イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)をめぐる動き(2014年6月27日)

諸外国の動き

米国務省のマリー・ハーフ副報道官は、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が占拠しているイラクのカーイム市(アンバール県)に対してシリア軍ヘリコプターが空爆を行ったこと(24日)に関して、「イラクの治安に資するということはいかなる状況でもあり得ない…。イラクの治安状況は、アサド政権の空爆であれ、同政権が資金援助し、地域諸国が支援する民兵であれ、ダマスカスの政権によって解決され得ないし、そうあってはならない」と述べた。

シリア国内の動き

ダイル・ザウル県では、ARA News(6月27日付)によると、ダイル・ザウル市に隣接する村々で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が交戦した。

またダーイシュは、マヤーディーン市を占拠する反体制武装集団に対して、28日までに武器を捨て、同市を引き渡すよう求めた。

一方、シリア人権監視団によると、自爆ベルトを着用したヌスラ戦線戦闘員が、ブーカマール市内にあるダーイシュの本部の一つに対して殉教作戦を行い、ダーイシュの外国人戦闘員3人が死亡、18人が負傷した。

イラク国内の戦況

ディヤラ県では、マダー・プレス(6月27日付)によると、ダリー・アッバース地方のダワーリーブ地区、シューハーニー地区で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)とイラク軍、部族民兵からなる合同部隊が交戦し、イラク軍兵士4人(うち士官1人)が死亡、14人が負傷した。

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アンバール県では、アンバール県議会のファーリフ・イーサーウィー副議長が、治安部隊が部族民兵、覚醒評議会の支援のもとに、ラマーディー市全域など同県の大部分を掌握したと述べた。

AFP, June 27, 2014、AP, June 27, 2014、ARA News, June 27, 2014、Champress, June 27, 2014、al-Hayat, June 28, 2014、June 29, 2014、Kull-na Shuraka’, June 27, 2014、al-Mada Press, June 27, 2014、Naharnet, June 27, 2014、NNA, June 27, 2014、Reuters, June 27, 2014、SANA, June 27, 2014、UPI, June 27, 2014などをもとに作成。

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レバノンの動き(2014年6月27日)

LBCI(6月27日付)は、25日にベイルート県ルーシャ地区のドゥロイ・ホテルで発生したサウジ人男性による自爆テロに関して、この男性がトルコのイスタンブールからレバノンに入国したと報じた。

Naharnet, June 27, 2014
Naharnet, June 27, 2014

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NNA(6月27日付)によると、ベカーア県バアルベック郡アルサール村で、武装したシリア人とレバノン人が衝突し、レバノン人1人が死亡した。

AFP, June 27, 2014、AP, June 27, 2014、ARA News, June 27, 2014、Champress, June 27, 2014、al-Hayat, June 28, 2014、Kull-na Shuraka’, June 27, 2014、al-Mada Press, June 27, 2014、Naharnet, June 27, 2014、NNA, June 27, 2014、Reuters, June 27, 2014、SANA, June 27, 2014、UPI, June 27, 2014などをもとに作成。

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シリア国内の暴力(2014年6月27日)

クッルナー・シュラカー(6月27日付)は、シリア政府と反体制武装集団の「停戦」が難航していたヒムス市ワアル地区で、「停戦合意」の文言の修正がなされ、合意が成立したと報じた。

複数の地元筋によると、「停戦合意」に向けた交渉は、反体制武装集団を代表するシャイフ、ガズワーン・サカー氏と、シリア政府代表(イラン人、政治治安部、軍事情報局、総合情報部代表から構成)によって行われた。

「停戦合意」の主な内容は以下の通り:

1. 反体制武装集団によるカラシニコフ銃500丁の引き渡し
2. 指名手配者、離反兵、徴兵忌避者の免罪、退学処分を受けた学生の復学
3. シリア軍によるワアル地区周辺の検問所設置
4. 軍・警察部隊、女性隊員によって構成される国防隊部隊のワアル地区への進駐と家宅捜査を条件とするすべての逮捕者の釈放

修正されたこの合意では、当初予定されていたイラン仲介事務所設置に関する文言は削除されている。

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ヒムス県では、SANA(6月27日付)によると、アルシューナ村、バルグースィーヤ村、ラスタン市、タイバ村、カフルラーハー市、ヒルバト・フーラーター村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、『ハヤート』(6月28日付)によると、バイト・ジン市郊外を軍ヘリコプターが「樽爆弾」で空爆した。

一方、SANA(6月27日付)によると、ランクース平原・ザバダーニー市間の一帯、アッサール・ワルド村郊外の無人地帯、ムライハ市郊外、アイン・タルマー渓谷、アドラー市ウンマーリーヤ地区、アドラー市工業団地地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、『ハヤート』(6月28日付)によると、ジャウバル区を軍が空爆した。

一方、SANA(6月27日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(6月27日付)によると、アレッポ市郊外のバイト・ジュナイド採石場、第3地区発電所一帯で、軍が「テロ集団」を掃討し、同地を完全制圧した。

またマーリア市、マンスーラ村、ズィルバ村、カフルハムラ村、タッル・リフアト市、ハーン・トゥーマーン村、ダイル・ハーフィル市、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区、アレッポ市ライラムーン地区、シャッアール地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(6月27日付)によると、サラーキブ市周辺、サルジャ村周辺、サラーキブ市・タフタナーズ市街道、ヒーラー村、タッル・ダーウード村、バーブッラー村、クーリーン村、アブー・ズバイル村、マアッルザーフ町、ビンニシュ市、ハントゥーティーン村、カフルルーマー村、スィージャル村、マクバラ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, June 27, 2014、AP, June 27, 2014、ARA News, June 27, 2014、Champress, June 27, 2014、al-Hayat, June 28, 2014、Kull-na Shuraka’, June 27, 2014、al-Mada Press, June 27, 2014、Naharnet, June 27, 2014、NNA, June 27, 2014、Reuters, June 27, 2014、SANA, June 27, 2014、UPI, June 27, 2014などをもとに作成。

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シリア政府の動き(2014年6月27日)

ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣(兼副首相)は、シリアを訪問中のセルゲイ・リバコフ外務副大臣と会談し、二国間関係の強化、化学兵器廃棄プロセスなどについて意見を交換した。

SANA(6月27日付)が伝えた。

AFP, June 27, 2014、AP, June 27, 2014、ARA News, June 27, 2014、Champress, June 27, 2014、al-Hayat, June 28, 2014、Kull-na Shuraka’, June 27, 2014、al-Mada Press, June 27, 2014、Naharnet, June 27, 2014、NNA, June 27, 2014、Reuters, June 27, 2014、SANA, June 27, 2014、UPI, June 27, 2014などをもとに作成。

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クルド民族主義勢力の動き(2014年6月27日)

ARA News(6月27日付)によると、ハサカ県ラアス・アイン市で、西クルディスタン移行期民政局アサーイシュがシリア・クルド・イェキーティー党幹部の一人バドルアーン・マストゥー氏の自宅を強制捜査し、同氏を逮捕した。

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ハサカ県では、ARA News(6月27日付)によると、アームーダー市で、西クルディスタン移行期民政局アサーイシュの車両を狙った爆弾テロが発生した。

アサーイシュ隊員に死傷者はなかった。

AFP, June 27, 2014、AP, June 27, 2014、ARA News, June 27, 2014、Champress, June 27, 2014、al-Hayat, June 28, 2014、Kull-na Shuraka’, June 27, 2014、al-Mada Press, June 27, 2014、Naharnet, June 27, 2014、NNA, June 27, 2014、Reuters, June 27, 2014、SANA, June 27, 2014、UPI, June 27, 2014などをもとに作成。

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シリアの反体制勢力の動き(2014年6月27日)

ダマスカス郊外県東グータ地方で活動するシャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線などによって構成される統一司法評議会傘下の軍事評議会は声明を出し、ダマスカス県、ダマスカス郊外県各所でシリア政府と反体制武装集団が交わした「休戦合意」に関して「政権との関係正常化であれ和解」であれ一切を拒否すると発表した。

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ヒムス県で活動する反体制武装集団8組織は共同声明を出し、ヒムス軍団を結成すると発表し、すべての武装集団に同軍団への参加を呼びかけた。

ヒムス軍団を結成したのは、ハーリド・ブン・ワリード大隊、預言者追従者大隊、ファーティヒーン連隊、アサーラ・ワ・タンミヤ戦線、預言者を愛する者たち大隊(ラスタン市)、アブー・アスアド・ニムル大隊、バイヤーダ殉教者大隊、ハーリディーヤ殉教者大隊。

AFP, June 27, 2014、AP, June 27, 2014、ARA News, June 27, 2014、Champress, June 27, 2014、al-Hayat, June 28, 2014、Kull-na Shuraka’, June 27, 2014、al-Mada Press, June 27, 2014、Naharnet, June 27, 2014、NNA, June 27, 2014、Reuters, June 27, 2014、SANA, June 27, 2014、UPI, June 27, 2014などをもとに作成。

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「穏健」な反体制勢力と米国の動き(2014年6月27日)

『ハヤート』(6月28日付)などによると、ジョン・ケリー米国務長官はサウジアラビアを訪問し、ジェッダでアブドゥッラー国王を会談、イラク情勢、シリア情勢、エジプト情勢、イラン情勢などへの対応について協議した。

またケリー国務長官は、ジェッダを訪問中のシリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長と会談し、「穏健な」反体制勢力への軍事支援などについて協議した。

会談後、ケリー国務長官は、「穏健な反体制勢力は、シリアだけでなくイラクでもダーイシュを食い止めるのに重要な役割を果たすことができる…。ジャルバー議長は、イラクに広く暮らす一部族を代表している。彼は現地の人々を知っている。彼の見方、そして穏健な反体制勢力の見方は、前進するうえできわめて重要だ…。我々は反体制勢力とまさに努力を集中させようとしている」と述べた。

一方、ジャルバー議長は、シリアの反体制勢力へのさらなる支援を米国に求める一方、「イラク情勢に対処するためにワシントンと地域諸国は最大限の努力を行う」べきだと述べた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長は、ジョン・ケリー米国務長官との会談に合わせるかたちで、自由シリア軍参謀委員会の解体を決定したアフマド・トゥウマ暫定内閣首班の決定(https://syriaarabspring.info/wp/?p=11024)に関して「トゥウマ氏は首班権限を逸脱し、連立内規第31条に違反している」と批判し、同決定を無効にすると発表した。

Kull-na Shuraka', June 27, 2014
Kull-na Shuraka’, June 27, 2014

ジャルバー議長はまた、7月4~6日に開催される連立の政治委員会と総合委員会でトゥウマ首班の「権限逸脱」への対応について審議すると付言した。

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自由シリア軍参謀委員会(最高軍事評議会)は声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・トゥウマ暫定内閣首班による解体令が無効だと主張、連立にトゥウマ首班の処罰を求めた。

Kull-na Shuraka', June 27, 2014
Kull-na Shuraka’, June 27, 2014

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ロシアのヴィタリー・チュルキン国連大使は、バラク・オバマ米政権がシリアの「穏健」な反体制勢力への5億ドル相当の武器供与の方針を示したことに関して、記者団に対して「よりよい手段はあるはずだ…。米国は政治的イニシアチブを実行するのではなく、事態を間違った方向に導き、炎を燃やしたままにしようとしている」と非難した。

AFP, June 27, 2014、AP, June 27, 2014、ARA News, June 27, 2014、Champress, June 27, 2014、al-Hayat, June 28, 2014、Kull-na Shuraka’, June 27, 2014、al-Mada Press, June 27, 2014、Naharnet, June 27, 2014、NNA, June 27, 2014、Reuters, June 27, 2014、SANA, June 27, 2014、UPI, June 27, 2014などをもとに作成。

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