メイ英首相「化学兵器を使用するアサド政権を支援するロシアにも制裁を科すべき」(2018年4月9日)

英国のテリーザ・メイ首相は訪問先のデンマークで、7日に発生したダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市での塩素ガス使用疑惑事件に関して「シリア政府を支援する国々を制裁」するよう呼びかけた。

メイ首相は「事態はアサド政権の蛮行に関わる問題だ…。もちろん、ロシアもその支援国の一つだ…。この野蛮な、国民を攻撃している。我々はこの政権、そしてその支援国にも制裁を科す必要があると明らかに認識している」。

AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコのエルドアン大統領とロシアのプーチン大統領は電話会談でシリアでの塩素ガス使用への対応を協議(2018年4月9日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はロシアのヴラジミール・プーチン大統領と電話会談を行い、7日に発生したダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市での塩素ガス使用疑惑事件などへの対応について意見を交わした。

アナトリア通信(4月9日付)によると、会談では、東グータ地方での市民殺害を停止することが重要との点で一致、シリアでの事態収拾に向けて引き続き意見を交換することを確認した。

AFP, April 9, 2018、Anadolu Ajansı, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米国はシリアでの化学兵器使用を調査するための「独立国際調査機関」(UNIMI)設置を定めた安保理決議案を回付(2018年4月9日)

米国は、ダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市で7人に発生した塩素ガス使用疑惑事件への対応を協議するための国連安保理緊急会合に先立って、シリア国内での化学兵器の使用実態を調査するための「独立国際調査機関」(UNIMI)の設置を定めた安保理決議案を常任・非常任理事国に回付した。

AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシアのラヴロフ外務大臣「目的を達成したと言ったトルコはアフリーン郡をシリア政府に返還すべき」(2018年4月9日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、記者会見で、トルコによるアレッポ県アフリーン郡の実質占領に関して、アサド政権に同郡を引き渡すよう呼びかけた。

RT(4月9日付)が伝えたところによると、ラブロフ外務大臣は「(ロシア・イラン・トルコ首脳会談で)トルコ側代表は、自らが設定した目標がそこ(アフリーン郡)で実現したと述べた。であれば、すべての領土をシリア政府の支配下に返さねばならない」と述べた。

一方、ダマスカス郊外県東グータ地方で7日に発生した塩素ガス使用疑惑事件に関しては、「ロシア軍はこれまでに何度も、シリア政府が有毒化学物質を市民に対して使用したとの嫌疑をかけるための挑発行為の準備をしていると警告してきた…。負傷者が登場し、何の防護もしていない人が治療にあたっているのに負傷しない映像を見ると、ホワイト・ヘルメットとして知られる面々が過去に配信した映像を思い出す」と述べた。

また、イスラエル軍の爆撃に関しては、「非常に危険な展開」と非難、「公然、非公然のさまざまな目的を持った招かれざるプレーヤーがシリアにいる…。少なくとも米軍、そして有志連合に参加するその他の国の軍が事態を理解することを望む」と述べた。

AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Reuters, April 9, 2018、RT, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トランプ米大統領「シリアでの塩素ガス使用に対して24~48時間以内に重大な決断をする」(2018年4月9日)

ドナルド・トランプ米大統領はホワイトハウスで開いた閣議の冒頭、ダマスカス郊外県東グータ地方で7日に発生した塩素ガス使用疑惑事件について「残忍で凶悪」と改めて非難、「今後24~48時間以内に重大な決断をする」との考えを示した。

トランプ大統領はまた「我々はドゥーマーの攻撃の背後にロシア、シリア、イラン、あるいはこれらすべてがいるかを突き止める」と強調した。

**

ジャームズ・マティス米国防長官も、「現時点でいかなることも排除しない。まず協議しなければならないのは、ロシアが化学兵器引き渡しを保証する当時国だったにもかかわらず、なぜ今も化学兵器が使用されているのかということだ」と述べ、ロシアに批判的な姿勢を示した。

AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア駐留ロシア軍司令部当事者和解調整センター「ロシア軍医が患者を検査した結果、東グータ地方で化学兵器が使用されていなかったことが判明」(2018年4月9日)

ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置されている当事者和解調整センターは声明を出し、7日にダマスカス郊外県東グータ地方ドゥーマー市でシリア軍(およびロシア軍)が塩素ガスを使用したとの主張や報道に関して、ドゥーマー市での病院で治療を受けた患者に対してロシア軍の軍医が検査を行った結果、有毒ガスの症状が検出されなかったと発表した。

AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イドリブ市内の「コーカサスの兵」事務所近くで爆発、23人が死亡(2018年4月9日)

イドリブ県では、ANHA(4月9日付)によると、イドリブ市内で爆発が発生し、23人が死亡、35人が負傷した。

AP(4月9日付)によると、爆発はアル=カーイダの系譜を汲むシャーム解放機構と共闘する「コーカサスの兵」の事務所近くで起きたという。

ANHA, April 8, 2018

**

ダルアー県では、ドゥラル・シャーミーヤ(4月9日付)によると、ムサイフラ町で、「自由シリア軍」にシリア軍との戦闘再開を求める抗議デモが行われ、参加者が道路を封鎖した。

AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラエル軍戦闘機がロシア軍とイラン・イスラーム革命防衛隊も駐留するヒムス県中部のタイフール航空基地を爆撃、シリア軍がミサイル5発を撃墜するも、イラン人など14人が死亡(2018年4月9日)

SANA(4月9日付)は、シリア軍消息筋の話として、イスラエル軍のF-15戦闘機複数機がレバノン領空を侵犯し、ヒムス県中部のタイフール航空基地(T4、ティヤース航空基地)に対してミサイル攻撃を試みたが、シリア軍が防空兵器により迎撃し、ミサイルの一部を打ち落としたと伝えた。

イスラエル軍の攻撃では、複数の市民に死傷者が出たという。

これに先立ち、シリア・アラブ・テレビ(4月9日付)は、爆撃に関して「米国によると思われる」と速報で伝えたが、米国防総省は声明でただちにこれを否定した。

**

これを受け外務在外居住者省は、国連事務総長と安保理議長に書簡を送り、イスラエル軍の越境攻撃について報告、「イスラエルの攻撃は…米国による無制限の支援がなければ行われ得ない」と非難、「シリアに対して繰り返されるイスラエルの攻撃をもってしても、イスラエルのパートナー、そしてその手先であるテロ組織を守ることに成功しなかったし、これからも成功はしない」と警告した。

そのうえで、国連安保理に対して、イスラエルの攻撃を非難するために自らの責任を果たすよう呼びかけた。

**

ロシア国防省はこれと前後して声明を出し、イスラエル軍のF-15戦闘機2機がレバノン領空を侵犯し、同僚空からヒムス県中部のタイフール航空基地に向けてミサイル8発を発射したことを明らかにした。

これに対して、シリア軍の防空部隊が迎撃し、ミサイル5発を撃墜したが、3発が航空基地の西側に着弾した。

この爆撃で14人が死亡したが、航空基地に進駐しているロシア軍顧問に死傷者はなかったという。

**

一方、レバノン軍司令部は、イスラエル軍戦闘機4機が午前3時35分にジューニエ市(レバノン山地県)西方の地中海上空から侵犯したと発表した。

またNNA(4月9日付)によると、領空侵犯したイスラエル軍戦闘機は、午前3時頃から4時頃までの約1時間、ナバティーヤ県上空などで旋回を続けた。

**

イランのファルス通信(4月9日付)によると、この爆撃でイラン人3人が死亡したと伝え、その氏名(サイエド・アンマール・モーサヴィー、アクバル・ザウワール・ジャンナティー、マフディー・ロトフィー・ニヤーセル)を発表した。

またメフル通信(4月9日付)も、イラン・イスラーム革命防衛隊の大佐(氏名は明らかにせず)が死亡したと伝えた。

**

なお、イスラエル側は空爆への関与についてのコメントを避けている。

だが米国のABC(4月9日付)は、米複数高官の話として、イスラエル軍が爆撃実施に関して、米国政府に事前に通知していた、と伝えた。

syria.liveuamap.com, April 8, 2018

ABC, April 9, 2018、AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、FARS, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Mehr News Agency, April 9, 2018、NNA, April 9, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アレッポ市とタルトゥース市で東グータ地方でのシリア軍の勝利を祝うデモ(2018年4月9日)

SANA(4月9日付)は、アレッポ市サアドッラー・ジャービリー広場で、ダマスカス郊外県東グータ地方でのシリア軍の勝利と、人質・捕虜の解放を祝うデモが行われ、住民数千人が参加したと伝えた。

また、タルトゥース市のコルニーシュ地区でも住民が集まり、シリア軍の勝利を祝った。

SANA, April 8, 2018

AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム軍戦闘員のドゥーマー市からの退去が再開(2018年4月9日)

ダマスカス郊外県では、SANA(4月9日付)によると、8日に改めて交わされたロシアとドゥーマー市の「文民委員会」の仲介によるシリア政府とイスラーム軍の停戦合意に従い、東グータ地方ドゥーマー市で活動を続けてきたイスラーム軍の戦闘員と家族がシリア政府によって用意された大型バス31台に分乗し、同地を後にした。

SANA, April 8, 2018

また、ドゥーマー市からの人質・捕虜の搬送も続き、イスラーム軍によって拉致・拘束されていた全員が解放された。

SANA, April 8, 2018

AFP, April 9, 2018、ANHA, April 9, 2018、AP, April 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 9, 2018、al-Hayat, April 10, 2018、Reuters, April 9, 2018、SANA, April 9, 2018、UPI, April 9, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは9件の停戦違反を、トルコ側は3件の違反を確認(2018年4月9日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(4月9日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を9件(ダマスカス県・ダマスカス郊外県2件、ラタキア県4件、アレッポ県3件)確認したと発表した。

またトルコ側の監視チームも3件(ダマスカス県・ダマスカス郊外県2件、ハマー県1件)の停戦違反を確認したという。

Ministry of Defence of the Russian Federation, April 9, 2018をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.