イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月23日追記)

ダイル・ザウル県では、ARA News(6月24日付)によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠するムーハサン市で活動していた自由シリア軍事評議会の士官を、シャームの民のヌスラ戦線(ムジャーヒディーン・シューラー評議会)が処刑した。

ヌスラ戦線のツイッター・アカウントによると、処刑されたのは「アブー・ハールーン」を名乗る離反中尉で、最近になってダーイシュに加入し、ダーイシュのムーハサン市制圧に参加していたという。

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Kull-na Shuraka', June 23, 2014
Kull-na Shuraka’, June 23, 2014

ダイル・ザウル県で活動するジハード主義武装集団のムジャーヒディーン・シューラー評議会(シャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団によって構成)は声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のムーハサン市制圧に際して、自由シリア軍事評議会のメンバーが離反し、ダーイシュに忠誠を誓ったとの情報について、「ユーフラテス川およびハーブール川のイスラーム教徒部族の分断を狙った」プロパガンダと批判しつつ、「(アブー・バクル・)バグダーディーに忠誠を誓った者どもは…ダイル・ザウル航空基地解放のための資金を略奪した者ども」で、「処罰を逃れるために…ダーイシュに与した」と批判した。

 

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チュニジアのルトフィー・ベンジッドゥー内務大臣は国会で、シリア国内で活動するジハード主義武装集団に参加しているチュニジア人の数が2,400人に達し、うち8割がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に参加していると答弁した。

ベンジッドゥー内務大臣はまた、治安当局がシリアに戦闘目的で不法入国を試みようとしていたチュニジア人8,800人の出国を阻止してきたと強調した。

ARA News, June 24, 2014、al-Hayat, June 25, 2014、Kull-na Shuraka’, June 23, 2014をもとに作成。

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レバノンの動き(2014年6月23日追記)

NNA(6月24日付)などによると、23日深夜、ベイルート郊外(ダーヒヤ)の入り口に位置するタイユーナ地区のレバノン軍検問所近くで爆弾を積んだ車が自爆し、車を運転していた男性1人が死亡、兵士1人を含む20人が負傷した。

Kull-na Shuraka', June 23, 2014
Kull-na Shuraka’, June 23, 2014

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『サフィール』(6月24日付)は、レバノンの治安当局が、シリアで「自爆テロ」を行うためレバノンに入国しようとしたフランス人男性1人をベイルート国際空港で拘束した、と報じた。

Naharnet, June 24, 2014、NNA, June 24, 2014、
al-Safir, June 24, 2014などをもとに作成。

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諸外国の動き(2014年6月23日)

EUは、ルクセンブルグでの外相会議に合わせて声明を出し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)やシャームの民のヌスラ戦線といったアル=カーイダ系組織に対する「テロとの戦い」と治安回復を推し進めるアサド政権に対する制裁を強化する意思を明示した。

声明は、EU加盟28カ国が近く、シリアのワーイル・ハルキー内閣閣僚12人に対し、「深刻な人権侵害」を根拠に資産凍結やEUへの渡航禁止を科すとしている。

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UAE連邦裁判所は、UAE内にある=カーイダの細胞を結成し、シリアでテロ活動を続けるアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線への資金援助を行おうとしていたとして、6人に無期懲役の有罪判決を下した。

AFP(6月23日付)が伝えた。

AFP, June 23, 2014、AP, June 23, 2014、ARA News, June 23, 2014、Champress, June 23, 2014、al-Hayat, June 24, 2014、Kull-na Shuraka’, June 23, 2014、al-Mada Press, June 23, 2014、Naharnet, June 23, 2014、NNA, June 23, 2014、Reuters, June 23, 2014、SANA, June 23, 2014、UPI, June 23, 2014などをもとに作成。

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イスラエルによるシリア爆撃(2014年6月23日)

イスラエル軍戦闘機が占領下のゴラン高原に隣接するシリア領内(クナイトラ県)のシリア軍拠点複数カ所を空爆し、シリア軍兵士少なくとも10人が死亡した。

空爆の標的となったのは、第90旅団司令部をはじめとするシリア軍の拠点。

シリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表がAFP(6月23日付)に対して明らかにした。

この空爆に関して、イスラエル軍は声明を出し、22日の占領地でのイスラエル人青年の爆死に対する報復として空爆を行ったと発表した。

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シリア外務在外居住者省は国連事務総長と安保理議長に宛てて書簡を送り、そのなかでイスラエル軍戦闘機によるクナイトラ県への越境空爆を「1974年の兵力引き離し協定違反」と非難し、再発防止に向けた責任ある対応と非難決議の採択を求めた。

AFP, June 23, 2014、AP, June 23, 2014、ARA News, June 23, 2014、Champress, June 23, 2014、al-Hayat, June 24, 2014、Kull-na Shuraka’, June 23, 2014、al-Mada Press, June 23, 2014、Naharnet, June 23, 2014、NNA, June 23, 2014、Reuters, June 23, 2014、SANA, June 23, 2014、UPI, June 23, 2014などをもとに作成。

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化学兵器廃棄をめぐる動き(2014年6月23日)

化学兵器機関のアフメト・ウズムジュ事務局長は、シリア政府が同機関に申告していた化学兵器関連物質約1,300トンすべての国外への搬出作業が完了したと発表、廃棄には約4ヶ月を擁するだろうと述べた。

シリア政府は国外搬出予定の化学兵器関連物質92%を搬出したと発表していたが、23日、残り8%の関連物質を積載したデンマーク船籍がラタキア港を出港し、搬出作業が完了したという。

ウズムジュ事務局長によると、シリア政府が国内の化学兵器関連施設の破壊を近く完了することを望むと付言する一方、ハマー県カフルズィーター市での塩素ガス使用疑惑についての調査は継続することを明らかにした。

AFP, June 23, 2014、AP, June 23, 2014、ARA News, June 23, 2014、Champress, June 23, 2014、al-Hayat, June 24, 2014、Kull-na Shuraka’, June 23, 2014、al-Mada Press, June 23, 2014、Naharnet, June 23, 2014、NNA, June 23, 2014、Reuters, June 23, 2014、SANA, June 23, 2014、UPI, June 23, 2014などをもとに作成。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月23日)

シリア国内の動き

ダイル・ザウル県では、ARA News(6月23日付)によると、ティーム油田を掌握していた自由シリア軍ダイル・ザウル軍事評議会がダーイシュに「忠誠」を誓い、ダーイシュが同油田を再制圧した。

ティーム油田は、22日にシャームの民のヌスラ戦線、ムジャーヒディーン・シューラー評議会などからなるジハード主義武装集団の襲撃を受けていたが、これらの武装集団は油田地帯から撤退したという。

また、シリア人権監視団によると、ダーイシュは、フシャーム町、タービヤト・ジャズィーラ村一帯を「軍事地区」に指定し、住民に退去を要請した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市東部のタッル・マディーク村周辺で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)がシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

また両者はアフタリーン市周辺でも交戦、ダーイシュがヌスラ戦線などに対して砲撃を行った。

さらにSMART News(6月23日付)によると、タッル・シャイール村では、クルド人戦線旅団がダーイシュと交戦の末、ダーイシュ戦闘員8人を殲滅し、同村を制圧した。

戦闘には、北の太陽大隊、イスラーム軍も参加し、クルド人戦線旅団を支援した。

なお戦闘に先立ち、ダーイシュはアレッポ市と対トルコ国境のラーイー村を結ぶ街道に位置するアブラ村、タッル・ジージャーン村、カッサール村、サルサーナ村、サラースィーナ村、バールーザ村を制圧したという。

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ARA News, June 23, 2014
ARA News, June 23, 2014

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が制圧するラッカ市内のユーフラテス川推理管理局ビルをシリア軍が空爆し、5人が死亡した。

イラク国内の戦況

ジョン・ケリー米国務長官がイラクを訪問し、ヌーリー・マーリキー首相、ホシェル・ゼバリ外務大臣らと会談し、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の攻勢への対応などについて協議した。

AP(6月23日付)は、イラクの複数の高官の話として、マーリキー首相はケリー国務長官に対し、米軍によるシリア領内のダーイシュの拠点、基地、車両を空爆するよう要請した、と伝えた。

しかしケリー国務長官は、民間人を巻き込み兼ねない空爆によって、米軍が「スンナ派を標的にしている」との非難を受けかねないとして、慎重な姿勢を示したという。

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アンバール県では、シリア人権監視団によると、自由シリア軍参謀委員会東部戦線元司令官でイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)のブーカマール地区アミールのサッダーム・ジャマル氏が率いるダーイシュ部隊が、シリアのダイル・ザウル県ブーカマール市郊外の砂漠地帯(カム地方)からイラクのアンバール県カーイム地方に進入した。

シリア人権監視団によると、カーイム地方でのイラク軍とダーイシュの戦闘激化を受けて、イラク領内から多数の避難民がシリアのダイル・ザウル県ブーカマール市に流入した。

また、同監視団によると、カーイム地方でイラク国境警備隊が拘束・興隆していたシリア人戦闘員、密輸業者、民間人の遺体約30体が発見された。

彼らは、イラク国境警備隊がカーイム市から撤退する際に処刑したものと思われる。

一方、『ハヤート』(6月24日付)によると、カーイム国境通行所に続いて、ダーイシュが対シリア国境のワリード国境通行所と対ヨルダン国境のトゥライビール国境通行所を掌握した。

イラク治安筋によると、ダーイシュはまた対サウジアラビア国境に位置するアルアル国境通行所の制圧も試みているという。

これに関して、アンバール県議会のファーリフ・イーサーウィー副議長はマダー・プレス(6月23日付)に、「トゥライビールは国防省が制圧している」と述べ、ダーイシュによるトゥライビール国境通行所制圧を否定する一方、ワリード国境通行所についてはイラク軍が技術的撤退を行ったと述べ、ダーイシュによって制圧されたことを認めた。

他方、マダー・プレス(6月23日付)によると、イラク軍と部族民兵からなる合同部隊が、ファッルージャ市東部のカルマ郡、同市南部のヌアイミーヤ地方などでイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)の掃討作戦を行い、ダーイシュ戦闘員32人を殺害、車両16台を破壊した。

またイラク軍はハディーサ郡とアンバール県南部を結ぶフジャイミー橋を破壊した。

ダーイシュの東進を阻止するのが目的だという。

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ワースィト県では、マダー・プレス(6月23日付)によると、サラーフッディーン県サーマッラー市奪還をめざすイラク軍とイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が県内各所で交戦し、ダーイシュ20人以上が死亡した。

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バービル県では、マダー・プレス(6月23日付)によると、アクラブ刑務所から収監者を乗せて移動中の車両をイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が襲撃し、乗っていたダーイシュ・メンバーら22人が殺害された。

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ディヤラ県では、マダー・プレス(6月23日付)によると、イラク軍がヤアクーバ市北部のアズィーム地区で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)と交戦、ダーイシュ戦闘員6人を殲滅し、同地を奪還した。

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サラーフッディーン県では、マダー・プレス(6月23日付)によると、アラム地区での戦闘の逃れて、フワイジャ郡に避難しようとしていた住民57人がイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)に拉致された。

AFP, June 23, 2014、AP, June 23, 2014、ARA News, June 23, 2014、Champress, June 23, 2014、al-Hayat, June 24, 2014、Kull-na Shuraka’, June 23, 2014、al-Mada Press, June 23, 2014、Naharnet, June 23, 2014、NNA, June 23, 2014、Reuters, June 23, 2014、SANA, June 23, 2014、SMART News, June 23, 2014、UPI, June 23, 2014などをもとに作成。

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レバノンの動き(2014年6月23日)

NNA(6月23日付)によると、シリアのカラムーン地方(ダマスカス郊外県)での戦闘で負傷したシリア人15人がベカーア県バアルベックアルサール村や北部県トリポリ市の病院に搬送された。

AFP, June 23, 2014、AP, June 23, 2014、ARA News, June 23, 2014、Champress, June 23, 2014、al-Hayat, June 24, 2014、Kull-na Shuraka’, June 23, 2014、al-Mada Press, June 23, 2014、Naharnet, June 23, 2014、NNA, June 23, 2014、Reuters, June 23, 2014、SANA, June 23, 2014、UPI, June 23, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力(2014年6月23日)

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、カフルバトナー町郊外各所、ジスリーン町各所、ムライハ市およびその周辺に対して、軍が空爆を行い、ムライハ市一帯では、軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員がシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と交戦した。

一方、SANA(6月23日付)によると、カラムーン地方の無人地帯(カーラ市郊外、マシュラファ村郊外、ラアス・マアッラ町郊外)、ザバダーニー市、ムライハ市北東部、バーラー村、ザバディーン市、ジスリーン町、アドラー市ウンマーリーヤ地区、ダーライヤー市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区を軍が空爆した。

一方、SANA(6月23日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、アレッポ市バーブ・ナスル地区、ハラク地区をシリア軍が「樽爆弾」で攻撃し、子供5人、女性2人を含む8人が死亡した。

またアレッポ市ザフラー地区の空軍情報部周辺では、軍とシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が交戦した。

一方、SANA(6月23日付)によると、アレッポ市バニー・ザイド地区、シャッアール地区、ブスターン・カスル地区、カーディー・アスカル地区、ハナーヌー地区、カンサリーン村、ザバディーヤ村、マアーッラト・アルティーク村、ワディーヒー村、カフルハムラ村、カフルサギール村、マンスーラ村、タッル・リフアト市、マーリア市、アターリブ市、ダーラト・イッザ市、ジュバイラ村、マイサラ村、ウワイジャ地区、バヤーヌーン町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、サラーキブ市、マアッラト・ヌウマーン市を軍が空爆した。

一方、SANA(6月23日付)によると、シャグル村周辺、ハーッジ・ハンムード農場周辺、アイン・スーダ村近郊、ジャーヌーディーヤ町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(6月23日付)によると、イスラエル軍が越境攻撃を行うなか、ウーファーニヤー村にある「テロリスト」の拠点を軍が攻撃し、カタール人、ヨルダン人、サウジ人などからなる「テロリスト」40人を殲滅した。

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ヒムス県では、SANA(6月23日付)によると、ジャッブーリーン村、カフルナーン村、タルビーサ市、ウンム・スハイリージュ村、シャンダーヒーヤ村、ハムラー村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(6月23日付)によると、ヤードゥーダ村・アトマーン村街道、インヒル市、ダルアー市ビラール・ハバシー・モスク一帯、アトマーン村、ヌアイマ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, June 23, 2014、AP, June 23, 2014、ARA News, June 23, 2014、Champress, June 23, 2014、al-Hayat, June 24, 2014、Kull-na Shuraka’, June 23, 2014、al-Mada Press, June 23, 2014、Naharnet, June 23, 2014、NNA, June 23, 2014、Reuters, June 23, 2014、SANA, June 23, 2014、UPI, June 23, 2014などをもとに作成。

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シリア反体制勢力の動き(2014年6月23日)

シリア革命反体制勢力国民連立の救済支援調整ユニット執行部代表のウサーマ・カーディー氏は辞表を提出した。

クッルナー・シュラカー(6月23日付)が伝えた。

AFP, June 23, 2014、AP, June 23, 2014、ARA News, June 23, 2014、Champress, June 23, 2014、al-Hayat, June 24, 2014、Kull-na Shuraka’, June 23, 2014、al-Mada Press, June 23, 2014、Naharnet, June 23, 2014、NNA, June 23, 2014、Reuters, June 23, 2014、SANA, June 23, 2014、UPI, June 23, 2014などをもとに作成。

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