米軍はトルコの侵攻を阻止するため、アイン・アラブ(コバネ)市近郊に監視所を新たに設置(2018年11月29日)

バスニュース(11月29日付)は、米軍がアレッポ県のユーフラテス川東岸に位置する西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)支配下のアイン・アラブ(コバネ)市近郊に、トルコやその支援を受ける反体制武装集団の侵攻を阻止するための監視所2カ所を新たに設置したと伝えた。

AFP, November 29, 2018、ANHA, November 29, 2018、AP, November 29, 2018、Basnews, November 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 29, 2018、al-Hayat, November 30, 2018、Reuters, November 29, 2018、SANA, November 29, 2018、UPI, November 29, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア国防省:ダーイシュはダイル・ザウル県南東部でのYPG主体のシリア民主軍に化学兵器を使用しようとしている(2018年11月29日)

ロシア国防省は、複数の諜報筋の情報として、ダーイシュ(イスラーム国)がダイル・ザウル県南東部で、ダーイシュは化学物質を装填した砲弾を増強しており、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍との戦闘でこれを使用しようとしていると発表した。

AP(11月29日付)が伝えた。

AFP, November 29, 2018、ANHA, November 29, 2018、AP, November 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 29, 2018、al-Hayat, November 30, 2018、Reuters, November 29, 2018、SANA, November 29, 2018、UPI, November 29, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アサド大統領はハミース改造内閣閣僚に汚職対策を優先事項と位置づけ、これに取り組むよう指示(2018年11月29日)

アサド大統領は、26日に任命した4閣僚の認証式を執り行い、その後、改造後初となるイマード・ハミース内閣の閣議を開いた。

閣議の議長を務めたアサド大統領は、汚職対策を改造内閣の優先事項として位置づけ、これに取り組むよう閣僚らに指示した。

閣議でのアサド大統領の主な発言は以下の通り:

SANA, November 29, 2018

**

「包括的なヴィジョンをもって汚職問題に向き合わねばならない。汚職とは、個々の利益を実現するために権力が濫用されることに限られない。国家における機能不全も汚職である。公金の浪費、国家機関の麻痺、福祉の質的低下は、不満や混乱に根ざした文化を広め…、社会を分断させる。それゆえ、多くの人々が、汚職とテロはコインの表と裏の関係にあると考えている」。

「腐敗した個人を処罰することは必要だが、それは汚職撲滅の始まりではない。もっとも重要なのは予防することで…、これは組織や法…をもって始められる」。

「汚職の大部分は法の抜け道から生じる…。各省は法律に存在する(汚職の原因となる)例外的な規定を早急に精査しなければならない」。

「各省は、市民が具体的に感じることができるような成果を早急に実現するための措置を講じねばならない…。腐敗した個人を追究するだけでなく、腐敗した官僚や高官を減少させるため、腐敗した環境を打破しなければならない」。

「各省は市民とどこで直接結びつくことができるかを探し、(汚職を回避するための)合理化に努めねばならない」。

https://youtu.be/kOAWjRLciBs

SANA(11月29日付)が伝えた。

**

なお、閣僚認証式と閣議と合わせて、アサド大統領はアーディル・ウルビー・ダマスカス県知事の認証式も行った。

アサド大統領は26日、2018年政令第363号を施行し、バシュル・サッバーン・ダマスカス県知事を解任、アーディル・ウルビー氏を新たにダマスカス県知事に任命していた。

SANA(11月29日付)が伝えた。

AFP, November 29, 2018、ANHA, November 29, 2018、AP, November 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 29, 2018、al-Hayat, November 30, 2018、Reuters, November 29, 2018、SANA, November 29, 2018、UPI, November 29, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍はキスワ市上空に侵犯した標的を撃破、イスラエル軍報道官は戦闘機が撃墜されたとの報道を否定(2018年11月29日)

SANA(11月29日付)は、軍消息筋の話として、シリア軍防空部隊がダマスカス郊外県キスワ市上空を侵犯した標的を撃破したと伝え、その映像を公開した。

撃破した標的の所属、種類については明らかにされなかった。

SANA, November 29, 2018

 

また、スプートニク・ニュース(11月29日付)はシリア軍筋の話として、シリア軍防空部隊が防空システムを使用して、イスラエル軍戦闘機1機とミサイル4発を撃破したと伝えた。

一方、スプートニク・ニュース(11月30日付)によると、S-300防空システムは使用されなかったという。

**

これに関して、イスラエル軍のアヴィハイ・アドライ(Avichay Adraee)報道官はツイッター(https://twitter.com/AvichayAdraee/)のアカウントを通じて、「イスラエルの航空機が損害を受けた…という報道はウソだ」と綴った。

https://twitter.com/AvichayAdraee/status/1068254764264316929

一方、イスラエルのイェディオト・アハロノト(11月29日付)は、イスラエル軍戦闘機がキスワ市に対して爆撃を実施したと伝えた。

爆撃は、その数時間前にレバノンのベイルート(国際空港)にイランの貨物機が着陸したことを受けたものだという。

ハダス(11月29日付)は、イスラエル軍がシリア南部の「イランの民兵」の拠点複数カ所を狙ったと伝えた。

AFP, November 29, 2018、ANHA, November 29, 2018、AP, November 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 29, 2018、al-Hadath Channel, November 29, 2018、al-Hayat, November 30, 2018、Reuters, November 29, 2018、SANA, November 29, 2018、Sputnik News, November 29, 2018、November 30, 2018、UPI, November 29, 2018、Ynet News, November 28, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アスタナ11会議閉幕:制憲委員会設置に進展はなし、ロシア、トルコ、イランは「テロとの戦い」を口実として新たな現実の創り出そうとするあらゆる試みを拒否、イドリブ県での停戦維持を確認(2018年11月29日)

カザフスタンの首都アスタナで28日に開幕したアスタナ11会議は、閉幕声明を発表し、2日間の日程を終了した。

声明は、ロシア、トルコ、イランの代表団、スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表が同席するなか、カザフスタンのカイラット・アブドラフマノフ外務大臣によって読み上げられた。

声明の主な内容は以下の通り:

SANA, November 29, 2018

**

アスタナ会議の保障国であるロシア、イラン、トルコは、シリアの主権、国土統一、ダーイシュ(イスラーム国)、ヌスラ戦線(シャーム解放機構)、そしてこれらとつながりのあるテロ集団根絶の努力の継続を確認する。

「テロとの戦い」を口実として新たな現実の創り出そうとするあらゆる試みを拒否する。

シリアの主権と国土統一を反故にしようとする分離主義的アジェンダを拒否する。

国連安保理決議第2254号に従い、シリア人が主導する政治的関係正常化プロセスのみをもってシリアの危機を解決する。

イドリブ県を中心とする反体制派支配地域での緊張緩和地帯設置にかかる合意、非武装地帯設置にかかる合意の遵守。

シリアでの化学兵器使用に関して、化学兵器禁止機関(OPCW)との連携のもと、透明性のあるプロフェッショナルな調査の実施を求める。

制憲委員会設置に向けた努力を集中させる。

シリア人の生活再建に向けた支援を継続し、国際社会、とりわけ国連や人権団体に、難民帰還を支援するよう呼びかける。

拉致被害者、失踪者に関する問題解決に向けた努力を集中させる。

なお、次回のアスタナ会議(アスタナ12会議)は2019年2月を目処に開催することも合わせて決定された。

**

『ハヤート』(11月30日付)がロシアの複数の消息筋の話として伝えたところによると、制憲委員会の設置に関して、メンバー150人中の142人は確定しているが、残る8人をめぐって政府代表団と反体制派代表団の意見が分かれたままだという。

複数の反体制筋は、『ハヤート』(11月30日付)に対して「新しい結果はなかった。残る8人をめぐる対立はこれまで通りのもので、数ヶ月間続いている」と述べている。

デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表も閉幕に合わせて声明を出し、「制憲委員会設置をめぐって10ヶ月間続く膠着状態を克服するような具体的な進展がなかったことに対して強い遺憾の意」を示した。

**

ロシアのアレクサンドル・ラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使は、イドリブ県にヌスラ戦線のテロリストが15,000人もいることは受け入れられず、国際社会に対して、多数のテロリストが化学兵器を保有し、民間人に対してこれを使用してきたことを訴えてきたとしたうえで、24日のアレッポ市に対する塩素ガス攻撃を欧米諸国が無視することを非難した。

ラヴレンティフ特使はまた、ロシアがイドリブ県での安定を確立しようとするシリア軍を全面支援すると強調した。

さらに、シリア国内での米国の違法な進駐への懸念を表明した。

SANA, November 29, 2018

**

シリアの代表団を率いるバッシャール・ジャアファリー国連代表は、閉幕声明が発表された記者会見で、トルコが、非武装地帯設置合意を遵守せずに、テロリストが民間人を攻撃することを奨励していると非難した。

SANA, November 29, 2018

**

SANA(11月29日付)、ドゥラル・シャーミーヤ(11月29日付)、『ハヤート』(11月30日付)などが伝えた。

AFP, November 29, 2018、ANHA, November 29, 2018、AP, November 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 29, 2018、al-Hayat, November 30, 2018、Reuters, November 29, 2018、SANA, November 29, 2018、UPI, November 29, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア軍と国民解放戦線、イッザ軍がハマー県北部で交戦(2018年11月29日)

ハマー県では、SANA(11月29日付)によると、トルコの支援を受ける国民解放戦線がイドリブ県南部からカルナーズ町一帯に侵入、シリア軍がこれを撃退した。

シリア軍はまた、ラターミナ町にあるイッザ大隊(イッザ軍)の拠点を砲撃するとともに、スーラーン町、バッザーム丘、マルユード村一帯のシリア軍拠点を砲撃する反体制武装集団に応戦した。

ドゥラル・シャーミーヤ(11月29日付)によると、シリア軍との戦闘で、民間人1人が死亡したという。

AFP, November 29, 2018、ANHA, November 29, 2018、AP, November 29, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 29, 2018、al-Hayat, November 30, 2018、Reuters, November 29, 2018、SANA, November 29, 2018、UPI, November 29, 2018などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから122人、ヨルダンから715人の難民が帰国、避難民556人が帰宅(2018年11月29日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(11月29日付)を公開し、11月28日に難民837人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは122人(うち女性35人、子供61人)、ヨルダンから帰国したのは715人(うち女性214人、子供364人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は51,116人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者26,852人(ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者24,264人(ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日に帰国した難民の数は 280,396人(うち女性84,115人、子供142,910人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,647,614人(うち女性1,994,284人、子供3,390,283人)。

一方、国内避難民556人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは25人(うち女性8人、子供11人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダイル・ザウル県、ダマスカス郊外県に帰宅したのは227人(うち女性82人、子供105人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは305人(うち女性142人、子供83人)だった。

これにより、2018年1月以降に帰宅した国内避難民の数は171,889人(うち女性52,527人、子供86,048人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,254,251人(うち女性377,525人、子供638,431人)となった。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を10件(ラタキア県5件、アレッポ県4件、イドリブ県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームも11件の停戦違反(アレッポ県6件、ハマー県2件、イドリブ県5件)を確認した。

Ministry of Defence of the Russian Federation, November 29, 2018をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米主導の有志連合はシリア空爆で「意図せず死亡したとされる民間人」は2018年10月末の段階で1,124人(2018年11月29日)

有志連合CJTF-OIR(「生来の決戦作戦」統合任務部隊)は、2014年8月から2018年10月までにシリア、イラク両国領内での航空作戦に伴う民間人犠牲者発生にかかる7件の新たな報告を受け、すでに報告されている206件と併せて調査を行い、19件の調査を完了した。

調査を完了した19件のうち4件で意図せずに民間人10人が死亡したことが確認された。

194件については調査が継続される。

なお、2014年8月から2018年10月までに有志連合が実施した空爆30,738回によって、意図せず犠牲となったことが確認される民間人の数は1,124人となった。

CENTCOM, November 29, 2018をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.