アル=カーイダ系組織のアンサール・ディーン戦線がシリア軍と捕虜交換(2020年3月16日)

シリア北西部で活動する新興のアル=カーイダ系組織の一つアンサール・ディーン戦線は、シリア軍との捕虜交換の内幕を暴露した。

アンサール・ディーン戦線の捕虜逮捕者問題責任者のハーズィム・アブー・ファーリクを名乗るメンバーは、ドゥラル・シャーミーヤ(3月16日付)の取材に対して、「アッラーのおかげで2年前にヌサイリー派に捕捉されたジハード戦士の兄弟1人の解放に成功した」と述べた。

アブー・ファーリク氏によると、捕虜の解放は「約7何前のアレッポ市東のキシーシュ航空基地での戦いでアンサール・ディーン戦線が捕捉していたヌサイリー派の大尉を解放したことの見返り」だいう。

アブー・ファーリク氏はまた、「我々は誰からも金銭を受け取っていない」と付言、シリア軍に身代金を渡したとの見方を否定した。

なお、キシーシュ航空基地(別名ジャッラーフ航空基地)は2013年2月に自由シリア軍が制圧、2017年にシリア軍がダーイシュ(イスラーム国)を掃討し、同地を奪還していた。

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シリア軍とトルコの支援を受ける国民軍が捕虜交換(2020年3月16日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領地(「ユーフラテスの盾」地域)と、北・東シリア自治局とシリア政府支配地が接するバーブ市近郊のアブー・ザンディーン村に設置されている通行所で、シリア軍と国民軍が捕虜交換を行った。

捕虜交換では、国民軍がシリア軍の大尉を解放、シリア軍側はイドリブ県サラーキブ市出身の男性1人を釈放し、身柄を交換した。

なお、アブー・ザンディーン村の通行所は、新型コロナウイルス感染を予防するため、住民の往来は禁止されている。


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ロシア外務省「シャーム解放機構やフッラース・ディーン機構などは停戦に乗じて再武装し、攻撃を激化させている」(2020年3月16日)

ロシア外務省は声明を出し、緊張緩和地区に指定されているイドリブ県で、シャーム解放機構やフッラース・ディーン機構を含むイスラーム主義組織が、アル=カーイダのイデオロギーやテロに訴え、ロシアとトルコの停戦合意を拒否していると非難した。

声明では、これらの過激派のなかにはダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員も多数含まれると断じるとともに、停戦合意によって戦闘が収束しているなかで、外国の支援を受けて再武装を行い、攻撃を激化させていると指摘した。

そのうえで、「暴力やテロに訴える者は、その国籍にかかわらず、犯した罪に対して処罰を下す必要がある。選択肢は二つしかない。テロ撲滅か、法律に基づく刑事処罰かだ」と締めくくった。

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トルコ占領下のラッカ県北部で国民軍の戦闘員がトルコ軍による給与未払いに抗議するデモを行う(2020年3月16日)

ラッカ県では、ANHA(3月16日付)によると、トルコ占領下のタッル・アブヤド市近郊のヤービサ村で国民軍の戦闘員が、トルコ軍による給与未払いに抗議するデモを行った。

給与支払いは2ヶ月にわたって停止しており、デモに参加した戦闘員は発砲するとともに、タイヤを燃やすなどして道路を封鎖した。

これに対して、トルコ軍は厳戒態勢を敷き、事態収拾にあたったという。

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ダイル・ザウル24:シリア政府支配下のマヤーディーン市でイラク人4人とイラン人2人の新型コロナウイルスの感染確認(2020年3月16日)

ダイル・ザウル24(3月16日付)は複数の情報筋の話として、シリア政府の支配下にあるダイル・ザウル県ユーフラテス川西岸のマヤーディーン市内の病院で6人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと伝えた。

6人のうち4人はイラク人、2人はイラン人で、市内にある「イランの民兵」専用の病院に隔離されているという。

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保健省:新型コロナウイルスの感染が疑われる103人全員の検査結果は陰性(2020年3月16日)

保健省は声明を出し、新型コロナウイルスに感染した疑いがあるとして国内各地の病院で検査を受けた103人全員の結果が陰性だったと発表した。

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運輸省は声明を出し、17日のUAEシャルジャ・ダマスカス旅客便を予定通り運航すると発表した。

シャルジャ・ダマスカス旅客便は、15、16日にも運航、ダマスカス国際空港で新型コロナウイルス感染の有無を検査するなど対策を講じているという。

運輸省はまた、報道向け声明を出し、ダマスカス国際空港を離発着する旅客機や空港内施設の消毒作業を行ったと発表した。

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北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配地域各所で新型コロナウイルス感染予防策実施(2020年3月16日)

北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるハサカ県ハサカ市やアレッポ県アイン・アラブ(コバネ)市、マンビジュ市で、北・東シリア自治局各地域の保健委員会(保健省に相当)が各自治体の関係機関とともに、新型コロナウイルス感染予防策を開始し、行政機関、教育機関、病院などの施設での消毒作業を行うとともに、住民に当局の感染防止策に従うよう呼びかけた。

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また、ハサカ市の西約12キロの距離に位置するワーシューカーニー国内避難民(IDPs)キャンプでも、キャンプ運営局とクルド赤新月社が新型コロナウイルス感染予防策を実施した。

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トルコ軍がハサカ県タッル・タムル町近郊を砲撃し、住民1人とシリア軍兵士1人負傷、変電所が利用不能に(2020年3月16日)

ハサカ県では、ANHA(3月16日付)やSANA(3月16日付)によると、トルコ軍がタッル・タムル町近郊のウンム・カイフ村、タウィーラ村を砲撃し、住民1人とシリア軍兵士1人が負傷、ウンム・カイフ村の変電所が利用不能となった。


一方、ANHA(3月16日付)によると、ロシア軍憲兵隊とトルコ軍がダルバースィーヤ市、アブー・ラースィーン(ザルカーン)町近郊の国境地帯で合同パトロールを実施した。

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ラッカ県では、ANHA(3月16日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がタッル・アブヤド市近郊のバイルーン村、カズアリー村を砲撃した。

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北・東シリア自治局支配下のハサカ県シャッダーディー市でオートバイに仕掛けられていた爆弾が爆発し、住民1人死亡(2020年3月16日)

ハサカ県では、ANHA(3月16日付)やSANA(3月16日付)によると、北・東シリア自治局支配下のシャッダーディー市でオートバイに仕掛けられていた爆弾が爆発し、住民1人が死亡、4人が負傷した。

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トルコ軍はM4高速道路沿線でのロシア・トルコ軍合同パトロールに反対する座り込み現場近くに新たな拠点を設置(2020年3月16日)

英国を拠点に活動する反体制派系NGOのシリア人権監視団によると、5日のロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効(5日深夜)してから11日目となる3月16日、シリア・ロシア軍、トルコ軍は爆撃を実施しなかったが、シリア軍、「決戦」作戦司令室による若干の停戦違反が確認された。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を7件(イドリブ県2件、ラタキア県2件、アレッポ県3件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を5件(イドリブ県5件、ラタキア県0件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がハザーリーン村一帯を砲撃した。

また、シリア軍と「イランの民兵」の増援部隊がザーウィヤ山に到着した。

一方、トルコ軍は戦車や装甲車など約60輌からなる車列を、カフル・ルースィーン村に違法に設置されている国境通行所からシリア領内に進入させるとともに、カフル・ヌーラーン村に新たな軍事拠点を設置した。

ドゥラル・シャーミーヤ(3月16日付)によると、トルコ軍はまた、ロシア・トルコ軍のM4高速道路沿線での合同パトロールに反対する「尊厳の座り込み」デモが行われているナイラブ市の近くにも拠点を新設した。

このほか、トルコ軍憲兵隊が越境してハタイ県に入ろうとしたダルクーシュ町出身の男性1人を射殺した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がカッバーナ村一帯を砲撃した。

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ロシア難民受入移送居住センター:新型コロナウイルス感染拡大を受け難民の帰還止まる(2020年3月16日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(3月16日付)を公開し、3月15日に帰還した難民はいなかったと発表した。

レバノン政府が新型コロナウイルス感染防止策としてシリアからの出入国を規制したことなどが理由。

2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は577,144人。

内訳は、レバノンからの帰国者181,896人(うち女性54,966人、子ども93,064人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,581,051人(うち女性1,974,315人、子供3,356,336人)。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は806,424人(うち女性242,242人、子供411,555人)。

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一方、国内避難民15人が新たに帰宅した。

うちダマスカス郊外県東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは15人(うち女性8人、子ども5人)、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した5人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は65,697人(うち女性22,948人、子供27,000人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,334,293人(うち女性405,507人、子供670,766人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, March 16, 2020をもとに作成。

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