『シャルク・アウサト』紙:リビアのハフタル将軍がシリアを秘密裏に訪問(2020年3月10日)

『シャルク・アウサト』紙(3月10日付)は、複数の情報筋の話として、リビア国民軍を指導するハリーファ・ハフタル将軍(退役少将)がシリアを秘密裏に訪問していたと伝えた。

同情報筋によると、訪問は、シリア政府とベンガジの移行期政府の外交関係樹立に向けた地ならしを行うことが目的だったという。

また、この極秘訪問を祝福するかたちで、エジプトのアッバース・カーミル総合情報部長官のシリア訪問(3月2日)が行われたという。

シリアへの極秘訪問では、ハフタル将軍は、ファーイズ・スィラージュ執行評議会議長が指導するトリポリの国民合意政府(GNA)傘下の武装勢力と戦うため、郡・治安関係の専門家や戦闘員の受け入れについて検討が加えられ、またこれと合わせるかたちでロシアはダマスカス郊外県グータ地方出身のシリア人戦闘員(元反体制武装集団戦闘員)を派遣、ロシアの民間軍事会社のワグナー・グループが、シリア駐留ロシア軍司令部が設置されているラタキア県フマイミーム航空基地から装備や弾薬をリビアに移送したという。

AFP, March 10, 2020、ANHA, March 10, 2020、AP, March 10, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 10, 2020、Reuters, March 10, 2020、SANA, March 10, 2020、al-Sharq al-Awsat, March 10, 2020、SOHR, March 10, 2020、UPI, March 10, 2020などをもとに作成。

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トルコのエルドアン大統領「シリアの石油を復興に活用するようプーチン大統領に提案した。そうすれば、トルコは復興に参加できる」(2020年3月10日)

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、訪問先のブリュッセル(ベルギー)で同行記者らに対して、ハサカ県カーミシュリー市一帯やダイル・ザウル県での石油収入をシリア復興に活用すべきだとロシアのヴラジミール・プーチン大統領に提案したと述べた。

エルドアン大統領は「私は、(ダイル・ザウル県とカーミシュリー市一帯での)石油生産を通じて破壊されたシリアの復興を財政的に支援するようプーチン大統領に対して提案した。また、我々はこうした事業に参加する用意があると伝えた。プーチン大統領は「それは可能だ」と答えてくれた」と述べた。

また「こうした方針に向けて措置が講じられれば、(ドナルド・)トランプ米大統領にも同様の提案をするだろう。こうすることで、それ(石油)がテロリストに利用されることなく、我々はシリア復興を支援する機会を得ることになる」と付言した。

一方、イドリブ県での停戦については「一時的なものではあっても、うまくいっている…。この状態が続き、持続的な停戦になればと思っている」と述べた。

ロシアのメディアが、5日のプーチン大統領との会談前に2分以上も待たされているエルドアン大統領の映像をリークしたことについては、「トルコ・ロシア関係がこの手の情報操作の試みの犠牲になることはない」と一蹴した。

欧州への渡航を希望するシリア難民の移動規制を解除したことについては、ギリシャに対して国境を開放するよう呼びかけるとともに、「ギリシャに定住するのではなく、他の欧州諸国に行こうとしている」と述べた。

AFP, March 10, 2020、ANHA, March 10, 2020、AP, March 10, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 10, 2020、Reuters, March 10, 2020、SANA, March 10, 2020、SOHR, March 10, 2020、UPI, March 10, 2020などをもとに作成。

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バスニュース:シリア北東部に展開するイランの民兵7人が新型コロナウイルスに感染して死亡(2020年3月10日)

バスニュース(3月10日付)は、シリア政府支配下のダイル・ザウル県ブーカマール市一帯に展開しているイラン・イスラーム革命防衛隊傘下の民兵(いわゆる「イランの民兵」)7人が新型コロナウイルスに感染して死亡、また40人が感染していると伝えた。

死亡した民兵はブーカマール市西のハウダーン地区近くに埋葬される一方、同市のアーイシャ・ハイリー病院には感染者を隔離するセクションが設置されたという。

死亡した民兵の一部は、3月初旬にイラン、イラクから陸路でシリアに入ったという。

AFP, March 10, 2020、ANHA, March 10, 2020、AP, March 10, 2020、BasnewsMarch 10, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 10, 2020、Reuters, March 10, 2020、SANA, March 10, 2020、SOHR, March 10, 2020、UPI, March 10, 2020などをもとに作成。

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シリア民主軍が有志連合の航空支援を受けてダイル・ザウル県内の女学校を急襲し、IDPs複数人を拘束(2020年3月10日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、米主導の有志連合ヘリコプターの航空支援を受けて、県東部のハワーイジュ村にある女学校を急襲し、学校内にいた国内避難民(IDPs)複数人を拘束、連行した。

拘束されたのはマヤーディーン市出身者で、容疑は不明だという。

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シリア人権監視団はシリア政府支配地域で新型コロナウイルスの感染が急速に拡大していると発表(2020年3月10日)

シリア人権監視団は、シリア政府支配地内の複数の医療筋から得た情報として、ダマスカス県、タルトゥース県、ラタキア県、ヒムス県で新型コロナウイルスの感染が急速に拡大していると発表した。

感染者のなかには、死亡した者もいれば、隔離されている者もいるという。

また、上記4県の複数の医師によると、政府当局から箝口令が出ており、感染拡大について口外しないよう指示を受けているという。

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シリア保健省は新型コロナウイルスの感染が疑われていた患者の検査結果が陰性だったと発表(2020年3月10日)

保健省は報道向け声明を出し、新型コロナウイルスに感染したことが疑われ、ダマスカス県のムワーサー病院で隔離されていた患者に対して行った検査結果が陰性だったとしたうえで、依然としてシリア国内での感染者は確認されていないと発表した。

新型コロナウイルスの感染を疑われた患者は細菌性肺炎だったという。

SANA(3月11日付)が伝えた。

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北・東シリア自治局傘下のスィーマルカー国境通行所局は欧州在住者に渡航しないよう呼びかける(2020年3月10日)

北・東シリア自治局傘下のスィーマルカー国境通行所局は声明を出し、欧州在住者にシリア北部および東部への渡航を行わないよう呼びかけた。

この呼びかけは、欧州での新型コロナウイルス感染者の拡大を受けた措置。

スィーマルカー国境通行所は、北・東シリア自治局の支配下にあるシリアのハサカ県東部とイラク・クルディスタン自治政府の支配下にあるイラクのダフーク県西部を結ぶために違法に設置された通行所。

ANHA(3月10日付)が伝えた。

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人民議会選挙立候補届件数は6,618件に(2020年3月10日)

高等司法選挙委員会(選挙管理委員会)は声明を出し、4月13日に投票が予定されている第3期人民議会選挙の立候補届受付件数が6,618件に達していると発表した。

10日に受け付けられた立候補届は3,078件。

内訳は、ダマスカス県264件、ダマスカス郊外県177件、ダルアー県104件、スワイダー県89件、ヒムス県578件、ハマー県225件、イドリブ県110件、ラッカ県193件、ダイル・ザウル県104件、ハサカ県108件、タルトゥース県115件、ラタキア県383件、アレッポ市259件、アレッポ県諸地域268件、クナイトラ県101県。

SANA(3月11日付)が伝えた。

AFP, March 10, 2020、ANHA, March 10, 2020、AP, March 10, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 10, 2020、Reuters, March 10, 2020、SANA, March 10, 2020、SOHR, March 10, 2020、UPI, March 10, 2020などをもとに作成。

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トルコのチャヴシュオール外務大臣「M4高速道路の南側はロシア、北側はトルコの監視下に置かれる」(2020年3月10日)

トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は、イドリブ県を通過するM4高速道路の処遇に関して「街道の南側はロシアの監視下に、北側は我々の監視下に置かれる」と述べた。

チャヴシュオール外務大臣はまた「シリア政府がイドリブ県の停戦を無視して進軍しようとすれば、我が軍はこれまでに行ってきたことを行うことになる」と付言した。

アナトリア通信(3月10日付)が伝えた。

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トルコ軍・国民軍とシリア軍がトルコ占領下のラッカ県タッル・アブヤド市近郊で砲撃戦(2020年3月10日)

ラッカ県では、ANHA(3月10日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がタッル・アブヤド市近郊のディブス村、カズアリー村を砲撃した。

シリア人権監視団によると、これに対してシリア軍はタッル・リフアト市郊外一帯に展開するトルコ軍と国民軍の拠点を砲撃した。

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アレッポ県では、ANHA(3月10日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のシャイフ・イーサー村を砲撃した。

一方、シリア人権監視団によると、トルコ占領下のバーブ市近郊で、車に仕掛けられていた爆弾が爆発、イスラーム軍の法務委員会議長が死亡した。

また、同じくトルコ占領下のアフリーン市で車に仕掛けられいた爆弾が爆発し、1人が負傷した。

AFP, March 10, 2020、ANHA, March 10, 2020、AP, March 10, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 10, 2020、Reuters, March 10, 2020、SANA, March 10, 2020、SOHR, March 10, 2020、UPI, March 10, 2020などをもとに作成。

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RIAノーヴォスチ通信:トルコ軍はイドリブ県内の監視所から漸進的に重火器の撤退を始める(2020年3月10日)

英国を拠点に活動する反体制派系NGOのシリア人権監視団によると、5日のロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効(5日深夜)してから5日目となる3月10日、シリア・ロシア軍、トルコ軍は爆撃を実施しなかったが、シリア軍、「決戦」作戦司令室による若干の停戦違反が確認された。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を3件(イドリブ県0件、ラタキア県0件、アレッポ県3件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がイシュタブリク村を砲撃した。

一方、トルコ軍は戦車、装甲車など約100輌からなる車列をカフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に進入させた。

しかし、RIA・ノーヴォスチ通信(3月10日付)は、ロシア軍筋の話として、5日の首脳会談での停戦合意に従い、トルコ政府がイドリブ県内の監視所から重火器の撤退を漸進的に開始したと伝えた。

このほか、ファイルーン村近郊の国民解放戦線(シリア国民軍)の拠点複数カ所が武装集団の襲撃を受け、ロケット弾をはじめとする武器弾薬、車輌1輌が盗まれた。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がサルマーニーヤ村を砲撃した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、カフルタアール村一帯で、シリア軍と「決戦」作戦司令室が交戦した。

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ドゥラル・シャーミーヤ(3月10日付)によると、フサーム・ルーカー少将(政治治安局長)がダルアー県のジャースィム市で、シリア政府との和解に応じた元反体制武装集団戦闘員に対して、所持している武器の引き渡しを要請、拒否した場合はシリア北部に追放すると脅迫していると伝えた。

AFP, March 10, 2020、ANHA, March 10, 2020、AP, March 10, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 10, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, March 10, 2020、Reuters, March 10, 2020、 RIA Novosti, March 10, 2020、SANA, March 10, 2020、SOHR, March 10, 2020、UPI, March 10, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民645人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は573,436人に(2020年3月10日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(3月10日付)を公開し、3月9日に難民645人が新たに帰国したと発表した。


このうちレバノンから帰国したのは173人(うち女性52人、子供88人)、ヨルダンから帰国したのは472人(うち女性142人、子供241人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は573,436人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者180,972人(うち女性54,690人、子ども92,593人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者392,464人(うち女性117,783人、子ども200,149人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,580,101人(うち女性1,974,030人、子供3,355,852人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は802,716人(うち女性241,131人、子供409,664人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, March 10, 2020をもとに作成。

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