WHOはアル=カーイダが軍事・治安権限を握るイドリブ県で新型コロナウイルス感染にかかる検査を開始すると発表(2020年3月24日)

世界保健機関(WHO)のヘディン・ハルドルソン報道官は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県の反体制派支配地域で新型コロナウイルス感染を確認するための検査を数日中に開始すると発表した。

ハルドルソン報道官は「イドリブ県で2日間で300件の臨床検査を行い、これをもとに、近く対応を開始する」としたうえで「臨床検査は水曜日にイドリブ市で行われ、特別に準備されたラボで分析が行われる」ことを明らかにした。

ハルドルソン報道官はまた「追加で2,000件の臨床検査を行えるよう活動している。また、今週中に医療用手袋1万双、医療用マスク1万個を含む必要な備品を送るつもりだ」と付言した。

そのうえで「国内避難民(IDPs)は呼吸器系の感染症にかかりやすい状況下で生活している」と指摘し、新型コロナウイルス感染拡大に警鐘をならした。

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一方、アナトリア通信(3月25日付)によると、貨物車輌106輌からなる国連の人道支援チームがバーブ・ハワー国境通行所からシリア領内に入った。

AFP, March 24, 2020、Anadolu Ajansı, March 24, 2020、ANHA, March 24, 2020、AP, March 24, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 24, 2020、Reuters, March 24, 2020、SANA, March 24, 2020、SOHR, March 24, 2020、UPI, March 24, 2020などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリアから帰国したロシアのショイグ国防大臣が機内で新型コロナウイルスに対するPCR検査を受ける(2020年3月24日)

ロシア24(3月24日付)は、23日にシリアを訪問したセルゲイ・ショイグ国防大臣が、帰国する専用機の機内で新型コロナウイルスに対するPCR検査を受けたと伝え、その映像を公開した。

検査結果は陰性だったという。

AFP, March 24, 2020、ANHA, March 24, 2020、AP, March 24, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 24, 2020、Reuters, March 24, 2020、Russia 24, March 24, 2020、SANA, March 24, 2020、SOHR, March 24, 2020、UPI, March 24, 2020などをもとに作成。

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イドリブ県でトルコ軍が再び襲撃を受け、装甲車2輌に被害、兵士2人負傷(2020年3月24日)

トルコ軍による単独パトロール活動はこれで6回目だという。

しかし、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置されている当事者和解調整センターのオレグ・ジュラフロフ副センター長(少将)は声明を出し、「トルコに従わないテロ組織」がスフーフン村に近い路上に爆弾を仕掛け、トルコ軍パトロール部隊が通過するのに合わせてこれを爆発させたと発表した。

この攻撃で、トルコ軍の装甲車2輌が被害を受け、兵士2人が負傷した。

ジュラフロフ副センター長はまた「テロ組織」は過去24時間でイドリブ県で7回にわたり砲撃を行う一方、シリア軍の停戦違反は確認されなかった」としたうえで、トルコに従わない「テロ組織」が緊張緩和地帯の治安を動揺させる行為を続けていると非難した。

そのうえで当事者和解調整センターは違法な武装集団の司令官に武器による挑発を止め、自らが支配する地域の事態を平和的に収束させるために行動するよう呼びかけた。

しかし、ドゥラル・シャーミーヤ(3月25日付)が、複数の現地情報筋の話として伝えたところによると、車列はハマー県シール・マガール村に設置されている監視所に向かっていたところで爆発に巻き込まれた。

だが、爆発は、ロシア・トルコ首脳会議が停戦に合意した3月5日以前の戦闘で、反体制派が敷設した地雷によるもので、「トルコに従わないテロ組織」の反抗ではないという。

また、ロシアの発表とは異なり、被害を受けたのは1輌だけで、負傷者はなかったという。

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シリア人権監視団によると、トルコ軍はM4高速道路沿線のジスル・シュグール市に近いガッサーニーヤ村に新たな拠点を設置した。

これにより、シリア領内のトルコ軍監視所・拠点は51カ所となった。

トルコ軍の監視所・拠点が設置されている場所は以下の通り

監視所

イドリブ県:サルワ村、タッル・トゥーカーン村、サルマーン村、ジスル・シュグール市(イシュタブリク村)
アレッポ県:登塔者聖シメオン教会跡、シャイフ・アキール山、アナダーン山、アレッポ市ラーシディーン地区(南)、アイス村(アイス丘)
ハマー県:ムーリク市、シール・マガール村
ラタキア県:ザイトゥーナ村

拠点

イドリブ県:マアッル・ハッタート村、サラーキブ市(3カ所)、タルナバ村、ナイラブ村、クマイナース村、サルミーン市、タフタナーズ航空基地、マアーッラト・ナアサーン村、マアッラトミスリーン市、マストゥーマ軍事キャンプ、タルマーニーン村、バルダクリー村、ナフラヤー村、ムウタリム村、ブサンクール村(2カ所)、ナビー・アイユーブ丘、バザーブール村、ラーム・ハムダーン村、ムシャイリファ村、タッル・ハッターブ村、ビダーマー町、ナージヤ村、ズアイニーヤ村、ガッサーニーヤ村
アレッポ県:アナダーン市、アレッポ市ラーシディーン地区、ジーナ村(2カ所)、カフル・カルミーン村、タワーマ村、第111中隊基地、アターリブ市、ダーラト・イッザ市、カフル・ヌーラーン村、バータブー村
ハマー県:ムガイル村

なおこのほかにも、トルコ軍はM4高速道路沿線に監視ポスト14カ所を設置している。

AFP, March 24, 2020、ANHA, March 24, 2020、AP, March 24, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 24, 2020、March 25, 2020、Reuters, March 24, 2020、SANA, March 24, 2020、SOHR, March 24, 2020、UPI, March 24, 2020などをもとに作成。

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ラッカ県で反体制武装集団が略奪目的で村を襲撃、村人に発砲し9人を負傷させる(2020年3月24日)

ラッカ県では、ANHA(3月24日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がタッル・アブヤド市近郊のカズアリー村を砲撃した。

一方、タッル・アブヤド市近郊のスッカリー村では、略奪を行おうとして住民の抵抗を受けた国民軍に所属するマジド軍団(ヤースィル・アブドゥッラフマーン少佐が指揮)が発砲、住民9人が負傷した。

AFP, March 24, 2020、ANHA, March 24, 2020、AP, March 24, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 24, 2020、Reuters, March 24, 2020、SANA, March 24, 2020、SOHR, March 24, 2020、UPI, March 24, 2020などをもとに作成。

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米軍兵站部隊の車列がイラクからシリア領内に進入(2020年3月24日)

ハサカ県では、SANA(3月24日付)によると、米軍の兵站部隊の車列がワリード国境通行所からシリア領内に新たに進入した。

車列は貨物トレーラーなど30輌からなり、マーリキーヤ(ダイリーク)市近郊のハッラーブ・ジール村の航空基地に向かった。

AFP, March 24, 2020、ANHA, March 24, 2020、AP, March 24, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 24, 2020、Reuters, March 24, 2020、SANA, March 24, 2020、SOHR, March 24, 2020、UPI, March 24, 2020などをもとに作成。

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ハミース内閣は25日から夜間外出禁止令を発動(2020年3月24日)

イマード・ハミース内閣の新型コロナウイルス対策チームは、3月25日から追って通知があるまでの期間、全国で午後6時から午前6時までの12時間の外出を禁止し、すべての商店、店舗の開店を禁止することを決定した。

違反者には罰則が科せられる。

これを受け、ハミース首相は内務省に対して、外出禁止を徹底するために必要な措置を講じるよう、また各県の県知事に対して現場での措置の実施に努めるよう指示した。

AFP, March 24, 2020、ANHA, March 24, 2020、AP, March 24, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 24, 2020、Reuters, March 24, 2020、SANA, March 24, 2020、SOHR, March 24, 2020、UPI, March 24, 2020などをもとに作成。

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新型コロナウイルス対策として外出・移動制限が実施されるなか、若者が生活必需品やパンを無料配送(2020年3月24日)

SANA(3月24日付)は、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、外出・移動制限を含む措置が政府の主導のもとで実施されているなか、住民に生活必需品を配送する試みが、若者たちのイニシアチブのもとで各地で行われていると伝えた。

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ダマスカス県では、青年慈善協会が「家にいよう」と銘打ったキャンペーンをはじめ、ドゥンマル区のドゥンマル開発計画地区、ワーディー・マシャーリーア地区、ドゥンマル中心街地区、ウルード地区の高齢者を対象に、生活雑貨品を無料で配送することを始めた。

協会の代表を務めるムハンマド・カイス・ラマダーン氏によると、配送受付は電話で終日受け付けているという。

ダマスカス県ではまた、別の慈善グループがマッザ86地区でパン(フブズ)販売所の混雑を回避するため、無料でのパン宅配を開始したという。

グループの発起人の1人のシャーディー・スライマーン氏によると、マッザ86地区を10のブロックに分けて、ボランティアが各ブロックでのパンの配送を担当しているという。

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一方、クナイトラ県では、ハーン・アルナバ市の住民がボランティア・チームを結成し、「家にいよう…あなたのパンを無料であなたの家に」と銘打った活動を開始し、住民にパンの無料配送を開始した。

ボランティア・チームのメンバーの1人であるアフマド・ジャリーダ氏によると、数日中に全県でパンを無料配送することをめざしているという。

このほか、ダイル・ザウル県では、家族計画協会傘下の女性支援エンパワーメント・センターがセンター内の裁縫所を活用して、手作りのマスクの制作を開始した。

センター長のイフラス・ウカイリーさんによると、1日400枚のマスクを制作しているという。

AFP, March 24, 2020、ANHA, March 24, 2020、AP, March 24, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 24, 2020、Reuters, March 24, 2020、SANA, March 24, 2020、SOHR, March 24, 2020、UPI, March 24, 2020などをもとに作成。

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シリア軍と「決戦」作戦司令室がイドリブ県で散発的戦闘、「イランの民兵」が拠点を強化(2020年3月24日)

英国を拠点に活動する反体制派系NGOのシリア人権監視団によると、ロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効(3月5日深夜)してから19日目となる3月24日、シリア・ロシア軍、トルコ軍の爆撃は確認されなかった。

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しかし、イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるバーラ村、アーフィス村、カフル・ウワイド村を、「決戦」作戦司令室がサラーキブ市、カフルナブル市に展開するシリア軍を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

一方、SANA(3月24日付)によると、「決戦」作戦司令室がダーディーフ村、ハントゥーティーン村、ヒザーリーン村一帯のシリア軍拠点を砲撃、シリア軍がただちに応戦した。
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このほか、シリア人権監視団によると、シリア人および外国人からなる「イランの民兵」がサラーキブ市、ザーウィヤ山一帯、カフルナブル市一帯などの拠点を強化した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がカフルタアール村、カフル・アンマ村などを砲撃した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を7件(イドリブ県7件、ラタキア県0件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を4件(イドリブ県3件、ラタキア県1件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認した。

AFP, March 24, 2020、ANHA, March 24, 2020、AP, March 24, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 24, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, March 24, 2020、Reuters, March 24, 2020、SANA, March 24, 2020、SOHR, March 24, 2020、UPI, March 24, 2020などをもとに作成。

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ロシア難民受入移送居住センター:難民61人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は577,853人に(2020年3月24日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(3月24日付)を公開し、3月23日に難民61人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは61人(うち女性18人、子供31人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は577,853人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者182,605人(うち女性55,179人、子ども93,427人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,715,172人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は807,133人(うち女性242,455人、子供411,918人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, March 24, 2020をもとに作成。

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