レバノン日刊紙『アフバール』:シリア政府は2月中旬にトルコに幅6キロのイドリブ県国境地帯を除く反体制派支配地を制圧すると伝え、トルコはこれを拒否(2020年3月4日)

レバノン日刊紙『アフバール』(3月4日付)によると、シリアのアリー・マムルーク国民安全保障会議議長はトルコのハカン・フィダン国家諜報機構(MİT)長官は2月中旬に行われたとされる会合で「あなた方は合意を遵守してない。事態は新たなバランスに向かって動いている」としたうえで、シリア軍が制圧を計画している地域を示したという。

この地域は、反体制派支配地全域ではなく、トルコ占領下のアレッポ県北西部(「オリーブの枝」地域)との境界線から、イドリブ県アティマ市、ハーリム市、サルキーン市、ダルクーシュ町を経て、ジスル・シュグール市から北14キロの距離にあるザルズール村に至る幅6キロの国境地帯は除外されていた。

だが、トルコ側はシリア側の要求を拒否したという。

なお、マムルーク国民安全保障会議議長とフィダンMİT長官は1月13日にロシアの首都モスクワでロシア仲介のもとに会談を行ったことが発表されているが(https://syriaarabspring.info/?p=62920)、2月に(公式の)会合が行われたとの報道はない。

al-Akhbar, March 4, 2020をもとに作成。

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リビア国民合意政府はシリア政府がハフタル将軍の政府に大使館を明け渡したことを非難(2020年3月4日)

リビア国民合意政府の外務省は声明を出し、ハリーファ・ハフタル将軍率いるリビア国民軍の政府がシリアの首都ダマスカスで大使館を再開したことに関して、「シリア政府が、リビア東部の政府に大使館を明け渡したことを注視している」としたうえで、「こうした措置を拒否する。これはリビアにおける唯一の正統な政府である国民合意政府と並んで存在する政体に関わってはならないとする国連安保理の諸決議に違反している」と非難した。

AFP, March 4, 2020、ANHA, March 4, 2020、AP, March 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 4, 2020、Reuters, March 4, 2020、SANA, March 4, 2020、SOHR, March 4, 2020、UPI, March 4, 2020などをもとに作成。

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ロシア国防省報道官「トルコのイドリブ県侵攻は国際法違反」(2020年3月4日)

ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は声明を出し、イドリブ県へのトルコ軍の侵攻が国際法違反で、2018年9月のソチ合意に反していると批判した。

コナシェンコフ報道官はまた、国連安保理が国際テロ組織に指定しているシリアのアル=カーイダのシャーム解放機構がイドリブ県で活動を続けているにもかかわらず、トルコがこれを支援、欧米諸国や国連はテロ組織の活動に関心を示そうとしないと非難した。

スプートニク・ニュース(3月4日付)が伝えた。

AFP, March 4, 2020、ANHA, March 4, 2020、AP, March 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 4, 2020、Reuters, March 4, 2020、SANA, March 4, 2020、SOHR, March 4, 2020、Sputnik News, March 4, 2020、UPI, March 4, 2020などをもとに作成。

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ロシア当事者和解調整センター「トルコの支援を受ける「テロ集団」がイドリブ県で化学兵器を使用しようとしていた」(2020年3月4日)

ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置されている当事者和解調整センターは声明を出し、トルコの支援を受ける「テロ集団」がイドリブ県のサラーキブ市近郊で、シリア軍の進軍を阻止するため、化学物質を装填した容器を爆破しようとしていたと発表した。

声明によると、15人からなる「テロリスト」のグループが3月2日、有毒科学物質が装填した容器に爆弾をしかけて爆発させ、シリア軍がサラーキブ市以西への進軍を阻止しようとしていたが、容器を密封することに失敗し、数人が負傷、試みは失敗に終わったという。

AFP, March 4, 2020、ANHA, March 4, 2020、AP, March 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 4, 2020、Reuters, March 4, 2020、SANA, March 4, 2020、SOHR, March 4, 2020、UPI, March 4, 2020などをもとに作成。

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ムアッリム外務在外居住者大臣は、ビーズリーWFP業務執行取締役、フォアUNICEF業務執行取締役と会談(2020年3月4日)

ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣兼副首相は、首都ダマスカスで、デイヴィッド・ビーズリー国際連合世界食糧計画(WFP)業務執行取締役、ヘンリエッタ・H・フォア国際連合児童基金(UNICEF)業務執行取締役からなる使節団と会談した。

SANA(3月4日付)によると、会談では、シリアとWFP、UNICEFの関係強化の方途などについて意見を交わした。

AFP, March 4, 2020、ANHA, March 4, 2020、AP, March 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 4, 2020、Reuters, March 4, 2020、SANA, March 4, 2020、SOHR, March 4, 2020、UPI, March 4, 2020などをもとに作成。

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シリア外務在外居住者省はジェフリー米国務省シリア問題担当特使とクラフト米国連大使のアレッポ県北部訪問を非難(2020年3月4日)

シリアの外務在外居住者省の公式筋は、2日にジェームズ・ジェフリー米国務省シリア問題担当特使とケリー・クラフト米国連大使がアレッポ県のバーブ・サラーマ国境通行所を経由してトルコ占領下の「ユーフラテスの盾」地域を訪問したことに関して、アレッポ県ではなく「イドリブ県に違法に潜入した」としたうえで、「米国は自らが国際法や国連憲章を超越しているとみなしている…。トルコの敵対行為を支援して破壊に荷担していることを改めて明らかにした」と非難した。

SANA(3月4日付)が伝えた。

AFP, March 4, 2020、ANHA, March 4, 2020、AP, March 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 4, 2020、Reuters, March 4, 2020、SANA, March 4, 2020、SOHR, March 4, 2020、UPI, March 4, 2020などをもとに作成。

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トルコ軍はハサカ県北東部のシリア軍拠点を砲撃(2020年3月4日)

ハサカ県では、ANHA(3月4日付)によると、トルコ軍がダルバースィーヤ市の東4キロに位置するハワーシーヤ村に展開するシリア軍の拠点1カ所を砲撃した。

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アレッポ県では、ANHA(3月4日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のシャイフ・イーサー村、ズィヤーラ村、アキーバ村を砲撃した。

また、シリア人権監視団によると、ターディフ市近郊で親政権民兵とトルコの支援を受ける国民軍が交戦した。

一方、アフリーン解放軍団は声明を出し、3日にトルコ占領下のマーリア市近郊にある国民軍の拠点を攻撃し、戦闘員4人を殺害、14人を負傷させたと発表した。

AFP, March 4, 2020、ANHA, March 4, 2020、AP, March 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 4, 2020、Reuters, March 4, 2020、SANA, March 4, 2020、SOHR, March 4, 2020、UPI, March 4, 2020などをもとに作成。

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イドリブ県での戦闘でトルコ軍兵士3人、シリア軍兵士35人、反体制派戦闘員32人死亡(2020年3月4日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍無人航空機(ドローン)がサラーキブ市内のシリア軍と「イランの民兵」の拠点や穀物サイロ、ハーン・スブル村、マアッルディブサ村、タルナバ村、ジャウバース村、カフル・ウワイド村を爆撃した。

トルコ軍のドローンはまた、シャフシャブー山麓のカウカバ村でシリア軍の車列を爆撃した。

サラーキブ市一帯(アーフィス村、タルナバ村など)では、トルコの航空・砲撃支援を受ける「決戦」作戦司令室(シャーム解放機構や国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体)とシリア軍が激しい戦闘を続け、シリア軍側の兵士35人と「決戦」作戦司令室戦闘員32人が死亡した。

死亡したシリア軍側の兵士35人のうち26人がトルコ軍の砲撃によるもので、「イランの民兵」7人も含まれている。

この戦闘で、シリア軍は、ビンニシュ市、サルミーン市、ナイラブ村、クマイナース村、アーフィス村、マストゥーマ村、ジスル・シュグール市、スフーフン村、ファッティーラ村を砲撃するなど攻撃を続け、アーフィス村の大部分を制圧した。

https://youtu.be/gM6IDSg_NW0

一方、ロシア軍戦闘機は、ザーウィヤ山一帯、サラーキブ市一帯、アリーハー市一帯、サルミーン市一帯を爆撃した。

シリア軍戦闘機も同地を爆撃した。

これに対して、トルコ軍は戦車や装甲車など45輌からなる増援部隊を、カフルルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に新たに侵入させた。

なお、トルコ国防省は声明を出し、3日のイドリブ県での戦闘で兵士1人が死亡、9人が負傷したと発表した。

これに対する報復として、トルコ軍はシリア軍兵士299人を無力化、戦車9輌。大砲2門、ミサイル発射台6基、軍用車輌2輌を破壊したという。

トルコ国防省はその後再び声明を出し、トルコ軍兵士2人が死亡、6人が負傷したと発表した。

これに対して、トルコ軍はただちに報復し、シリア軍兵士多数を殺害したという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍ドローンがヤーキド・アダス村、シャイフ・アキール山一帯を爆撃した。

また、「決戦」作戦司令室は、トルコ軍の航空・砲撃支援を受け、シャイフ・アキール山、カブターン・ジャバル村などを攻撃、シャイフ・アキール山麓のシャイフ・アキール村を奪還した。

これにより、「決戦」作戦司令室はシャイフ・アキール山にあるトルコ軍監視所を解囲に成功した。


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ハマー県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍ドローンがカムハーナ町に展開するスハイル・ハサン准将指揮下のシリア軍第25師団の本部を爆撃した。

これに関して、ドゥラル・シャーミーヤ(3月4日付)などは、トルコ軍無人航空機(ドローン)がカムハーナ町ではなく、サラーキブ市近郊で開かれていたシリア軍第25師団の司令官会合を狙って爆撃を行い、「虎」の相性で知られるスハイル・ハサン准将が負傷したと伝えた。

だが、ロシアのANNAニュースはツイッターのアカウント(https://twitter.com/annanews_info)を通じてはこれを否定した。

https://twitter.com/annanews_info/status/1235230914147422209

一方、ロシア軍戦闘機がガーブ平原を爆撃した。

シリア軍戦闘機も同地を爆撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、ハッダーダ村一帯でシリア軍と「決戦」作戦司令室が交戦し、シリア軍兵士7人、「決戦」作戦司令室戦闘員4人が死亡した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を45件(イドリブ県15件、ラタキア県18件、アレッポ県11件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を44件(イドリブ県41件、ラタキア県0件、アレッポ県3件、ハマー県0件)確認した。

AFP, March 4, 2020、ANHA, March 4, 2020、AP, March 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 4, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, March 4, 2020、Reuters, March 4, 2020、SANA, March 4, 2020、SOHR, March 4, 2020、UPI, March 4, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民677人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は568,640人に(2020年3月4日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(3月4日付)を公開し、3月3日に難民677人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは235人(うち女性70人、子供120人)、ヨルダンから帰国したのは442人(うち女性133人、子供225人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は568,640人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者179,786人(うち女性54,333人、子ども91,989人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者388,854人(うち女性116,700人、子ども198,308人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,580,101人(うち女性1,974,030人、子供3,355,852人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は797,920人(うち女性239,691人、子供407,219人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, March 4, 2020をもとに作成。

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