チャック・ヘーゲル米国防長官はCBS(11月19日付)のインタビューで、シリアのアサド政権がイスラーム国との戦いのために米国が主導する有志連合の空爆によって「間接的に得をしている…。こうした状況を作り出したのはアサドだ。シリアで軍事的解決はないだろう。外交的解決があるのみだ…。誰も完全に失敗した政府をシリアに望んでいない。アサドがどのように去るかがきわめて重要だ」と述べた。
CBS, November 19, 2014などをもとに作成。
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Detail Report on the Arab Spring in Syria: Latest Situation in Syria / アラビア語の新聞、通信社、ウェブサイトなどを通じて収集した情報をもとに、シリア情勢をより網羅的に把握・紹介することをめざします。
ジョン・ケリー米国務長官は、国務省のフェイスブックのアカウントでシリア情勢に関して「シリアでのイスラーム国への空爆は逆の効果をもたらし、独裁者(アサド政権)に資すると考えている者がいる…。しかしこうした考え方はシリアの政治情勢を読み違えたものだ」とのコメントを伝えた。
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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はアフリカ諸国歴訪に先立ってアンカラ国際空港で記者団に対して、米国など有志連合は「我々が要請した何らの措置も講じてない」と批判した。
またエルドアン大統領は、シリアの「穏健な反体制派」への教練に関して、「当事者は教練計画に関して何らの最終的な措置も講じていない」と付言した。
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国連総会第3委員会は、シリア、イラクでのダーイシュ(イスラーム国)とシリアでのアサド政権の人権侵害を非難する決議案(サウジアラビア提出)を賛成125、反対13(中国、ロシア、イラン、北朝鮮など)、棄権47で採択した。
AFP, November 19, 2014、AP, November 19, 2014、ARA News, November 19, 2014、Champress, November 19, 2014、al-Hayat, November 20, 2014、Kull-na Shuraka’, November 19, 2014、al-Mada Press, November 19, 2014、Naharnet, November 19, 2014、NNA, November 19, 2014、Reuters, November 19, 2014、SANA, November 19, 2014、UPI, November 19, 2014などをもとに作成。
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MTV(11月19日付)は、シリアのカラムーン地方(ダマスカス郊外県)のシリア筋の話として、ダーイシュ(イスラーム国)が、シャームの民のヌスラ戦線によって拘束されているレバノン軍兵士・治安部隊隊員を、ルーミヤ政治刑務所に収監されているジハード主義武装集団の釈放を条件に解放するとの姿勢を示している、と報じた。
AFP, November 19, 2014、AP, November 19, 2014、ARA News, November 19, 2014、Champress, November 19, 2014、al-Hayat, November 20, 2014、Kull-na Shuraka’, November 19, 2014、al-Mada Press, November 19, 2014、MTV, November 19, 2014、Naharnet, November 19, 2014、NNA, November 19, 2014、Reuters, November 19, 2014、SANA, November 19, 2014、UPI, November 19, 2014などをもとに作成。
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ラッカ県では、「ラッカで活動するバアス党大隊」を名乗る組織(いわゆるバアス大隊)がユーチューブ(https://www.youtube.com/watch?v=NnfB9uZiWHk)に、ラッカ市でのインティファーダを通じて殺害したとするダーイシュ(イスラーム国)戦闘員の遺体を焼却する映像を公開した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アイン・アラブ市南東部のシャイフ・シューバーン村ハルナジュ村街道で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がダーイシュ(イスラーム国)に対して特殊作戦を行い、ダーイシュ戦闘員2人を殺害、また人民防衛隊は同市南部のミーナース街道でダーイシュを要撃、車輌を捕獲した。
さらにアイン・アラブ市自由広場近くでもダーイシュを要撃し、戦闘員3人を殺害した。
一方、ダーイシュは、アイン・アラブ市東部の市庁舎一帯(前日の人民防衛隊による自爆攻撃で、同部隊が複数施設を制圧)と、同市南西部のアレッポ街道に対して攻撃を集中させ、人民防衛隊側に複数の死傷者が出た。
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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が深夜から未明にかけてダイル・ザウル市フワイジャト・サクル地区で、爆弾を積んだ車でシリア軍を攻撃、交戦した。
また同地一帯に対してシリア軍が空爆を行った。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、シャーイル・ガス採掘所一帯で、シリア軍、国防隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦、双方に死傷者が出た。
一方、SANA(11月19日付)によると、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)との戦闘の末、シャーイル油田地帯の第107油田北部の3カ所を制圧した。
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ハサカ県では、ARA News(11月20日付)によると、シリア軍がミールビーヤ連隊基地近郊、アブドゥルアズィーズ山街道でダーイシュ(イスラーム国)の重火器を空爆・砲撃する一方、タッル・ハミース市近郊で西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュが交戦した。
AFP, November 19, 2014、AP, November 19, 2014、ARA News, November 19, 2014、November 20, 2014、Champress, November 19, 2014、al-Hayat, November 20, 2014、Kull-na Shuraka’, November 19, 2014、al-Mada Press, November 19, 2014、Naharnet, November 19, 2014、NNA, November 19, 2014、Reuters, November 19, 2014、SANA, November 19, 2014、UPI, November 19, 2014などをもとに作成。
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イドリブ県では、アナトリア通信(11月19日付)によると、米国など有志連合は、ハーリム市にあるシャームの民のヌスラ戦線の武器庫など拠点複数カ所を空爆した。
一方、SANA(11月19日付)によると、ダルクーシュ町、ダーディーフ村、サラーキブ市、カフルルーマー村、サルミーン市一帯、下カスタン村、シュグル村、ナフラ村、カフルシャラーヤー村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線の特殊部隊がオートストラード・アダウィーを走行中の黒いメルセデスを、路上に仕掛けた爆弾を爆破させ破壊、乗っていた准将1人を含む3人を殺害した。
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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がトゥルナジャ村、ウーファーニヤー村、ジャバーター・ハシャブ村を空爆、バアス市、ハーン・アルナバ市一帯で、国防隊とともにジハード主義武装集団と交戦した。
一方、SANA(11月19日付)によると、バアス市、ウンム・バーティナ村、西サムダーニーヤ村、ジャバーター・ハシャブ村、フッリーヤ村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線、サイフ・イスラーム・ワ・フルカーン旅団の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、インヒル市、ハーッラ市、マアルバ町、サイダー町、フラーク市をシリア軍が「樽爆弾」などで空爆・砲撃し、子供1人、女性1人を含む5人が死亡した。
一方、SANA(11月19日付)によると、ダイル・アダス村、カフル・ナースィジュ村、アクラバー、アトマーン村およびその周辺、フィキーア村、イブタア町、ダリー村、ダルアー市旧税関地区で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ブルジュ・カーイー村・サムアリール村間、タルビーサ市をシリア軍が砲撃・空爆した。
一方、SANA(11月19日付)によると、ウンム・リーシュ村、東サラーム村、西サラーム村、ウンム・シャルシューフ村、タラフ村、カフルラーハー市、ジャズル村東北部、ワディーヒー村、ラスタン市、タッルドゥー市、サムアリール村、ヒムス市ワアル地区で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アンサール・ディーン戦線とシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団が、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員、クドス旅団などとの戦闘の末、ジャアーラ村、ターター村、アクラバー村を制圧した。
この戦闘で反体制武装集団側の戦闘員6人、シリア軍側の兵士5人が死亡した。
また、両者はアレッポ市南東部防空大隊基地(アシュターウィー村)周辺で交戦した。
このほか、サミーリーヤ村、ミンタール村をシリア軍が空爆した。
一方、SANA(11月19日付)によると、アレッポ市ライラムーン地区、アシュラフィーヤ地区、バニー・ザイド地区、ラームーサ地区、アアザミーヤ地区一帯、アーミリーヤ地区、シュカイフ地区、カフルハムラ村、マンスーラ村、バンーン・フッス村、ブライジュ村一帯、フライターン市で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ハマー県では、SANA(11月19日付)によると、アドラ村、南カスタル村、タッル・サリーマ村、ハッダージュ村、ラターミナ町、カフルズィーター市で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ラタキア県では、SANA(11月19日付)によると、ダグマシュリーヤ村、ズワイク村、グマーム村、タルティヤーフ村で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、外国人戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス郊外県では、SANA(11月19日付)によると、カラムーン山地一帯郊外無人地帯で、シリア軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
AFP, November 19, 2014、Anadolu Ajansı, November 19, 2014、AP, November 19, 2014、ARA News, November 19, 2014、Champress, November 19, 2014、al-Hayat, November 20, 2014、Kull-na Shuraka’, November 19, 2014、al-Mada Press, November 19, 2014、Naharnet, November 19, 2014、NNA, November 19, 2014、Reuters, November 19, 2014、SANA, November 19, 2014、UPI, November 19, 2014などをもとに作成。
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シリア人権ネットワークは「シリアの子供たち…失われた夢」(http://sn4hr.org/public_html/wp-content/pdf/english/Syria_Children_en.pdf)と題した報告書を発表、そのなかで2011年3月以降、アサド政権の手により1万7,268人の子供が殺害されていると主張した。
同ネットワークによると、うち518人が狙撃手によって射殺され、95人が拷問によって死亡したという。
また9,500人以上の子供が当局に拘束され、1,600人の子供が失踪しているという。
なおシリア人権ネットワークによると2014年6月末時点での死者総数は12万6,534人。
この数字はシリア人権監視団(ロンドンを拠点とする反体制組織)が発表する犠牲者数に比べ6万人程度少なく、同ネットワークが発表する数値には、イスラーム国、シャームの民のヌスラ戦線などシリアの主要な反体制組織の暴力による犠牲者数が算入されていないものと思われる。
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シリア人権監視団は、10月20日から11月19日にかけてシリア軍が行った空爆が1,592回にのぼったと発表した。
空爆は、戦闘機(うち866回)、ヘリコプターによるもので、ダイル・ザウル県、ヒムス県、ダマスカス県、ダマスカス郊外県、ラタキア県、クナイトラ県、ハマー県、アレッポ県、イドリブ県、ダルアー県、ハサカ県、ラッカ県の各所で行われた。
「樽爆弾」による空爆はうち726回。
空爆による民間人の犠牲者は396人、うち子供は109人、女性(18歳以上)は78人、男性は209人。
AFP, November 19, 2014、AP, November 19, 2014、ARA News, November 19, 2014、Champress, November 19, 2014、al-Hayat, November 20, 2014、Kull-na Shuraka’, November 19, 2014、al-Mada Press, November 19, 2014、Naharnet, November 19, 2014、NNA, November 19, 2014、Reuters, November 19, 2014、SANA, November 19, 2014、UPI, November 19, 2014などをもとに作成。
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『ハヤート』(11月19日付、イブラーヒーム・ハミーディー記者)は、米オクラホマ大学中東協力センター理事長のジョシュア・ランディス教授は、CNNでシリアを二つの国家に分割する案を提唱し、親政権、反体制を含むシリア人に波紋を投げかけていると伝えた(http://alhayat.com/Edition/Print/5770547/-حل-الدولتين–قنبلة-أميركية-توحد-السوريين—-موالاة-ومعارضة)。
ランディス教授は、実際の国境線が変更されることはなく、また米政府はまったく逆の考え方を持っているとしつつ、アレッポを首都とするスンナ派の国と、ダマスカスを首都とするマイノリティ宗派の国の二つに分割する案を提唱したという。
また『ハヤート』の取材に対して、ランディス教授は、米国が「イスラーム国」(ダーイシュ)を壊滅することはできないとしたうえで、「人々はもはや共存したくないと考えている…。スンナ派は疎外されていると感じ、過去に回帰することを望んでいない」と断じた。
ランディス教授は、シリアへの「アラブの春」波及に際して、ニコラオス・ヴァンダム氏(オランダの元外交官で、シリア研究者)らとともに同国の体制転換(国家崩壊)に好意的な姿勢を示していた。
al-Hayat, November 19, 2014をもとに作成。
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