シリア人権監視団のアブドゥッラフマーン代表は「イラン・イスラーム革命防衛隊とシリア諜報機関が10万4000人の拘置者・逮捕者を殺害した」と喧伝(2018年11月9日)

英国で活動する反体制組織のシリア人権監視団のラーミー・アブドゥッラフマーン代表は、アラビーヤ・チャンネル(11月9日付)に対して、政権内部から得た情報だとして、シリア軍およびムハーバラート(諜報機関)所轄の拘置所・刑務所で10万4000人の拘置者・逮捕者が死亡したと述べた。

アブドゥッラフマーン代表は、「政権内部から得た情報」の詳細については明らかにしなかったが、死亡した拘置者・逮捕者の約83%が2013年3月から2015年10月にかけて死亡し、30万人がダマスカス郊外県のサイドナーヤー刑務所で収監されていたという。

シリアの拘置所・刑務所は、イラン・イスラーム革命防衛隊とシリアのムハーバラートによって監視され、両組織が拘置者・逮捕者の殺害を黙認、サイドナーヤー刑務所では1日2~3人が病気や飢えで死亡していたのだという。

また、ロシアのヴラジミール・プーチン大統領も、シリア政府に対する国際世論の批判を回避するために、こうした拘置所・刑務所を監督していたのだという。

アブドゥッラフマーン代表は、イラン・イスラーム革命防衛隊、ジャミール・ハサン少将を長とする空軍情報部をはじめとするムハーバラートの手によって10万4000人が殺されたと断じたうえで、現在も80万人あまりが各地の拘置所・刑務所に収監されており、政府は拘置者・逮捕者がすでに死亡したと、家族に対して伝えていたが、新たな軍事作戦のための条件として彼らの身柄を利用しようとしているのだという。

https://www.facebook.com/syriahro/videos/569806136790851/

syriahr.com, November 9, 2018

AFP, November 11, 2018、ANHA, November 11, 2018、AP, November 11, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 11, 2018、al-Hayat, November 12, 2018、Reuters, November 11, 2018、SANA, November 11, 2018、Syriahr.com, November 9, 2018、UPI, November 11, 2018などをもとに作成。

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トルコのアカル国防大臣は、ハマー県北部でのシリア軍とイッザ軍の戦闘に関して「我々は必要な措置を講じた。些細な問題が発生しているが、イドリブ県の現状が維持されることを希望する」と述べる(2018年11月9日)

トルコのフルシ・アカル国防大臣は、訪問先のソマリアの首都モガディシュで、ハマー県北部の非武装地帯でのシリア軍とイッザ軍の交戦に関して「ロシアとトルコは、措置での合意(非武装地帯設置にかかる合意)の要件を遵守している…。我々は必要な措置を講じた。一部些細な問題が発生しているとはいえ、イドリブ県の現状が維持されることを希望している」と述べた。

アナトリア通信(11月10日付)が伝えた。

AFP, November 10, 2018、Anadolu Ajansı, November 10, 2018、ANHA, November 10, 2018、AP, November 10, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 10, 2018、al-Hayat, November 10, 2018、Reuters, November 10, 2018、SANA, November 10, 2018、UPI, November 10, 2018などをもとに作成。

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ハサン空軍情報部長がダルアー県各所を突如訪問し、地元の名士や住民と面談、拘束中の家族の釈放やインフラ改善などについて意見を交わす(2018年11月9日)

ジャミール・ハサン空軍情報部長が、ダルアー県のナワー市、ダーイル町、東カラク村、東ガーリヤ村を突如訪問し、地元の名士や住民と面談、拘束中の家族の釈放やインフラ改善などについて意見を交わしていたという。

『ハヤート』(11月10日付)が伝えた。

AFP, November 9, 2018、ANHA, November 9, 2018、AP, November 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2018、al-Hayat, November 10, 2018、Reuters, November 9, 2018、SANA, November 9, 2018、UPI, November 9, 2018などをもとに作成。

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UNHCR中東・北アフリカ局長「ルクバーン・キャンプ内でテロリストや犯罪者が活動を続け、難民を人間の盾として利用している」(2018年11月9日)

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の中東・北アフリカ局のアミーン・アワド局長は、米主導の有志連合の占領下にあるヒムス県タンフ国境通行所一帯(55キロ地帯)に隣接するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプに関して「永遠に設置を続けることはできない…。(シリア)難民が自分達の地域に帰ることができるよう解決策を導出する必要がある…。ルクバーン・キャンプの問題が支援物資の提供を継続する必要があるという点ではなく、帰国させる必要があるという点に約言されていると考えている…。キャンプを解消し、これらの人々全員のために問題を解決しなければならない」と述べた。

アワド局長はまた、「ルクバーン・キャンプ内でテロリストや犯罪者が活動を続けている」と批判、「彼らはキャンプの民間人を人間の盾として利用している」と批判した。

『ハヤート』(11月10日付)が伝えた。

AFP, November 9, 2018、ANHA, November 9, 2018、AP, November 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2018、al-Hayat, November 10, 2018、Reuters, November 9, 2018、SANA, November 9, 2018、UPI, November 9, 2018などをもとに作成。

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首都ダマスカスでBASMA協会主催のマラソン大会にガンを克服した児童らが参加(2018年11月9日)

ダマスカス県では、SANA(11月9日付)によると、小児ガン患者とその家族を支援するNGOのバスマ(BASMA)協会の主催のもと、「私たちは笑顔(バスマ)のために走りたい」と銘打ったマラソン大会が開催され、ガンを克服した児童らが、ボランティア活動家とともに5キロの距離を完走した。

BASMA協会のスハイル・ブーラード理事長によると、BASMAはマラソン大会に参加した児童を含む約6,000人の小児ガン患者の治療や支援を行っており、来年4月には、ジャウバル区にあるバイルーニー大学病院のガン治療専用の療養病床を18台から36台に倍増させる予定だという。

SANA, November 9, 2018
SANA, November 9, 2018
SANA, November 9, 2018
SANA, November 9, 2018
SANA, November 9, 2018
SANA, November 9, 2018
SANA, November 9, 2018
SANA, November 9, 2018
SANA, November 9, 2018

AFP, November 9, 2018、ANHA, November 9, 2018、AP, November 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2018、al-Hayat, November 9, 2018、Reuters, November 9, 2018、SANA, November 9, 2018、UPI, November 9, 2018などをもとに作成。

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シリア軍によるイッザ軍攻撃を受けてトルコ軍部隊がイッザ軍とともにハマー県北部のラターミナ町でパトロール活動を開始(2018年11月9日)

ドゥラル・シャーミーヤ(11月9日付)によると、シリア軍、ないしはイラン・イスラーム革命防衛隊、ヒズブッラーによるハマー県ズラーキーヤート村一帯のイッザ軍拠点に対する攻撃を受けて、トルコ軍の使節団が反体制派支配下のハマー県ラターミナ町に入り、イッザ軍とともに町内でパトロール活動を開始した。

al-Durar al-Shamiya, November 9, 2018

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ドゥラル・シャーミーヤ(11月9日付)によると、ロシア軍は反体制派支配地域とシリア政府支配地域を結ぶ県北部のムーリク市通行所を閉鎖した。

理由は不明。

AFP, November 9, 2018、ANHA, November 9, 2018、AP, November 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2018、al-Hayat, November 9, 2018、Reuters, November 9, 2018、SANA, November 9, 2018、UPI, November 9, 2018などをもとに作成。

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トルコの庇護を受ける国民解放戦線を主導するシャーム自由人イスラーム運動、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構は、イッザ軍に対するシリア軍による攻撃に報復するとし臨戦態勢に(2018年11月9日)

トルコの庇護を受ける国民解放戦線に所属するアル=カーイダ系のシャーム自由人イスラーム運動は、シリア軍、ないしはイラン・イスラーム革命防衛隊、ヒズブッラーによるハマー県ズラーキーヤート村一帯のイッザ軍拠点に対する攻撃を受けて声明を出し、「この攻撃が報復無しでは済まされないと誓約する」と表明した。

al-Durar al-Shamiya, November 9, 2018

またジャービル・アリー・バーシャー総司令官はテレグラムのアカウントを通じて、シリア北部で活動する反体制武装集団に対して、シリア軍との戦闘に備えるよう呼びかけた。

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シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構も声明を出し、「殉教した者のために報復する」と宣言した。

al-Durar al-Shamiya, November 9, 2018

シャーム解放機構はまた、臨戦態勢をとるため、メンバーに対して動員令を発した。

al-Durar al-Shamiya, November 9, 2018

AFP, November 9, 2018、ANHA, November 9, 2018、AP, November 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2018、al-Hayat, November 9, 2018、Reuters, November 9, 2018、SANA, November 9, 2018、UPI, November 9, 2018などをもとに作成。

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ハマー県北部の非武装地帯でシリア軍(ないしはイラン・イスラーム革命防衛隊とヒズブッラー)がイッザ軍を攻撃し拠点複数カ所を制圧(2018年11月9日)

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が、ロシアとトルコの合意で設置された非武装地帯内に位置するズラーキーヤート村一帯でイッザ軍の拠点複数カ所を攻撃し、戦闘員22人が死亡した。

SANA(11月9日付)も、イッザ大隊(イッザ軍)がズラーキーヤート村一帯にあるシリア軍拠点を攻撃、シリア軍が応戦し、これを殲滅したと伝えた。

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これに関して、イッザ軍のアブドゥッラッザーク・ハサン広報局長は声明を出し、シリア軍部隊が8日晩にロシアとトルコの合意により設置された非武装地帯内に位置するズラーキーヤート村一帯に潜入し、イッザ軍の拠点複数カ所を攻撃、23人が死亡、複数人が負傷したと発表した。

一方、イッザ軍の司令官の1人ムスタファー・バクール大佐は声明を出し、イラン・イスラーム革命防衛隊、ヒズブッラーが、ロシア軍の偵察機の支援を受けて潜入し、イッザ軍の複数拠点を攻撃し、占領したと主張した。

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ドゥラル・シャーミーヤ(11月9日付)によると、この戦闘でイッザ軍戦闘員23人が死亡、シリア軍兵士(ないしはイラン・イスラーム革命防衛隊とヒズブッラー側)も6人が死亡したという。

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イッザ軍は、トルコの庇護を受ける国民解放戦線には参加せず、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構、トルキスタン・イスラーム党などとともにシリア軍と戦闘を続けてきた組織で、バラク・オバマ前米政権の支援を受けてきたいわゆる「穏健な反体制派」の一つ。

SANA, November 9, 2018

AFP, November 9, 2018、ANHA, November 9, 2018、AP, November 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2018、al-Hayat, November 9, 2018、Reuters, November 9, 2018、SANA, November 9, 2018、UPI, November 9, 2018などをもとに作成。

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米主導の有志連合はダイル・ザウル県南東部のハジーン市を爆撃し、住民20人以上を殺害(2018年11月9日)

ダイル・ザウル県では、SANA(11月9日付)によると、米主導の有志連合がハジーン市を爆撃し、住民26人が死亡した。

ダーイシュ(イスラーム国)に近いアアマーク通信(11月9日付)によると、死者は40人にのぼるという。

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ラッカ県では、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の広報センターによると、シリア民主軍のテロ撲滅部隊が、米主導の有志連合の支援を受け、ラッカ市内でダーイシュ(イスラーム国)の司令官1人を逮捕した。

ANHA(11月9日付)が伝えた。

一方、ANHAによると、ラッカ市中心街のムウタッズ通りで何者かがしかけた爆弾が爆発し、住民1人が負傷した。

AFP, November 9, 2018、ANHA, November 9, 2018、AP, November 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2018、al-Hayat, November 9, 2018、Reuters, November 9, 2018、SANA, November 9, 2018、UPI, November 9, 2018などをもとに作成。

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トルコが実質占領するアフリーン郡(アレッポ県)の国境に「オリーブの枝」国境税関所が開設される(2018年11月9日)

トルコのルフサル・ペクジャン通商大臣は、実質占領しているアレッポ県アフリーン郡とハタイ県を結ぶ「オリーブの枝」国境税関所を国境に設置、8日付で開通したと国会で、発表した。

アナトリア通信(11月9日付)が伝えた。

al-Durar al-Shamiya, November 9, 2018

AFP, November 9, 2018、Anadolu Ajansı, November 9, 2018、ANHA, November 9, 2018、AP, November 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2018、al-Hayat, November 9, 2018、Reuters, November 9, 2018、SANA, November 9, 2018、UPI, November 9, 2018などをもとに作成。

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YPGはトルコの占領下にあるアフリーン郡(アレッポ県)でシャーム軍団とスルターン・ムラード師団の拠点を攻撃(2018年11月9日)

アレッポ県では、西クルディスタン移行期民政局(ロジャヴァ)人民防衛隊(YPG)の広報センターによると、YPGはトルコ占領下のアフリーン郡のジンディールス町近郊のムハンマディーヤ村とアフリーン市で8日、シャーム軍団とスルターン・ムラード師団の拠点を攻撃し、戦闘員8人を殺害、10人を負傷させた。

ANHA(11月9日付)が伝えた。

AFP, November 9, 2018、ANHA, November 9, 2018、AP, November 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2018、al-Hayat, November 9, 2018、Reuters, November 9, 2018、SANA, November 9, 2018、UPI, November 9, 2018などをもとに作成。

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シリア軍はサファー丘(ダマスカス郊外県)の岩石砂漠地帯に潜伏するダーイシュに対する砲撃を再開(2018年11月9日)

ダマスカス郊外県では、ドゥラル・シャーミーヤ(11月9日付)によると、シリア軍(第4機甲師団)が、シリア政府と和解した反体制武装集団、パレスチナ人からなるクドス旅団とともに、スワイダー県東部に隣接するサファー丘の岩石砂漠地帯に潜伏するダーイシュ(イスラーム国)に対する攻撃を再開した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月9日付)によると、シリア軍部隊がマヤーディーン市近郊でダーイシュ(イスラーム国)が保有していたミサイル複数発を発見した。

SANA, November 9, 2018

AFP, November 9, 2018、ANHA, November 9, 2018、AP, November 9, 2018、al-Durar al-Shamiya, November 9, 2018、al-Hayat, November 9, 2018、Reuters, November 9, 2018、SANA, November 9, 2018、UPI, November 9, 2018などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから93人、ヨルダンから514人の難民が帰国、避難民294人が帰宅(2018年11月9日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(11月9日付)を公開し、11月8日に難民607人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは93人(うち女性28人、子供47人)、ヨルダンから帰国したのは514人(うち女性154人、子供262人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は32,358人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者23,258人(ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者9,325人(ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日に帰国した難民の数は 261,863人(うち女性78,565人、子供133,448人)となった。

なお、45カ国で難民登録したシリア人の数は6,643,618人(うち女性1,993,085人、子供3,321,809人)。

一方、国内避難民294人が新たに帰宅した。

うち東グータ地方に帰宅したのは32人(うち女性14人、子供8人)、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダイル・ザウル県、ダマスカス郊外県に帰宅したのは256人(うち女性81人、子供138人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

これにより、2018年1月以降に帰宅した国内避難民の数は165,183人(うち女性50,171人、子供83,270人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,247,545人(うち女性375,169人、子供635,653人)となった。

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ロシア国防省は声明を出し、ロシア側監督チームが過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を2件(アレッポ県)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, November 9, 2018をもとに作成。

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