによると、ヤアクーバ市北東部のカッバーシー地方とマイヤーフ地方で、治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の掃討作戦を行い、戦闘員15人を殲滅した。

AFP, June 21, 2014、AP, June 21, 2014、ARA News, June 21, 2014、Champress, June 21, 2014、al-Hayat, June 22, 2014、Kull-na Shuraka’, June 21, 2014、al-Mada Press, June 21, 2014、Naharnet, June 21, 2014、NNA, June 21, 2014、Reuters, June 21, 2014、SANA, June 21, 2014、Syria Newsdesk, June 21, 2014、UPI, June 21, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力(2014年6月21日)

ダマスカス県では、『ハヤート』(6月22日付)によると、ダマスカス県ヤルムーク区(パレスチナ難民キャンプ)を「中立化」する合意が成立した。

合意は同地区を包囲するシリア軍と同地に籠城する反体制武装集団の間で交わされ、キャンプ内の治安維持を目的とする軍事委員会と治安部隊の設置、武装集団の侵入禁止、など11項目からなっているという。

これに関して、PLOのアンワル・アブドゥルハーディー駐シリア大使がAFP(6月22日付)に明らかにしたところによると、「中立化」合意においては、「反体制武装集団の同意のもと、シリア国家とPLOの保護のもと、すべての武装集団のキャンプからの退去」が定められているという。

また合意においては、武装集団メンバーの身柄保障、検問所、瓦礫、土嚢などの撤去、住民の帰宅に向けた復旧作業員の派遣、国家機関の再開などが定められているという。

なおアブドゥルハーディー大使によると、この合意に基づき、22日の午後6時に戦闘が停止したという。

一方、SLN(6月21日付)によると、工業地区で、ハビーブ・ムスタファー旅団所属のスィッディーク特殊任務大隊が、アリー・シャイフ人民議会議員(バアス党員)の車に爆弾を仕掛け暗殺を試みた。

他方、SANA(6月21日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、首都の盾旅団の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、ナバク広報センター報道官によると、軍がカラムーン地方のランクース市郊外の検問所2カ所から撤退した。

同検問所は数週間前に、軍がヒズブッラー戦闘員の支援のもとに制圧していたという。

また、シリア人権監視団によると、軍がムライハ市およびその周辺を地対地ミサイルなどで攻撃、同地でジハード主義武装集団と交戦した。

さらに、西グータ医療局(反体制組織)によると、ハーン・シャイフ・キャンプを軍が「樽爆弾」で空爆し、子供1人を含む11人が死亡した。

一方、SANA(6月21日付)によると、アドラー市ウンマーリーヤ地区、ハラスター市、ナシャービーヤ農場、カラム・ラサース農場、アーリヤ農場、ランクース市郊外の平原、ルハイバ市近郊で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

また、ジャルマーナー市に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、子供2人を含む3人が死亡した。

このほか、バービッラー市では、反体制武装集団メンバー55人が当局に投降した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に拉致されていた大学生の遺体がラッカ市郊外で発見された。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市シャッアール地区、カッラーサ地区、ザバディーヤ地区、アナダーン市、ヤーキド・アダス村、ダイル・ジャマール村などを軍が「樽爆弾」で空爆した。

一方、SANA(6月21日付)によると、アレッポ市旧市街、バニー・ザイド地区、ライラムーン地区、シャイフ・ヒドル地区、カフルハムラ村、フライターン市、ハーン・アサル村、アナダーン市、タームーラ村、マーリア市、タッル・リフアト市、マンスーラ村、バラース村、カフルビーシュ村、ジュバイラ村、アズィーザ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市各所、ブスル・ハリール市、ナーフタ町、ヌアイマ村を、軍が「樽爆弾」などで攻撃した。

一方、SANA(6月21日付)によると、東カラク村、ガズラーン農場、アトマーン村西部、ダルアー市バジャービジャ地区、マンシヤ地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(6月21日付)によると、ビンニシュ市近郊、アイン・カサブ村、ナフラ村、マルイヤーン村、トゥウーム村、サラーキブ市、シュグル村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラタキア県では、SANA(6月21日付)によると、クーズ山、シャラフ村、バイト・イブリク村、ダイル・ハンナー村、ズワイク村、サーキヤト・カルト村、カトフ・ルンマーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(6月21日付)によると、ヒムス市ワアル地区、ラスタン市、サムアリール村、ブルジュ・カーイー村、サウワーナ村、ラッフーム村、シャンダーヒーヤ村、ウンム・リーシュ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、ARA News(6月21日付)によると、ハサカ市の警察署近くで爆弾が仕掛けられ車が自爆し、警察官1人と子供4人が死亡した(SANA(6月21日付)によると死者は3人)。

AFP, June 21, 2014、June 22, 2014、AP, June 21, 2014、ARA News, June 21, 2014、Champress, June 21, 2014、al-Hayat, June 22, 2014、June 23, 2014、Kull-na Shuraka’, June 21, 2014、al-Mada Press, June 21, 2014、Naharnet, June 21, 2014、NNA, June 21, 2014、Reuters, June 21, 2014、SANA, June 21, 2014、SLN, June 21, 2014、UPI, June 21, 2014などをもとに作成。

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シリア政府の動き(2014年6月21日)

国連シリア政府代表部は、国連安保理15カ国に書簡(6月18日付)を送り、国連加盟国の国境を経由した人道支援には、当該国の事前の同意が必要だとしたうえで、「シリア国家への相談なしにテロ組織と協調するかたちでの救援はシリアに対する攻撃に等しい」と警告した。

同書簡には、シリアおよびアラブ諸国の法律関係者が署名している。

AFP(6月21日付)が伝えた。

AFP, June 21, 2014、AP, June 21, 2014、ARA News, June 21, 2014、Champress, June 21, 2014、al-Hayat, June 22, 2014、Kull-na Shuraka’, June 21, 2014、al-Mada Press, June 21, 2014、Naharnet, June 21, 2014、NNA, June 21, 2014、Reuters, June 21, 2014、SANA, June 21, 2014、UPI, June 21, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年6月21日)

自由シリア軍参謀委員会の海岸作戦司令部司令官のマーリク・クルディー大佐がフェイスブックを通じて声明を出し、ラタキア県カサブ町一帯で自由シリア軍が行っていたとされる軍事作戦(実際はシャームの民のヌスラ戦線などが主導)に対して参謀委員会、シリア革命反体制勢力国民連立暫定政府国防省が必要な支援を行わなかったと非難し、司令官を退任すると発表した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・トゥウマ暫定内閣のもとで活動していたダマスカス郊外県農業局のユースフ・カナアーン局長は、声明を出し、連立および暫定政府の承認を取り消すと発表、脱会した。

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『ハヤート』(6月21日付)によると、7月6日に任期終了となるシリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長の後任議長選挙において、シリア民主主義者連合のムワッファク・ニールビーヤ氏の対立候補として、リヤード・ヒジャーブ元首相を擁立する動きが出ていると報じた。

AFP, June 21, 2014、AP, June 21, 2014、ARA News, June 21, 2014、Champress, June 21, 2014、al-Hayat, June 21, 2014、June 22, 2014、Kull-na Shuraka’, June 21, 2014、al-Mada Press, June 21, 2014、Naharnet, June 21, 2014、NNA, June 21, 2014、Reuters, June 21, 2014、SANA, June 21, 2014、UPI, June 21, 2014などをもとに作成。

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