諸外国の動き(2014年6月5日)

ベルギーのブリュッセルで開かれていた主要7カ国(G7)首脳会議は共同声明を発表して閉幕した。

『読売新聞』(6月6日付朝刊)によると、同声明でのシリアに関する文言(要旨)は以下の通り:

「16万人以上を殺害し、930万人を人道支援が必要な状況に置いたアサド政権の残虐性を強く非難する。6月3日の偽りの大統領選挙を非難する。シリアにおいて、アサドに未来はない。統一された民主的なシリアというビジョンに基づき、完全な行政権を執行し、相互の同意により合意される移行期統治機関を求めるジュネーブ合意を支持する。

シリア政府による国際人道法、人権侵害、無差別砲撃・空爆を強く非難する。過激派組織も重大な人権侵害を犯している証拠がある。侵害に責任を有する人々は追究されねばならない。国際法を順守するというシリア革命反体制勢力国民連立、自由シリア軍(参謀委員会)の約束を歓迎する。シリアで行われている深刻な犯罪行為に関し、国際刑事裁判所への付託を承認し、説明責任を求める国連安保理決議案に反対するロシアと中国の拒否権行使の決定に遺憾の意を表明する。

シリアからの難民流入に耐えている周辺諸国への支援を決意し、人道支援に関する国連安保理決議を履行できていないことを遺憾に思う。すべての紛争当事者に、必要なすべての人々に対する支援を認めるよう要請し、国連安保理によるさらなる緊急行動を支持する。

国境を横断する支援を含め、人道支援を主体に支援を行う。国際社会に、シリア・周辺諸国向けの国連アピールの巨額の資金ニーズを満たすことを求める。シリアに流入している外国人戦闘員による脅威に対処するための努力を強化する。

化学物質の度重なる使用疑惑を深く懸念し、シリアにおけるすべての当事者に、化学兵器禁止機関の調査団に全面協力するよう求める。シリアに廃棄に向けた残りの化学兵器の速やかな搬出を確保するため、国連安保理決議、OPCW執行理事会決定、化学兵器禁止条約における義務を順守するとともに、直ちに製造施設を破壊し、OPCWへの申告に関するすべての質問に回答するよう求める。

AFP, June 5, 2014、AP, June 5, 2014、ARA News, June 5, 2014、Champress, June 5, 2014、al-Hayat, June 6, 2014、Kull-na Shuraka’, June 5, 2014、al-Mada Press, June 5, 2014、Naharnet, June 5, 2014、NNA, June 5, 2014、Reuters, June 5, 2014、SANA, June 5, 2014、UPI, June 5, 2014などをもとに作成。

イラクの動き(2014年6月5日)

イラク軍サーマッラー作戦司令官のサバーフ・カトラーウィー大将は、サラーフッディーン県サーマッラー市でのイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)掃討作戦で、同市の浄化をほぼ完了したと発表した。

マダー・プレス(6月5日付)によると、サーマッラー市の戦闘でダーイシュの戦闘員80人以上が死亡、サラーフッディーン県警察によると、イラク軍ヘリコプターがサーマッラー市一帯のダーイシュ制圧地区を空爆した。

イラク軍によるサーマッラー市制圧を受け、ティクリート市北部にあるシャルカート郡の検問所などを標的とした自爆攻撃が4件相次いで発生し、軍・治安部隊兵士10人以上が死傷した。

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内務省報道官は、治安部隊がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の「ナンバー・ツー」と目されるアドナーン・イスマーイール・サラーウィー軍事評議会議長を殺害することに成功した、と報じた。

これに関して、マダー・プレス(6月5日付)は、ニネベ県警察筋の話として、サラーウィー氏がモスル市東部マザーリア地区で殺害されたと報じた。

AFP, June 5, 2014、AP, June 5, 2014、ARA News, June 5, 2014、Champress, June 5, 2014、al-Hayat, June 6, 2014、Kull-na Shuraka’, June 5, 2014、al-Mada Press, June 5, 2014、Naharnet, June 5, 2014、NNA, June 5, 2014、Reuters, June 5, 2014、SANA, June 5, 2014、UPI, June 5, 2014などをもとに作成。

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レバノンの動き(2014年6月5日)

新華社通信(6月5日付)は、中国の習近平酒席が、北京で開催中の中国アラブ協力フォーラムで、レバノンとヨルダンのシリア人避難民のために1,600万ドル相当の人道支援を行うと表明したと報じた。

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NNA(6月5日付)によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール村で、シャームの民のヌスラ戦線メンバーのハーリド・ムスタファー氏が武装したシリア人グループによって撃たれ、死亡した。

AFP, June 5, 2014、AP, June 5, 2014、ARA News, June 5, 2014、Champress, June 5, 2014、al-Hayat, June 6, 2014、Kull-na Shuraka’, June 5, 2014、al-Mada Press, June 5, 2014、Naharnet, June 5, 2014、NNA, June 5, 2014、Reuters, June 5, 2014、SANA, June 5, 2014、UPI, June 5, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力(2014年6月5日)

ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(6月6日付)によると、アルバイン調整が、アルバイン市に対する砲撃で軍が毒ガスを使用したと主張した。

アルバイン調整によると、使用された毒ガスは無臭で、これにより2人が死亡し、8人が呼吸困難、意識喪失、神経麻痺などの中毒症状を訴えたという。

またシリア人権監視団によると、ムライハ市およびその周辺で、軍、国防隊が反体制武装集団と交戦した。

一方、SANA(6月5日付)によると、キスワ市郊外のサウラ町で、軍が反体制武装集団を殲滅し、同村を制圧した。

またキスワ市郊外のザーキヤ町周辺、ハーン・シャイフ・キャンプ郊外、ムライハ市・ジスリーン町間の街道、ザバディーン町郊外、ナシャービーヤ農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線、カアカーア旅団、アジュナード・シャーム・イスラーム連合の外国人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がダイル・ザウル市入り口のハラビーヤ交差点地域でシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦し、同地区を制圧した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるアレッポ市ハーリディーヤ地区を反体制武装集団が迫撃砲で攻撃、またザフラー地区の空軍情報部一帯では、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、クドス旅団が、シャームの民のヌスラ戦線、ムハージリーン軍などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(6月5日付)によると、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区、フライターン市、ハーディル村、バーシュクー村、タッル・リフアト市、アブティーン村、バービース村、マーリア市、シャイフ・ルトフィー村、アレッポ市サーフール地区、サラーフッディーン地区、アンサーリー地区、ラーシディーン地区、バーブ・ハディード地区、バニー・ザイド地区、ハラク地区、ライラムーン地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、ARA News(6月5日付)によると、カーミシュリー市クールニーシュ地区で車に仕掛けれた爆弾が爆発し、乗っていた民主統一党のアブドゥッラー・ハッジー・ハラフ・カルタミーニー氏が死亡した。

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ダマスカス県では、SANA(6月5日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(6月5日付)によると、カフルラーター村、キースィーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(6月5日付)によると、サルミーン市、カフルシャラーヤー村、ラーミー村、ビンニシュ市、カフルラーター村、カフルルーマー村、クマイナート農場、バルーマ農場、アイン・シャイブ農場、ジダール・ビカフルーン村、カニーサト・ナフラ村、アーリー村、タイイバート村、ハッルーズ村、ジュッブ・アフマル村、サルマーニーヤ村、ルージュ平原、バシーリーヤ村、ファイルーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(6月5日付)によると、フラーク市・ハリーク村交差点、キヒール村、アトマーン村、ウンム・マヤーズィン町、ダルアー市アブー・バクル・モスク一帯など、ヒルバト・ガザーラ町、サマーキヤート農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, June 5, 2014、AP, June 5, 2014、ARA News, June 5, 2014、Champress, June 5, 2014、al-Hayat, June 6, 2014、Kull-na Shuraka’, June 5, 2014、al-Mada Press, June 5, 2014、Naharnet, June 5, 2014、NNA, June 5, 2014、Reuters, June 5, 2014、SANA, June 5, 2014、UPI, June 5, 2014などをもとに作成。

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大統領選挙をめぐる動き(2014年6月5日)

SANA(6月5日付)、ARA News(6月5日付)などによると、ダマスカス県、アレッポ市、ラタキア市、タルトゥース市、ハマー市、ハサカ市、カーミシュリー市(ハサカ県)、クナイトラ市、ヒムス市、ダルアー市、イドリブ市、スワイダー市などで、アサド大統領の選挙での勝利を祝う集会が開かれ、バアス党支部幹部、人民諸委員会、職業諸組合、イスラーム教・キリスト教関係者、市民らが参加した。

SANA, June 5, 2014
SANA, June 5, 2014

 

クッルナー・シュラカー(6月5日付)は、地元特派員やSNSの情報として、6月4日晩から5日未明にかけて、ダマスカス県、アレッポ県、ラタキア県などでアサド大統領の再選を祝う「シャッビーハ」、「マンヘッバクジー」の祝砲で、26~30人が死亡、75人以上が負傷した(シリア人権監視団によると、祝砲により10人が死亡、200人以上が負傷した、という)、と報じた。

祝砲で死亡した「シャッビーハ」のなかには、カルダーハ・サッカー・クラブのアリー・ナースィル選手(ラタキア市で死亡)も含まれているという。

「マンヘッバクジー」とは、アサド大統領支持者が使用する「マンヘッバク」(私はあなたが好きです」に屋号を表す接尾辞「ジー」をつけた造語で、アサド大統領支持者を指す。

ARA News(6月5日付)もまた、カーミシュリー市などハサカ県各所で、アサド大統領の選挙での勝利を祝う祝砲で、複数が負傷したと報じた。

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SANA, June 5, 2014
SANA, June 5, 2014
SANA, June 5, 2014
SANA, June 5, 2014

アサド大統領は、イラン・シューラー議会(国会)のアラーッディーン・ボルージェルディー国家安全保障外交委員長を団長とする選挙監視団と会談した。

会談でアサド大統領は、投票率の高さを強調、選挙の成功が「シリア国民の勝利」だと述べるとともに、シリア国内での「テロとの戦い」に対するイランの支援に謝意を示した。

会談後、イラン選挙監視団は、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣と会談した。

SANA(6月5日付)が伝えた。

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SANA, June 5, 2014
SANA, June 5, 2014

アサド大統領は、6月3日の大統領選挙投票のため一時帰国した米国在住シリア人の使節団とダマスカスで会談した。

SANA(6月5日付)が伝えた。

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レバノン軍は声明を出し、北部県トリポリ市内で、アサド大統領の選挙での勝利を祝って銃や迫撃砲を撃ったとしてシリア人を含む23人を逮捕したと発表した。

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バアス党民族指導部は声明を出し、大統領選挙でのアサド大統領の当選に関して「アサド博士の勝利は、シオニストとの対決やレバノン、パレスチナでのレジスタンス支援において、シリアがアラブの心臓で有り続け…、シリアをはじめとするアラブ諸国にテロとタクフィール思想を植え付けようとする米国の計略を許さないことを保障する」と評した。

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バアス党シリア地域指導部は声明を出し、アサド大統領の当選に関して「6月3日(投票日)以降はこれまでとは異なり、シリア・アラブ人民は新たな時代への許しを与えた…。この時代は、単一のアラブ民族にふさわしく、その永遠の使命を表している…。この段階において、数百万人がバッシャール・アサド博士を選んだのは、彼の人格、行動のなかに自らの意思が体現されているからである」と表明した。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、大統領選挙が「シリア国内および近隣諸国にいる避難民900万人以上を無視」しており、「正統性を欠き、シリア国民を代表していない」と改めて非難した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アサド大統領の選挙での勝利に関して「シリア人への侮辱」だと非難、「アサドは選挙前も選挙後も正統性を失っている。この選挙は真の民主主義とは無縁だ」と述べた。

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サウジアラビアで事実上の亡命生活を送るレバノンのムスタクバル潮流代表のサアド・ハリーリー元首相は声明を出し、アサド大統領の選挙での勝利に関して「どのような人間の知性が、74%ものシリア国民が選挙に参加したなどと信じられようか」と非難、「シリア国民はバッシャールを政治の場から抹殺するための真のグローバルな結束を必要としている」と主張した。

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レバノンの進歩社会主義党党首のワリード・ジュンブラート議員は声明を出し、アサド大統領の選挙での勝利に関して「20万人を越える死者、800万人以上の国内外避難民、政治犯、失踪者の票があれば、シリア政府はもっといい結果を出せていたろうに…。(シリア大統領選挙は)古代、中世、現在の歴史における民主主義のなかでも前代未聞だ」と皮肉を込めて批判した。

しかしジュンブラート議員は、シリアの友連絡グループを名乗る欧米諸国、湾岸諸国、トルコについても「いわゆる国際社会、つまりは「シリアの敵」は…、西欧諸国の首都にある豪華な五つ星ホテルのロビーに集まって…知恵を絞り出すための会合を開き、反対と非難の声明を出しているだけだ」と酷評した。

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ロシア外務省報道官は声明を出し、シリア大統領選挙の監視にあたったロシアの「監視団は、この国の困難な状況にもかかわらず、この選挙が公正且つ透明性を持ったもので、シリア人有権者による積極的参加があったとの結論に達した」と述べるとともに、「民主主義の基準と照らし合わせ100%理想的だとみなし得るこの選挙の正統性に疑義を呈するいかなる根拠もない」と強調した。

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イラン外務省は声明を出し、シリアでの大統領選挙とアサド大統領の勝利に関して「イランはシリア人有権者の投票を尊重する。なぜなら彼らのみが自分たちの政治の行方を決めることができるからだ」と支持を表明した。

AFP, June 5, 2014、AP, June 5, 2014、ARA News, June 5, 2014、Champress, June 5, 2014、al-Hayat, June 6, 2014、Kull-na Shuraka’, June 5, 2014、al-Mada Press, June 5, 2014、Naharnet, June 5, 2014、NNA, June 5, 2014、Reuters, June 5, 2014、SANA, June 5, 2014、UPI, June 5, 2014などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.