シリア政府とロシアは首都ダマスカス南部の反体制派とダーイシュの支配地域の制圧に向けて本腰に(2018年4月5日)

『ハヤート』(4月6日付)は、複数の消息筋の話として、シリア政府との和解に基づき反体制派の支配が続いているヤルダー市、バービッラー市、バイト・サフム市をロシア軍の士官が度々訪問し、シリア北部への戦闘員の退去、ないしはシリア当局への投降(免罪)、重火器の引き渡しを迫っていると伝えた。

協議には、アリー・ハイダル国民和解担当国務大臣も出席しているという。

シリア人権監視団によると、シリア軍はまた、ダーイシュ(イスラーム国)の支配下にあるダマスカス県カダム区、タダームン区、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市の奪還に向けて部隊の動員を開始した。

このうち、ヤルムーク・パレスチナ難民キャンプに関しては、パレスチナ人の部隊がシリア軍の支援を受け、奪還戦を行うものと見られる。

AFP, April 5, 2018、ANHA, April 5, 2018、AP, April 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 5, 2018、al-Hayat, April 6, 2018、Reuters, April 5, 2018、SANA, April 5, 2018、UPI, April 5, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

CNN Arabicはマンビジュ市近郊に設営された米軍基地の映像を公開(2018年4月5日)

米CNN Arabic(4月5日付)は、アレッポ県のユーフラテス川以西に位置する西クルディスタン移行期民政局の拠点都市マンビジュ市の近郊に設営された米軍の基地の映像を公開した。

映像には、米軍の軍用車輌複数輌、米国旗、居住ユニットなどが映っている。

AFP, April 5, 2018、ANHA, April 5, 2018、AP, April 5, 2018、CNN Arabic, April 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 5, 2018、al-Hayat, April 6, 2018、Reuters, April 5, 2018、SANA, April 5, 2018、UPI, April 5, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トランプ米大統領はシリアからの撤退を断念か(2018年4月5日)

米国防総省のケネス・マッケンジー統合参謀本部事務局長は、米軍のシリアからの撤退の是非に関して、ドナルド・トランプ米大統領との協議を経ても、シリアでダーイシュ(イスラーム国)に対して「テロとの戦い」を行うとの方針に変化はなかったことを明らかにした。

ロイター通信(4月5日付)によると、マッケンジー統合参謀本部事務局長は「我々の考え方は常に、シリアでダーイシュと戦うとの意見で決着してきた。我々はこの点に基づいて同地での駐留のレベルを修正するかもしれないが、実質的には何の変更もなされていない」と述べた。

**

AP(4月5日付)は、米複数高官の話として、ドナルド・トランプ米大統領がシリア国内に進駐させている米軍約2,000人の撤退時期をまだ決めておらず、「ダーイシュ(イスラーム国)の最後の戦闘員を殲滅した直後に撤退を開始する」と述べているに過ぎない、と伝えた。

APによると、国防総省と国務省は、米軍撤退により、シリア領内に権力の真空が生じることに危機感を強めているという。

**

米ホワイト・ハウスのサラ・サンダース報道官は「我々はダーイシュ(イスラーム国)が再び台頭しないように、地元の部隊に責任を移譲することに集中している。この点でいくつかの進展があった…。大統領が当初から述べている通り、彼は無作為に工程を定めることはない…。ダーイシュを打ち負かすのが目標だ。これが完全に実現し…、部隊駐留の必要がなくなったら、我々は地元部隊に権限を移譲できるようになる」と述べた。

**

ドナルド・トランプ米大統領はフランスのエマニュエル・マクロン大統領と電話会談を行い、シリア情勢、とりわけ同国内での部隊駐留について意見を交わし、ダーイシュと最後まで戦うため有志連合の作戦を継続することを確認した。

AFP, April 5, 2018、ANHA, April 5, 2018、AP, April 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 5, 2018、al-Hayat, April 6, 2018、Reuters, April 5, 2018、SANA, April 5, 2018、UPI, April 5, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ大統領補佐官「東グータの事態を再発させないためイドリブ県に監視所を設置している」(2018年4月5日)

トルコのイブラヒム・カリン大統領府報道官は、3日にアンカラで行われたロシア・イラン・トルコ首脳会談に関して、記者会見で、シリア国内の戦争を終わらせるために必要な措置を講じることが確認されたと述べる一方、イドリブ県の緊張緩和地帯内にトルコが設置した監視所に関して以下のように述べた。

「トルコ軍部隊は、緊張緩和地帯設置にかかる合意において定められた12カ所のうち、8カ所に監視所を設置した…。あと4カ所残っており、現在第9の監視所を設置する準備を続けている…。我々の基本的な目標は、ヒムス県北部やイドリブ県で(ダマスカス郊外県)東グータ地方で目の当たりにしたような事態の再発をあらゆるかたちで防ぐことにある」。

カリン大統領府報道官はまた、「ロシアは、タッル・リフアト市に(西クルディスタン移行期民政局)人民防衛隊(YPG)はほとんど残っていないと言った…。我々はこの間、このこの情報の真偽を確認してきた…。「オリーブの枝」作戦を継続し、タッル・リフアト市を含むすべての地域からYPGを浄化する」と述べ、タッル・リフアト市介入への意欲を示す一方、「トルコ軍はアフリーン郡に残留する」と強調した。

『イェニ・シャファク』(4月5日付)、『ハヤート』(4月6日付)が伝えた。

**

トルコのバクル・ブズダー副首相兼内閣報道官は、トルコのテレビ番組で、西クルディスタン移行期民政局の支配下にあるタッル・リフアト市一帯地域の処遇に関して、「アフリーンと同じようにクルド人民兵を浄化する」と述べた。

ブズダー副首相兼内閣報道官はまた「タッル・リフアト市の後にマンビジュ市やユーフラテス川東岸からテロを浄化する…。しかし、米国の発言に錯綜しているなかで、こうした措置を講じるのには困難が伴う…。トルコは米国と理解し合いたいと考えている…。米国にはトルコと交わした約束を守ってもらいたい」と強調した。

一方、マンビジュ市一帯に部隊を増派したフランスに対しては、「米国と同じ過ち」を繰り返さないよう呼びかけた。

ドゥラル・シャーミーヤ(4月5日付)、『ハヤート』(4月6日付)が伝えた。

AFP, April 5, 2018、ANHA, April 5, 2018、AP, April 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 5, 2018、al-Hayat, April 6, 2018、Reuters, April 5, 2018、SANA, April 5, 2018、UPI, April 5, 2018、Yeni Safak, Apri 5, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシアのラヴロフ外務大臣「米国はシリア駐留を正当化するための混乱を望んでいる」(2018年4月5日)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、モスクワでの中国の王毅外交部長との会談後の共同記者会見で、シリア情勢に関して「米国は、地政学的・国際的なレベルで自国の国益に資するような現下のこの状態を維持しようとしているという印象がある」と述べ、米軍のシリア駐留を正当化するための混乱を望んでいると批判した。

ラブロフ外務大臣は、王外交部長との会談で「シリアの危機を政治的に解決することで合意した」と述べる一方、「一部の国が、化学兵器使用について挑発を行うことで、シリア情勢を政治的に利用しようとしている」と指摘、シリアの混乱に乗じた米国のシリア駐留を批判した。

ラブロフ外務大臣は、そのうえでロシアは「中東を含む各地での米国の政策の真意を明らかにしたい…。米国は国連安保理で交わされた本質的な合意のすべてを歪め、復讐的な行為を行っている」と述べた。

RT(4月5日付)、『ハヤート』(4月6日付)が伝えた。

AFP, April 5, 2018、ANHA, April 5, 2018、AP, April 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 5, 2018、al-Hayat, April 6, 2018、Reuters, April 5, 2018、RT, April 5, 2018、SANA, April 5, 2018、UPI, April 5, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ軍と反体制武装集団はアフリーン市で若者45人を拉致連行(2018年4月5日)

アレッポ県では、ANHA(4月5日付)がアフリーン市内の複数の消息筋の話として伝えたところによると、トルコ軍とその支援を受ける反体制武装集団が、市内で若者45人を拉致連行した。

AFP, April 5, 2018、ANHA, April 5, 2018、AP, April 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 5, 2018、al-Hayat, April 6, 2018、Reuters, April 5, 2018、SANA, April 5, 2018、UPI, April 5, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラーム軍の内部対立により東グータ地方からの戦闘員と家族の搬送作業が延期に(2018年4月5日)

ダマスカス郊外県では、SANA(4月5日付)によると、東グータ地方ドゥーマー市で活動を続けていたイスラーム軍の戦闘員と家族をトルコの実質占領下のアレッポ県ジャラーブルス市に搬送する作業が延期された。

ドゥラル・シャーミーヤ(4月5日付)によると、大型バス13台がドゥーマー市に入ったものの、戦闘員と家族を乗せずにワーフィディーン・ゴラン高原難民キャンプに引き返した。

イスラーム軍の内部対立により、退去しようとする戦闘員や家族が搬送用の大型バスへの乗車を阻止されたのが理由だという。

戦闘員と家族の搬送作業は2日から連日行われていた。

一方、シャーム自由人イスラーム運動(シリア解放戦線)が退去した東グータ地方のハラスター市では、シリア政府支配下への復帰を祝う祝典が行われ、市民らが参加した。

AFP, April 5, 2018、ANHA, April 5, 2018、AP, April 5, 2018、al-Durar al-Shamiya, April 5, 2018、al-Hayat, April 6, 2018、Reuters, April 5, 2018、SANA, April 5, 2018、UPI, April 5, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア国防省:ロシア・トルコ停戦監視委員会のロシア側監督チームは8件の停戦違反を、トルコ側は4件の違反を確認(2018年4月5日)

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間(4月5日)で、「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を8件(ラタキア県5件、ダマスカス県・ダマスカス郊外県2件、アレッポ県1件)確認したと発表した。

またトルコ側の監視チームも4件(イドリブ県3件、ダルアー県1件)の停戦違反を確認したという。

Ministry of Defence of the Russian Federation, April 5, 2018をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.