シャーム解放機構が自治を委託するシリア救国内閣は4月1日から支配地への往来を禁止(2020年3月30日)

ドゥラル・シャーミヤ(3月30日付)やシリア人権監視団によると、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県の反体制派支配地で自治を委託されているシリア救国内閣は、新型コロナウイルス感染防止策として、4月1日から2週間、支配地域への住民の往来を禁止することを決定した。

人道支援、通商、食糧物資搬送などにかかる人の往来については、通行所の責任者の判断のもとに除外される。

同監視団によると、シャーム解放機構は、トルコに面するイドリブ県のバーブ・ハワー国境通行所を実質掌握(通行所局長とスタッフがシャーム解放機構支持者)しているほか、トルコの占領下にある「オリーブの枝」地域に面するアレッポ県ダーラト・イッザ市近郊のガザーウィーヤ村近郊と、イドリブ県のアティマ村とアレッポ県ダイル・バッルート村の間に二つの通行所を設置し、通行税をとるなどして、人の往来を管理している。

またシリア救国内閣が所轄する教育省は、学校、専門学校、幼稚園の閉鎖を決定した。

違反者に対しては罰則が科せられるという。

AFP, March 30, 2020、ANHA, March 30, 2020、AP, March 30, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 30, 2020、Reuters, March 30, 2020、SANA, March 30, 2020、SOHR, March 30, 2020、UPI, March 30, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米軍がハサカ県ルマイラーン町に入ろうとしたロシア軍の進行を阻止(2020年3月30日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、カーミシュリー国際空港に駐留しているロシア軍のパトロール部隊が、ルマイラーン町に入ろうとしたが、同地近郊の油田地帯を違法に占拠し、軍事基地を設置している米軍のパトロール部隊がこれを阻止し、カーミシュリー市方面に引き返した。

これを受け、ロシア軍の装甲車4輌からなる別のパトロール部隊がハサカ市とカーミシュリー市を結ぶ街道上の要衝であるヒッティーン・ガソリン・スタンド一帯(ヒッティーン交差点)に展開し、警戒活動にあたった。

AFP, March 30, 2020、ANHA, March 30, 2020、AP, March 30, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 30, 2020、Reuters, March 30, 2020、SANA, March 30, 2020、SOHR, March 30, 2020、UPI, March 30, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍はイドリブ県のM4高速道路で10回目となる単独パトロールを実施(2020年3月30日)

英国を拠点に活動する反体制派系NGOのシリア人権監視団によると、ロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効(3月5日深夜)してから25日目となる3月30日、シリア・ロシア軍、トルコ軍の爆撃は確認されなかった。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍がM4高速道路のサラーキブ市とマジュダリヤー村を結ぶ区間で10度目となる単独パトロールを実施した。

トルコ軍はまた、戦車、装甲車など35輌からなる車列をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに進入させた。

一方、シリア軍は、ナージヤ村にあるトルコ軍の拠点一帯を砲撃した。

また、シリア軍と「決戦」作戦司令室が、ファッティーラ村、カフルナブル市一帯で砲撃を行った。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

AFP, March 30, 2020、ANHA, March 30, 2020、AP, March 30, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 30, 2020、Reuters, March 30, 2020、SANA, March 30, 2020、SOHR, March 30, 2020、UPI, March 30, 2020などをもとに作成。

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ANHAはシリア政府がクルド人が多いダマスカス県ズールアーファー地区でのパン販売を規制していると主張(2020年3月30日)

ANHA(3月30日付)は、シリア政府当局が、新型コロナウイルス感染防止策の一貫として、ダマスカス県ズールアーファー地区でパンの販売を規制していることで、住民がパンを買うために長蛇の列に並び、長時間屋外にいることを余儀なくされていると伝え、その写真を公開した。

ズールアーファー地区はクルド系住民が多く暮らす不法占拠地区。

しかし、シリア政府がパンの販売を「規制」しているという情報はなく、長蛇の列は、品不足を心配する住民が殺到しているためだと思われる。

AFP, March 30, 2020、ANHA, March 30, 2020、AP, March 30, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 30, 2020、Reuters, March 30, 2020、SANA, March 30, 2020、SOHR, March 30, 2020、UPI, March 30, 2020などをもとに作成。

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シリア民主軍はハサカ市の刑務所でのダーイシュの暴動を鎮圧したと発表(2020年3月30日)

人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍のキーヌー・カブラーヒール報道官は声明を出し、29日にハサカ市グワイラーン地区のスィナーア刑務所に収監中のダーイシュ(イスラーム国)メンバーが起こした暴動に関して、シリア民主軍が事態を収拾し、脱獄者はなかったと発表した。

カブラーヒール報道官によると、29日にスィナーア刑務所に収監中のダーイシュ・メンバーが雑居房の扉を破壊し、居房棟の壁に穴を空け、地上階を制圧、脱獄を試みたが、シリア民主軍が脱獄を阻止、収監者を完全に制圧したという。

カブラーイール報道官は、「この事件は、シリア民主軍がダーイシュのテロリストたちの身柄を確保し続ける能力を有していることを改めて示すものだ。だが、ダーイシュのテロリストとその家族を収容している拘置所やキャンプの安全を確保するため、我々が国際社会、有志連合からのさらなる支援を必要としていることも明らかになった」と強調した。

ANHA(3月30日付)が伝えた。

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シリア人権監視団によると、収監中のダーイシュ・メンバーは、刑務所の看守複数人を人質にとり、刑務所長との交渉を要求したが、米主導の有志連合とシリア民主軍のテロ撲滅部隊が刑務所の敷地内に突入し、暴動を鎮圧した。

突入に際して、有志連合のヘリコプターが上空を旋回、燃料気化爆弾を投下し、地上部隊を支援した。

シリア民主軍のテロ撲滅部隊はまた、脱獄を図った4人を刑務所の敷地内で拘束した。

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一方、反体制派系のユーフラテス・プレス(3月29日付)によると、シリア民主軍がダーイシュ・メンバーの暴動を掌握できていないと伝え、その映像を公開した。

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シリア民主軍のマズルーム・アブディー総司令官は、ツイッターのアカウント(https://twitter.com/MazloumAbdi/)を通じて声明を出し、有志連合と国際社会に対して、ダーイシュのメンバーの収監や彼らの家族の収容にかかる問題を根本的に解決するための行動を加速させるよう呼びかけた。

AFP, March 30, 2020、ANHA, March 30, 2020、AP, March 30, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 30, 2020、Euphrates Post, March 29, 2020、Reuters, March 30, 2020、SANA, March 30, 2020、SOHR, March 30, 2020、UPI, March 30, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍がマンビジュ市郊外を砲撃し女性1人死亡、シリア民主軍はラッカ県で国民軍司令官1人を殺害(2020年3月30日)

アレッポ県では、ANHA(3月30日付)によると、トルコ軍のその支援を受ける国民軍が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるマンビジュ市近郊の大アラブ・ハサン村を砲撃し、6歳の女児1人が死亡、両親が負傷した。

 

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ラッカ県では、ANHA(3月30日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がアイン・イーサー市近郊のフーシャーナー村を攻撃した。

これに対して、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍と女性防衛隊(YPJ)が反撃を行い、トルコ軍側の車輌1輌を破壊し、国民軍に所属するスライマーン・シャー師団のマーヒル・ハミーディー司令官を殺害した。


トルコ軍はまた、同じくアイン・イーサー市近郊のディブス村を砲撃した。

AFP, March 30, 2020、ANHA, March 30, 2020、AP, March 30, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 30, 2020、Reuters, March 30, 2020、SANA, March 30, 2020、SOHR, March 30, 2020、UPI, March 30, 2020などをもとに作成。

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シリア保健省は新型コロナウイルスに感染していた女性1人が死亡したと発表、シリア国内の死者数は2人に(2020年3月30日)

保健省は声明を出し、新型コロナウイルスに感染していた女性1人が死亡したと発表した。

女性は、シリア国内で感染が確認されていた10人(うち1人は29日に死亡)の1人。

これにより、3月30日現在、シリア国内での感染者数は10人、死者は2人となった。

一方、シリア人権監視団は、信頼できる複数の医療筋の情報として、ダマスカス県、アレッポ県、ラタキア県、タルトゥース県、ヒムス県、ハマー県、ダルアー県で新型コロナウイルスの感染を疑われ、隔離されている患者の数が260人以上に達していると発表した。

このうち94人はPCR検査の結果、陰性と診断されたが、保健省が死亡を発表した女性2人以外にも、女性看護師1人が死亡しているという。

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法務省は、新型コロナウイルス感染防止策の一環として、裁判所、法廷の閉鎖・休廷期間を4月16日まで延長することを決定したと発表した。

法務省は決定第707号(3月14日)を発令し、3月17日から4月2日までの期間、裁判所、法廷を閉鎖・休廷することを決定していた。

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SANA(3月30日付)が伝えた。

AFP, March 30, 2020、ANHA, March 30, 2020、AP, March 30, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 30, 2020、Reuters, March 30, 2020、SANA, March 30, 2020、SOHR, March 30, 2020、UPI, March 30, 2020などをもとに作成。

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